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思いのままに自分の世界を映し出す作品群は、県内外各所で展示され、なかには世界的に評価されている作家の方を生み出しています。
滋賀大学と「やまなみ工房」は、連携協定を結んで多様性を尊重する社会の形成をめざして協力することになり、そのキックオフが今回のアールブリュット展とのことです。
滋賀大学では今後設立予定の新棟に「やまなみ工房」の作品を常設予定としていますので、教育学部のみならずデータサイエンス学部からの視線での考察が期待できます。
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滋賀大学は彦根城のお堀を挟んだ彦根城の一角のような場所にあり、アールブリュット展は大正時代に建てられた講堂の中で行われます。
学内に入ってレトロ感の漂う講堂に入るとまずインパクトのある作品が目に入り、その迫力に度肝を抜かれます。
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一番左の作品は吉田楓馬さんの「シリトリモンスタ-」という作品で、廃材のようなものを組み合わせてモンスターが積みあがった作品。
吉田楓馬さんは30歳くらいの若い作家ですが、21歳から「やまなみ工房」に通って創作活動に打ち込まれているそうです。
日々の葛藤の中で不安感や負の感情と向き合いながらも、日々作品を生み出しておられているようです。
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保育園の頃に見た仮面ライダーの番組では、仮面ライダーではなく魅了されたのはやられ役の怪人の方だったという。
作品は怪人やシマウマが積み重なって出来ており、タイトルがシリトリモンスターなんでシリトリになっているのか考えてみたが繋がらなかった。
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隣に展示されているヒトガタは栗田淳一さんの「無題」で、人体図をデフォルメして作ったような作品でインパクトがあります。
死者なのか聖なるものなのか捉え方は個人の自由ですが、この切迫感に気圧される気分になります。
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同じ作品を裏側から見ると、そこには頭部に仮面のようなペルソナな顔、腹部には本質と感じられるような本体があるように見える。あるいは逆かも?
吉田さんの栗田さんの共通点は、十代の時に病を発症して二十代のある時期からやまなみ工房へ通うようになった30代の青年です。
違うのは栗田さんは芸大に在籍していたことがあり、フィギュア製作の学校にも一時期通っていたこと。
いづれも病の影響により退学されていますが、美術教育を受けた栗田さんがアールブリュットを模写する事が、自分自身のアールブリュットを探す行為となっているという。
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糸を縫ったり刺繍をしたりして作られた作品は、山崎菜那さんと瀧口真代さんの作品です。
「やまなみ工房」では絵画・陶芸や粘土工芸・立体など多様な作品を作られていますが、その中のひとつに生地や糸やボタンなどを使った作品群があります。
左の山崎さんは、きれいな洋服やおしゃれへの憧れから縫い重ねるように作られた作品は一点物の洋服を仕立てるが如く。(「タイトル不明)」
右の瀧口さんの作品は布地に糸を変えながら何度もかがり縫いを繰り返すため、鮮やかな鱗のように見えるため「かいじゅう」のタイトルが付けられているという。
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滋賀県でアールブリュット展は美術館で開催されることもありますが、古い建造物の中で展示されることが多々あります。
今回も大正期のレトロな講堂に展示されており、普段一般人が入れない場所で見る美術展はレトロと現代美術がうまく融け合っています。
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講堂の左側にはKATSUさんの3枚の絵が展示されており、それぞれ「メトロポリス」「タワーシリーズⅢ」「タワーシリーズⅡ」とタイトルが付けられています。
絵は建物が構築されてゆくかのように上へと細かな線で積み上げられていて、いつ完成するとも知れないガウディのサグラダ・ファミリアのようにも感じられる。
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今回の展示作品は作家17名・約40点の作品が展示されており、場所が講堂ということで作品間の距離があるので空間の良さを満喫出来ます。
会場には訪れる人が絶えず、駐車場には他府県ナンバーも多く、鑑賞されている方はじっくりと見ておられてアールブリュットへの関心の高さが伺えます。
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井上優さんは70歳を過ぎてから絵を描き始めたといい、現在「やまなみ工房」で最年長の方のようです。
70歳まで眠っていた絵の才能は、70歳で描き始めることで開花し、大きな紙に連なる人の姿を描かれています。
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上の絵は「ひと」というタイトルが付いており、下の絵は「女の人」と名付けられている。
描かれた人の姿はシンプルながら生き生きとしており、みな鑑賞する人の方を見つめています。
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宮下幸士さんの「日本の地図」は、実際には存在しないようで実は存在する彼の視点の中にだけ存在する町の地図に見える。
細かく書かれた地名は存在する自治体名や地名だったり、人の名前のだったりするが、街は濃く描かれたビルから放射線状に広がりを見せます。
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田村拓也さんの絵画は、人の姿が升目状にカラフルなマーカーで塗分けられている。
色の選び方に規則性があるのかと思いきや、そうでもないようです。
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城谷明子さんは雑誌や画集から選んだ人物や動物等がモチーフとなるようで、絵の中にモチーフが溢れんばかりに描き込まれています。
1枚目は「海洋生物」と名付けられていろいろな魚が描き込まれており、2枚目は「モンゴルの人とドイツの人」という不思議なタイトルの絵です。
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「やまなみ工房」の施設長の山下完和(まさとさん)に恋する鎌江一美さんは「やまなみ工房」でも特に知名度が非常に高い方のひとりです。
ヒダのように粒々とした突起物で覆われた作品は何か別の世界からやってきた生き物のように見えるが、これは「まさとさん」をモデルにした作品です。
(「私がプレゼントしたひざかけを使うまさとさん)」
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「やまなみ工房」の山下施設長は「障害のあるなしに関わらず、一人ひとりの得意なことや大好きなことをお互いに認め合える社会になって欲しい」と話されているという。
「お互いに認め合える社会」というのは簡単そうで実は難しいことなんですけどね。
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