多賀大社奥宮「調宮神社」
「多賀大社」は“お伊勢お多賀の子でござる”の俗謡にうたわれるように、伊勢神宮内宮の主祭神「天照大神」の親とされる「伊邪那岐命」と「伊邪那美命」を御祭神として祀ります。
多賀町には「多賀大社」と共に多賀二座といわれる「胡宮神社」や、多賀大社の末社または奥宮とされる「大瀧神社」があり、大社ゆかりの神社が集中する地域です。
「多賀大社」ゆかりの神社としては、他にも御旅所とされる「調宮神社」があり、4月の古例大祭(多賀まつり)・11月の大宮祭では本社のご神幸があるといいます。
「調宮神社」の由緒書によると、“神代の昔 伊邪那岐大神は杉坂山にご降臨され、次いで栗栖の里にて暫くお休みになられたことが當社の創祀とされる”と伝わります。
彦根から「多賀大社」への道の途中で芹川に沿うように曲がって進むと、「調宮神社」の鳥居が見えてくる。
神社にはかつて「調宮神社のスギ」と呼ばれる巨樹があったようですが、10年程前に突然倒れてしまったといい、今はその姿を見ることは出来ません。
本殿の横にあるのは、すっかり葉が落ちてしまったイチョウの樹です。
苔のよく生えた境内にやや傾きながら立っています。
本殿は芹川を背にして杉坂山に向き合うように建っており、山を背にしていないのは杉坂山にご降臨された大神を栗栖の里へお迎えするためなのでしょう。
玉垣の間にある鳥居に掛けられた注連縄に頭が当たりそうになるようなこじんまりとした本殿ですが、清流の音と時々通る車の音以外は何も聞こえてこない静寂の神社です。
境内の入口には苔と岩の庭園があり、境内の奥には磐座がありました。
磐座も苔むして味わい深く、注連縄は土色に変色してしまっていますが、存在感のある磐座です。
磐座の上部から木が生えているのかと思って裏側に回り込むと、実際は磐座の下から生えてきた木が磐座にかぶさっていたようです。
苔は日の当たる方向にだけ生えており、山側となる日蔭側にはなく、表裏で受ける印象が全く変わります。
多賀町は調宮神社の辺りまでは農村風景が見られますが、これより先は山道が続き三重県や岐阜県と山でつながるようです。
芹川に沿った道を進んでいくと、確認されている鍾乳洞では滋賀県唯一ともいわれる「河内の風穴」があります。
「杉坂峠のスギ(栗栖のスギ)」
「調宮神社」の参拝を終えた後、もう一カ所立ち寄りたいところがあったのですが、正確な場所を把握していなかったのと、頼りにしていた携帯電話が圏外で確認しようもなく、取り合えず林道へ入ってみます。
この林道は以前にも通ったことがありますが、道幅は狭くカーブや傾斜が多い上に離合用スペースがほとんどないため離合困難な酷道です。
分かっていてなぜ進んで行ったのか...。
一つには前回訪れて感動した多賀大社の御神木「杉坂峠のスギ(栗栖のスギ)」を見たかったのと、廃村集落や山中での自然との出会いに期待があったからです。
「杉坂の御神木」「杉坂峠のスギ」「栗栖のスギ」「杉坂 三本杉」など幾つもの名で呼ばれるこのスギは、多賀大社の御神木として祀られています。
「調宮神社」の由緒にあるように、伊邪那岐大神が天から降りたった地と言われていて、降臨した伊邪那岐は峠を下って栗栖の里に鎮まられたと伝承されています。
別の伝承では、“道中、村人に柏の葉に盛られた栗飯を出され、たいそう喜んで召し上がられ、その時にに地面に挿された杉の箸が成長して大木になった”との由来もあるといいます。
多賀大社には似たような話が「多賀大社のケヤキ (飯盛木)」にも伝わり、同じく多賀大社の御神木とされており、滋賀県内では箸や残材を地に挿したものが巨樹になったとの伝承は幾つかあります。
山中にある御神木はかつては13本あったが、現在は4本が数えられており、中でも三本杉と呼ばれるスギは県下最大といわれている。
幹周は11.9m、樹高37m、推定樹齢400年とされているこのスギは合体木だろうとされていますが、その神々しさに圧倒されてしまいます。
林道への入口には“熊出没注意”の看板があり、熊が出てもおかしくないような山の中ですから怖いながらもスギの近くまで降りてみる。
スギを反対側から見るとまた違った姿を見せてくれ、斜面に真っすぐに立っていることが分かります。
ここへ来ると、“巨樹の力”と共に“場所の力”のようなものを感じてしまい、同時に神聖さと怖さも感じてしまいます。
張り詰めたような空気感と緊迫感は、やはり神の宿る場所ならではのエネルギーのようなものからきているのかもしれません。
驚いたのは、ふと気が付くとそこに人が一人おられたこと。
車が停められている形跡もなく、気配もなかったのに突然現れた感じでしたが、どうやら道を歩いてここまで来られていたようです。
その方は当方と入れ替わるようにして先へ道を進んで行かれましたが、見ていると林道を凄いスピードで歩いていかれ、みるみる姿が見えなくなっていきます。
駆け上がていく姿を例えると、グレートトラバースのプロアドベンチャーレーサーの田中陽希さんのようなスピードで、まるでアドベンチャーレースを走るかの如く。
車で追い越して林道を進んだ後、折り返してきた帰り道で再び姿を見た時は、呆れるほどの距離を移動されていましたので、その凄さには驚くばかり。まさしく超人です。
「多賀大社」は“お伊勢お多賀の子でござる”の俗謡にうたわれるように、伊勢神宮内宮の主祭神「天照大神」の親とされる「伊邪那岐命」と「伊邪那美命」を御祭神として祀ります。
多賀町には「多賀大社」と共に多賀二座といわれる「胡宮神社」や、多賀大社の末社または奥宮とされる「大瀧神社」があり、大社ゆかりの神社が集中する地域です。
「多賀大社」ゆかりの神社としては、他にも御旅所とされる「調宮神社」があり、4月の古例大祭(多賀まつり)・11月の大宮祭では本社のご神幸があるといいます。
「調宮神社」の由緒書によると、“神代の昔 伊邪那岐大神は杉坂山にご降臨され、次いで栗栖の里にて暫くお休みになられたことが當社の創祀とされる”と伝わります。
彦根から「多賀大社」への道の途中で芹川に沿うように曲がって進むと、「調宮神社」の鳥居が見えてくる。
神社にはかつて「調宮神社のスギ」と呼ばれる巨樹があったようですが、10年程前に突然倒れてしまったといい、今はその姿を見ることは出来ません。
本殿の横にあるのは、すっかり葉が落ちてしまったイチョウの樹です。
苔のよく生えた境内にやや傾きながら立っています。
本殿は芹川を背にして杉坂山に向き合うように建っており、山を背にしていないのは杉坂山にご降臨された大神を栗栖の里へお迎えするためなのでしょう。
玉垣の間にある鳥居に掛けられた注連縄に頭が当たりそうになるようなこじんまりとした本殿ですが、清流の音と時々通る車の音以外は何も聞こえてこない静寂の神社です。
境内の入口には苔と岩の庭園があり、境内の奥には磐座がありました。
磐座も苔むして味わい深く、注連縄は土色に変色してしまっていますが、存在感のある磐座です。
磐座の上部から木が生えているのかと思って裏側に回り込むと、実際は磐座の下から生えてきた木が磐座にかぶさっていたようです。
苔は日の当たる方向にだけ生えており、山側となる日蔭側にはなく、表裏で受ける印象が全く変わります。
多賀町は調宮神社の辺りまでは農村風景が見られますが、これより先は山道が続き三重県や岐阜県と山でつながるようです。
芹川に沿った道を進んでいくと、確認されている鍾乳洞では滋賀県唯一ともいわれる「河内の風穴」があります。
「杉坂峠のスギ(栗栖のスギ)」
「調宮神社」の参拝を終えた後、もう一カ所立ち寄りたいところがあったのですが、正確な場所を把握していなかったのと、頼りにしていた携帯電話が圏外で確認しようもなく、取り合えず林道へ入ってみます。
この林道は以前にも通ったことがありますが、道幅は狭くカーブや傾斜が多い上に離合用スペースがほとんどないため離合困難な酷道です。
分かっていてなぜ進んで行ったのか...。
一つには前回訪れて感動した多賀大社の御神木「杉坂峠のスギ(栗栖のスギ)」を見たかったのと、廃村集落や山中での自然との出会いに期待があったからです。
「杉坂の御神木」「杉坂峠のスギ」「栗栖のスギ」「杉坂 三本杉」など幾つもの名で呼ばれるこのスギは、多賀大社の御神木として祀られています。
「調宮神社」の由緒にあるように、伊邪那岐大神が天から降りたった地と言われていて、降臨した伊邪那岐は峠を下って栗栖の里に鎮まられたと伝承されています。
別の伝承では、“道中、村人に柏の葉に盛られた栗飯を出され、たいそう喜んで召し上がられ、その時にに地面に挿された杉の箸が成長して大木になった”との由来もあるといいます。
多賀大社には似たような話が「多賀大社のケヤキ (飯盛木)」にも伝わり、同じく多賀大社の御神木とされており、滋賀県内では箸や残材を地に挿したものが巨樹になったとの伝承は幾つかあります。
山中にある御神木はかつては13本あったが、現在は4本が数えられており、中でも三本杉と呼ばれるスギは県下最大といわれている。
幹周は11.9m、樹高37m、推定樹齢400年とされているこのスギは合体木だろうとされていますが、その神々しさに圧倒されてしまいます。
林道への入口には“熊出没注意”の看板があり、熊が出てもおかしくないような山の中ですから怖いながらもスギの近くまで降りてみる。
スギを反対側から見るとまた違った姿を見せてくれ、斜面に真っすぐに立っていることが分かります。
ここへ来ると、“巨樹の力”と共に“場所の力”のようなものを感じてしまい、同時に神聖さと怖さも感じてしまいます。
張り詰めたような空気感と緊迫感は、やはり神の宿る場所ならではのエネルギーのようなものからきているのかもしれません。
驚いたのは、ふと気が付くとそこに人が一人おられたこと。
車が停められている形跡もなく、気配もなかったのに突然現れた感じでしたが、どうやら道を歩いてここまで来られていたようです。
その方は当方と入れ替わるようにして先へ道を進んで行かれましたが、見ていると林道を凄いスピードで歩いていかれ、みるみる姿が見えなくなっていきます。
駆け上がていく姿を例えると、グレートトラバースのプロアドベンチャーレーサーの田中陽希さんのようなスピードで、まるでアドベンチャーレースを走るかの如く。
車で追い越して林道を進んだ後、折り返してきた帰り道で再び姿を見た時は、呆れるほどの距離を移動されていましたので、その凄さには驚くばかり。まさしく超人です。