超兵器磯辺2号

幻の超兵器2号。。。
磯辺氏の文才を惜しむ声に応えてコンパクトに再登場。
ウルトラな日々がまたここに綴られる。

仕事初めに汗をかく

2014-01-11 05:44:43 | 職場
長い年末年始休みの後、週明けとともに大きな波乱もなく仕事初めとなった。職場で一通りの「明けおめ-ことよろ」を済ませると6拠点をテレビ会議でつないだ「新年の挨拶会」が開かれ、各所から念頭の挨拶が行われる。私もカメラに向かってしゃべるのだが、中継画面で向こう側の面々は見えているとは言え実にやりにくい。正面のモニターに映る自分の姿とカメラ目線が微妙にずれるのである。会議は大体いつもこの形式なので少しは慣れてきたのだが、改まって「挨拶」となるとだいぶ勝手が違うものだ。この手のことは毎年だから、何をしゃべるかは大体考えてある。また社内HPにも念頭の挨拶を載せるというので、しゃべることと書くことが違うのは変なので年末のうちから掲載記事を準備し頭に全部入っていたから余裕だった。ところが何事も油断というのはしてはいけないもので、意外な落とし穴が待っていた。

「皆さん あけましておめでとうございます。
一般的な営業日は暦の関係で例年よりも休みが長くなった年末年始でしたが、365日営業の当事業部、シフト等で勤務された方々はありがとうございました。
この職場に赴任して初めての正月ですが、私は例年、年頭のご挨拶で自分自身や自分が置かれた職場において「今年のテーマ」を申し上げることにしています。
そのことについて年末になると色々と考えあぐねるのですが、意外に毎年その年々によって思いつくのです。
今年のテーマは「道を描くこと」だと思います。
昨年末、私は「我々の営む事業名に『一流ブランドの』という冠を付け足したい」と申し上げました。そのGOALまではどんな道のりなのか。皆さんも1年の始まりに様々な目標を立てられることでしょう。どんな目標に対しても、どんな道を使ってどんな景色を見ながら、どこで休憩するか、どこでコースを確認するか、所要時間はどれくらいか、などGoogleのように上空からの地図・航空写真、Earthなどを駆使してより具体的にその姿を描くことが大事です。
そして道を描くにあたって重要なのは「変化」だと思います。楽しく進み甲斐を感じてGOALを目指すには道のりに変化が必要です。真っ直ぐの一本道では退屈ですね。奇しくも我がグループは経営組織としても大きな変化を迎えます。これはもちろん経営環境、市場動向、社会の要請を反映したものですが、私の考える「変化」とはそういう大きな意味ではなく、また必ずしも改善・改革、変革、進化と言った「よい意味での変化」とも限りません。それは言わば「寝返り」のようなものです。どんなに健康な人間でも寝返りをしなければ「床ずれ」します。人も組織も少しずつ揺れ動いてやらなければ「床ずれ」してしまうものだと思うのです。だから一人一人にとって「変化」とは必須のものであり、その集団である一族、グループ、組織を運営する者は絶えず構成メンバーに変化をもたらさなければならない。
一方で人間は劇的に変わることを嫌う傾向にあります。自分でコントロールできない変化はしばしばストレスと苦痛をもたらします。仕事の上でも新しいことをやりたがらない、これまで通りのやり方がいい、という人が多いですね。このさじ加減は難しいですが、リーダの仕事は適度に「変えることだ」と思います。「ゆらぎ」のようなものです。極端に言えば、ずっとでなければ結果的に「改悪」でもよく、変化そのものを目的としてもよいのです。何かの中心にいるリーダというのは感覚的にこれを体得しているように思えます。
今年1年、自分の目標までの「道を描く」にあたって、こういうゆらぎのような「変化」というのを意識してみましょう。必要に応じて道を変えるのではなく、変わりたいから変えるのです。私は自分も周囲も適度に揺らいで退屈をせずに「一流ブランド」を目指せるような「道を描き」たいと思います。私達は起きている時間の半分以上は同じ職場に身体を置く仲間です。それぞれの目指す目標に向かって「どんな道のりがよいか」話し合いながら進んでいくような職場でありたいと思っています。
今年もどうぞよろしくお願いいたします。」

家電量販店の店頭にあるビデオカメラとその映像スクリーンに映る自分の姿を見るように横目の変な顔になりながら新年の挨拶を終えると各拠点の責任者や本年の年女年男がそれぞれ新年の抱負などを話し出した。ADが「5秒前っ!4・3・(2)・(1)(キュゥッ)」とやってくれるわけではないので、遠隔操作のカメラがうまく動かず、しゃべっている人の真横で「晒首」のように首の上だけ映っている女性(これ結構怖かった・・・)や、遠慮してカメラの真正面まで移動してこなかったため、阿修羅男爵のように右半身しか映らずにしゃべっている人もいた。もう私の姿は映っていないし音声も入っていないので、総合司会に「ねえねえせっかくだからさー、6元生中継で一本締めしない?」と袖を引っ張ったら、「(またこいつが変なこと言い出しやがって・・・)」という顔をしながら半分やけっぱちのように、終わりになって「ではこれを持ちまして新年のご挨拶を終えたいと思いますが、最後に札幌の●●長、この場を締めていただけますかぁ?」「へっ?締めるって何を?」しばらくオロオロしていたが(まあ、シナリオ外だから仕方ないか)見事一本締めでその場を乗り切った。

さて新年初顔合わせ会が終えると総合司会役が「皆さん、お疲れさまでした、本年もよろしくお願いします。なお、引き続いて1月1日付で採用となった社員の方の入社セレモニーを行いますので、関係者は準備が整うまでお待ちください」

(しまった・・・)私は心の中で天を仰いだ。こんな落とし穴がるとは思わなかった。そう言えば、仕事始めの日は新年の挨拶後にそのまま入社セレモニーを行うとか言われていたが、すっかり忘れていた。。。前回は仙台から出席しようとして鉄道の運行トラブルで間に合わなかったヤツで、私は初っ端に歓迎の意を込めてしゃべることになる。当事者にとっては新年の挨拶同様大事なイベントだから、適当なネタで流すわけにもいかぬ。こりゃぁ、私にとって年明け早々試練だった。

立ち席形式からテーブルの位置を変えるから会議室を一旦出ろと言われたので、私は慌てて自席に戻り「超兵器磯部2号」のURLを叩いた。確か前回何をしゃべったかここに掲載しておいたはずだ・・・そうそう、「仕事はオーバーアチーブするものだ」というポリシーにKICKPOP師匠のサイトから拝借した勝海舟の「ひとつ余分にがんばろう」という話題をミックスして構成したんだった。こういう時もあろうかと、ブログに記録しておいてよかった〜。。。我が職場に登録会社から派遣されていた立場から社員への道を選んだ人たち相手なのは基本的に前回と変わりない。原稿を使う習慣はないのだがこの際だから仕方がない。私は裏表印刷で1枚プリントアウトするとセッティングが完了したという会議室に向かった。

しかし部屋の前まで来て立ち止まった。同じ話を2度はしない、スピーチに原稿を使わない・・・新年早々2つも戒律(というほどではないが)を破るとは情けないではないか。私は持っていた紙をくしゃくしゃに丸めてごみ箱にポイした。相手にとってもたぶん最初で最後だ。使い回しのネタでは申し訳ないではないか・・・しかしさすがに席に着くまでの数十秒で相応しい新ネタを思いつくわけでもなく、これまでしてきた話題をデフォルメして組み合わせた。
入社セレモニーは出席者も多くないので落ち着いた雰囲気にするために、全員着席の形式になっていた。ほぼ中央の席座るとさっきよりはより大きな自分の半身映像がモニターに映っており・・・(これじゃ、まるで政見放送だぞ)

「それでは準備が整いましたので、今年1月1日付で採用された方々の入社セレモニーを開催いたします。まずは入社にあたっての挨拶をお願いします。」いきなり振られた。さっき、シナリオになかった一本締めなど無茶ぶりしたからか何となく司会の視線が冷たいような気がする。

「皆さん、明けましておめでとうございます。っではなくて、こんにちは。って言うよりおはようございます、ですね。(大汗)磯辺太郎であります。何ぶん先ほど新年の挨拶を6ロケ中継でしたばかりなので、いきなり『何か話せ』というのは辛いものものがありますが・・・」(と言いながら、話の最後の部分を組み立て直していた)
「改めましてようこそ当社へいらっしゃいました。我々は心から皆さまを歓迎します。この職場の経験豊富な皆さんに比べて私はこの事業、職場の経験はわずか半年です。この期間に直感的に感じた大事にしたいポイントは今年度の後半戦に臨み、社内HPに寄稿したことがほぼすべてです。皆さんは我が社の社員ですからこれからご覧になれますので一度目を通してください。
年頭のご挨拶では本年の課題は「道を描くこと」そして大事なのは変化を与えること、と申し上げました。晴れて当社の社員としてこの職場で仕事をするにあたり大事だと思うポイントは大きく3つ。「ホスピタリティ」「スピード感」「オーバーアチーブ」ですが、そのまま話しても変化がないので、少しだけ揺らぎを加えます。
まずホスピタリティに大事なのは「コミュニケーション能力」だと思います。今、就職活動で「重要」だとされる能力ですね。どちらかというとそれを「円滑に行う」能力ではなく、「不調に陥った時に復調する」能力です。顧客はもちろん、同じ職場でも派遣、契約など立場が異なりますから、コミュニケーションの溝や壁は必ず現れます。この時に単に「相手の話をよく聞く」なんて教科書レベルではなく、相手のゾーンに歩み寄る、相手の懐に飛び込む、くらいの姿勢がホスピタリティを発動するコミュニケーションだと思うんです。電話の向こうの顧客の話に『身を乗り出して聞く』ようなイメージです。皆さんにそういう経験ってたくさんあると思っていますので、ぜひ思い出してください。
スピード感についてはそのままの意味ですが、恐らく皆さんがお持ちの身体感覚よりははるかに速いと思います。ミーティングでリーダから自分に対してリクエストがあったとします。普通持って帰ってスタッフと作戦を練りすぐにかかっても一両日はかけてアウトプットとしますよね。ここで言っているスピード感とは自分の席に会議から戻ってきた時に電話が鳴って、リーダから「アレ、どうなった?」と聞かれるような速度と思った方がよいです(笑)。年にそう何度はありませんが(あっちゃあ困りますが)右か左かすぐにどちらかを選ばなければならない時がきます。その時躊躇せずどちらか選べるように日頃から訓練してください。間違ったとしても必ずフォローします。いけないのは「立ち尽くす」ことです。ライオンに襲われたシマウマは右に逃げるか左に逃げるか迷っている者から喰われてしまうものです。
前回入社された方々には「オーバーアチーブ」の話だけしました。「仕事や人間関係、はたまた経済や社会を円滑に、居心地よくするために自分の割り当てよりちょっとだけ多めにこなす」というものです。勝海舟の例をHPに掲載しておきましたが、発動のポイントだけ言うと「普通はしないことをあえてしておく」ってことです。これは先に申し上げた2つにも通じます。相手がホスピタリティをすごく感じてくれるのは「普通ここまでしてくれない」ことをあえてする時が多いです。「普通、こんなスピードではできないよな」という取組みをあえてやった時に道が開けます。
今、皆さんは我が社の社員となりましたが、これまでの立場だったらどう感じたかを比較考量しながら仕事ができるのは皆さんだけですから、「普通はしなかったけどやっておいた方がよかったな」と思うことがたくさんあるはずです。こうした「変化」が少しずつでも積み重なり、目指す頂きに向けた道を皆さんと共に描けることを願って、挨拶とさせていただきます。」

ふーう、休みボケで忘れていたのが悪いんだが、新年早々久々に頭をフル回転させて湯気が上がりそうだ。
活字にすると無茶苦茶な字数になってしまったが、私は早口でベラベラ構わずにしゃべってしまうので、要した時間は3分程度。。。この準備を怠ったために「道をかく」前に「汗をかく」ことになってしまった。(写真は仕事初め会で披露された折り紙ふなっしー)
今年のテーマは「変化に富んだ道を描く」。最初は「普通はしないことをする」だったのだが、以前「いつになきことを行う」とか「ひょんなきっかけを大事にする」「試しにやってみる」など類似品が多く・・・考えてみれば昨年も「そんなことばかり」やってきたの回遊魚系生物なので今年は「変化」を加えたのだ。MLCなど「どんと来い」だが、まずは気を引き締めていくとするか。

  



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2 コメント

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Unknown (KICKPOP)
2014-01-12 08:45:42
師匠、100%アドリブのスピーチ、とても素晴らしいです私も相手(生徒さん)の懐に飛び込むようなコミュニケーションを取っていきたいと思いましたあ

私はひらめきがない時は仕方なく同じことをしゃべるのですが、2度、3度と同じことを話しているうちに、ちょっと違った気付きがあり、スピーチが深くなるような気がします
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Unknown (磯辺太郎)
2014-01-12 11:19:45
KICKPOP様

師匠のブログが引き出しの元になっていて、閃きが無い時はいつもお邪魔してるのですよ。
「懐に飛び込むようなコミュニケーション」いいですねえ。
なるほど、同じことを話しているうちに、違った気づきがある・・・無理に変えようとしてしまう私には新鮮です。
やっぱり師匠はすごいや。今年もよろしくお願いします。
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