超兵器磯辺2号

幻の超兵器2号。。。
磯辺氏の文才を惜しむ声に応えてコンパクトに再登場。
ウルトラな日々がまたここに綴られる。

大山ハイキング日和

2015-12-11 08:46:10 | 旅行お出かけ
小学校の遠足で一度登ったことのある神奈川県北部の大山(おおやま)である。このサイトでも紹介したことのある大山阿夫利神社があり、下社までのケーブルカーは今年新しい車両にリニューアルされた。紅葉が美しくて有名な場所でもあり、前日曜日まではライトアップもされていたそうだ。駐車場(バス停)からケーブルカー駅までも緩い階段で300段以上あるが、ここ数年でそこまではドライブがてら母を連れて行ったことがある。手前の大山小学校から1時間くらいのハイキングコースになっているようだが、大山桜という樹齢400年の立派な桜もある。今回はビーチバレーにやってくるメンバーのうちに山登り・山歩き大好きガールが企画してくれたものである。先のビーチバレーで「今度、山登りを企画します!」と言っていたのだが、運よくメーリングリストに私も入っており、同じ県内のお出かけだったから「オレもついて行くぞ」ということにしたのである。海に山にまったくアクティブで頼もしい若者たちである。

参加メンバーは「じろーくん」「えいちゃん」「ちーちゃん」「はるちゃん」「ゆかりん」である。むろん最高齢は他ならぬ私、続くじろーくんはこちらに近いがその他はぐぐーんと若くなって皆20代、はるちゃんに至っては今年入社のルーキーズである。「下界と気温差が5度以上あるから暖かい恰好で」とゆかりんからの案内だったが、どんな服装で行けばよいのか分からず金沢で会ったじろーくんに尋ねたら「真冬にサッカーするようなスタイルで」と微妙な言い回しだ。AMAZONでざっと眺めるとぶ厚めの登山ウエアにトレッキングシューズ、スキーポールのような杖が定番のようだ。ただ登りコースもハイキングというには手強いようで、びっしょり汗を掻くことも想定し、「暑ければ脱ぎ寒ければ着込む」ことができるようにすると、下に短パンを履き、甘辛とやったサッカー練習着の上にピステ、厚手のウインドブレーカーを羽織ると確かにじろーくんの言う通り「真冬にサッカー」であった。

皆、登山についてはベテランで「もしかしてオレだけ浮くんじゃないか?」と不安もあったが、伊勢原駅に集合したメンバを見てじろーくんも「サッカースタイル」そのもののようだったので安心した。駅からはカーブルカー駅の下まで直行バスが出ているが、バス停を降りてから乗り場までお土産・飲食店を横目に300段以上階段を上ることになる。大山ケーブル駅まできて「男坂」「女坂」という2つのルートが現れる。「ケーブルカーは使わないんだよね。念のため聞いたみただけだけど・・・」当然どちらで行くか、という話題しかない。途中「大山寺」というところに立ち寄れるので「女坂」で行くことになった。登り始めたのは午前9時過ぎ、雲一つない絶好のハイキング日和である。女坂には7不思議があるとされ、それぞれの場所に立札があるのだが古くなっているのかどれが該当する箇所なのかよく分からないモノが多かった。結構急な石段を上り続けることになる途中、シーズンはもう終盤と聞いたが、ところどころ素晴らしい紅葉が見られる。「無明橋」という7不思議では「話をしながら渡ると橋から落ちたり、落し物をしたり・・・悪いことがおきる」という言い伝えが「橋を渡った向こう側の看板」に書いてあるから面白い。「一休さんじゃあるまいし、渡っちゃってから読んでも遅えよ・・・」

            

数十分は石段を登り続けたが、身体が山歩きに慣れていないのか、阿夫利神社下社に到着する頃はひどく疲れを感じたものだった。ここまでは人工物で登ることができたのに、と思うとなおさらダメージがでかかった。お参りして、地下巡拝道内で御神水を頂き、いよいよ登山口に向かう。入山祓所で自ら登山の無事を祈ってお祓いし御守りを頂いて登拝門をくぐる。登り始めてすぐのところに夫婦杉というのがあるがそこが8丁目、山頂はなんと28丁目!途中から階段ではなくなり結構険しい岩の道となるので気の遠くなるような道のりである。はるちゃんは登山は初めてと言い「ふーふー」登っていたが、1時間ほど進んだ先(確か20丁目くらい)に見事な富士山の姿が。。。素晴らしい天気にも助けられて、途中ところどころに相模湾を一望できるスポットや紅葉も見られ、疲れも吹き飛ぶ絶景だった。「もう、あっと言う間かも知れないねー」身体が山歩きに慣れてくる、というのがよく分かった。最初はやたらに足が重く、汗も噴き出ていたのだが、何となくリズムが乗ってくると「まだまだ全然平気じゃん」というペースになってくる。(確かにサッカーでもマラソンでもはじめの10分くらいが一番苦しいのである。)

            

ほどなく山頂へ到着した。晴れていたので我が家のある江ノ島周辺、三浦半島はもちろん、東京湾を挟んで房総半島、西は伊豆半島まで見渡せる、これまで見た神奈川では最高の眺めだった。我々の縁結びの地、ランドマークタワーやベイブリッジ、遠くは新宿高層ビル群まで眺め渡せる。初心者である私とはるちゃん以外のメンバーは手慣れた手つきで携帯ボンベと鍋を取り出し、お湯を沸かし始めた。「山頂ではお湯を沸かしてカップヌードルを食う」というのが山歩きでは定番らしい。確かにほどなく「ものすごくいい香り」がしてきて鼻の奥がむずかゆくなってきた。山頂で飲むコーヒーやヌードルは最高なんだろう。次に山を歩くときはじろーくんと同じくらいのセットを用意して持ってくることに決めた。確かにこれなら冬の釣りや出掛けての星空撮影、波乗り(は違うかな)にも使えるな。これで私も「アウトドア派」に一段近付けるというものだ。標高1252メートルからの眺めを十分堪能し、下山路は見晴台を通る登りとは反対側のルートとした。

          

「大山って思ったより手強い道のりだったねえ。高尾山の倍くらいかな。夜景も綺麗なんだろうね」コンビで日本百名山を十幾つも巡っているというゆかりんとえいちゃんが話している。「高尾山から見る都心て綺麗なんだってねえ。テレビで何度か見たけど」我が家からはちょっと距離のあるところだ。「磯辺さんは行ったことないんですか?」「うん。研究所勤務の時、何度も『高尾』は行ったんだ。寝過ごしてだけど・・・」中央線は終点の東京駅で折り返し運転の際に「起こしてくれないから」と力説しておいた。後談だがえいちゃんによると帰りの小田急線では終点の新宿駅で駅員が起こしてくれたそうだ・・・彼らの家は埼玉というから、折り返して小田原に行ってしまったら大ショックだろう。(江ノ島だったらうちに泊まればいいけど)

ゆかりんとえいちゃんは帰りしなの温泉入浴も調べてあり、行程はかなり延びてしまうが日向薬師方面に向かうということである。後から聞いたがちーちゃん、ゆかりんのコンビは山歩きも慣れたものだが、年に数回(すごい時は月に2回も)はフルマラソンを走っているというからとんでもない。はるちゃんも自転車をやっていたといい、えいちゃんと専門用語を交わしていた。運動センス抜群の彼女らに「年齢の差」を痛感させられたのが「下り路」である。登りほど険しくはないルートだったが、どちらかというと体力勝負なので若者に遅れはとっていなかった登りに比べ、延々と続く丸太の階段や石のごろごろする坂道を下るのは、想像以上に負担がかかり、転倒防止に神経をすり減らすことになる。身の軽い彼女らに着いて行くのが精いっぱいで「(こりゃー、明日ぁまともに歩けねえかもな)」と苦笑していた。日向薬師手前に見つけた温泉にゆっくり浸かって疲れをとり、さらに20分ほど坂を下ったところで路線バスに乗って伊勢原駅へ戻ってきた。行きとは全く違うルートで降りてきたので、乗用車では決して辿れないコースである。早目に始めた慰労会でその日初めてのビールが身体中に染み渡るのを感じた。しかしやはり身体のダメージが想像以上でいつものペースで飲んでいたら、あっという間に奈落の底に陥ってしまう・・・

山というのは他の行楽に比べて「朝が早い」分だけ何事も仕掛けが早い。心地よい汗をかき、最高の景色を堪能、温泉に浸って喉を潤してもそんなに深夜には至らない。どちらかというと「海抜0メートル」の活動が主だったが、山歩きも楽しいものだ。神奈川には近場でまだまだ「歩いて楽しい」場所がたくさんあるようだ。実は前日に仕事で足柄峠、箱根方面をぐるーっと乗用車で回ったのだが、この周辺や有名な丹沢も初心者が歩ける場所の宝庫らしい。えいちゃんは早速次なる企画を考えてくれているようだ。私は海側ばかりしか縁がなかったが、山もいいところがたくさんあるじゃないか。じろーくんはグンマ勤務時代に結構山々を歩いて回ったらしい。私はスティーブと乗用車によるドライブばかりで自分の足を使うことがほとんどなかったのが残念だが、これからはディスカバー神奈川!観光地だけでなく、体力の続くうちに秘境と言われるところも踏破していきたいと思う。