超兵器磯辺2号

幻の超兵器2号。。。
磯辺氏の文才を惜しむ声に応えてコンパクトに再登場。
ウルトラな日々がまたここに綴られる。

滝につつじに神頼み

2012-04-23 04:15:48 | 職場
私は広い県内の屋内外に無数に散らばる施設を預かっているが、ホントに様々なことが発生する。新たに建設したばかりの最新鋭設備が突如故障したり、いたずらされたり車両にぶつけられたり、停電の餌食になったり・・・モモンガにかじられたりすることもある。点検などと言うものは異常箇所を発見できなければ褒められることもあまりない、「雪かき仕事」のようなものだが、誰かがやらないと取り返しのつかない事故が起きてしまう。私はこの手の用事には積極的に外出するようにしている。技術分野では空軍から陸軍に鞍替えしたようなものだから、足で稼ぐことが大事だ。外出先で色々なモノを見て食べ歩くのも楽しみの一つである。

今回は屋外施設の点検、地中埋設物が破損していたという現場の調査、そしてもう一つ重要な任務をもって保全の責任者スティーブたちと出掛けた。県東部を縦断する総行程200kmを超すルートで、「県内滝めぐり」の発案者であるスティーブは当然、ルート上近くにある見所の滝見学を組み込んでいた。。。
「ちょっと寄ってみましょうねー」なんて言いながらとんでもなく遠い場所だった。途中、乗用車がすれ違えない崖みたいな難所もあったし、どこにつながっているのかさっぱり分からない道をひた走りようやく新しく整備されたらしい駐車場に到着した。少し趣きのある小川の橋を渡って、目指す滝は少し上ったところから眺められるようだ。って石でできたアーチをくぐると恐ろしい光景が目に入って来た。。。

        

「オッ、オレ、これダメかも・・・」先に何があるのか分からぬがこの「地獄への吊り橋」を渡らないと見学できないのか。。。よく見ると20年ほど前に作られた新しいもののようだが、それにしても毒々しい赤だなー。。。ひたすら前方を睨みつけ、最大握力で手すりを握って汗びっしょりになりながら中ほどまで歩き降りると左側から何やら豪快な滝音が聞こえた。おーっ、あれがそうか・・・落差は100メートルというところか!かなりの迫力だ。こんなところもあったのか。袈裟がけ橋という赤い吊り橋を降りて展望台に上ると見事な全貌が現れた。
素晴らしいパワースポットだと思われた。何せ大きな岩から木が何本も生えているのである。まるでトリケラトプスだなー。
さっき渡った小さな川から流れてきてるのか・・・流れを追い掛けてみると確かに滝のてっぺんが何となく見える。大きな岩の陰になっていて、道路からは全く滝を眺めることはできないが、紅葉の時期は素晴らしいことだろう。。。

        

滝を後にした我々はかなり時間をかけて点検を済ませ、現場調査へ向かう途中にある「つつじが岡公園」に寄った。実は昨年は1週間ほど前に訪れた総数1万株のつつじが咲き誇る公園である。昨年は時期が早すぎて一本も咲いていなかった。今年は少し期待していたのだが、つつじ祭り期間には入っているものの、梅や桜と同じく今年は先出すのが遅れたそうで、一番早く咲く種類が何株か花を開いているだけだった。すぐ隣に湖沼がありまわり道だが最盛期に向こう岸からこの公園を眺めるとこの世とは思えないくらい素晴らしい光景だそうだ。実はつつじは私の故郷の「市の花」で、実家の庭にも何株かあったのだ。これだけのつつじが一斉に咲き誇ったら、それこそピンクの樹海だろう。樹齢800年という名木もちゃんと花をつけるそうだ。。。来年はGWを過ぎる頃に来ることにしようか・・・
おーっ、小夏師匠が夜間飛行を撮影された「アリコ」のスヌーピーJ号かな?!
 
          

ちょっと場所を探すのに苦労したが、すぐそばに調査現場がありいくつかの用を済ませた我々が最終目的地へ。昨年もやって来た「雷電神社」である。我が県の夏は日本有数の雷多発地域だ。1年半前の7月、着任した日から3日間夕方になるとものすごい雷が響き渡った。「連れてきましたねー」と冷やかされたものだ。精密機器もコンピュータサーバ、通信機器などは雷の誘導電流に弱く、一鳴り何百件と故障が発生してしまう。夏場の雷が祟り、国内に数十あるグループ会社組織で故障発生率という面で見るとダントツトップの一人旅だった。
「何とか最下位からは脱出しようぜ!オレがいる間に雷の故障を半分にするからな!」雷の電流から機器を防護するアダプターを大量に配備することになった。最初は1万個程度の計画だったのだが、防護対象となる装置は数10万に上る。。。「やる気あんのかよ!半分までは絶対つけろ!」私は珍しく怒声を発し、スティーブたちは苦心の末半年足らずでほぼ半分近くまでアダプター装置を回路に組み込んで行った。

      

「今年は少しはマシになってほしいですねえ」「むろんだ。どーんと来てくれた方が効果がはっきり現れるってもんさ」「いやー、でも来ないに越したことは・・・」結局最後は神頼みなのである。我々はそれぞれ雷電神社で「雷除」の御札を求めた。同じ境内のはずなのだが、道路を挟んで反対側にはやはり昨年も詣でた「なまずくん」がある。専用のハンカチを購入して撫でるように拭き取ると地震除けになるという。「せっかくだから『食って』やりませんか?」スティーブは門前の小さな店を指差した。「なまずの天ぷら」一枚300円か・・・まあ縁起物だからなー。実は昨年来た時には近所の本格なまず料理店をわざわざ探して2000円も出して「なまず尽くし定食」を頼んだのだが、どうもあまりよい印象が残っていないのだった。4時近い中途半端な時間にも関わらず、人の良さそうなおばさんが4人分の天ぷらを持ってきてくれた。一口ずつ黙って口に運び、全部平らげてふーっと一息・・・
店を出て開口一番私は「昨年を鮮やかに思い出しましたよ」スティーブも「オレも思いだしました!」二人揃ってハモった言葉は「あんなもんだった・・・」