超兵器磯辺2号

幻の超兵器2号。。。
磯辺氏の文才を惜しむ声に応えてコンパクトに再登場。
ウルトラな日々がまたここに綴られる。

古きもの

2012-03-10 05:07:20 | 出来事
「古きものの全てが悪しきものではないでしょう。」ガンダムは守備範囲外なのだが、シャア・アズナブル大佐の妹で敵である地球連邦軍のセイラが放った言葉は鮮明に覚えている。高度成長期に育った「ALWAYS」よりも少し後世代の我々は「世の中のモノは全て便利に発展していくものだ」と信じ込んでいた。テレビが白黒からカラーに、冷蔵庫は直冷式冷凍冷蔵庫に、ローラー付き二槽洗濯機は全自動洗濯機に進化して行った。粗末にはしなかったがあまりに次々と新しいモノが充実して行ったので、「古きものが喜ばしいもの」であることはあまり無かった。ガンダムではオールドタイプとニュータイプという概念が生まれ、ニュータイプの覚醒が理解できないオールドタイプはいずれ滅ぶと信じているのがシャア大佐である。この後、「新人類」という言葉も生まれたように思う。

明るいと信じていた未来に陰りが生じたり、何となく退廃的なムードが生まれ、社会にブレーキがかかってくると「古き良き時代」「あの頃の昔」を懐かしむことが多くなり、これらに和みや癒しを感じるようになるようだ。私は以前から便利な機器は持っていても「説明書」を読む習慣がなく、何となく勘で動かしてきたから、最新のゲーム機、AV、ガジェットなど多機能さにはついて行けず、そろそろ行き詰まりを感じている。(と言うかそもそも必要性を感じなくなってきている)
新横浜のラーメン博物館も昭和30年代くらいのレトロな雰囲気を再現していたが、正直あまり興味を持てなかった。モノにはそれが立派に機能を果たすときの職人技のような美しさがあり、動かない「飾り」には抜けがらのような虚しさしか感じなかったのである。「こち亀」の両津巡査長の実家には道楽者のおじいさんが使っていた二眼レフカメラがまだあり、両さんが試しに近所の下町のガキを写して何かの賞をもらった話がある。その中カメラ自体に価値はなく骨董品だと期待していた両さんはがっかりするが、カメラ屋は「何十年も前の風景を写していたカメラが今でも立派に動き、その移り変わった光景に驚いていると素敵ではないか」という。

先日も少し盛り上がってしまったが、「カメラ」の変遷というのは他に比べてかなりダイナミックだ。コンピューター制御が入ろうが、テレビ、冷蔵庫、洗濯機など基本的にやることは変わらない。水のいらない洗濯機はたぶんないし、温めたり冷やしたりする冷蔵庫も、放送コンテンツがいらないテレビもたぶんない。しかしカメラはずいぶんその歴史の中で姿を変えてきている。我が家にあったものだけでもまず父親のガラクタにあった二眼レフ、ライカ版のニコン一眼レフ、修学旅行に持って行ったストロボ付きポケットカメラ(フィルムが専用カートリッジ)、一瞬だけ我が家に存在したパチっとシャッターを押すとベロのようにべーっと印画紙を吐き出し、その場で写真を見ることができた画期的な「ポラロイドカメラ」、そしてCanonAE1が欲しかったのに、「ニコン信奉派」の父に押し切られた電子シャッターの35mm一眼レフ、卒業旅行などに持って行ったコンパクトカメラ、そして父母が使うため昔のカメラとキタムラで交換してきたずばり短命だった「カートリッジフィルムのカメラ」、さらにディジタルカメラに推移する。。。その後何世代かの「コンデジ」と言われるカメラに亜流の携帯カメラ、そして超兵器203号である。

さて、先日「珍品・骨董品」の類を扱う「地球屋」を紹介したが、今回仕事の関係で訪問したのは雪深き県境の老舗旅館だ。難所で有名な峠を越す国道から脇へ逸れ、それこそ四駆とスタッドレスでなければ行けない山の奥である。途中「こんな先にホントにあんのか?途中で道、無くなってねえか?」と疑いたくなるような冬眠中の熊が出てきそうな所だ。2件の旅館は親類らしいが、下にある方は3月いっぱいは営業していないらしい。。。天気は素晴らしくよく雪が反射してまぶしいくらいで比較的外は暖かかったが、建物の中は冷蔵庫のように寒かった。ご主人が色々と中を案内してくれたが、その旅館ははるか数十年前の映画「人間の証明」の撮影舞台となった場所だったそうだ。入り口の脇には皆で囲む暖炉があり、餅つき用の臼があり、いかにも古びていたが今でもちゃんと使っている。六角形の少し新しそうな建物の中が源泉かけながしの温泉、さすがに営業していないし勤務中だから入れなかったが・・・
ご主人の話だと、お客はそこそこ来るが継ぐ者がいないために今の代で旅館業はやめてしまう予定だそうだ。外には水車もある雰囲気ある建物なのに残念なことだ。

          

帰りに食事に寄ったのが前回最後に登場した「秘密のケンミンショー」で取材された店である。大正時代から営業している店だが、最近「タルタルソースカツ丼」を名物として売り出してテレビに取り上げられ、爆発的に繁盛したらしい。

    

この店は古くから営業していたこともあり、店内のいたるところに「古き良き物」としての飾りが多く目についた。店内には昔風のポスターが何枚も貼りだされ、外の壁には「アース渦巻きの由美かおるが座っているホーロー製看板」が(この掲載は止めておいた・・・)。他に「3丁目の夕日」で見た「氷で冷やす冷蔵庫」、大昔のロボットのような顔をした電話、扇風機、地球屋で見たようなレジスター、壁にかけてあるトコロ天押出し機のおばけみたいなヤツは「消火器」だそうだ。店の外にはそれに水を供給する消火栓が・・・この手のものって結構「展示」している店は知っている。勘定のときに古いレジに「タルタル900円」とレシートが貼ってあったから「このレジ、使えるんですか?」と聞いたらやはり苦笑いして首を横に振られた。やはりちゃんと機能しなければただの飾りなんだよなー。

            

最後に実家にあったマントと旧紙幣・・・懐かしいがまだ「骨董」という域には達していないようだ。。。私の宝物は先日ようやく全部揃った「ウルトラホーク」「マットアロー」他数々の「EX超合金」と膨大な数のフィギュアだが、残念ながら日本から原子炉が全部なくなって放射性物質も半減期を迎えるくらい時が経たないと価値はないだろう。
「超兵器磯辺2号」は都合により更新間隔を長くし字数を減らしますが、今後とも引き続きご愛顧を・・・