当シリーズは、今回が最後です。
Q11.集団分析の結果をどのように活用したらよいのでしょう?
A11.企業・事業場の悩み・課題の中で、最も多い疑問の一つです。
職場環境改善の目的ですが、ストレスチェック指針に、
「事業者は、職場環境におけるストレスの有無及びその原因を把握し、必要に応じて、
職場環境の改善を行うことの重要性に留意し、できるだけ実施することが望ましい。」とあります。
〇当職のアドバイスです。なお、以下のような提言をするのは、どうやら当職一人のようです。
職場環境改善は、急いで実施する必要はありません。
理由①データの信頼度が不十分です。
調査票の回収率が60~70%程度では、分析する意味がありません。
せめて、90%以上にならないと、信頼性に問題が出るでしょう。
さらに、受検者が制度について理解し、質問項目に対して正確に、正直に
回答しているかどうか分からないからです。
理由②集団分析の結果を、職場環境改善に「短絡的」に結びつけるのは、危険であり、
次年度以降も継続的に実施しなければならない、ストレスチェックの実施に悪影響を与える可能性があります。
理由③努力義務だからです。
ですから、無理をすることはありません。
ただし、努力義務といっても明文化されていますので、安全配慮義務の観点から、数年内には実施してください。
〇恐らく、自社の問題点は、集団分析に求めるまでもなく、共通認識としてあるのではないでしょうか?
ですから、第1段階としては、集団分析の結果を、社内全体で共有し、議論することから始めたらいかがでしょうか。
大切なのは、結論を急がないことです。拙速は、社内に不和をつくります。ご注意ください。
なお、参考文献としては「メンタルヘルスのための職場環境改善」(中災防発刊、1,296円)をお薦めします。
http://www.jisha.or.jp/order/tosho/index.php?mode=detail&goods_cd=26253