中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

不正を公益通報(続編)

2024年05月29日 | 情報
〇「不正を公益通報」の事例編です。

〇ちょうど、NHKが、報道番組「クローズアップ現代」において三菱電機を好事例として紹介していました。

「“守られない通報者” 内部告発を社会の利益に」
初回放送日:2024年5月21日 NHKTV

会社や組織の不正を通報窓口・行政機関・マスコミなどに通報する「公益通報」。調査によると通報者の3割が「後悔したことがある」と回答。
通報したことで不利益を被ったという訴えが各地でおきている。
職場での嫌がらせ、異動や降格など不当な人事が行われたというのだ。
通報者を守る法律があるにもかかわらず、実態は逆だ。
通報者を守るには何が必要なのか?不正に声をあげる人を表彰する企業も。
通報を社会の利益へ。

〇やっと、三菱電機も改革の一歩を踏み出したのだなと受け取りました。
期待したいのですが、しかし、企業風土は、そう簡単に変えられないのが現実です。
企業風土って、目に見えない魔物なのですね。

〇当該企業には、甚だ失礼ですが事実が事実ですから致し方ありません。
大企業・三菱電機は、「労務問題のデパート」と云っても過言ではない過去があるのです。

〇番組を視聴しての率直な感想です。
時間の制約があるからなのでしょうが、
・社長をはじめとする経営トップが登場しない
・なぜ、取り組んだか理由が語られない

ということは、「大山鳴動して鼠一匹」になりはしないかという印象です。

〇(参考)三菱電機HPより引用
「当社が進める3つの改革の進捗について 」2023年4月14日

・当ブログで好事例としてたびたび取り上げてきましたが、
胆管がん事件を克服し、再生した「SANYO-CYP社」と比較してほしいのです。小職には圧倒的な彼我の差を感じます。

「SANYO-CYP社」 HP

〇(参考報道)
1.名古屋の三菱電機社員、労災認定 長時間労働でうつ発症
23.6.28
三菱電機名古屋製作所でソフトウエア設計開発担当として働いていた男性(35)について、うつ病を発症したのは、長時間労働が原因として、名古屋北労働基準監督署が労災と認定していたことが28日、分かった。代理人の岩井羊一弁護士が明らかにした。
岩井弁護士によると、男性は2013年に入社。16年10月に社内で発生した事故の対応で業務量が大きく増え、時間外労働は1カ月間で約101時間に上り、前月の倍以上になった。同12月に病院を受診し、うつ病と診断され、休職した。
同労基署は21年、労災を認めない決定をした。男性側が労働者災害補償保険審査官に審査請求したところ、労災と認定された。

長時間労働でうつ発症 名古屋北労基署 三菱電社員労災認定 /愛知
毎日新聞 2023/6/29

三菱電機名古屋製作所でソフトウエア設計開発担当として働いていた男性(35)について、うつ病を発症したのは、
長時間労働が原因として、名古屋北労働基準監督署が労災と認定していたことが28日、分かった。代理人の岩井羊一弁護士が明らかにした。
男性は2013年に入社。16年10月に社内で発生した事故の対応で業務量が大きく増え、時間外労働は1カ月間で約101時間に上り、前月の倍以…


2.上司から「飛び降りるのにいい窓」遺書に残す…三菱電機の新入社員自殺、遺族と会社が和解
2022/08/26 読売

三菱電機(東京)の新入社員の男性が2019年8月、上司から「死ね」などと言われたと遺書に記して自殺した問題で、男性の遺族と同社が和解したことがわかった。遺族の代理人弁護士が26日、記者会見を開いて明らかにした。和解は23日付。
代理人弁護士や同社によると、和解の合意書には、同社が遺族に解決金(金額非公表)を支払うほか、再発防止に真剣に取り組むことなどが盛り込まれた。同社は役員や社員を対象にハラスメント防止研修などを行い、今後5年間、再発防止策の実施状況を遺族に報告することなどを誓約した。
男性は19年8月、社員寮近くの公園で自殺。現場に残されていた遺書には、上司から「死ね」「お前が飛び降りるのにちょうどいい窓あるで」などの発言を受けたことが記されていた。尼崎労働基準監督署が21年2月、上司のハラスメントが原因で精神疾患を発症したとして労災認定した。
遺族は「三菱電機は息子の死を無駄にすることなく、二度とこのようなことが起こらないよう改善してほしい」とのコメントを出した。三菱電機は「ハラスメント行為を絶対に許さないとの強い決意のもと、再発防止と組織風土改革に全力で取り組む」としている。

3.他、ここ数年の間においても同様な事例があります。

〇労務問題の再発防止および組織風土改革の取り組みについて
2022 年 8 月 26 日 三菱電機株式会社

2019 年 8 月に当社の新入社員(当時)が亡くなられ、2021 年 2 月に尼崎労働基準監督署より労災認定されました。改めまして故人のご冥福をお祈り申し上げるとともに、ご遺族の皆さまに心からお詫び申し上げます。
当社は、痛ましい労災事案を重く受け止め、再発防止のための種々の施策を進めておりますが、この度、ご遺族に改めてお詫び申し上げるとともに、労務問題の再発防止を経営の最優先課題として引き続き全力で取り組むことをお誓いし、ご遺族との間で和解に至りました。
当社は、大切な従業員の尊い命が失われた事実を厳粛に受け止め、ハラスメント行為を絶対に許さないとの強い決意の下、2020 年 1 月から「職場風土改革プログラム」を展開し、全従業員が心身の健康を維持し、いきいきと働ける職場環境の実現に向けて、グループをあげて全力で取り組んでいます。
さらに、今年 4 月からは、新しい三菱電機の創生に向けた抜本的な組織風土改革を始動し、「上にものが言える風土」「失敗を許容する風土」「共に課題を解決する風土」の実現に向けて、日々、具体的な取り組みを進めているところです。
風通しのよい企業風土への変革、誰もがいきいきと働ける職場環境の実現に全力で取り組むことで、労務問題の再発防止を徹底するとともに、新しい三菱電機の創生に努めてまいります。

■主な取り組み
・ハラスメント教育強化と管理職任命時の見極め強化、管理職層への 360 度評価の導入
・全役員・全従業員によるハラスメント行為を行わない旨の宣言書提出
・意識調査を活用した定量的な職場風土分析と分析結果に基づく継続的な改善の実行
・個々人の負荷や職場内の人間関係、ストレスの状況などを確認する定期アンケートの実施
・相談窓口の充実(複線化)
・職場におけるハラスメント実態調査の定期的な実施と、申告案件について人事部門に加え外部専門家の窓口を新たに設置し、心理的安全性を確保した実態把握の実施
・ハラスメントに関する懲戒規則の改定、厳罰化と全従業員への周知徹底
・パワーハラスメント事例やパワーハラスメント相談件数等の従業員への適時適切な情報開示
・オープンな風土形成に向けた経営陣自らの変革(社長・執行役によるタウンホールミーティング、全執行役へのコーチングの実施)

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