中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

障害者虚偽報告に学ぶ

2014年12月23日 | 情報
当問題は、当ブログでも紹介してきましたが、問題は深刻ですね。
何しろ、本家本元が法令違反したのですから言い訳ができません。
しかし、批判しているだけでは得るものがありません。
私たちは、この問題から沢山のことを学びましょう。

1.法令遵守できていないことは、当然に問題です。 
 「ばれなきゃ、いいや}という意識は危険です。特に当ブログに最も関係がある安衛法違反は、
 往々にしてこのような傾向が見られます。「ばれなきゃいいや、ばれたら対応すればよい」と。

2.うそは、さらに大きなうそを呼び込みます。
 虚偽を隠ぺいしようとすると、さらに大きく、複雑なうそをつかなければならなくなります。
 トップは、常にこうした虚偽報告を見抜く経営センスを磨かなければなりません。
 これが出来ないと、経営の屋台骨を揺るがしかねない事態に追い込まれます。

3.従業員のモラルに影響します。
 会社のうそは、直接業務に携わる、現場の従業員がいちばん熟知しています。
 箝口令を引いていても、何れどこかの傷口から事実がふき出します。
 隠ぺいに加担している従業員・部門から、就労意欲の低下がはじまります。

4.経営環境が悪化します。
 この傷口を、早期に手当して膿を出し切らないと、やがて組織全体に膿がまわり始め、
 組織全体の機能が低下し始めます。まさに経営の危機です。

5.優秀な従業員が離散します。
 一度、経営の歪みが露見すると、経営陣が何を言おうと、従業員は耳を貸さなくなります。
 そして、優秀であればあるほど、従業員は組織を見はなし、組織はガタガタになるでしょう。

6.問題の本質を追求しましょう。
報告書には、「不正が長年続いた背景を「組織防衛」と指摘」とあります。
これでは、問題解決になりません。2000年ころに何があったのでしょう?
これが分らないと根源的な解決になりません。
日本人や日本の風土が最も苦手とする領域なのですが、勇気を以って踏み込まないと、
不正の火種を残したままの再出発になってしまいます。

今回の問題を起こしたのは、独立行政法人という準公的機関ですから、
民間企業のように、あっという間に組織が瓦解するようなことはないでしょうが、
今後、厚労省は、障害者雇用率の遵守について、どのように行政指導していくのでしょうか。
私たちは、この事件を他山の石とし、経営の王道を邁進しなければなりません。

障害者雇用水増し2000年から 33人関与、厚労省所管独法
日本経済新聞 2014/12/18

全国の労災病院などを運営する厚生労働省所管の独立行政法人「労働者健康福祉機構」(本部・川崎市)が
障害者雇用率を水増しし虚偽報告していた問題で、機構の第三者委員会が17日、
「遅くとも2000年ごろから、 継続的に行われてきた」との報告書を発表した。
委員長の手塚一男弁護士らが東京都内で記者会見した。
報告書は、残された記録から少なくとも06~14年に歴代の理事や総務部長、人事課長ら33人が不正に関与したと 認定した。
中には厚労省からの出向者も含まれていた。
障害者雇用促進法は障害者を一定の割合以上で雇うよう求め、企業や独立行政法人は毎年雇用状況を厚労省に報告する。
機構は報告の際、職員数や障害者数を操作し、法定の雇用率を上回ったように見せかけていた。
報告書は、不正が長年続いた背景を「組織防衛」と指摘。関与した職員らは世間の批判を恐れ、事実を 隠蔽したとした。
会見に同席した機構の武谷雄二理事長は「厳しい報告書で、再発防止に努める」と述べ、関わった職員らを 処分する考えを示した。
この問題では厚労省が11月、障害者雇用促進法違反の疑いで機構に対する告発状を横浜地検に提出。
不正に 関わったとして、総務部長だった同省幹部らを更迭した。〔共同〕

雇用障害者数水増し、労働者健康福祉機構を告発
読売新聞2014年11月17日

厚生労働省が所管し、全国で労災病院を運営する独立行政法人「労働者健康福祉機構」(川崎市)が
雇用する障害者数を水増しして虚偽報告していた問題で、神奈川労働局は17日、
機構に障害者雇用促進法違反(虚偽報告)の疑いがあるとする告発状を横浜地検に提出したと発表した。
障害者の雇用を巡る虚偽報告の告発は全国で初めてだという。
発表などによると、機構は、実際の障害者雇用率が2012年は0・94%、
13年は1・42%だったにもかかわらず障害者数を増やすなどして、
12年は2・12%、13年は2・32%と法定雇用率(2・1~2・3%)を上回るよう虚偽報告をしていた疑いがある。
虚偽報告は遅くとも10年からあったが、告発は公訴時効(3年)にかからない2年分が対象。
機構は弁護士などを交えた第三者委員会を設置して詳細を調査しており、
同労働局は虚偽報告を指示した職員らを特定して追加告発することも検討している。虚偽報告の罰則は30万円以下の罰金。
厚労省は、機構に出向していた同省幹部職員に虚偽報告の認識があったとして、
18日付で高崎真一・大臣官房審議官を大臣官房付とするなど4人の更迭人事を発表した。
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