中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

ストレスチェック制度解釈⑩

2014年10月21日 | 情報
衛生委員会の役割が重要になります。
すなわち、各企業内、事業所内で実施されるストレスチェック制度の運用に関わる「諮問機関」的な役割を、
現行の(安全)衛生委員会が担うことになるでしょう。

(安全)衛生委員会は、分りやすく解説すると、安衛法において以下のように決められています。
『事業者は常時50人以上の労働者を使用する事業場ごとに、衛生に関することを調査審議し、
事業者に意見を述べるため、衛生委員会を設置しなければなりません。
衛生委員会の調査審議事項は、
1.労働者の健康障害を防止するための基本となるべき対策に関すること
2.労働者の健康の保持増進を図るための基本となるべき対策に関すること
3.労働災害の原因及び再発防止対策で、衛生に関すること
4.前三号に掲げるもののほか、労働者の健康障害の防止及び健康の保持増進に関する重要事項 になります。
衛生委員会のメンバーは事業者が指名することになりますが、
その要件は、
A.総括安全衛生管理者またはそれ以外の者で、
当該事業場において事業の実施を統括管理するもの若しくはこれに準ずる者 1名(議長)
B.衛生管理者 1名以上
C.産業医 1名以上
D.当該事業場の労働者で衛生に関し経験を有する者 1名以上 になります。  
また、事業場の労働者で作業環境測定を実施している作業環境測定士をメンバーとして指名することもできます。
ただし、A.以外のメンバーの半数については、当該事業場の過半数労働組合(無い場合には労働者の過半数代表)の推薦に基づいて
指名しなければなりません。
衛生委員会は毎月1回以上開催するようにしなければなりません。また、議事録は3年間保存する必要があります。 』

ところが、実際は、法令どおりに運用されていないどころか、
(安全)衛生委員会を設置していないことにより、書類送検された印刷会社があるように、
(安全)衛生委員会を設置していない事業所がたくさんあるのが現状です。

しかし、改正安衛法では、各企業内、事業所内で実施されるストレスチェック制度の運用に関わる「諮問機関」的な役割を、
現行の(安全)衛生委員会が担うこと担うことになりますので、
今から、衛生委員会の正しく、健全な運営ができるように、態勢の立て直しを図ることが必要でしょう。
開催しているのか、いないのか分らない、審議する議題がなく休業状態になっている、というような事業所・企業においては、
今から取り組んでも、決して早すぎるということはありません。
大きく言えば、企業文化の改革ですから、時間はかかります。垢を取り除く作業だけでもたいへんな労力です。

繰り返します。ストレスチェック制度の運用を通じて、職場内の環境改善をPDCAサイクルで実行するための、
中心的な役割を、(安全)衛生委員会が果たすことになるようです。

その根拠条文は、改正安衛法66条の10
『6. 事業者は、前項の規定による医師の意見を勘案し、その必要があると認めるときは、
当該労働者の実情を考慮して、就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮、深夜業の回数の減少等の措置を講ずるほか、
当該医師の意見の衛生委員会若しくは安全衛生委員会又は労働時間等設定改善委員会への報告その他の適切な措置を講じなければならない。 』
ということになります。
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