「戸栗美術館名品展 鍋島」 戸栗美術館

戸栗美術館渋谷区松濤1-11-3
「戸栗美術館名品展 鍋島 - 至宝の磁器・創出された美 - 」
1/5-3/23



戸栗美術館へ行ったのは今回が初めてです。館蔵の鍋島が約100点近く出品されています。

鍋島の最大の魅力は、その統一された規格の中で多様な姿をとる精緻な紋様にありそうですが、この展示では逆に鍋島らしからぬ意匠の器もいくつか楽しむことが出来ます。「七宝菊文 稜花皿」は菊文が型押し、ようはエンボスによって印され、どこか中国趣味のような味わいに仕上がっている作品です。またかの様式化された端正な円形皿以外にも、変形皿といった、形に遊びを凝らした作品も出品されていました。「牡丹文 変形皿」は、ちょうど牡丹の花びらを一枚一枚重ねて合わせたような、まさに花びらの形をした面白い器です。その上にのる葉がまた生き生きとしています。

もちろん、定番の『絵』に美意識を見る鍋島も展示されています。秋草がリズミカルに駆け、波文と見事に合わさっている「草紙文 皿」、または白抜きの竹を配し、闇夜に沈む竹林を表したような「竹文 皿」、さらには上部を銹釉に浸し、そこに夜をイメージさせた上で、幔幕越しに見る夜桜を示した「桜幔幕文 皿」などが印象に残りました。特に鍋島盛期における四季の草花を配した作品は、まさに日本画を見るかのような美しさを感じさせます。

 

鍋島と言えば、時に抽象絵画のような極めて斬新な意匠を見ることがありますが、この「雪輪文 皿」もモダンの極致と言えるような見事な作品です。薄いエメラルドグリーンの空から、瑞々しい牡丹雪が舞っているかのような光景が広がっていきます。また雪輪文の独特のぼかしも、その軽やかでしっとりとした雪の質感を表すかのようです。定番の夏の花火、「染付花文皿」と合わせてじっくりと楽しむことが出来ました。



館内は意外と混雑していました。次の日曜日、23日までの開催です。
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