南山城の古刹をめぐる~岩船寺と浄瑠璃寺

お茶の産地として知られる京都府南部の南山城地域には、古くより数々のお寺が営まれる仏教の聖地でもありました。



奈良国立博物館にて開かれている『聖地 南山城―奈良と京都を結ぶ祈りの至宝』を鑑賞したのち、近鉄奈良駅へと向かったのはお昼過ぎの12時半頃のことでした。

現在、奈良交通では『聖地 南山城』の開催に合わせて、10月1日までの土日祝日に限り、奈良市中心部と南山城の古寺を結ぶ観光ループバス「お茶の京都 木津川古寺巡礼バス」を運行しています。

近鉄奈良駅を13時過ぎに出発したバスは、途中の停留所をすべて通過し、浄瑠璃寺を目指して走りました。奈良の市街地を抜け、山に囲まれた道を進むと、まず浄瑠璃寺バス停、続いて終点の岩船寺バス停に辿り着きました。奈良からの所要時間はおおむね30分ほどでした。



729年に創立された岩船寺は、隆盛と衰退を繰り返しながら、鎌倉時代から江戸末期まで南都興福寺一条院の末寺として活動したのち、明治に入ると真言律宗西大寺の末寺に入りました。今では梅雨に咲く紫陽花をはじめとした、四季折々の花を楽しめるお寺として知られています。



山門を抜けると、右に本堂、正面に阿字池が広がり、左手に十三重石塔、さらに奥に三重塔が建っていました。このうち9世紀頃の宝塔に由来する三重塔は、1442年の刻銘が残されていることから室町時代の建立と推定され、重要文化財に指定されています。



境内を一通り見学したのちは、本堂に安置された仏像を拝観することにしました。まず中央には平安時代の阿弥陀如来坐像があり、四隅には鎌倉時代の四天王像が立っていました。とりわけ像高3メートルの阿弥陀如来坐像は慈悲深い表情を見せていて、その佇まいに心惹かれるものを感じました。また普賢菩薩騎象像は『聖地 南山城』展に出展中でしたが、それゆえに普段拝観できない厨子の内側を見ることもできました。



この岩船寺から浄瑠璃寺へは「石仏の道」として徒歩50分ほどで行くことができますが、この日は雷鳴も轟く不安定な天気だっため、ちょうどやってきた木津川市のコミュニティバスに乗り、浄瑠璃寺へと向いました。



1047年に創建されたと伝わる真言律宗の浄瑠璃寺は、12世紀に九体阿弥陀堂が造られると庭園が整備され、12世紀の末には三重塔が京都より移設されると、現在に至るまでの伽藍が築かれました。



浄瑠璃寺の伽藍は池を中央にして、東に薬師如来を祀る三重塔があり、西に九体阿弥陀像を安置する本堂が位置していて、それぞれ此岸と彼岸の世界を表していました。



5年に及ぶ保存修理を終えた九体阿弥陀像のうち2躯は、『聖地 南山城』にて公開中のため、本堂では7駆が並んでいましたが、他で見ることの叶わない光景は極めて独特ではないでしょうか。浄瑠璃寺へは過去、修理に入る前の2015年に一度出向いたことがありましたが、改めて圧倒されました。



しばらく本堂にて阿弥陀如来の前に座っていましたが、博物館の明るい照明とは異なり、ほぼ自然光のみの薄暗がりの中に浮かび上がる金色の光も趣深いものが感じられました。また西陽が堂内へわずかに差し込むと、金色の輝きが俄かに増す様子にも心を奪われました。




今回は海住山寺など他のお寺までを拝観できませんでしたが、『聖地 南山城』展をきっかけに、南山城のお寺まで足を伸ばすのも良いかもしれません。

「真言律宗 高雄山 岩船寺」
開門時間:8:30~17:00
拝観料:大人500円。
住所:京都府木津川市加茂町岩船上ノ門43
交通:JR線加茂駅から「木津川市コミュニティバス」にて約16分。JR線、近鉄奈良駅より奈良交通「お茶の京都 木津川古寺巡礼バス」バスにて約35分。*季節限定運行

「真言律宗 小田原山 浄瑠璃寺」
開門時間:9:00~17:00
 *本堂受付は16:30まで。
拝観料:大人400円。
住所:京都府木津川市加茂町西小札場40
交通:JR線加茂駅から「木津川市コミュニティバス」にて約22分。JR線、近鉄奈良駅より奈良交通「お茶の京都 木津川古寺巡礼バス」バスにて約30分。*季節限定運行
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『聖地 南山城-奈良と京都を結ぶ祈りの至宝-』 奈良国立博物館

奈良国立博物館
『聖地 南山城-奈良と京都を結ぶ祈りの至宝-』
2023/7/8~9/3



京都府最南部、奈良市に隣接する南山城に伝わってきた仏教美術を紹介する展覧会が、奈良国立博物館にて開かれています。

それが『聖地 南山城-奈良と京都を結ぶ祈りの至宝-』で、会場では南山城と周辺地域の寺社に伝わる仏像や神像、さらに絵画や典籍、古文書など約140点の作品と資料が公開されていました。(展示替えあり。)

まず冒頭で紹介されたのは同地域の古代寺院に祀られた仏像や考古遺品などで、南山城では最古とも言われる金蔵院(木津川市)の『観音菩薩立像』や薬師寺(和束町)の『薬師如来像』などを見ることができました。



これに続くのが密教に由来する木津川流域の山岳寺院に伝わる寺宝などで、寿宝寺(京田辺市)の『降三世明王立像』や『金剛夜叉明王立像』、それに朱智神社(京田辺市)の『牛頭天王立像』などが目立っていました。

そのうち忿怒相で髪を立て、牛頭を表した『牛頭天王立像』とは、他の国からの邪鬼の侵入を防ぐために祀られたと考えられる像で、どこか野趣味を感じさせるようなすがたをしていました。

今回の展覧会でハイライトを飾るのは、5年に及ぶ保存修理を終えた浄瑠璃寺の『九体阿弥陀像』(木津川市)のうち2軀が修理後初公開されたことで、2体の像が並び合うようにして露出にて展示されていました。

またあわせて江戸時代まで浄瑠璃寺に『薬師如来像』とともに祀られ、現在は静嘉堂文庫美術館と東京国立博物館が分蔵する『十二神将像』が実に140年ぶりに揃って公開されたのも見どころと言えるかもしれません。

このほか、鎌倉時代のはじめに興福寺から笠置寺、さらに海住山寺へと拠点を移して、釈迦如来や弥勒菩薩、観音菩薩に対する信仰を深めた解脱上人貞慶にまつわる文物や、行基への信仰とともに生まれた地域の律宗文化に関する作品も充実していて、南山城に根ざした多様な仏教美術を目にすることができました。



最後に展示替えの情報です。会期中、前後期にて一部の作品が入れ替わります。

『聖地 南山城-奈良と京都を結ぶ祈りの至宝-』出陳作品一覧(PDF)
前期:7月8日(土)~8月6日(日)
後期:8月8日(火)~9月3日(日)



すでに後期に入り、会期も残すところ約10日間となりました。これ以降の展示替えはありません。*浄瑠璃寺の『薬師如来像』の展示期間は7/9〜8/6。


なお奈良国立博物館の「なら仏像館」においても南山城に関する仏像が展示されていました。お見逃しなきようにおすすめします。

9月3日まで開催されています。

『聖地 南山城-奈良と京都を結ぶ祈りの至宝-』@m_yamashiro2023) 奈良国立博物館@narahaku_PR
会期:2023年7月8日(土)~9月3日(日)
休館:月曜日。但し7月17日は開館、7月18日(火)。
時間:9:30~18:00
 *入館は閉館の30分前まで。
料金:一般1800円、高校・大学生1300円、小学・中学生600円。
 *( )内は20名以上の団体料金。
住所:奈良市登大路町50
交通:近鉄奈良駅下車登大路町を東へ徒歩約15分。JR奈良駅または近鉄奈良駅から市内循環バス外回り(2番)、「氷室神社・国立博物館」バス停下車すぐ。
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『ソール・ライターの原点 ニューヨークの色』 ヒカリエホール ホールA

ヒカリエホール ホールA
『ソール・ライターの原点 ニューヨークの色』
2023/7/8〜8/23



1923年にペンシルバニア州ピッツバーグに生まれたソール・ライターは、カメラマンとして仕事をはじめ、80年代にかけてファッション写真を撮影すると、2006年にドイツのシュタイデル社によって刊行された初の写真集『Early Color』によって大きな脚光を浴びました。

そのライターの写真を紹介するのが『ソール・ライターの原点 ニューヨークの色』で、会場には新たに発掘された作品による大規模なカラースライド・プロジェクション、および未公開のモノクロ写真、また絵画など約400点の作品が展示されていました。



まずはじめは1950~60年代頃、いわゆる黄金期のニューヨークを撮影した写真が並んでいて、未発表のモノクロのスナップ、また当時、交流のあったアーティストらのポートレートなどを見ることができました。



これに続くのがライターの撮影したファッション写真で、いずれも『ヴォーグ』と並ぶ二大ファッション誌の『ハーパーズ・バザー』での写真でした。



また当時の雑誌メディアでは、ポジフィルムを写真家に返却しなかったことがあったため、オリジナルが現存せず、掲載された誌面にて紹介されていました。



ライターの描いた絵画と写真を合わせて並べた展示も興味深いのではないでしょうか。ライターはナビ派の画家や日本の浮世絵などを敬愛していて、浮世絵の構図やナビ派の繊細な色彩感覚を絵画だけでなく、写真にも取り込んで表現していきました。



ハイライトを飾るのがカラースライド・プロジェクションと題した展示で、約250点のカラー写真が10面の大スクリーンに次々と投影されていました。



2013年にライターが世を去った時、おそらく数万点にも及ぶスライドの山が残されたと言われていて、ここでは過去に発掘されてアーカイブ化された1万1千点のスライドから選ばれた未発表作を含む作品がプロジェクションにて再現されました。


ライターの展覧会はBunkamuraザ・ミュージアムで過去2回にわたって開催され、写真ファンの注目を集めましたが、今回もまた新たな写真を交え、ライターの魅力を深掘りするような内容だったかもしれません。見応えも十分でした。



会期末を迎えました。8月23日まで開かれています。

『ソール・ライターの原点 ニューヨークの色』 ヒカリエホール ホールA
会期:2023年7月8日(土)〜8月23日(水)
休館:月曜日。(祝日の場合は翌火曜日)、8月6日(日)*全館休館日
時間:11:00~20:00 
 *入場は閉場の30分前まで。
料金:一般1800円、大・高生1000円、中学・小学生700円。
住所:渋谷区渋谷2-21-1 渋谷ヒカリエ 9F
交通:JR線・京王井の頭線渋谷駅と2階連絡通路で直結。東京メトロ銀座線渋谷駅と1階で直結。東急東横線・田園都市線・東京メトロ半蔵門線・副都心線渋谷駅B5出口と直結。
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『野又 穫 Continuum 想像の語彙』 東京オペラシティアートギャラリー

東京オペラシティアートギャラリー
『野又 穫 Continuum 想像の語彙』
2023/7/6~9/24



1955年に生まれた画家の野又穣は、一見空想的ながらも、リアルと地続きにあるような建築物や風景を描き、2020年にはイギリスの有力ギャラリーに所属するなど、世界を舞台に活動してきました。

その野又の作品世界を紹介するのが『野又 穫 Continuum 想像の語彙』で、会場には1980年代の初期作から今年の新作までの約90点の作品が公開されていました。



まず冒頭には野又の1980年代の作品が並んでいて、いつの時代ともつかないような謎めいた建物がぽつりと建つ様子が描かれていました。



その後の1990年代に入ると、野又の描く建物は大型化していって、自然と建築が渾然一体となるような光景を見ることができました。



また1990年代末から21世紀の初頭に入ると、今度は船の帆や風車、気球といった工業的ともいえる構造物が登場していて、建物というよりも、何らかの機械的な装置を連想させるものもありました。



さらに2008年頃の「光景」のシリーズでは、建物が闇に紛れつつ、明るい光を放っていて、どこかSF的な世界をイメージさせる景色が広がっていました。



キリコやエッシャーの絵に登場するような建物から、植物園を思わせるガラスの構造物、またダ・ヴィンチの考案した動力機関やヨーロッパの堅牢な要塞、そしてバベルの塔など、野又の描く建物から自由なイメージを思い浮かべて見るのも楽しいかもしれません。



このほかにも建築の模型や、絵画制作にあたり参考にしたと思われる絵葉書や写真などの資料も興味深く思えました。



時空を超えた野又穫の不可思議な建築風景。東京オペラシティ アートギャラリーにて個展が開催中!|Pen Online


撮影が可能です。9月24日まで開催されています。*写真はすべて『野又 穫 Continuum 想像の語彙』展示作品。

『野又 穫 Continuum 想像の語彙』 東京オペラシティアートギャラリー@TOC_ArtGallery
会期:2023年7月6日(木)~9月24日(日)
休館:月曜日。(祝日の場合は翌火曜日)、8月6日(日)*全館休館日
時間:11:00~19:00 
 *入場は閉館30分前まで。
料金:一般1400(1200)円、大・高生800(600)円、中学生以下無料。
 *同時開催中の『収蔵品展076 寺田コレクション ハイライト(後期)』、『project N 91小林紗織』の入場料を含む。
 *( )内は各種割引料金。
住所:新宿区西新宿3-20-2
交通:京王新線初台駅東口直結徒歩5分。
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DIC川村記念美術館にて『ジョセフ・アルバースの授業』が開かれています

ドイツに生まれ、バウハウスに学んだジョセフ・アルバース(1888〜1976年)は、画家、デザイナー、そして美術教師として活動すると、アメリカではブラックマウンテン・カレッジとイェール大学にて教鞭をとり、戦後のアメリカの重要な芸術家たちを育てました。



そのアルバースの日本初の回顧展が『ジョセフ・アルバースの授業 色と素材の実験室』で、展示の内容や見どころについてPenオンラインに寄稿しました。

バウハウスで活躍したジョセフ・アルバースの全貌に迫る、日本初の回顧展がDIC川村記念美術館にて開催中|Pen Online

まず今回の回顧展で重要なのは、画家としてのアルバースだけでなく、教育者としての活動にも焦点を当てていることで、アルバースの実験的な授業を捉えた写真や映像、それに学生の作品も展示されていました。

また「アルバースの授業に挑戦!」と題し、アルバースの出した課題に挑戦できるワークショップ・スペースも設けられていて、実際に紙などを手にして取り組むこともできました。

会場ではジョセフ&アニ・アルバース財団の協力のもと、国内初公開作品を含む絵画や関連資料など約100点が並んでいて、「正方形讃歌」シリーズから集大成の版画集「フォーミュレーション:アーティキュレーション」も目にすることができました。


こうした代表作とともに「リーフ・スタディ」など、アルバース本人が自らの課題に取り組んだ作品も興味深かったかもしれません。またコレクション展でも本展にあわせて「色彩と知覚:ジョセフ・アルバースと関連収蔵作品」が行われていて、アルバースの『斜接正方形』が展示されていました。



11月5日まで開催されています。*冒頭の展示パネルは内覧会の際に撮影しました。

『ジョセフ・アルバースの授業 色と素材の実験室』 DIC川村記念美術館@kawamura_dic
会期:2023年7月29日(土)~11月5日(日)
休館:月曜日(ただし9月18日、10月9日は開館)。9月19日(火)、10月10日(火)
時間:9:30~17:00(入館は16時半まで)
料金:一般1800円、学生・65歳以上1600円、高校生以下無料。
 *コレクション展も観覧可。
住所:千葉県佐倉市坂戸631
交通:京成線京成佐倉駅、JR線佐倉駅下車。それぞれ南口より無料送迎バスにて30分と20分。東京駅八重洲北口より高速バス「マイタウン・ダイレクトバス佐倉ICルート」にて約1時間10分。(一日一往復)
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『ケリス・ウィン・エヴァンス 「L>espace)(…」』 エスパス ルイ・ヴィトン東京

エスパス ルイ・ヴィトン東京
『ケリス・ウィン・エヴァンス 「L>espace)(…」』 
2023/7/20〜2024/1/8



イギリスを拠点に活動するアーティスト、ケリス・ウィン・エヴァンスの個展が、エスパス ルイ・ヴィトン東京にて開かれています。

それが『ケリス・ウィン・エヴァンス 「L>espace)(…」』で、会場にはシャンデリアやネオン管、またフルートを用いたインスタレーションなどが公開されていました。



まずシャンデリアの形をした『“LETTRE À HERMANN SCHERCHEN” FROM ‘GRAVESANER BLÄTTER 6’ FROM IANNIS XENAKIS TO HERMANN SCHERCHEN (1956) 』とは、コンピュータ画面上のテキストがモールス信号に変換され、明かり点滅を繰り返している作品で、作家家のヤニス・クセナキスが指揮者のヘルマン・シュルヘンに宛てた手紙をテキストに使用していました。



このシャンデリアと同じように宙につられているのが、20本のガラス製のフルートによって作られた『A=F=L=O=A=T』と題する作品でした。ここでは長く透明のチューブによってパイプオルガンで使われる送風機がフルートにつながっていて、作家の手がけた曲からそれぞれ一音を奏でていました。

その音は一定ではなく、突如に鳴り響いたと思うと、幾重にも重なるように空間を満たしていて、時にオーボエやクラリネットを思わせるようなやや低い響きを聞くこともできました。



一本の松の木を配した『STILL LIFE (IN COURSE OF ARRANGEMENT...) II 』も独特の佇まいを見せていたかもしれません。一見静止しているように思えながら、実は下部のターンテーブルによって極めてゆっくりと回っていて、フルートの響きを物静かに受け止めていました。



東京の街を借景にしたガラス張りの空間であるゆえに、昼と夜、また天候でも表情を変えて見せるかもしれません。ちょうど日没時に観覧しましたが、光の移ろいで際立つネオンの輝きにも目を見張りました。


会場内の撮影も可能でした。

エスパス ルイ・ヴィトン東京で開催中、光と言葉が響く、ケリス・ウィン・エヴァンスの詩的な世界|Pen Online

2024年1月8日まで開催されています。

注)タイトルはイタリックで、espace部分にのみ取り消し線が入ります。

『ケリス・ウィン・エヴァンス 「L>espace)(…」』 エスパス ルイ・ヴィトン東京
会期:2023年7月20日(木)〜2024年1月8日(月)
休廊:不定休
時間:12:00~20:00
料金:無料
住所:渋谷区神宮前5-7-5 ルイ・ヴィトン表参道ビル7階
交通:東京メトロ銀座線・半蔵門線・千代田線表参道駅A1出口より徒歩約3分。JR線原宿駅表参道口より徒歩約10分。
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『「エルマーのぼうけん」展』 PLAY! MUSEUM

PLAY! MUSEUM
『「エルマーのぼうけん」展』
2023/7/15〜10/1



ルース・S・ガネット(1923年~)が文を書き、義母のルース・C・ガネット(1896~1979年)が挿絵を手がけた絵本「エルマーのぼうけん」シリーズは、日本でも翻訳され、累計700万部を記録するなど多くの人々に愛されてきました。



その絵本の物語を紹介するのが「エルマーのぼうけん」展で、ミネソタ大学図書館のカーラン・コレクションの原画と、物語の世界を演出したインスタレーションが展示されていました。



まず目を引くのがルース・C・ガネットによる原画で、いずれも物語の世界が生き生きと描かれていて、70年以上も前のものとは思えないほど瑞々しいすがたを見せていました。



また原画にはあらすじやセリフを紹介するキャプションとともに、内容に呼応するような小枝やチューインガムがついていて、遊び心も感じられました。



あたかも絵本の中に入り、エルマーになった気分で楽しめるような展示も魅惑的だったかもしれません。



会場では「エルマーのぼうけん」シリーズから、ワニの背中をジャンプして川を渡る場面や、嵐の中をりゅうとともに空を飛ぶ箇所といった4つのシーンを中心に、光や映像、立体造作によって演出されていて、さながらエルマーの冒険を追体験できるように工夫されていました。



それに動物たちの鳴き声やりゅうが空を飛ぶ音、また洞穴から脱出するりゅうたちの大さわぎなど、音も重要なモチーフとなっていて、まさに視覚だけでなく聴覚でも「エルマーのぼうけん」シリーズを楽しむことができました。



その中でもハイライトといえるのが、洞窟の中に捕らわれていた15匹のりゅうを、エルマーが助ける場面をイメージした展示で、ラッパや笛を鳴らして一斉にりゅうたちが逃げ出す様子を、絵本が刊行された1950年代のアメリカのアナログレコードの音楽を楽しむというコンセプトに置き換えて再現していました。



このほか、作者のルース・S・ガネットが幼い頃に話や絵を書いたノートや写真の展示や、100名の著名人が冒険の書を推薦した「ぼうけん図書館」も充実していたかもしれません。

絵本の中から飛び出す大冒険がここに! PLAY! MUSEUMにて「エルマーのぼうけん」展が開催中|Pen Online

会場内の撮影も可能でした。*写真はすべて「エルマーのぼうけん」展の展示作品、および展示風景。


10月1日まで開催されています。

『「エルマーのぼうけん」展』 PLAY! MUSEUM@PLAY_2020
会期:2023年7月15日(土)〜10月1日(日)
休館:会期中無休。ただし3月5日(日)を除く
料金:一般1800円、大学生1200円、高校生1000円、中・小学生600円、未就学児無料。
 *当日券で入場可。ただし休日および混雑が予想される日は事前決済の日付指定券(オンラインチケット)を販売。
時間:10:00~18:00。
 *入場は17:30まで。
住所:東京都立川市緑町3-1 GREEN SPRINGS W3 2F
交通:JR立川駅北口・多摩モノレール立川北駅北口より徒歩約10分。
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『イギリス風景画と国木田独歩』 茅ヶ崎市美術館

茅ヶ崎市美術館
『イギリス風景画と国木田独歩』
2023/6/18〜8/27


トマス・ゲインズボロ『荷馬車のいる丘陵地帯の森の風景』 1745〜46年頃 郡山市立美術館

茅ヶ崎市美術館にて『イギリス風景画と国木田独歩』が開かれています。

これは明治時代の小説家、国木田独歩の代表作『武蔵野』を起点に、その世界観に影響を与えたウィリアム・ワーズワース(*)から当時のイギリスの風景画の系譜を辿るもので、同国の画家、およびイギリス風景画に影響を受けた日本の画家の作品が展示されていました。*イギリスのロマン派の詩人。1770年〜1850年。

いずれも郡山市立美術館と府中市美術館、および同館のコレクションで、絵画だけでなく、版画や水彩の優品も目立っていました。

トマス・ゲインズボロの『荷馬車のいる丘陵地帯の森の風景』とは、文字通り森の中を馬車が進む様子を描いたもので、空には白い鳥が舞うとともに、この後の天気の変化を連想させるような暗い雲が広がっていました。


ジョン・クローム『ヘレスドンの眺め』 1807年頃 郡山市立美術館

ジョン・クロームの『ヘレスドンの眺め』とは、イングランド南東部、ケント州のカンタベリーの村を俯瞰して描いた作品で、雲の広がる空の下、光に反射して蛇行する川や建物などを見ることができました。


リチャード・ウィルソン『キケロの別荘』 郡山市立美術館

神々しいまでの夕陽を背に、崩れかけた廃墟と手仕事に励む女性を描いたのが、リチャード・ウィルソンの『キケロの別荘』でした。ウェールズ出身のウィルソンは、ロランやプッサンのもと、古代の神殿などを登場させて演出する理想的風景とも呼べる絵画に影響を受けた画家で、透明感に満ちた画面にも魅力を感じました。


牧野義雄『チェルシー発電所遠望』 明治40年 府中市美術館

このほか、日本の画家では渡米後、ロンドンへと移った牧野義雄の作品も印象に深かったかもしれません。テムズ川に面した発電所を描いた『チェルシー発電所遠望』における淡くオレンジ色の光にも見入りました。


チャールズ・ワーグマン『西洋紳士スケッチの図』 1870年代 郡山市立美術館

国内3館のコレクションによってイギリス風景画の変遷を追う良い機会だったかもしれません。ターナーやコンスタブルといった有名な画家だけでなく、むしろあまり見ることの少ない画家の作品にも惹かれるものを感じました。


一部作品の撮影が可能でした。



8月27日まで開催されています。

『イギリス風景画と国木田独歩』 茅ヶ崎市美術館@chigasakimuseum
会期:2023年6月18日(日)〜8月27日(日)
休館:月曜日(ただし7月17日は開館)、7月18日(火)。
時間:10:00~17:00 *入館は閉館の30分前まで。
料金:一般1000(900)円、大学生800(700)円、市内在住65歳以上500(400)円。
 *高校生以下無料。
 *( )内は20名以上の団体料金。
住所:神奈川県茅ヶ崎市東海岸北1-4-45
交通:JR線茅ヶ崎駅南口より徒歩約8分。
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『宮永愛子-海をよむ』 ZENBI-鍵善良房

ZENBI-鍵善良房-KAGIZEN ART MUSEUM
『宮永愛子-海をよむ』
2023/6/3~8/27



現代アーティスト、宮永愛子の個展が、京都・祇園のZENBI-鍵善良房(かぎぜんよしふさ)にて開かれています。

それが『海をよむ』と題した展示で、会場には新作『くぼみに眠る海 -猫-』をはじめ、鍵善良房にちなんだ「鍵」のモチーフや、老舗和菓子店である鍵善所蔵の木型から発想を得たガラスの作品などが展示されていました。



まず1階の展示室で目立っていたのが、『くぼみに眠る海 -仔犬-』などで、ナフタリンによって象られた仔犬がかわいらしいすがたを見せていました。

またガラスによる『くぼみに眠る海 -鳩-』や『水鳥』なども並んでいて、いずれも宮永の曾祖父で、京焼の陶芸家である初代宮永東山の東山窯の石膏型を用いていました。



近年、活動の拠点を生まれ育った京都へと戻した宮永は、陶房に残る古い型にガラスを流し込み、作品を手がけていて、さながら自身のルーツを今につなぐべく制作を続けてきました。



こうした作品とともに並ぶのは、漆芸家で木工家であり、祇園に生まれた黒田辰秋の『赤漆流稜文飾手筐』などの工芸品で、透明感のある宮永のオブジェと美しいコントラストを描いていました。



このほか、お庭に展示された『くぼみに眠る海 -猫-』も魅惑的ではないでしょうか。それこそかつてからこの場所に住んでいる猫のようにひっそりと佇んでいました。



邸宅を思わせるZENBI-鍵善良房の小さな空間とも作品がよく調和して見えたかもしれません。ガラスやナフタリンの作品の放つ白く淡い光を見入りながら、しばし静寂の時間を過ごすことができました。


8月27日まで開催されています。

『宮永愛子-海をよむ』 ZENBI-鍵善良房-KAGIZEN ART MUSEUM@ZENBI_KAGIZEN
会期:2023年6月3日(土)~8月27日(日)
休館:水曜日。
時間:10:00~18:00
 *入館は17:30まで
料金:⼀般1000円、⼤学・⾼校・中学⽣700円、⼩学⽣以下無料。
場所:京都市東山区祇園町南側570-107
交通:京阪線祇園四条駅6番出口より徒歩3分。阪急線京都河原町駅から徒歩10分。
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『若林奮 森のはずれ』 武蔵野美術大学美術館

武蔵野美術大学美術館
『若林奮 森のはずれ』 
2023/6/1〜8/13



戦後の日本を代表する彫刻家のひとりである若林奮(1936〜2003年)の回顧展が、東京・小平の武蔵野美術大学美術館にて開かれています。

それが『若林奮 森のはずれ』で、会場には『所有・雰囲気・振動―森のはずれ』や『Daisy Ⅰ』をはじめとする代表作のほか、ドローイングや小品など約100点の作品と資料が公開されていました。



まず1階正面のアトリウムで目を引くのが、人の背丈ほどある角柱が10点ほど並び立つ『Daisy Ⅰ』のシリーズでした。これは1990年代以降、若林が自然の精緻な観察をとおして作られたもので、植物のヒナギクに類する名称を表す言葉としてDaisyと名付けられました。

いずれも鋼材の角柱から築かれていて、表面にはかつての工業製品の名残を示すかのような文字や記号が残されていました。



ともかく角柱そのものの重量感が強く感じられて、一見無機的ながらも、黒さびの表面の細かな質感など、思いの外に表情豊かなすがたを見せていました。



これらは人の高さほどあるため、直接上部を見ることは叶いませんでしたが、手前のスロープより見下ろすと胡粉やベンガラといった自然物を原料とした色素の粉末が充填されていることがわかりました。また内部はグリッドに分割されたり、植物の目のような板が隆起しているなど、Daisyのイメージが包み隠されているように思えました。



1階から2階へとあがり、同じくアトリウムに展示された『The First White Core』も存在感があったかもしれません。これは木による白塗りの壇の上に石膏の塊を載せたもので、『Daisy』のシリーズに先立って作られました。



また『The First White Core』の周囲には時に空色を連想させるように色彩に明るい『Sulphur Drawing』が並んでいて、重厚な1階とは異なった軽やかともいえる空間を築いていました。


このほか30年ぶりに展示されたという『所有・雰囲気・振動―森のはずれ』も独特の趣きを見せていたかもしれません。

一連の作品に続き、若林の制作を時間を追って紹介する「資料編」も大変に充実していました。若林は1975年に武蔵野美術大学の助教授に就任し、84年に退任しましたが、まさにこの場所だからこそ実現し得た展覧会ともいえるのではないでしょうか。想像以上に見応えがありました。



アトリウムの展示作品のみ撮影が可能でした。

8月13日まで開催されています。おすすめします。

『若林奮 森のはずれ』 武蔵野美術大学美術館@mau_m_l
会期:2023年6月1日(木)〜8月13日(日)
休館:水曜日。
時間:11:00~19:00
 *土・日曜・祝日は10:00~17:00
料金:無料
場所:東京都小平市小川町1-736
交通:西武国分寺線鷹の台駅下車徒歩約20分。JR線国分寺駅北口より「国分寺駅北口」4番停留所から西武バス「武蔵野美術大学」、または「小平営業所」行きに乗車、「武蔵野美術大学正門」下車すぐ。
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『近藤聡乃展「ニューヨークで考え中」』 ミヅマアートギャラリー

ミヅマアートギャラリー
『近藤聡乃展「ニューヨークで考え中」』
2023/7/5〜8/12



ミヅマアートギャラリーにて近藤聡乃個展、『ニューヨークで考え中』が開かれています。

これは近藤が2012年より連載中のコミックエッセイ「ニューヨークで考え中」の第4巻の発売に際し、4巻収録のマンガ原稿を展示するもので、あわせてそれぞれのエピソードから派生したシーンを描いたドローイングも公開されていました。



「ニューヨークで考え中」の第4巻にて描かれているのは、いわゆるコロナ禍での同地での日常で、アパートでの水漏れ事故の顛末からワクチンの接種、さらに新婚旅行に出かけたことや猫を飼い始めたことなどが軽妙なタッチにて綴られていました。



またアメリカ大統領選挙や同時多発テロから20年の節目を迎えたことや、ロシアのウクライナ侵攻に関することなど、社会的、あるいは時事的な出来事にも触れていて、近藤の心の中を垣間見るかのようでした。



さらに連載開始にあたり、「Nラインと総武線」というタイトルが候補にあがったというエピソードも興味深いかもしれません。ニューヨークのアストリアを通るNラインと、実家の最寄り駅の電車である総武線がつながっていると語る近藤のすがたが印象に残りました。



このほか、構想中の新作アニメーション『呼ばれたことのない名前』のイメージスケッチも魅惑的だったかもしれません。マンガのモノクロームとは異なり、淡い色彩のよって展開するファンタスティックな光景に目を奪われました。


「ニューヨークで考え中」の原画が展示!ミヅマアートギャラリーで開催中の近藤聡乃展|Pen Online


8月12日まで開催されています。

『近藤聡乃展「ニューヨークで考え中」』 ミヅマアートギャラリー@MizumaGallery
会期:2023年7月5日(水) 〜8月12日(土)
休廊:日・月・祝
時間:12:00~18:00
料金:無料
住所:新宿区市谷田町3-13 神楽ビル2階
交通:東京メトロ有楽町線・南北線市ヶ谷駅出口5より徒歩5分。JR線飯田橋駅西口より徒歩8分。
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2023年8月に見たい展覧会【葛飾北斎と3つの信濃/ジョセフ・アルバースの授業/六甲ミーツ・アート芸術散歩2023】

身の危険を感じるような暑さが続いていますが、いかがお過ごしでしょうか。秋のシーズンを控え、今月にスタートする展覧会は必ずしも多くありません。見ておきたい展覧会をリストアップしてみました。



展覧会

・『練馬区立美術館コレクション+植物と歩く』 練馬区立美術館(7/2~8/25)
・『イギリス風景画と国木田独歩』 茅ヶ崎市美術館(6/18~8/27)
・『葛飾北斎と3つの信濃―小布施・諏訪・松本(後期)』 長野県立美術館(8/3~8/27)
・『北斎 大いなる山岳』 すみだ北斎美術館(6/20~8/27)
・『マルク・シャガール 版にしるした光の詩 神奈川県立近代美術館コレクションから』 世田谷美術館(7/1~8/27)
・『私たちは何者? ボーダレス・ドールズ』 渋谷区立松濤美術館(7/1~8/27)
・『歌川広重 山と海を旅する』 太田記念美術館(8/1~8/27)
・『フィンランド・グラスアート 輝きと彩りのモダンデザイン』 東京都庭園美術館(6/24~9/3)
・『聖像・仏像・彫像 柳宗悦が見た「彫刻」』 日本民藝館(6/29~9/3)
・『スペインのイメージ:版画を通じて写し伝わるすがた』 国立西洋美術館(7/4~9/3)
・『杉浦非水の大切なもの 初公開・知られざる戦争疎開資料』 川越市立美術館(7/8~9/3)
・『中村直人 モニュメンタル/オリエンタル』 目黒区美術館(7/15~9/3)
・『日本の美・鑑賞入門 しりとり日本美術』 出光美術館(8/5~9/3)
・『生誕100年 山下清展ー百年目の大回想』 SOMPO美術館(6/24~9/10)
・『魔法の美術館 光と遊ぶ超体感型ミュージアム』 そごう美術館(8/1~9/10)
・『開館20周年記念展 中川衛 美しき金工とデザイン』 パナソニック汐留美術館(7/15~9/18)
・『虫めづる日本の人々』 サントリー美術館(7/22~9/18)
・『房総の海をめぐる光と影とアート展 クワクボリョウタ《コレクションネット》』 千葉県立美術館(7/19~9/18)
・『糸で描く物語 刺繍と、絵と、ファッションと。』 静岡県立美術館(7/25~9/18)
・『冨安由真 影にのぞむ』 原爆の図丸木美術館(7/8~9/24)
・『横尾龍彦 瞑想の彼方』 埼玉県立近代美術館(7/15~9/24)
・『挑発関係=中平卓馬×森山大道』 神奈川県立近代美術館 葉山館(7/15~9/24)
・『開館10周年記念展 湖の秘密—川は湖になった』 市原湖畔美術館(7/15~9/24)
・『日本画に挑んだ精鋭たち —菱田春草、上村松園、川端龍子から松尾敏男へ—』 山種美術館(7/29~9/24)
・『生誕120年 棟方志功展 メイキング・オブ・ムナカタ』 青森県立美術館(7/29~9/24)
・『あの世の探検―地獄の十王勢ぞろい―』 静嘉堂@丸の内(8/11~9/24)
・『テート美術館展 光 —ターナー、印象派から現代へ』 国立新美術館(7/12~10/2)
・『うえののそこから「はじまり、はじまり」 荒木珠奈展』 東京都美術館(7/22~10/9)
・『恋し、こがれたインドの染織—世界にはばたいた布たち—』 大倉集古館(8/8~10/22)
・『Material, or』 21_21 DESIGN SIGHT(7/14~11/5)
・『特集展示 堅山南風《大震災実写図巻》と近代の画家 大観・玉堂・青邨・蓬春』 半蔵門ミュージアム(7/19~11/5)
・『ジョセフ・アルバースの授業 色と素材の実験室』 DIC川村記念美術館(7/29~11/5)
・『山田寅次郎展 茶人、トルコと日本をつなぐ』 ワタリウム美術館(8/11~11/19)
・『六甲ミーツ・アート芸術散歩2023 beyond』 六甲山上(8/26~11/23)

ギャラリー

・『ハシグチリンタロウ × 山本尚志 - GRAM FORCE –』 YUKIKOMIZUTANI(7/14~8/12)
・『ジュリア・チャン Remember That Time When What』 NANZUKA UNDERGROUND(7/15~8/13)
・『THE ENDING '23』 クリエイションギャラリーG8(8/1~9/2)
・『石内都 初めての東京は銀座だった』 資生堂ギャラリー(8/29~10/15)
・『ケリス・ウィン・エヴァンス個展』 エスパス ルイ・ヴィトン東京(7/20~2024/1/8)

まずは日本美術です。長野県立美術館にて『葛飾北斎と3つの信濃―小布施・諏訪・松本(後期)』が開かれます。



『葛飾北斎と3つの信濃―小布施・諏訪・松本(後期)』@長野県立美術館(8/3~8/27)

これは北斎のゆかりのある信濃の3地域と北斎の関わりに焦点をあてるもので、錦絵の揃物や美人画や花鳥画などの肉筆画のほか、上町及び東町祭屋台天井絵や岩松院の天井絵といった晩年の小布施時代の作品も公開されます。


すでに7月1日から前期展示がはじまっていて、8月より多くの作品が入れ替わり後期展示がスタートします。あまり深く知られていない小布施、諏訪、松本での北斎の活動を紐解く見応えのある内容となりそうです。

続いては画家、デザイナー、そして美術教師として活動したアルバースの日本初の回顧展です。DIC川村記念美術館にて『ジョセフ・アルバースの授業 色と素材の実験室』が行われます。



『ジョセフ・アルバースの授業 色と素材の実験室』@DIC川村記念美術館(7/29~11/5)

ドイツのバウハウスで学び、のちに教師として基礎教育を担ったジョセフ・アルバースは、渡米後にブラックマウンテン・カレッジや、イェール大学に勤務にすると、戦後のアメリカの芸術家たちを育てました。


そのアルバースの主に教育者としての活動に着目したのが今回の展覧会で、ジョセフ&アニ・アルバース財団の全面的な協力のもと、国内初公開作品を含む絵画や関連資料など約100点が展示されます。アルバースの出した課題に挑戦できるというワークショップ・スペースにも注目が集まるかもしれません。

最後は今年注目の芸術祭です。『六甲ミーツ・アート芸術散歩2023 beyond』が開かれます。



『六甲ミーツ・アート芸術散歩2023 beyond』@六甲山上(8/26~11/23)

2010年より神戸・六甲山上にて毎年行われてきた『六甲ミーツ・アート芸術散歩』は、六甲の自然ともにアート作品を楽しめる芸術祭として知られ、アートファンだけでなく多くの観光客にも親しまれてきました。


14回目を迎える今年は、招待アーティストの拡充や芸術祭の拠点づくり、また各会場を繋ぐトレイルへの作品展示など、内容を大幅に拡充して開催されます。関西最大級の芸術祭を目指し、新たなステージへと進む芸術祭として大きな話題を呼びそうです。

一部内容が重なりますが、イロハニアートにも今月おすすめしたい展覧会を寄稿しました。

【8月のおすすめ展覧会5選】Immersive MuseumからMOMATサマーフェス、それに魔法の美術館まで。 | イロハニアート

それでは8月もよろしくお願いします。
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