2024年7月に見たい展覧会【オバケ?展/ジャン=ミッシェル・フォロン/舟越桂】

関東では7月に入り、夏本番を思わせるような猛暑が続いています。今月は夏から秋に向けて多くの展覧会がスタートする時期です。見ておきたい展覧会をリストアップしてみました。



展覧会

・『企画展 歌と物語の絵 ― 雅やかなやまと絵の世界』 泉屋博古館東京(6/1~7/21)
・『国芳の団扇絵 ―猫と歌舞伎とチャキチャキ娘』 太田記念美術館(6/1~7/28)
・『カルティエと日本 半世紀のあゆみ「結 MUSUBI」展』 東京国立博物館(6/12~7/28)
・『梅津庸一|エキシビション メーカー』 ワタリウム美術館(5/12~8/4)
・『未来のかけら: 科学とデザインの実験室』 21_21 DESIGN SIGHT(3/29~8/12)
・『大成建設コレクション もうひとりのル・コルビュジエ~絵画をめぐって』 大倉集古館(6/25~8/12)
・『TRIO パリ・東京・大阪 モダンアート・コレクション』 東京国立近代美術館(5/21~8/25)
・『生誕140年 YUMEJI展 大正浪漫と新しい世界』 東京都庭園美術館(6/1~8/25)
・『内藤コレクション 写本 — いとも優雅なる中世の小宇宙』 国立西洋美術館(6/11~8/25)
・『柳宗悦と朝鮮民族美術館』 日本民藝館(6/15~8/25)
・『北斎 グレートウェーブ・インパクト ―神奈川沖浪裏の誕生と軌跡―』 すみだ北斎美術館(6/18~8/25)
・『超・日本刀入門 revive―鎌倉時代の名刀に学ぶ』 静嘉堂@丸の内(6/22~8/25)
・『岡本秋暉 百花百鳥に挑んだ江戸の絵師』 千葉市美術館(6/28~8/25)
・『美麗なるほとけ』 根津美術館(7/27~8/25)
・『シアスター・ゲイツ展:アフロ民藝』 森美術館(4/24~9/1)
・『伊藤潤二展 誘惑』 世田谷文学館(4/27~9/1)
・『幻想のフラヌール ─版画家たちの夢・現・幻』 町田市立国際版画美術館(6/1~9/1)
・『111年目の中原淳一』 渋谷区立松濤美術館(6/29~9/1)
・『五感であじわう日本の美術』 三井記念美術館(7/2~9/1)
・『徳川美術館展 尾張徳川家の至宝』 サントリー美術館(7/3~9/1)
・『鈴木康広展 ただ今、発見しています。』 二子玉川ライズ スタジオ & ホール(7/20~9/1)
・『PROJECT UMINOUE「五十嵐靖晃 海風」』 千葉県立美術館(7/13〜9/8)
・『神護寺 ─ 空海と真言密教のはじまり』 東京国立博物館(7/17~9/8)
・『巨大恐竜展2024』 パシフィコ横浜(7/13~9/13)
・『ポール・ケアホルム展 時代を超えたミニマリズム』 パナソニック汐留美術館(6/29~9/16)
・『髙田賢三 夢をかける』 東京オペラシティ アートギャラリー(7/6~9/16)
・『内藤礼 生まれておいで 生きておいで』 東京国立博物館(6/25~9/23)
・『CLAMP展』 国立新美術館(7/3~9/23)
・『吉田克朗展 ―ものに、風景に、世界に触れる』 埼玉県立近代美術館(7/13~9/23)
・『空想旅行案内人 ジャン=ミッシェル・フォロン』 東京ステーションギャラリー(7/13~9/23)
・『エッシャー 不思議のヒミツ』 豊田市美術館(7/13~9/23)
・『【特別展】没後25年記念 東山魁夷と日本の夏』 山種美術館(7/20~9/23)
・『平田晃久―人間の波打ちぎわ』 練馬区立美術館(7/28~9/23)
・『今森光彦 にっぽんの里山』 東京都写真美術館(6/20~9/29)
・『鴻池朋子展 メディシン・インフラ』 青森県立美術館(7/13~9/29)
・『「オバケ?」展』 PLAY! MUSEUM(7/13~9/29)
・『大地に耳をすます 気配と手ざわり』 東京都美術館(7/20~10/9)
・『特別展「昆虫 MANIAC」』 国立科学博物館(7/13~10/14)
・『空間と作品』 アーティゾン美術館(7/27~10/14)
・『舟越桂 森へ行く日』 彫刻の森美術館(7/26~11/4)
・『大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2024』 越後妻有里山現代美術館 MonET(7/13~11/10)
・『フィリップ・パレーノ:この場所、あの空』 ポーラ美術館(6/8~12/1)

ギャラリー

・『田原桂一「OPÉRA de PARIS」』 ポーラ ミュージアム アネックス(6/21~7/28)
・『イワン・エフェンディ「articulate-雄弁なものたち」』 ミヅマアートギャラリー(7/6~8/10)
・『MARK LECKEY』 エスパス ルイ・ヴィトン 東京(2/22~8/18)
・『2024 JAGDA 亀倉雄策賞・新人賞展』 ギンザ・グラフィック・ギャラリー(7/22~8/24)
・『稲葉友宏「THE STORIES THAT YOU SEE VOL.2」』 YUKIKOMIZUTANI(7/19~8/31)
・『辰野登恵子展/松井えり菜「アストラル・ドリーマー」』 ANOMALY(7/20~9/7)
・『ヨーゼフ・ボイス ダイアローグ展』 GYRE GALLERY(7/17~9/24)

まずはファミリーでも楽しめる夏休み向けの展覧会です。PLAY! MUSEUMにて『「オバケ?」展』が開かれます。



『「オバケ?」展』@PLAY! MUSEUM(7/13~9/29)

これは古今東西、さまざまな呼び名で登場したオバケをテーマに、約20組のクリエイターが多様に表現するもので、絵本『ねないこだれだ』を落語家の春風亭一之輔が朗読する部屋や、谷川俊太郎・谷川賢作親子によるオバケ音楽「けいとのたま」、さらにアニメーション作家・加藤久仁生の新作アニメーションなどが公開されます。


このほか絵本研究者の広松由希子が選ぶオバケ絵本や原画が展示されるほか、静嘉堂文庫美術館館長で、江戸時代の妖怪に詳しい安村敏信がオバケ・幽霊・妖怪の歴史をひも解きます。

続いては20世紀後半のベルギーを代表するアーティストの展覧会です。『空想旅行案内人 ジャン=ミッシェル・フォロン』が東京ステーションギャラリーにて行われます。



『空想旅行案内人 ジャン=ミッシェル・フォロン』@東京ステーションギャラリー(7/13~9/23)

1934年に生まれたフォロンは、若き日にマグリットの作品に感銘を受けて絵画に惹きつけられると、ドローイングを手がけ、のちにアメリカにて有力誌の表紙を飾るなどして注目を浴びました。

その後、ミラノ・トリエンナーレ(1968年)のフランス館で壁画を依頼されたほか、サンパウロ・ビエンナーレ(1973年)などでのベルギー代表としての参加するなど活動の幅を広げ、世界中から高く評価されてきました。

そうしたフォロンの活動を辿るのが今回の個展で、ドローイングから水彩画、版画、ポスター、そして晩年の立体作品など約230点が公開されます。幻想的で詩情に満ちながら、環境破壊や人権問題などへの告発が潜むフォロンの作品世界をまとめて見る良い機会となりそうです。

最後は今年3月に亡くなった彫刻家、舟越桂の展覧会です。彫刻の森美術館にて、『舟越桂 森へ行く日』が開催されます。

『舟越桂 森へ行く日』@彫刻の森美術館(7/26~11/4)


これは自らが「心象人物」と名付けた人物像を中心に、舟越の制作の軌跡を辿るもので、初期の『妻の肖像』(1979〜80年)から『山と水の間に』(1998年)、さらには『水に映る月蝕』(2004年)や『戦争を見るスフィンクスⅡ』(2006年)などの新旧の作品が展示されます。

Penオンラインに今年の7月から12月にかけてのおすすめの展覧会を寄稿しました。あわせてご覧いただければ幸いです。

Penが選んだ、2024年下半期「必見の展覧会」5選|Pen Online


しばらくブログは不定期での更新となります。それではどうぞよろしくお願いいします。
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『石川九楊大全』 上野の森美術館

上野の森美術館
『石川九楊大全』
2024/6/8~7/28



上野の森美術館にて書家、石川九楊の個展が開かれています。

それが『石川九楊大全』で、過去に石川が手がけた書作品2000点から選ばれた300点あまりが、前期【古典篇】と後期【状況篇】に分けて紹介されていました。

このうち6月の前期【古典篇】では、石川が1980年〜90年代に日本の「歎異抄」や「源氏物語」はじめ、中国の「李賀詩」といった古典文学を題材とした作品が展示されていて、とりわけ滲みを多用しながら主題の「涙」を表したという巨大な『李賀詩 感諷五首』(五連作)が目立っていました。

また「桐壺」から本文のない「雲隠」、そして「夢浮橋」へと至る全五十五帖を表した『源氏物語書巻』では、一点一点の作品に異なる筆触を用いつつ、物語の内容を暗示、あるいはえぐるとるように書いていて、現代アートすら連想させる石川の多様な表現を見ることができました。

このほか、石川自らが制作のターニングポイントとなったという『歎異抄 No.18』をはじめ、古代の象形文字を思わせるような『方丈記 No.5』、さらには抽象表現を思うような『屈原』なども見どころだったかもしれません。

私自身、2017年に同じ上野の森美術館にて開催された『書だ!石川九楊展』にて大いに感銘を受けましたが、時にさまざまな心象風景を喚起させたり、音楽のリズムすら感じさせる作品世界に改めて魅せられました。

展示替えについての情報です。出品作品は前期【古典篇】 と後期【状況篇】にてすべて入れ替わります。

前期【古典篇】 遠くまで行くんだ:2024年6月8日(土)~6月30日(日)
後期【状況篇】 言葉は雨のように降りそそいだ:2024年7月3日(水)~7月28日(日)

後期【状況篇】では初期の代表作 『エロイ・エロイ・ラマ・サバクタニ』および、続編である超大作『エロイエロイラマサバクタニ又は死篇』をはじめ、アメリカ同時多発テロ事件や福島第一原子力発電所事故、それに新型コロナウイルスのパンデミックやヨーロッパでの戦争など、石川が現代社会の混沌や病理をえぐった最新の自作詩などが公開されます。


なお『石川九楊大全』の前期【古典篇】の見どころや内容についてPenオンラインに寄稿しました。

石川九楊が切り開く、前人未踏の新たな書の世界。上野の森美術館にて「石川九楊大全」が開催中!|Pen Online

こちらでは主催者の許可をいただき、会場内を展示風景を掲載しています。あわせてご覧いただければ嬉しいです。

7月28日まで開かれています。

『石川九楊大全』@kyuyoh_taizen) 上野の森美術館@UenoMoriMuseum
会期:2024年6月8日(土)~7月28日(日)
 前期【古典篇】 遠くまで行くんだ:2024年6月8日(土)~6月30日(日)
 後期【状況篇】 言葉は雨のように降りそそいだ:2024年7月3日(水)~7月28日(日)
休館:7月1日(月)、7月2日(火)
時間:10:00~17:00
 *最終入館時間は16:30
料金:一般・大・高生2000円、中学生以下無料。
住所:台東区上野公園1-2
交通:JR線上野駅公園口より徒歩3分、東京メトロ・京成電鉄上野駅より徒歩5分。
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『ホー・ツーニェン エージェントのA』 東京都現代美術館

東京都現代美術館
『ホー・ツーニェン エージェントのA』 
2024/4/6〜7/7



1976年にシンガポールで生まれ、同地に在住して活動するアーティスト、ホー・ツーニェンは、東南アジアの歴史的な出来事や思想、またアイディンティティなどを綿密にリサーチしながら、映像やインスタレーションなど多様な作品を発表してきました。

そのホーの作品世界を紹介するのが『ホー・ツーニェン エージェントのA』で、最初期を含む6点の作品、および国内初公開となる最新作が展示されていました。


『ウタマ—歴史に現れたる名はすべて我なり』 2003年

まずデビュー作『ウタマ—歴史に現れたる名はすべて我なり』とは、シンガポールの国家の起源に着想を得た作品で、13世紀末にサンスクリット語で「ライオンの町」の意味する「シンガプーラ」と名付けたとされるバレンバンの王子、サン・ニラ・ウタマを取り上げ、多様な物語を表現していました。


『ヴォイス・オブ・ヴォイド―虚無の声』 2021年

またVRと6面の映像からなる『ヴォイス・オブ・ヴォイド—虚無の声』とは、山口情報芸術センター[YCAM]とコラボレーションして制作された作品で、1930年から40年代にかけて大きな影響力を持った京都学派の哲学者たちの戦争の倫理性や死といった思想を題材としていました。


『時間(タイム)のT』 2023年

このほか、42章の映像とテキストを用い、時間のさまざまなあり方を表した最新作の『時間(タイム)のT』も見応え十分といえるかもしれません。


『ホー・ツーニェン エージェントのA』展示風景

ホーといえば2021年、豊田市美術館で開かれた『ホー・ツーニェン 百鬼夜行』展に接し、妖怪を引用したアニメーション作品に大いに心引かれましたが、今回も時間にまつわるさまざまな素材を用いながら、会場全体を連動させるような展示に魅了されました。

東南アジアの多元的な歴史を紐解き、時間のパラレルなあり方を表現する。ホー・ツーニェン展の見どころ|Pen Online

なお会場では、6つの作品が3つの展示室において交互に上映されています。よって時間によって鑑賞できる作品が異なります。詳しくは公式サイト上のタイムテーブルをご参照ください。


7月7日まで開催されています。

『ホー・ツーニェン エージェントのA』 東京都現代美術館@MOT_art_museum
会期:2024年4月6日(土)〜7月7日(日)
休館:月曜日(4月29日、5月6日は開館)、4月30日、5月7日。
時間:10:00~18:00
 *展示室入場は閉館の30分前まで。
料金:一般1500(1200)円、大学・専門学校生・65歳以上1100(880)円、中高生600(480)円、小学生以下無料。
 *( )内は20名以上の団体料金。
 *コレクション展も観覧可。
住所:江東区三好4-1-1
交通:東京メトロ半蔵門線清澄白河駅B2出口より徒歩9分。都営地下鉄大江戸線清澄白河駅A3出口より徒歩13分。
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2024年6月に見たい展覧会【石川九楊大全/写本/内藤礼】

6月に入りました。今月は夏のシーズンに向けて多くの展覧会がスタートします。気になる展覧会をリストアップしてみました。



展覧会

・『どうぶつ百景 江戸東京博物館コレクションより』 東京ステーションギャラリー(4/27~6/23)
・『マツオヒロミ展 レトロモダンファンタジア』 弥生美術館(4/6~6/30)
・『吉田克朗展―ものに、風景に、世界に触れる』 神奈川県立近代美術館 葉山館(4/20~6/30)
・『民藝 MINGEI―美は暮らしのなかにある』 世田谷美術館(4/24~6/30)
・『ブランクーシ 本質を象る』 アーティゾン美術館(3/30~7/7)
・『石岡瑛子 I デザイン』 茨城県近代美術館(4/27~7/7)
・『Beautiful Japan 吉田初三郎の世界』 府中市美術館(5/18~7/7)
・『三島喜美代—未来への記憶』 練馬区立美術館(5/19~7/7)
・『出光美術館の軌跡 ここから、さきへⅡ 出光佐三、美の交感—波山・放菴・ルオー』 出光美術館(6/1~7/7)
・『古美術かぞえうた 名前に数字がある作品』根津美術館(6/1~7/15)
・『いざなぎ流のかみ・かたち —祈りを込めたヒトガタたち—』 横浜人形の家(4/20~7/21)
・『企画展 歌と物語の絵 ― 雅やかなやまと絵の世界』 泉屋博古館東京(6/1~7/21)
・『国芳の団扇絵 ―猫と歌舞伎とチャキチャキ娘』 太田記念美術館(6/1~7/28)
・『石川九楊大全』 上野の森美術館(6/8~7/28)
・『カルティエと日本 半世紀のあゆみ「結 MUSUBI」展』 東京国立博物館(6/12〜7/28)
・『梅津庸一|エキシビション メーカー』 ワタリウム美術館(5/12~8/4)
・『未来のかけら: 科学とデザインの実験室』 21_21 DESIGN SIGHT(3/29~8/12)
・『TRIO パリ・東京・大阪 モダンアート・コレクション』 東京国立近代美術館(5/21~8/25)
・『生誕140年 YUMEJI展 大正浪漫と新しい世界』 東京都庭園美術館(6/1~8/25)
・『内藤コレクション 写本 — いとも優雅なる中世の小宇宙』 国立西洋美術館(6/11~8/25)
・『柳宗悦と朝鮮民族美術館』 日本民藝館(6/15〜8/25)
・『北斎 グレートウェーブ・インパクト ―神奈川沖浪裏の誕生と軌跡―』 すみだ北斎美術館(6/18~8/25)
・『超・日本刀入門 revive―鎌倉時代の名刀に学ぶ』 静嘉堂@丸の内(6/22~8/25)
・『デ・キリコ展』 東京都美術館(4/27~8/29)
・『シアスター・ゲイツ展:アフロ民藝』 森美術館(4/24~9/1)
・『伊藤潤二展 誘惑』 世田谷文学館(4/27~9/1)
・『幻想のフラヌール ─版画家たちの夢・現・幻』 町田市立国際版画美術館(6/1~9/1)
・『カルダー:そよぐ、感じる、日本』 麻布台ヒルズギャラリー(5/30~9/6)
・『ポール・ケアホルム展 時代を超えたミニマリズム』 パナソニック汐留美術館(6/29~9/16)
・『フィロス・コレクション ロートレック展 時をつかむ線』 SOMPO美術館(6/22~9/23)
・『内藤礼 生まれておいで 生きておいで』 東京国立博物館(6/25~9/23)
・『今森光彦 にっぽんの里山』 東京都写真美術館(6/20〜9/29)
・『フィリップ・パレーノ:この場所、あの空』 ポーラ美術館(6/8~12/1)

ギャラリー

・『GOMA ひかりの世界』 GYRE GALLERY(5/4~6/29)
・『横山奈美個展「広い空に / Big Sky Mind」』 N&A Art SITE(5/31〜6/29)
・『八木幣二郎 Heijiro Yagi NOHIN: The Innovative Printing Company』ギンザ・グラフィック・ギャラリー(5/24~7/10)
・『フェイイ ウェン|パン カー 二人展』 シャネルネクサスホール(5/22~7/15)
・『森万里子「古事記」』 SCAI THE BATHHOUSE(6/8~7/27)
・『田原桂一「OPÉRA de PARIS」』 ポーラ ミュージアム アネックス(6/21~7/28)
・『「オドル ココロ」 資生堂のクリエイティブワーク』 資生堂ギャラリー(6/8~8/4)
・『MARK LECKEY』 エスパス ルイ・ヴィトン 東京(2/22~8/18)

まずは上野の森美術館です。書家、石川九楊の全容を紹介する『石川九楊大全』が開催されます。



『石川九楊大全』@上野の森美術館(6/8~7/28)

これは書の表現のみならず、現代美術の領域からも高く評価されてきた石川九楊の制作を、6月の【古典篇】と7月の【状況篇】に分けてたどるもので、展示作品を全て入れ替えた、連続する2つの異なる展覧会となります。


まず最初の【古典篇】では、歎異抄や源氏物語、それに中国の李賀の詩といった古典に取り組んだ作品が展示されます。一般的な書の概念を突き破るような石川の創作世界をじっくり味わう良い機会となりそうです。

続いては写本の展示です。国立西洋美術館にて『内藤コレクション 写本 — いとも優雅なる中世の小宇宙』が行われます。



『内藤コレクション 写本 — いとも優雅なる中世の小宇宙』@国立西洋美術館(6/11~8/25)

国立西洋美術館では2015年度、筑波大学・茨城県立医療大学名誉教授の内藤裕史より写本の一括寄贈を受けると、「内藤コレクション」として2019〜20年度に3期にわたり開催した小企画展にて紹介してきました。


それを今回初めて「内藤コレクション」を大々的に一括して展示するもので、国内の大学図書館の所蔵品も若干数加えた約150点の作例が公開されます。

最後は東博での現代美術展です。『内藤礼 生まれておいで 生きておいで』が東京国立博物館にて開かれます。



『内藤礼 生まれておいで 生きておいで』@東京国立博物館(6/25~9/23)

1961年に広島県にて生まれ、現在、東京を拠点に活動する内藤礼は、光、空気、水、重力など自然の事象を通して「地上の生の光景」を見出すと、インスタレーションを含めた多様な作品を生み出してきた。


その内藤が東京国立博物館の収蔵品、および建築空間に向き合って作品を手がけるのが『内藤礼 生まれておいで 生きておいで』で、平成館企画展示室をはじめ、本館特別5室や本館1階ラウンジなどさまざま場所にて展示が繰り広げられます。

内藤といえば、坂倉準三の建築に向き合った、旧神奈川県立近代美術館鎌倉での個展が強く印象に残っていますが、東博の空間をどう変容させるのかにも期待したいところです。

しばらくブログは不定期で更新します。それでは今月もよろしくお願いいたします。
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『開館一周年記念 加山又造 ―革新をもとめて』 下瀬美術館

下瀬美術館
『開館一周年記念 加山又造 ―革新をもとめて』 
2024/4/6~6/16


手前は加山又造の『華扇屏風』(山種美術館所蔵)をもとに制作された陶板の複製品

広島県大竹市の下瀬美術館にて、『開館一周年記念 加山又造 ―革新をもとめて』が開かれています。

その見どころと美術館についての紹介をPenオンラインに寄稿しました。

開館1周年! 瀬戸内を望む下瀬美術館で愛でたい、日本画家、加山又造の名品の数々。|Pen Online


左から加山又造『若い白い馬』(1950年頃)、『迷える鹿』(1954年)

今回の展覧会で紹介されているのは、猫をはじめとした動物のシリーズや、師の山本丘人の影響の見られる山岳風景、そして近世の日本絵画や北宋画を参照して生み出した水墨画などで、必ずしもよく知られているとはいえない又造と広島との意外な関係についても明らかにしていました。


加山又造『蒼い日輪』(1959年)

初期の意欲作『蒼い日輪』とは、戦後、先の見えない状況で経済的に苦しい生活を送っていた時期の作品で、自らの不安や心情を痩せ細ったカラスに投影して描きました。


加山又造『黄山雲海』(1995年) 

比較的晩年の『黄山雲海』とは、古来より水墨の題材となった中国の黄山を、自ら現地に取材した経験をもとに制作した作品で、同地の湿潤な空気をぼかしやたらし込み、またエアブラシなどの技法を駆使して見事に表していました。


左:加山又造・金重素山『金銀彩撫子文茶碗』、右『梅花文釘彫皿』(ともに1985年)

このほか、着物の図案や絵付けを行った陶器の展示も充実していたかもしれません。また中島千波や平山郁夫といった日本画家の作品や、又造と交流のあった小磯良平の油彩なども合わせて展示されていました。



下瀬美術館は10棟のヴィラとレストランなどからなる「SIMOSE」の中核施設として建てられたもので、これまでの展覧会にて雛人形や御所人形をはじめ、日本と西洋の近代絵画や西洋工芸など、丸井産業株式会社の代表取締役である下瀬ゆみ子が収集したコレクションが公開されてきました。



水盤の上に浮かぶ8つの可動展示室といった坂茂による建物はもちろん、瀬戸内海に面したロケーションも極めて魅力的といえるのではないでしょうか。



Penの記事では取材時に見学したヴィラについても写真(記事下段のギャラリー欄)にて紹介しました。あわせてご覧いただけると嬉しいです。


6月16日まで行われています。

『開館一周年記念 加山又造 ―革新をもとめて』 下瀬美術館@SimoseMuseum
会期:2024年4月6日(土)~6月16日(日) 
休館日:月曜日(祝日の場合は開館)
時間:9:30~17:00。
 *入場は16:30まで
料金:一般1800(1500)円、高校生・大学生900(800)円、中学生以下無料。
 *( )内は20名以上の団体(要予約)および大竹市民。
住所:広島県大竹市晴海2丁目10-50
交通:JR線大竹駅東口よりシャトルバス15分。(運行日程については公式サイトより時刻表を参照)
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