日本民藝館にて『生誕100年 柚木沙弥郎展』が開かれています

1922年に生まれた柚木沙弥郎は、20代半ばにして染色の道に進むと、染色を中心にガラス絵、版画、肉筆、絵本などを制作し続け、高く評価されてきました。



その柚木の生誕100年を期して開かれているのが『生誕100年 柚木沙弥郎展』で、展示の見どころについてPenオンラインに寄稿しました。

柚木沙弥郎の染色と民藝のコラボレーションが実現!日本民藝館にて展覧会が開催中|Pen Online

今回は国内屈指の130点を超える柚木コレクションより、初作品から近作に至る染色が公開されていて、本館正面の大階段に掲げられた注染幾何文布や型染布など、歴史ある建物を鮮やかに彩っていました。

柚木は1947年、染色の道に進むために日本民藝館の創設者である柳宗悦を訪ねると、芹沢銈介を紹介され、職人のもとで勉強するように勧められました。そして静岡県由比町にある正雪紺屋に住み込んで、染色の基礎を学んでいきました。いわば柚木にとって日本民藝館とは創作の原点とも呼べるかもしれません。

ハイライトは大展示室にて行われている「古作との併陳」で、柚木の染色とともに同館の所蔵する工芸品や土偶といったプリミティブな造形品があわせて並んでいました。幾何文布とともに統一新羅の犬型土偶が展示されていたりするなど、時代や地域を超えた作品同士の邂逅も面白いのではないでしょうか。


私が出向いた日はちょうど西館の公開日だったこともあり、会場内はかなり賑わっていました。日本民藝館だからこそ実現した柚木の染色と民藝、さらには建物のコラボに多くの人々が魅了されるのかもしれません。



大展示室のガラスケースの展示のみ撮影が可能です。(本エントリの写真も撮影可能エリアで撮影しました。)

4月2日まで開催中されています。

『生誕100年 柚木沙弥郎展』 日本民藝館
会期:2023年1月13日(金)〜4月2日(日)
休館:月曜日(祝日の場合は開館し、翌日休館)
時間:10:00~17:00。 *入館は16時半まで
料金:一般1200円、大学・高校生700円、中学・小学生200円。
住所:目黒区駒場4-3-33
交通:京王井の頭線駒場東大前駅西口から徒歩7分。駐車場(3台分)あり。
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2023年2月に見たい展覧会【江戸絵画の華 第2部/速水御舟/戸谷成雄】

今月は春に向けて数多くの展覧会がスタートします。気になる展覧会をリストアップしました。



展覧会

・『恵比寿映像祭2023 テクノロジー?』 東京都写真美術館(2/3~2/19)
・『没後200年 亜欧堂田善展 江戸の洋風画家・創造の軌跡』 千葉市美術館(1/13~2/26)
・『ウェンデリン・ファン・オルデンボルフ 柔らかな舞台』 東京都現代美術館(2022/11/12~2023/2/19)
・『交歓するモダン 機能と装飾のポリフォニー』 東京都庭園美術館(12/17~2023/3/5)
・『FACE展2023』 SOMPO美術館(2/18~3/12)
・『日本の切り絵 7人のミューズ』 そごう美術館(2/4~3/19)
・『山下麻衣+小林直人 —もし太陽に名前がなかったら—』 千葉県立美術館(1/25~3/21)
・『六本木クロッシング2022展:往来オーライ!』 森美術館(2022/12/1~2023/3/26)
・『Sit, Down. Sit Down Please, Sphinx.:泉太郎』 東京オペラシティ アートギャラリー(1/18~3/26)
・『広重おじさん図譜』 太田記念美術館(2/3~3/26)
・『没後190年 木米』 サントリー美術館(2/8~3/26)
・『速水御舟展』 茨城県近代美術館(2/21~3/26)
・『江戸絵画の華 〈第2部〉京都画壇と江戸琳派』 出光美術館(2/21~3/26)
・『仏具の世界 信仰と美のかたち』 根津美術館(2/18~3/31)
・『トンコハウス・堤大介の「ONI展」』 PLAY! MUSEUM(1/21~4/2)
・『佐伯祐三 自画像としての風景』 東京ステーションギャラリー(1/21~4/2)
・『山中現展 描かれた詩』 群馬県立館林美術館(1/28~4/2)
・『江上幹幸コレクション インドネシアの絣・イカット ~クジラと塩の織りなす布の物語~』 たばこと塩の博物館(1/21~4/9)
・『レオポルド美術館 エゴン・シーレ展 ウィーンが生んだ若き天才』 東京都美術館(1/26~4/9)
・『キャラクターデザインの先駆者 土方重巳の世界』 横須賀美術館(2/11~4/9)
・『マリー・ローランサンとモード』 Bunkamuraザ・ミュージアム(2/14~4/9)
・『世田谷美術館コレクション選 わたしたちは生きている! セタビの森の動物たち』 世田谷美術館(2/18~4/9)
・『芳幾・芳年―国芳門下の2大ライバル』 三菱一号館美術館(2/25~4/9)
・『ヒグチユウコ展 CIRCUS FINAL END』 森アーツセンターギャラリー(2/3~4/10)
・『本と絵画の800年 吉野石膏所蔵の貴重書と絵画コレクション』 練馬区立美術館(2/26~4/16)
・『ケアリング/マザーフッド:「母」から「他者」のケアを考える現代美術』 水戸芸術館(2/18~5/7)
・『第59回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展日本館展示帰国展 ダムタイプ|2022: remap』 アーティゾン美術館(2/25~5/14)
・『戸谷成雄 彫刻』 埼玉県立近代美術館(2/25~5/14)
・『クリスチャン・ディオール、 夢のクチュリエ』 東京都現代美術館(2022/12/21~2023/5/28)
・『部屋のみる夢—ボナールからティルマンス、現代の作家まで』 ポーラ美術館(1/28~7/2)

ギャラリー

・『A girl philosophy」ある少女の哲学安珠写真展』 CHANEL NEXUS HALL(1/18~2/12)
・『フェアトレード  現代アート産業と製陶業をめぐって 上田勇児・梅津庸一』 Kanda & Oliveira(1/17~2/18)
・『小谷元彦 個展 invasion』 ANOMALY(1/21~2/18)
・『第16回 shiseido art egg 岡ともみ展』 資生堂ギャラリー(1/24~ 2/26)
・『DNPグラフィックデザイン・アーカイブ収蔵作品より 動物会議 緊急大集合!』 ギンザ・グラフィック・ギャラリー(2/9~3/25)
・『仲條正義名作展』 クリエイションギャラリーG8(2/16~3/30)
・『中村裕太|ユアサエボシ 耽奇展覧』 ギャラリー小柳(1/28~3/31)
・『ポーラ ミュージアム アネックス展2023 —自立と統合—』 ポーラ ミュージアム アネックス(2/10~4/16)
・『ヴォルフガング・ティルマンス Moments of life展』 エスパス ルイ・ヴィトン 東京(2/2~6/11)

まずは江戸絵画です。出光美術館にて開催中の『江戸絵画の華』展が「若冲と江戸絵画」(第一部)より内容を入れ替え、「京都画壇と江戸琳派」(第二部)がはじまります。



『江戸絵画の華 〈第2部〉京都画壇と江戸琳派』@出光美術館(2/21~3/26)

「〈第2部〉京都画壇と江戸琳派」にて取り上げられるのは、円山応挙をはじめ、その影響下にあった源琦や山口素絢、それに岸駒といった京都画壇の絵師で、加えて江戸琳派の酒井抱一と鈴木其一、さらには中村芳中や酒井道一らの作品が紹介されます。ダイナミックな空間表現を見せる応挙の『懸崖飛泉図屏風』や、抱一の基準作の1つともいえる『十二か月花鳥図』などに人気が集まりそうです。

東京以外では約15年ぶりとなる大規模な回顧展です。茨城県近代美術館にて『速水御舟展』が開催されます。



『速水御舟展』@茨城県近代美術館(2/21~3/26)

日本画家、速水御舟は40年という短い生涯ながらも、常に変革を求めて絵に向かい続け、近代日本画を牽引した人物として高く評価されてきました。その御舟の画業を詳らかにするのが今回の展覧会で、本画100点と素描などが公開されます。


ちょうど水戸では梅まつりの時期(2/11〜3/19)とも重なるだけに、偕楽園へのお花見を兼ねて出かけるのも良いかもしれません。

最後は現代美術です。彫刻家、戸谷成雄の個展が埼玉県立近代美術館にて行われます。



『戸谷成雄 彫刻』@埼玉県立近代美術館(2/25~5/14)

1947年に長野県に生まれた戸谷成雄は、木材の表面をチェーンソーで彫り刻む「森」や「ミニマルバロック」シリーズなどの彫刻で知られ、1998年からは埼玉県秩父郡にアトリエを構えて制作を続けてきました。


その戸谷とゆかりの深い埼玉の地にて開かれるのが『戸谷成雄 彫刻』で、学生時代の彫刻作品から近年の最新シリーズなど約40点が公開されます。

イロハニアートでも2月のおすすめ展覧会を寄稿しました。

おすすめ展覧会5選【2023年2月】ヒグチユウコから速水御舟まで | イロハニアート


それでは今月もよろしくお願いします。
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『加藤泉一寄生するプラモデル』 ワタリウム美術館

ワタリウム美術館
『加藤泉一寄生するプラモデル』
2022/11/6〜2023/3/12



ワタリウム美術館で開催中の『加藤泉一寄生するプラモデル』を見てきました。



1969年に生まれた美術家の加藤泉は、2000年代から主に人型をした木彫を発表すると、ソフトビニール、石、布など幅広い素材を用いて作品を制作してきました。



その加藤がコロナ禍の中、じっくり向き合ったというプラモデルを中心に構成されたのが『加藤泉一寄生するプラモデル』で、「ジオラマ」シリーズをはじめ、木版画や石の作品などが展示されていました。



「ジオラマ」シリーズとは、ビンテージプラモデルと木彫を取り入れた作品で、山や海、草地などを木で象った上に、ソフトビニールによる人型とプラモデルが組み込まれていました。どことなくシュールな雰囲気も面白いかもしれません。



また人の顔をしつつ、4本の脚で馬のように立つ木彫の背中に、ゴリラや鳥などのプラモデルが乗っている大型の彫刻も目立っていました。一般的にプラモデルはつなぎ目を消すものの、あえて強調するように残しているのも興味深く感じました。



今回の個展で最も面白く思えたのが、『オリジナル・プラスチックモデル』と題されたプラモデルの作品でした。



これは加藤が重要な素材として用いる石をプラモデルに仕立てたもので、プラスチックのパーツだけでなく、パーツに貼るデカールから作品解釈を記したポスター、また組立説明書、さらに次回作を予告した箱までも作って展示していました。

自作の石をプラモデル化し、さらにひとつのパッケージとして見せるアイデアそのものも大変にユニークではないでしょうか。昔のプラモデルをオマージュしたようなビンテージ風の箱といった細部の作り込みにも大いに目を引かれました。



ワタリウム美術館より外苑西通りを挟んだ屋外のスペースでも、石を用いた人型の作品が公開されていました。これは宮城県石巻市にて開かれた『リボーンアートフェスティバル 2021-22』に出展されたもので、同地の採石場で取り出された稲井石を素材としていました。


石がプラモデルに!? 新たな素材と表現に挑戦する美術家、加藤泉の創作世界|Pen Online



3月12日まで開催されています。

『加藤泉一寄生するプラモデル』 ワタリウム美術館@watarium
会期:2022年11月6日(日)〜 2023年3月12日(日)
休館:月曜日。
時間:11:00~19:00 
 *毎週水曜日は21時まで開館。
料金:一般1200円、25歳以下(学生・高校生)及び70歳以上1000円、小・中学生500円。
 *ペア券:大人2人2000円。
住所:渋谷区神宮前3-7-6
交通:東京メトロ銀座線外苑前駅より徒歩8分。
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『石川直樹 写真展 ダウラギリ/カンチェンジュンガ/マナスル』 GYRE GALLERY

GYRE GALLERY
『石川直樹 写真展 ダウラギリ/カンチェンジュンガ/マナスル』 
2022/12/17〜2023/2/26



GYRE GALLERYで開催中の『石川直樹 写真展 ダウラギリ/カンチェンジュンガ/マナスル』を見てきました。

1977年に生まれ、世界各地を旅しながら撮影を続ける石川直樹は、冒険家としても山に挑み続け、エベレストやK2への遠征をはじめ、2016年には北アメリカ・アラスカ山脈最高峰のデナリへの単独登頂するなどの成果をあげてきました。



その石川が2022年春から秋にかけ、ヒマラヤへ出かけて撮影した写真を展示するのが『石川直樹 写真展 ダウラギリ/カンチェンジュンガ/マナスル』で、タイトルの通りにいずれも8000メートル級のカンチェンジュンガ、ダウラギリ、マナスルに登った際の写真が並んでいました。



このうち石川が「身体はズタボロの状態だった。」と語るのが世界で3番目に高いカンチェンジュンガへの登山で、頂上に迫るも、頂を間違えるというまさかの事態に陥って一度撤退し、その後、数日間の休養を経てどうにか登頂を果たしました。



また10年ぶりに向かったマナスルも雪崩が頻発し、頂上付近では強風にさらされるなど、緊迫した登山を強いられていて、こうしたエピソードを伺わせる映像も展示されていました。



石川の個展として思い出すのが、2019年に東京オペラシティアートギャラリーにて開かれた『石川直樹 この星の光の地図を写す』で、1990年代後半から同年近くにて世界各地にて撮影した写真が公開されていました。



一連の大自然を捉えた風景はもとより、現地の人々を写した写真にも魅力があるのではないでしょうか。コロナ禍以降、最近の石川の活動を伺い知ることができました。



なおGYRE地下1階では石川のドームテントが公開されていて、中ではマナスル登山時の映像を見ることができました。


コロナ禍を乗り越え、石川直樹が再びヒマラヤの山々へと挑む。GYRE GALLERYにて個展が開催中|Pen Online



2月26日まで開催されています。

『石川直樹 写真展 ダウラギリ/カンチェンジュンガ/マナスル』 GYRE GALLERY
会期:2022年12月17日(土)〜2023年2月26日(日)
休廊:不定休(12月31日、2023 年1月1日、2月20日は休館)
時間:11:00~20:00
料金:無料
住所:渋谷区神宮前5-10-1 GYRE 3F
交通:東京メトロ千代田線・副都心線明治神宮前駅4番出口より徒歩3分。東京メトロ銀座線・半蔵門線・千代田線表参道駅A1出口より徒歩4分。
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静嘉堂@丸の内にて「七福うさぎ」が公開されています

昭和の名工である京都の人形司、丸平大木人形店の五世大木平藏が作った御所人形、通称「七福うさぎ」が、静嘉堂@丸の内にて公開されています。



その『初春(はつはる)を祝う ―七福うさぎがやってくる!』の見どころについて、イロハニアートへ寄稿しました。

七福うさぎの魅力に迫ろう!静嘉堂@丸の内にて開催中 | イロハニアート

この「七福うさぎ」とは、三菱第四代社長で静嘉堂のコレクションを拡充した岩﨑小彌太の還暦を祝い、夫人の孝子からの特別の注文により作られた『木彫彩色御所人形』のことで、小彌太が卯年であることから人形にはうさぎの冠がつけられました。

人形の数は全部で58体に及んでいて、七福神たちの「宝船曳」と「興行列」を中心に、「鯛車曳」、「楽隊」、「餅つき」の5つのグループからなっていました。

いずれも笑みを浮かべながら楽器を奏でたり餅をつくなど、楽しそうに寿ぎの宴を繰り広げていて、それこそ新年を寿ぐにふさわしい作品といえるかもしれません。

また展示では「七福うさぎ」のほかに、日本や中国の寿ぎの絵画なども公開されていて、不老不死や多産の象徴であったうさぎがさまざまに表現されている様子を見ることができました。

一連のうさぎの作品で目を引いたのは、清末期の宮廷画家だった李培雨の『兎図』と『双兎図』で、柘榴の木や竹といった植物とともに、白と黒のうさぎが鮮やかな色彩にて描かれていました。


このほかにも丸の内へ移転開館記念展『響きあう名宝―曜変・琳派のかがやき―』でも人気を集めた国宝の『曜変天目』も公開されていて、器の中に広がる神秘的な光のきらめきを目の当たりにできました。

2月4日まで開催されています。

『初春(はつはる)を祝う ―七福うさぎがやってくる!』 静嘉堂@丸の内@seikadomuseum
会期:2023年1月2日(月・振休)〜2月4日(土)
休館:月曜日、1月10日(火)
時間:10:00~17:00
 *入館は閉館の30分前まで
 *金曜日は18時まで開館
料金:一般1500円、大学・高校生1000円、中学生以下無料。
場所:千代田区丸の内2-1-1 明治生命館1F
交通:東京メトロ千代田線二重橋前〈丸の内〉駅3番出口直結。JR線東京駅丸の内南口より徒歩5分。
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