「Takahiro Matsuo「INTENSITY」 ポーラミュージアムアネックス

ポーラミュージアムアネックス
「Takahiro Matsuo「INTENSITY」
2020/7/27~9/6



ポーラミュージアムアネックスで開催中の「Takahiro Matsuo「INTENSITY」を見てきました。

1979年に福岡に生まれたアーティスト松尾高弘は、映像、照明、オブジェクトからなる光のインスタレーションを手掛け、2009年にはミラノサローネでのキヤノン「NEOREAL」展にも出展するなど国内外で活動してきました。

その松尾のポーラミュージアムアネックスとしては9年ぶりの個展が「INTENSITY(=強度)」で、光のエネルギーやコントラストを知覚できる3点の作品を公開していました。



まず目を引いたのが、横長のスクリーンを用いた映像インスタレーション「Phenomenon / フェノメノン」で、火の粉を思わせるようなオレンジ色の小さなドットが、大きく波打つようにして広がっていました。

しかし無数の粒子の振幅は一定でなく、常にフォルムを変えながら漂っていて、暗がりに消えていくこともありました。これは気流や炎などの流体を「現象美」(公式サイトより)として映したもので、粒子の数は実に数百万個にも及んでいました。しばらく粒子の運動を眺めていると、あたかも宇宙に生成し、また消滅する星々の運動のようにも思えました。



次に暗室で光り輝いていたのが、透明なプリズム多面体を用いた「FLARE / フレア」と呼ばれるライティングオブジェクトでした。



複雑な氷の結晶体のようなプリズムは、四方に光を放つというよりも、光を内に秘めては蓄えているようで、あたかも光そのものが物質化されたかのような質感を見せていました。これほど白く美しい光を目にしたのも久しぶりと感じるほどかもしれません。



今回の個展で最も大きいインスタレーションが、水とLEDの光を用いた「SPECTRA / スぺクトラ」でした。ちょうど暗室の中央に円形状のステージがあり、上部から絶えず水が落ちながら、宝石のような光を瞬いていました。



水は雨のように降り注いだかと思うと、止むように少なくなったりして、絶えず変化を繰り返していました。また見る角度や水の反射によって光が変わっていくのも特徴で、しばらく周囲を巡っては見入りました。



松尾は近年、ブランドとのタイアップにより光のアートワークを数多く手掛けています。今後はパブリックなスペースでも光の作品が多く公開されていくのかもしれません。

新型コロナウイルス感染症対策のため、ウェブサイトでの事前予約制が導入されました。また閉館時間が通常の20時から18時40分までと短縮されました。


入場指定時間枠は各回40分ほど設定されていましたが、開始時間に入場者が集中しているように見受けられました。少し時間をずらして出向くのも良いかもしれません。(各回入れ替え制)

土日は事前に予約が埋まる傾向にあります。9月6日まで開催されています。

「Takahiro Matsuo「INTENSITY」 ポーラミュージアムアネックス@POLA_ANNEX
会期:2020年7月27日(月)~9月6日(日)
休館:7月27日(月)、8月11日(火)、8月24日(月)
料金:無料
時間:11:00~18:40 
住所:中央区銀座1-7-7 ポーラ銀座ビル3階
交通:東京メトロ有楽町線銀座1丁目駅7番出口よりすぐ。JR有楽町駅京橋口より徒歩5分。
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「鴻池朋子 ちゅうがえり」 アーティゾン美術館

アーティゾン美術館
「ジャム・セッション 石橋財団コレクション×鴻池朋子 鴻池朋子 ちゅうがえり」
2020/6/23~10/25



アーティゾン美術館で開催中の「ジャム・セッション 石橋財団コレクション×鴻池朋子 鴻池朋子 ちゅうがえり」を見てきました。

旧ブリジストン美術館より名を改め、2020年に開館したアーティゾン美術館が、石橋財団のコレクションを踏まえて現代美術家が展示を行う、「ジャム・セッション」シリーズを立ち上げました。

その第1弾に当たるのが「石橋財団コレクション×鴻池朋子 鴻池朋子 ちゅうがえり」で、現代美術家の鴻池朋子が、クールベやコローといったコレクションを引用しつつ、大掛かりなインスタレーションを展開していました。



さて展示室へ足を踏み入れた途端、鴻池の築いたイリュージョンとも言うべき空間に圧倒されたのは私だけではないかもしれません。



まず入口横には牛革を用いた「皮トンビ」が吊り下がっていて、中央には足場スロープと滑り台を有した円形の大きな襖絵が設置されていたと思うと、奥には赤や青の鮮やかな色彩によって森羅万象を描いたような壁画が立ちはだかっていました。



また壁画や襖絵などの巨大な作品の他にも、陶に鏡、木、それに布に毛皮を用いた小型の作品も点在していて、生き物や大地のモチーフの入り混じった一大ランドスケープを築いていました。



いずれもが互いに関わり合いながら、強烈な存在感を放っていて、思わずここが美術館であることを忘れるほどでした。解説に「観客の視点をちゅうがえりさせる」とありましたが、確かに視点や感性を大きく揺さぶられる展示であることは間違いありません。



スロープをゆっくり上がり、展示室を見渡しながら進むと、頂点より襖絵へ向かって降りる滑り台が設置されていて、実際に滑り落ちることも可能でした。



ちょうど正面の襖絵には、天体や大海原に巨大なアメーバのような生物がうごめくような光景が描かれていて、それを目にしながら滑っていくと、あたかも未知の宇宙に投げ出されるかのような錯覚に陥りました。



これほど巨大なインスタレーションを前にすると、視覚だけでなく、身体全体を用いることで、はじめて作品世界と向き合うことができるのかもしれません。



滑り落ちた後、壁画に見入りながら、裏手へと進むと、暗がりの一角に妖怪のようなモチーフを映し出した「影絵灯籠」が現れました。



自転車の車輪を重ねた装置には、紙がぶら下がっていて、モーターの力で回転しながら、LEDライトによって影絵が生み出されていました。それこそ魑魅魍魎な百鬼夜行を思わせる光景が広がっていて、あたかも冥界へと誘われたかのようでした。



2006年の大原美術館の個展で初めて作品に取り込んで以来、鴻池が重要視している素材の1つが、害獣駆除で殺された野生動物の毛皮でした。



今回の個展においても「森の小径」と題し、オオカミやシカ、クマなどの毛皮を使ったインスタレーションを展開していて、中を通り抜けることができました。



だらりと垂れる毛皮の合間を歩いていると、人間の立ち入ってはならない、動物だけの潜む洞窟の中を彷徨っているかのような印象も与えられました。



この他、鴻池自身による映像作品なども展示されていて、どこか野生の気配が漂いつつ、いわば一つの生態系を形成しているような会場内を何度も行き来しては、作品世界に浸りました。



都内では東京オペラシティーアートギャラリーの「インタートラベラー神話と遊ぶ人たち」(2009年)、また関東では神奈川県民ホールギャラリーの「根源的暴力」(2015年)以来の大規模な個展となります。



同時開催中の「第58回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展 日本館展示帰国展 Cosmo- Eggs| 宇宙の卵」と「石橋財団コレクション選 特集コーナー展示 新収蔵作品特別展示:パウル・クレー」とともにおすすめしたいと思います。(チケットは共通)


10月25日まで開催されています。

*写真は全て「鴻池朋子 ちゅうがえり」。会場内の撮影が可能です。

「ジャム・セッション 石橋財団コレクション×鴻池朋子 鴻池朋子 ちゅうがえり」 アーティゾン美術館@artizonmuseumJP
会期:2020年6月23日(火)~10月25日(日) *会期変更
休館:月曜日。(但し8月10日、9月21日は開館)。8月11日、9月23日。
時間:10:00~18:00
 *毎週金曜日の20時まで夜間開館は当面休止。
 *入館は閉館の30分前まで。
料金:【ウェブ予約チケット】一般1100円、大学・高校生無料(要予約)、中学生以下無料(予約不要)。
 *事前日時指定予約制。
 *ウェブ予約チケットが完売していない場合のみ当日チケット(1500円)も販売。
住所:中央区京橋1-7-2
交通:JR線東京駅八重洲中央口、東京メトロ銀座線京橋駅6番、7番出口、東京メトロ銀座線・東西線・都営浅草線日本橋駅B1出口よりそれぞれ徒歩約5分。
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「OKETA COLLECTION: A NEW DECADE」 スパイラルガーデン

スパイラルガーデン
「OKETA COLLECTION: A NEW DECADE」
2020/7/23~8/10



スパイラルガーデンで開催中の「OKETA COLLECTION: A NEW DECADE」を見てきました。

ファッションビジネスに携わってきた桶田俊二、聖子夫妻は、2000年代より美術品の収集をはじめ、2010年に草間彌生の作品と出会うと、コンテンポラリーアートを中心としたコレクションを築きました。

その桶田夫妻のコレクションを公開するのが「OKETA COLLECTION: A NEW DECADE」で、国内外の現代アーティストらの作品、約20点が展示されていました。


奈良美智「Collage of Previously Unreleased Drawing II」 2013年

冒頭の国内のアーティストの作品からして大変に充実しているかもしれません。まず並んでいたのは、草間彌生、村上隆、奈良美智らの平面の作品で、螺旋のスロープのあるアトリウムの中央には、名和晃平の「pixCell-Deer #49」がまばゆいばかりの光を放っていました。


名和晃平「pixCell-Deer #49」 2017年

「pixCel」シリーズは名和の代表的な作品で、インターネットを通して入手された動物の剥製を、大小様々なガラスビーズで覆っていました。中の剥製がガラス越しに映りつつも、ビーズへ反射した周辺の景色が混じり合うように見えるのも面白いかもしれません。


五木田智央「Come Play with Me」 2018年

また国内の作家では、2018年に東京オペラシティアートギャラリーで個展を開いた、五木田智央の絵画も目立っていました。ちょうど当時の個展のメインヴィジュアルを飾った「Come Play with Me」が展示されていて、モノクロームながらも肉感的とも言える独特な筆触に強く見入るものがありました。

さて私が今回の展示で特に興味深かったのは、オスカー・ムリーリョ、ヴィルヘルム・サスナル、サーニャ・カンタロフスキー、タラ・マダニ、マシュー・デイ・ジャクソンなどの海外の作家でした。


オスカー・ムリーリョ「VS(224,700ft) night into day」 2015〜2016年
 
1986年にコロンビアで生まれ、ロンドンで活動するオスカー・ムリーリョの「VS(224,700ft) night into day」は、キャンバスに綿布を支持体に、赤や黒の色彩が染みるように広がっていて、時に文字がコラージュのように組み合わさっていました。解説に「肌に馴染んだ手触り」とありましたが、切れ込みの入った色面など、表面の荒々しいまでの質感にも魅力が感じられるかもしれません。


ヴィルヘルム・サスナル「Untitled」 2019年

一方で象徴派の絵画などを連想させたのが、1972年にポーランドで生まれたヴィルヘルム・サスナルの「Untitled」でした。ここでは手前に観客のいる舞台と思しきスペースに、白いドレスを纏った女性が立つ姿が描かれていて、黒と白の強烈なコントラストや、全体の平面的な色面など、デフォルメしたような構成も個性的に思えました。リアルな光景が浮かび上がってくるようで、あたかも幻を目にするかのような印象も与えられました。


サーニャ・カンタロフキー「Good Host II」 2019年

1982年にモスクワで生まれ、ニューヨークを拠点とするサーニャ・カンタロフキーの「Good Host II」も魅惑的ではないでしょうか。長い髪を結った女性が、ブルドッグを思わせる黒い犬を抱いていて、扉の前には赤い腕を肩に添えられた子どもの姿を見ることができました。まるでドラマの一場面のようでありながらも、表情の伺えない子どもや、暗闇からいきなり出現する腕など、奇妙な雰囲気も漂っていて、シュールにも映りました。なお作家は一昨年、日本に滞在し、木版画を制作していて、構図などに浮世絵を彷彿させる面も見られるそうです。


マシュー・デイ・ジャクソン「Solipsist Ⅶ」 2018年

この他、地表を極めて高い位置から俯瞰するようなイメージを築きつつ、何やら破滅を連想させるような恐怖感を覚えるマシュー・デイ・ジャクソンの「Solipsist Ⅶ」も印象に残りました。「勢いのあるラインナップ」と案内されていましたが、確かに国内の美術館でも見慣れないアーティストの作品が少なくなく、私としては発見と刺激の多い展覧会でもありました。


ゲルハルト・リヒター「Abstract Painting (940-3)」 2015年

新型コロナウイルス感染症対策に伴う情報です。観覧は事前予約制です。ArtSickerの専用サイト(https://artsticker.app/share/events/detail/179)より予約をする必要があります。また入場時に検温が実施され、消毒液も準備されています。


そのArtSickerのスマホアプリから試聴できる音声ガイドも用意されていました。会場でもイヤホンを事前に用意すれば、音声ガイドを聞くことができます。(イヤホンの貸し出しはなし。)


松山智一「Sing It Again Sweet Sunshine」 2019年

2019年4月にもスパイラルにて桶田夫妻のコレクションが一般に公開され、12日間の会期で12000名もの来場者を集めました。そして今回の第2弾となる「A NEW DECADE」にはコロナ禍の今、新しいライフスタイルを考えては、「アートの力」(公式サイトより)を感じ、明るい「新たな10年」となるように願いが込められているそうです。



入場は無料です。8月10日まで開催されています。*トップの写真の作品はウーゴ・ロンディノーネ「Blue pink mountain」(2019年)

「OKETA COLLECTION: A NEW DECADE」 スパイラルガーデン@SPIRAL_jp
会期:2020年7月23日(木)~8月10日(月)
休館:会期中無休
時間:11:00~20:00
料金:無料
住所:港区南青山5-6-23
交通:東京メトロ銀座線・半蔵門線・千代田線表参道駅B1出口すぐ。
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2020年8月に見たい展覧会【月岡芳年/STARS展/ブリューゲル展映像配信】

関東でも8月1日にようやく梅雨が明け、夏らしい晴天の日が続くようになってきました。

全国的に新型コロナウイルスの感染の確認が相次いでいますが、多くの美術館は入場者数の制限や検温、消毒の徹底など、感染症の対策を踏まえた上で開館しています。今月に見たい展覧会をリストアップしてみました。

展覧会

・「第9回新鋭作家展 ざらざらの実話」 川口市立アートギャラリー・アトリア(6/9~8/30)
・「開館15周年記念特別展 三井家が伝えた名品・優品 第二部 日本の古美術」 三井記念美術館(8/1~8/31)
・「写真と映像の物質性」 埼玉県立近代美術館(6/2~9/6)
・「洋風画と泥絵 異国文化から生れた『工芸的絵画』」 日本民藝館(6/9~9/6)
・「開校100年 きたれ、バウハウス―造形教育の基礎」 東京ステーションギャラリー(7/17~9/6)
・「アート・スコープ 2018-2020」 原美術館(7/23~9/6)
・「あるがままのアート―人知れず表現し続ける者たち」 東京藝術大学大学美術館(7/23~9/6)
・「おいしい浮世絵展~北斎 広重 国芳たちが描いた江戸の味わい~」 森アーツセンターギャラリー(7/15~9/13)
・「真珠-海からの贈りもの」 渋谷区立松濤美術館(6/2~9/22)
・「安野モヨコ展 ANNORMAL」 世田谷文学館(7/1~9/22)
・「和巧絶佳展 令和時代の超工芸」 パナソニック汐留ミュージアム(7/18~9/22)
・「画家が見たこども展」 三菱一号館美術館(6/9~9/22)
・「美の競演ー静嘉堂の名宝」 静嘉堂文庫美術館(6/27~9/22)
・「The UKIYO-E 2020 ─ 日本三大浮世絵コレクション」 東京都美術館(7/23~9/22)
・「あしたのひかり 日本の新進作家 vol.17」 東京都写真美術館(7/28~9/22)
・「日産アートアワード2020」 ニッサンパビリオン(8/1~9/22)
・「東京モダン生活 東京都コレクションにみる1930年代」 東京都庭園美術館(6/1~9/27)
・「Re construction 再構築」 練馬区立美術館(7/8~9/27)
・「近代日本画の華~ローマ開催日本美術展覧会を中心に」 大倉集古館(8/1~9/27)
・「2020イタリア・ボローニャ国際絵本原画展」 板橋区立美術館(8/22~9/27)
・「月岡芳年 血と妖艶」 太田記念美術館(8/1~10/4)
・「ヨコハマトリエンナーレ2020」 横浜美術館(7/17~10/11)
・「田中信太郎展 風景は垂直にやってくる」 市原湖畔美術館(8/8~10/18)
・「ふたつのまどか―コレクション×5人の作家たち」 DIC川村記念美術館(6/16~11/29)
・「STARS展:現代美術のスターたち―日本から世界へ」 森美術館(7/31~2021/1/3)

ギャラリー

・「臼井良平 Solid, State, Survivor」 無人島プロダクション(7/4~8/9)
・「OKETA COLLECTION: A NEW DECADE」 スパイラルガーデン(7/23~8/10)
・「杉本博司|Past Presence」 ギャラリー小柳(3/14~8/29)
・「TDC 2020」 ギンザ・グラフィック・ギャラリー(6/22~8/29)
・「リチャード・セラ:ドローイング」 ファーガス・マカフリー 東京(6/20〜8/29)
・「西澤知美:The skin you are now in」 アートフロントギャラリー(7/31~8/30)
・「Takahiro Matsuo INTENSITY」 ポーラミュージアム アネックス(7/20~9/6)
・「菅木志雄 放たれた景空」 小山登美夫ギャラリー(8/21~9/26)

まずは浮世絵です。幕末から明治時代にかけて活動した絵師、月岡芳年の展覧会が、太田記念美術館にて開催されます。



「月岡芳年 血と妖艶」@太田記念美術館(8/1~10/4)


これは月岡芳年の魅力を「血」、「妖艶」、「闇」の3つのキーワードから探るもので、前後期を合わせて約150点の作品が公開されます。(全点展示替え)。現在、森アーツセンターギャラリーの「おいしい浮世絵」や、東京都美術館の「The UKIYO-E 2020」など、都内各地で浮世絵展が行われていますが、あわせて見ておきたい展覧会と言えそうです。

続いては現代美術です。新型コロナウイルス感染症の影響で長く休館していた森美術館が再開し、「STARS展:現代美術のスターたち―日本から世界へ」がはじまりました。



「STARS展:現代美術のスターたち―日本から世界へ」@森美術館(7/31~2021/1/3)


同展では国内外で幅広く活躍する、草間彌生、李禹煥、宮島達男、村上隆、奈良美智、杉本博司の6名のアーティストの軌跡を辿るもので、新旧作を交えつつ、制作の全体像を紹介していきます。ともかくビックネームが揃っているだけに、壮観な展示となるかもしれません。

最後に展覧会に関するオンライン配信の情報です。2018年から2019年にかけ、東京、愛知、北海道、広島、福島の5会場を巡回した「ブリューゲル展 画家一族 150年の系譜」展の音声ガイドが、作品とともに楽しめる映像コンテンツとしてリメイクされ、7月27日から期間限定にて配信されています。

【『ブリューゲル展 画家一族150年の系譜』映像コンテンツ特別配信】



■コンテンツ内容:16世紀のフランドルを代表する画家ピーテル・ブリューゲル1世にはじまり、5世代150年とわ たる画家一族の歴史と名画の秘密に迫る物語。絵画の世界へ迷いこむ、不思議な旅へと誘います。番外編「ブリューゲルお悩み相談室」では、模写のコツ伝授、画家の生活も紹介。
■ナビゲーター:石田彰
■配信料:700円
■動画配信サービス「Hulu」
https://www.hulu.jp/store/brueghel‒150‒years‒of‒an‒artistic‒dyn‒asty
販売期間:7月27日(月)12:00〜9月27日(日)23:59
■チケットぴあ「PIA LIVE STREAM」
https://w.pia.jp/t/brueghel‒pls/
販売期間:7月27日(月)12:00〜9月27日(日)18:00
*ともに購入した場合は9月29日(火)23:59 まで視聴可能


ナビゲーターは、音声ガイドを担当した声優の石田彰さんが務め、動画配信サイトの「Hulu」、もしくはチケットぴあの「PIA LIVE STREAM」にて視聴することができます。配信料は700円です。いわゆるコロナ禍の今、開催中止となった「ボストン美術館展 芸術×力」の音声ガイドの映像配信など、様々な取り組みがなされていますが、また新たなコンテンツとして注目を集めるかもしれません。

それでは今月もどうぞよろしくお願いします。
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「樂歴代 用の美−作陶の広がり」 樂美術館

樂美術館
「樂歴代 用の美-作陶の広がり」
2020/3/14~9/6



樂美術館で開催中の「樂歴代 用の美-作陶の広がり」を見てきました。

安土桃山時代、初代長次郎によって創設された樂焼は、赤や黒の茶碗だけでなく、水指、花入、懐石道具など、時に三彩技法を反映した様々なうつわをつくり続けてきました。

そうした樂歴代の多様な作陶を紹介するのが「用の美-作陶の広がり」で、長次郎から十五代直入までの手がけた焼きものを中心とした作品、約50点ほどが展示されていました。


「素三彩魚蝦文盤」

樂焼のルーツとされる三彩にも優品が少なくありません。そのうち中国の明の時代の「素三彩魚蝦文盤」は、緑、黄色などの色を用いた盤で、長次郎も同様の技法を持つ三彩の鉢、「三彩瓜文平鉢」を制作しました。現在は東京国立博物館に収蔵されているそうです。


五代 宗入「三彩瓔珞文鉢」

五代宗入の「三彩瓔珞文鉢」にも魅せられました。緑釉に赤樂の技法による鉢は肉厚で、周囲には古代インドの装身具に遡り、吉祥の柄とされる瓔珞(ようらく)の紋様が施されていました。そこには抽象的な美意識を見出すこともできるかもしれません。


六代 左入「香炉釉木瓜形牡丹彫文皿」、「緑釉木瓜形牡丹彫文皿」

縁に牡丹の模様を彫った六代左入の「香炉釉木瓜形牡丹彫文皿」や「緑釉木瓜形牡丹彫文皿」にも目がとまりました。いずれも木瓜の形をした皿や向付で、三彩の色釉も鮮やかに彩られていました。それこそお刺身などを盛ると映えて見えるのではないでしょうか。


十二代 弘入「大津絵汲出茶碗」

十二代弘入の「大津絵汲出茶碗」も可愛らしい作品でした。江戸時代初期より滋賀で伝わる民俗絵画、大津絵のモチーフを茶碗に象っていて、瓢箪鯰や鬼念仏などがまるでゆるキャラを思わせるタッチで描かれていました。樂家では九代了入以来、隠居後は滋賀の石山の地にて作陶を行ってきた歴史を有していて、まさにご当地ならではのうつわと言えるかもしれません。


十二代 弘入「宋胡録大鉢」

同じく十二代弘入の「宋胡録大鉢」は、タイの伝統的な古陶磁窯に倣った作品で、ろくろを用いずに樂家伝統の手捏ねで形が造られました。鉄絵によって描かれた、風に靡くような勢いのある草花の模様も魅力的に思えました。


三代 道入「織部釉樂茶碗 銘 光陰」

三代道入の「織部釉樂茶碗 銘 光陰」の佇まいにも心を引かれました。織部の様式を取り入れた茶碗で、緑釉が口縁より垂れるようにかけられていました。ねっとりと広がるような濃い釉薬と、比較的明るい地のコントラストも美しいかもしれません。


初代 長次郎「向獅子香炉」

初代長次郎の「向獅子香炉」も興味深いのないでしょうか。そもそも長次郎の茶碗以外の作品は極めて少なく、確定されているものは「二彩獅子像」に過ぎませんが、この作品も箱書の書付けによれば長次郎だと考えられるそうです。


初代 長次郎「黒樂茶碗 銘 勾当」

この他にも長次郎の「黒樂茶碗 銘 勾当」や十五代直入の「焼貫黒樂茶碗 銘 猫割り手」など惹かれた作品を挙げればきりがありません。


十五代 直入「焼貫黒樂茶碗 銘 猫割り手」 1985年頃 樂家蔵

茶の湯から広がる樂焼の多様な造形の魅力に改めて見入りました。



新型コロナウイルス感染症対策に伴う情報です。まず開館時間が一部短縮し、閉館が16時まで(最終入場は15時半まで)となりました。



入場時には、マスク着用をはじめ手指の消毒のほか、混雑を緩和するため10名以上のグループは入館することができません。さらに館内の同時入館数が20名と制限されています。



私自身、実に約13年ぶりに樂美術館を訪れましたが、窯元の樂家に隣接して建てられた美術館の佇まいは、かつてと同様にひっそりとしていて、ゆったりとした時間の流れる館内にて樂焼の名品を愛でることができました。



また当時は撮影が叶いませんでしたが、今回は携帯やスマホに限って、写真を自由に撮ることも可能でした。



9月6日まで開催されています。

「樂歴代 用の美-作陶の広がり」 樂美術館
会期:2020年3月14日(土)~9月6日(日)
休館:月曜日。但し祝日の場合は開館。展示替え期間。
時間:10:00~16:00。
 *最終入館は15時半まで。
 *短縮開館を実施。
料金:一般1000円、大学生800円、高校生400円、中学生以下無料。
住所:京都市上京区油小路通一条下る
交通:京都市バス堀川中立売、一条戻橋下車徒歩約3分。地下鉄烏丸線今出川駅下車6番出口より徒歩約13分。
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