2021年8月に見たい展覧会【川瀬巴水/もしも東京/バンクシーって誰?】

1年延期された東京2020オリンピック競技大会が開幕し、連日、競技の様子がテレビなどで伝えられています。



一方で新型コロナウイルスの急激な感染拡大に伴い、東京都に発出された緊急事態宣言はさらに延長され、神奈川県や埼玉県、それに千葉県に出されていたまん延防止等重点措置も緊急事態宣言に切り替わりました。但し休業要請の範囲は以前と変わらないため、東京と近郊の美術館と博物館の多くは開館しています。

8月に見たい展覧会をリストアップしました。

【展覧会】

・「グローバル化時代の現代美術―“セタビ”のコレクションで楽しむ世界旅行」 世田谷美術館(7/3~8/22)
・「藝大コレクション展 2021 I期 雅楽特集を中心に」 東京藝術大学大学美術館(7/22~8/22)
・「花を愛で、月を望む 日本の自然と美」 根津美術館(7/22~8/22)
・「自然が彩る かたちとこころ」 三井記念美術館(7/10~8/22)
・「イサム・ノグチ 発見の道」 東京都美術館(4/24~8/29)
・「山種美術館所蔵 浮世絵・江戸絵画名品選」 山種美術館(7/3~8/29)
・「東京藝術大学スーパークローン文化財 謎解き『ゴッホと文化財』展」 そごう美術館(7/31~8/31)
・「Steps Ahead: Recent Acquisitions 新収蔵作品展示」 アーティゾン美術館(2/13~9/5)
・「ルネ・ラリック リミックスー時代のインスピレーションをもとめて」 東京都庭園美術館(6/26~9/5)
・「漫画 もしも東京」 東京都現代美術館(8/4~9/5)
・「マン・レイと女性たち」 Bunkamuraザ・ミュージアム(7/13~9/6)   
・「生誕260年記念企画 特別展 『北斎づくし』」 東京ミッドタウン・ホール(7/22~9/17)
・「紀伊国屋三谷家コレクション 浮世絵をうる・つくる・みる」 日比谷図書文化館(7/17~9/19)
・「サーリネンとフィンランドの美しい建築展」 パナソニック汐留美術館(7/3~9/20)
・「大江戸の華―武家の儀礼と商家の祭―」 江戸東京博物館(7/10~9/20)
・「平木コレクションによる 前川千帆展」 千葉市美術館(7/13~9/20)
・「千葉の新進作家 vol.2 100%ORANGE オレンジ・ジュース」 千葉県立美術館(7/13~9/20)
・「加藤翼 縄張りと島」 東京オペラシティアートギャラリー(7/17~9/20)
・「かこさとし展ーこどもはみらいにいきるひとー」 市川市文学ミュージアム(7/17~9/20)
・「川瀬巴水―版画で旅する日本の風景―」 大田区立郷土博物館(7/17~9/20)
・「日本民藝館改修記念 名品展II―近代工芸の巨匠たち」 日本民藝館(7/6~9/23)
・「アナザーエナジー展:挑戦しつづける力―世界の女性アーティスト16人」 森美術館(4/22~9/26)
・「木彫り熊の申し子 藤戸竹喜 アイヌであればこそ」 東京ステーションギャラリー(7/17~9/26)
・「THE北斎―冨嶽三十六景と幻の絵巻―」 すみだ北斎美術館(7/20~9/26)
・「KAWS TOKYO FIRST」 森アーツセンターギャラリー(7/16~10/11)
・「GENKYO 横尾忠則  原郷から幻境へ、そして現況は?/MOTアニュアル2021 海、リビングルーム、頭蓋骨」 東京都現代美術館(7/17~10/17)
・「能 Noh~秋色モード~」 大倉集古館(8/24~10/24)
・「ルール?展」 21_21 DESIGN SIGHT(7/2~11/28)
・「バンクシーって誰?展」 寺田倉庫G1ビル(8/21~12/5)

【ギャラリー】

・「玉山拓郎 Anything will slip off / If cut diagonally」 ANOMALY(7/17~ 8/14)
・「YOKOO LIFE 横尾忠則の生活」 ほぼ日曜日(7/17~8/22)
・「オリンピック・ランゲージ:デザインでみるオリンピック」 ギンザ・グラフィック・ギャラリー(7/20~8/28)
・「会田誠展 愛国が止まらない」 ミヅマアートギャラリー(7/7~8/28)
・「上村洋一 + エレナ・トゥタッチコワ Land and Beyond|大地の声をたどる」 ポーラ ミュージアム アネックス(7/21~8/29)
・「アンサンブル・スタジオ展 Architecture of The Earth」 TOTOギャラリー・間(6/24~9/12)
・「ル・パルクの色 遊びと企て ジュリオ・ル・パルク展」 銀座メゾンエルメス(8/13〜11/30)

まずは版画家ゆかりの地での回顧展です。大田区立郷土博物館にて「川瀬巴水―版画で旅する日本の風景―」が行われています。



「川瀬巴水―版画で旅する日本の風景―」@大田区立郷土博物館(7/17~9/20)

大正から昭和にかけて活動した新版画家の川瀬巴水は、画業の大半の大田区にて過ごしつつ、全国を旅しては風景版画を制作しました。その大田区の郷土博物館にて開かれるのが「川瀬巴水―版画で旅する日本の風景―」で、初期から晩年にかけての作品、約400点が公開されます。

なお会期は前後期の2期制で、前期は「東京」(7月17日〜8月15日)、後期は「旅先」(8月19日〜9月20日)での作品を中心に展示されます。あわせて見ておきたいところです。

続いては入場無料(事前予約制)の漫画の展覧会です。東京都現代美術館にて「漫画 もしも東京」が開催されます。



「漫画 もしも東京」@東京都現代美術館(8/4~9/5)


これは萩尾望京都や松本大洋、浅野にいおや出水ぽすかといった20名の漫画家が、東京をテーマに作品を描き下ろしたもので、「読む東京、歩く漫画」をコンセプトに、地下2階講堂や中庭、水と石のプロムナードなどの多様な場所に展示されます。歩いて巡りながら漫画を鑑賞する新しい形の展覧会となりそうです。

ラストは現代美術です。寺田倉庫G1ビルにて「バンクシーって誰?展」が開かれます。



「バンクシーって誰?展」@寺田倉庫G1ビル(8/21~12/5)

イギリスを拠点に活動する匿名のアーティスト、バンクシーは、世界各地のストリートで作品を残すだけでなく、テーマパークなどの演出を手がけ、いわばアート界の異端児として世界的に知られてきました。


そのバンクシーの作品を街並みを再現した展示空間にて紹介するのが「バンクシーって誰?展」で、あわせてプライベート・コレクターによるコレクションも公開されます。世界各地を巡回した「ジ・アート・オブ・バンクシー展」を日本オリジナルに再構成した展覧会となるそうです。


8月に始まる展覧会は多くありません。しばらくはまだ見られていない近場の展覧会を追っていきたいと思います。

それでは今月もどうぞよろしくお願いします。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

藤森照信 茶室「五庵」 パビリオン・トウキョウ2021

パビリオン・トウキョウ2021
藤森照信 茶室「五庵」
2021/7/1~9/5



パビリオン・トウキョウ2021で開催中の藤森照信 茶室「五庵」を見てきました。

建築家の藤森照信はパビリオン・トウキョウ2021において、新国立競技場を望む地へ2階建ての茶室を築きました。



それが茶室「五庵」で、外苑西通りの仙寿院交差点に位置するビクタースタジオ前にありました。



台形の基壇は緑色の芝生に覆われていて、上部の茶室の外壁には杉材の表面を焼いて炭化させた焼杉が用いられていました。また基壇には小さな小窓が各面に3つ並んでいて、2階には半円にくり抜かれた大きな窓がありました。



1階の丸い穴から体を滑らせるように入ると、いわゆる待合があり、その隅に茶室へと上がる小さな梯子が設置されていました。そして待合では茶室の制作プロセスや藤森のインタビューなどを収録した動画がモニターに映されていました。



にじり口を再解釈したという梯子を登って2階へと上がると、中央にテーブルのある茶室がありました。テーブルは四畳半の床が見えなくなるくらいの大きさで、炉や茶道具の他、トクサと芝でつくった小さな山などが設えられていました。



テーブルの角は削り取られるように丸みを帯びていて、木の温もりが感じられました。



一方で白い天井を見やると、まるで小さな石のような炭の破片が散りばめられていて、五色にグラデーションを描く和紙の照明が吊り下がっていました。



そして交差点に面した側には窓がくり抜かれていて、新国立競技場を一望することができました。また暑い中でも時折、抜ける風が心なしか気持ち良く感じられました。

観覧についての情報です。茶室「五庵」の内部への入場は当日の予約制となっています。基本的に飛び込みでは入場できません。

予約の受付場所は茶室「五庵」ではなく、外苑西通りを南へ550メートルほど進んだワタリウム美術館の1階カウンターとなります。ワタリウム美術館からの所要時間は約5〜6分程度でした。

受付時間は10時20分から17時までで、1人1枠、2名まで予約ができます。また1枠30分毎の入れ替え制で、定員に達し次第、受付は終了となります。

私が出向いたのは平日の14時半をゆうに回っていましたが、すぐに15時からの枠の整理券を予約することができました。

一度に「五庵」の茶室へ入ったのは5名で、30分の時間枠にて10名ほどの定員になっているようでした。基本的に先着順にて案内されていて、私の場合はまず茶室へ入って15分弱ほど滞在した後、待合へ降りて映像を鑑賞しました。(後から来た5名の方は、先に待合で映像を見た後、入れ替わりで茶室へと上がっていました。)またかなり急な梯子のため、動きやすい服装がベストかもしれません。



アクセスは千駄ヶ谷駅や北参道駅からと案内されていますが、先に整理券を入手する必要があるため、外苑前駅からワタリウム美術館へと向かい、その後「五庵」へと移動するのが便利ではないでしょうか。



オリンピック開幕前だったからか予約もスムーズでしたが、開幕後は人出が増している可能性もあります。なお当日分の整理券がなくなった際は公式Twitterにてお知らせがあるそうです。

9月5日まで公開されています。

藤森照信 茶室「五庵」 パビリオン・トウキョウ2021@paviliontokyo
会期:2021年7月1日(木)~9月5日(日)
時間:11:00~19:00。
 *しばらくの間、平日・日曜・祝日の内部入場は18:00まで。但し土曜日は19:00まで
休館:会期中無休
料金:無料
住所:渋谷区神宮前2-21-1 ビクタースタジオ前
交通:JR線千駄ヶ谷駅より徒歩10分、都営大江戸線国立競技場前駅A4出口より徒歩10分、東京メトロ副都心線北参道駅2出口より徒歩10分。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

「イラストレーター 安西水丸展」 世田谷文学館

世田谷文学館
「イラストレーター 安西水丸展」
2021/4/24~9/20



世田谷文学館で開催中の「イラストレーター 安西水丸展」を見てきました。

1942年に生まれたイラストレーターの安西水丸は、漫画や小説に絵本、エッセイや広告などで多様に活動しては、多くの人々の心を捉えてきました。

その安西の仕事の全貌を幼少期にまで遡っているのが「イラストレーター 安西水丸展」で、原画や関連資料など500点に加え、旅にまつわる原稿や民芸品といった130点の資料が展示されていました。



まず冒頭は「ぼくの仕事」の題し、安西が本や広告などに描いた絵が展示されていて、中には2020年末に新たに発見された小説「アマリリス」のカバー原画といった貴重な作品もありました。



またイラストとともに、モチーフの元になったスノードームや瓶なども合わせて公開されて、ともに見比べることができました。覗き窓のように設置された展示ケースも面白いのではないでしょうか。



会場構成を手掛けたのはデザイン事務所「DO.DO」(ドド)で、壁に安西のコレクションしたスノードームのモチーフを描いたり、覗き穴や顔はめスポットなどを設置していて、遊び心に満ちた空間を築き上げていました。展示室内に8カ所ほど隠された、安西を象るパネルやシルエットを探して歩くのも楽しいかもしれません。



安西と関係の深かった嵐山光三郎、村上春樹、和田誠に関する作品も見どころだったのではないでしょうか。嵐山光三郎は安西と同じ年の編集者で、漫画雑誌「ガロ」や絵本「ピッキーとポッキー」などの様々な仕事を手がけました。



「兄弟のようだ」とも語る村上春樹とはジャズ喫茶経営中の頃からの知り合いで、村上の本の装丁を数多く担いました。さらに先輩にあたるイラストレーターの和田誠は安西にとってライバルともいえる存在で、2001年から2014年にかけて2人で1枚の作品を仕上げる取り組みを行いました。結果的に描かれた作品は200点にも及ぶそうです。



幼少期の資料から生涯にわたって愛した品々を紹介する「ぼくの来た道」も興味深いものがありました。ここでは学校で賞をとった水泳大会のポスターから大学時代に制作したレコードジャケット風の作品などが展示されていて、安西がイラストレーターとして活動するまでの道のりを辿ることができました。



安西は3歳から中学を終える直前まで千葉県の千倉で過ごしていて、同地の広い海や自然環境が、自身の想像力や美意識を育んだとも語っています。

また画面を横切る一本の線を「ホリゾン=水平線」と呼んでいましたが、ホリゾンを引く時に千倉の海の水平線が目に浮かんだともしています。まさに千倉での生活、そして海こそが安西の創作の源泉の1つだったのかもしれません。



「素朴な和が好きだ」という安西は、アトリエの和室に鳥取の民芸家具を置き、自ら描いた屏風や掛軸を飾ったとされていて、会場でも一部が再現されていました。あたかもアトリエにお邪魔したかのような雰囲気が感じられるのではないでしょうか。



ラストは「たびたびの旅」と題し、旅する人だった安西に着目して、旅にまつわる作品や旅のための道具、さらに旅先で求めた土産物などが展示されていました。



生涯で国内外の様々な場所を訪ねた安西は、特に電車での旅を好み、いつでも旅に出られるようにカメラや双眼鏡、手帳を入れる鞄を置いていました。



平日の夕方に出向きましたが、会場内は想像以上に賑わっていました。公式サイトによると休日の14時から16時の間は、混雑のために入場を規制する場合があるそうです。またグッズ売り場も盛況でした。


写真も自由に撮れましたが、撮影を楽しみたい場合は混雑時間帯を避けるのが良いかもしれません。



当初の会期(8月31日まで)が延長されました。9月20日まで開催されています。おすすめします。

「イラストレーター 安西水丸展」 世田谷文学館@SETABUN
会期:2021年4月24日(土)~9月20日(月・祝)
休館:月曜日。但し8月9日・9月20日は開館し、8月10日は休館。
時間:10:00~18:00 *入場、及びミュージアムショップの営業は17時半まで。
料金:一般900(720)円、大学・高校生・65歳以上600(480)円、小・中学生300(240)円。
 *( )内は20名以上の団体料金。
住所:世田谷区南烏山1-10-10
交通:京王線芦花公園駅より徒歩5分。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

妹島和世「水明」 パビリオン・トウキョウ2021

パビリオン・トウキョウ2021
妹島和世「水明」
2021/7/1〜9/5



パビリオン・トウキョウ2021で開催中の妹島和世「水明」を見てきました。

建築家の妹島和世のパビリオンは、潮入の池や鴨場を有し、古くは徳川将軍家の別邸でもあった浜離宮恩賜庭園に建てられています。

浜離宮には大手門口と中の御門口の2つの入場口があり、パビリオンは大手門口にほど近い延遼館跡と呼ばれるエリアにありました。

延遼館とは明治時代に整備された迎賓施設で、国賓などの要人を多く迎えたものの、明治22年に老朽化を理由に解体されました。現在は一面の芝生が敷かれています。



「水明」と名づけられたパビリオンは、平安時代の庭園にあった水路である曲水をイメージとしていて、幅80センチ、全長約170メートルの水路が樹木の合間をうねるように築かれていました。



実際に水が流れる水路は鏡面加工が施されていて、その上に植物や造花が置かれていました。高層ビルを背景にした庭園空間と無機的な水路、さらには草花などのコントラストも面白いかもしれません。



この日は雲の多い天候でしたが、それでも水路に樹木や空、またビルなどが映り込んでいて、見る立ち位置によって景色が変わりました。

「浜離宮は水とともにある庭園と言えると思います。その風景に現代を表すような水を足してみたいと考えました。」 妹島和世 「パビリオン・トウキョウ2021」より



晴天時は青空も映えるかもしれませんが、雨の日も雨粒が水面を波打って美しく見えるかもしれません。あまり近づいて鑑賞することは叶いませんでしたが、風に吹かれて僅かに揺れる水面にしばし見入りました。


パビリオンの鑑賞は無料ですが、浜離宮への入園料(一般300円)がかかります。また入園に際しては事前に整理券(オンライン)が必要となります。

9月5日まで開催されています。

妹島和世「水明」 パビリオン・トウキョウ2021@paviliontokyo
会期:2021年7月1日(木)〜9月5日(日)
時間:9:00~17:00。*入園は16時半まで。
休館:会期中無休
料金:一般300(240)円、65歳以上150(120)円。
 *( )内は20名以上の団体料金
住所:中央区浜離宮庭園 浜離宮恩賜庭園
交通:都営地下鉄大江戸線築地市場駅、汐留駅よりそれぞれ徒歩7分。ゆりかもめ汐留駅より徒歩7分。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

「巨大映像で迫る五大絵師」 大手町三井ホール

大手町三井ホール
「巨大映像で迫る五大絵師 ─北斎・広重・宗達・光琳・若冲の世界─」
2021/7/16~9/9



大手町三井ホールで開催中の「巨大映像で迫る五大絵師 ─北斎・広重・宗達・光琳・若冲の世界─」の特別内覧会に参加してきました。

桃山時代から江戸時代に活躍した俵屋宗達、尾形光琳、伊藤若冲、葛飾北斎、歌川広重の5名の絵師の作品を、大型の映像と音楽にて体感的に楽しめるイベントが、東京の大手町三井ホールにてはじまりました。



それが「巨大映像で迫る五大絵師」展で、5名の絵師の主要作品、及び同時代の金屏風など42作品が上映されていました。

まず冒頭、会場入口奥にて展示していたのが、各作品の緻密な部分を拡大して魅力に迫る「解説シアター」でした。ここでは超高精細デジタル画像にて作品をスクリーンに投影しつつ、解説ナレーションにて見どころを紹介していました。いわばメインの巨大映像の予習ともいえる内容だったかもしれません。

浮世絵を3Dデータとして組み上げ、実に20億画素にデジタルリマスターした画像は極めてクリアで、スクリーンに拡大しても全くぶれることはなく、和紙の繊細な質感や微細な凹凸までも目の当たりにできました。また屏風絵においても金箔や切箔、それに金砂子などの素材や表現の違いまでを再現していて、絵師の筆遣いを映像を通して感じられるかのようでした。



「解説シアター」に続くのがメイン会場である「3面シアター」でした。縦7メートル、横幅45メートルにも及ぶ3面スクリーンが観覧席を囲んでいて、ほかでは目にしたことのないような巨大映像空間が築かれていました。



そして「3面シアター」では北斎の『冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏』や宗達と光琳の2点の「風神雷神図屏風」、はたまた若冲の「仙人掌群鶏図」などの作品が、ドラマテックな動きのある視覚効果を加えながら投影されていて、あたかも作品の中に入り込むような錯覚にとらわれました。



巨大映像とコラボレーションした音楽も重要な要素を占めていたかもしれません。ジャズ風のピアノや三味線、和太鼓などによる音楽が時に大音量で会場内に響きつつ、作品を演出していて、巨大スペクタクルともいえるショーが展開していました。



「3面シアター」の上映の後は「フォトタイム」が設定されていて、スクリーンを前に記念撮影を自由に楽しむことができました。(本エントリの写真も全てフォトタイムにて撮影。解説シアター、及び3面シアター上映中は撮影できません。)



ラストは「Digital北斎×広重コーナー」で、「冨嶽三十六景」と「東海道五拾三次」からセレクトされた58作品を12台の大型モニターにて鑑賞できました。(同コーナーも撮影可)

「新感覚のアートエキシビション」とも案内されていましたが、実際の美術作品を目にするのとは全く異なった鑑賞体験が得られるのではないでしょうか。高精細な巨大映像にて作品にのめり込みつつ、熱気に満ちた音楽のライブを前にするように楽しみました。

最後に上映、及びチケットの情報です。上映は会期中、プログラムが毎日入れ替わるダブルプログラムです。AプログラムとBプログラムにて上映作品が異なります。公式サイトから開催カレンダー、もしくは上映作品一覧にてご確認ください。

チケットは期間中有効の平日フリー入場券と、土日祝日と最終日の日付指定券があり、それぞれ指定された日にちの10時半から18時半の好きな時間に入場できます。ぴあやローソンチケットなどで購入可能です。


定員に空きがある場合は会場窓口にて当日チケットが販売されます。当日券の販売は10時半から18時半で、定員枚数に達した段階で販売終了となります。

所要時間は「解説シアター」と「3面シアター」が各20分、計40分(着席制)でした。「Digital北斎×広重コーナー」の鑑賞には特に時間の制限はありません。



9月9日まで開催されています。なお東京での会期を終えると、大阪の堂島リバーフォーラムへと巡回(2021年12月3日〜2022年1月30日)します。

「巨大映像で迫る五大絵師 ─北斎・広重・宗達・光琳・若冲の世界─」@faaj_staff) 大手町三井ホール
会期:2021年7月16日(金) ~9月9日(木) 
時間:10:30~19:30。
 *最終入館は閉館の60分前まで。
休館:無休。
料金:一般2000円、大学・専門学校生1500円、中学・高校生1000円、小学生以下、70歳以上は無料。
住所:千代田区大手町1-2-1 Otemachi One 3F
交通:東京メトロ千代田線・丸ノ内線・半蔵門線・東西線、都営三田線大手町駅C4出口直結。東京メトロ東西線竹橋駅徒歩2分。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
« 前ページ