『開館一周年記念 加山又造 ―革新をもとめて』 下瀬美術館

下瀬美術館
『開館一周年記念 加山又造 ―革新をもとめて』 
2024/4/6~6/16


手前は加山又造の『華扇屏風』(山種美術館所蔵)をもとに制作された陶板の複製品

広島県大竹市の下瀬美術館にて、『開館一周年記念 加山又造 ―革新をもとめて』が開かれています。

その見どころと美術館についての紹介をPenオンラインに寄稿しました。

開館1周年! 瀬戸内を望む下瀬美術館で愛でたい、日本画家、加山又造の名品の数々。|Pen Online


左から加山又造『若い白い馬』(1950年頃)、『迷える鹿』(1954年)

今回の展覧会で紹介されているのは、猫をはじめとした動物のシリーズや、師の山本丘人の影響の見られる山岳風景、そして近世の日本絵画や北宋画を参照して生み出した水墨画などで、必ずしもよく知られているとはいえない又造と広島との意外な関係についても明らかにしていました。


加山又造『蒼い日輪』(1959年)

初期の意欲作『蒼い日輪』とは、戦後、先の見えない状況で経済的に苦しい生活を送っていた時期の作品で、自らの不安や心情を痩せ細ったカラスに投影して描きました。


加山又造『黄山雲海』(1995年) 

比較的晩年の『黄山雲海』とは、古来より水墨の題材となった中国の黄山を、自ら現地に取材した経験をもとに制作した作品で、同地の湿潤な空気をぼかしやたらし込み、またエアブラシなどの技法を駆使して見事に表していました。


左:加山又造・金重素山『金銀彩撫子文茶碗』、右『梅花文釘彫皿』(ともに1985年)

このほか、着物の図案や絵付けを行った陶器の展示も充実していたかもしれません。また中島千波や平山郁夫といった日本画家の作品や、又造と交流のあった小磯良平の油彩なども合わせて展示されていました。



下瀬美術館は10棟のヴィラとレストランなどからなる「SIMOSE」の中核施設として建てられたもので、これまでの展覧会にて雛人形や御所人形をはじめ、日本と西洋の近代絵画や西洋工芸など、丸井産業株式会社の代表取締役である下瀬ゆみ子が収集したコレクションが公開されてきました。



水盤の上に浮かぶ8つの可動展示室といった坂茂による建物はもちろん、瀬戸内海に面したロケーションも極めて魅力的といえるのではないでしょうか。



Penの記事では取材時に見学したヴィラについても写真(記事下段のギャラリー欄)にて紹介しました。あわせてご覧いただけると嬉しいです。


6月16日まで行われています。

『開館一周年記念 加山又造 ―革新をもとめて』 下瀬美術館@SimoseMuseum
会期:2024年4月6日(土)~6月16日(日) 
休館日:月曜日(祝日の場合は開館)
時間:9:30~17:00。
 *入場は16:30まで
料金:一般1800(1500)円、高校生・大学生900(800)円、中学生以下無料。
 *( )内は20名以上の団体(要予約)および大竹市民。
住所:広島県大竹市晴海2丁目10-50
交通:JR線大竹駅東口よりシャトルバス15分。(運行日程については公式サイトより時刻表を参照)
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