「江戸の人物画 姿の美、力、奇」(前期) 府中市美術館

府中市美術館府中市浅間町1-3
「江戸の人物画 姿の美、力、奇」(前期展示)
3/25~4/17



江戸時代、様々に描かれた人のかたちから「おかしみ」を味わいます。府中市美術館で開催中の「江戸の人物画 姿の美、力、奇」の前期展示へ行ってきました。

地震により開幕が一時延期されていましたが、所定より遅れること一週間、3月25日に無事オープンを迎えました。そして当然ながら、これまでにも動物絵画、山水画展などと、好企画を続けてきた府中市美の江戸絵画シリーズが楽しめないはずがありません。会場には国内の美術館や個人より集められた江戸時代の人物画、約50点強が、一同に展示されていました。(前後期で100点弱。出品リスト


円山応挙「波上白骨座禅図」(大乗寺) 通期

構成は以下の通りです。

「美の百様」:浮世絵と美人画。
「迫真のゆくえ」:西洋絵画の影響。
「聖の絵姿」:絵画における聖人たち。
「ポーズ考」:人のかたち、ポーズに注目した作品。
「海の向こうの不思議とロマン」:仙人たち。道教のモチーフ。
「人という営み」:人々の暮らし。
「かわいい」:可愛らしい人物画。


親しみやすいテーマ設定のもと、江戸絵画の人物表現を俯瞰する内容となっていました。


春叢紹珠「皿回し布袋図」(個人) ~4/10

ともかく一見からして愉しく、それこそおかしみを感じる作品が目白押しですが、まずその一例として挙げられるのが春叢紹珠の「皿回し布袋図」かもしれません。いわゆる禅画ではありますが、その即興的なタッチによる布袋の姿は、どこか稚拙なまでの諧謔味に溢れています。


林ろう苑「妖怪図」(個人) 前期

さらに林ろう苑の「妖怪図」も是非挙げておきたい一枚です。高くのびた鼻や突き出た頭などの誇張的な身体表現をとる妖怪たちが、同じくまた化け物と戯れています。


仙がい義梵「凧あげ図」(福岡市美術館) 前期

おかしみと言えばお馴染みの仙がい和尚です。この「凧あげ図」ではもはや脱力系の笑いをも誘う作品ですが、何物にも囚われない自由な描写には心底共感するものがありました。

その一方で、たとえば当時伝来した西洋画の技法を取り入れた、半ば硬い作品が出ているのも見逃せません。さながら岸田劉生を思わせるような陰影表現で息子描いた大久保一丘の「伝大久保一岳像」の他、中国の伝説の皇帝をオランダ西洋画風スタイルで表した太田洞玉の「神農図」など、西洋と日本とが奇妙な形で混在、また時に融合して新たな表現を生んだ作品も楽しめました。


渡辺崋山「ヒポクラテス像」(九州国立博物館) 前期

そしてこの渡辺崋山の「ヒポクラテス像」こそ、そうした文脈の最高峰に位置づけられる作品ではないでしょうか。華山といえば本作を挙げるまでもなく、たとえば東博所蔵の「鷹見泉石像」など、真に迫った人物描写で名高いところですが、このヒポクラテスもそれに勝るとも劣らない一枚でした。


祇園井特「観桜美人図」(福岡市博物館) 前期

私の追っかけている絵師、井特の美人画が出ていたのも嬉しいポイントです。艶やかな衣装をまとい、桜を愛でる女性を描いた「観桜美人図」は、井特にしては比較的大人しい印象もありましたが、顔の描写などには例のデロリともとれる表現を見ることが出来ました。


曾我蕭白「美人図」(奈良県立美術館) 前期

ビックネームからは蕭白の「美人図」、もしくは応挙の「波上白骨座禅図」を挙げれば十分かもしれません。手紙を噛み砕く狂おしい女性を描いた蕭白の「美人図」の妖しさは何度見てもクラクラしてしまいます。何年か前に奈良で鮮烈な印象を受けた作品ですが、改めて惚れ直しました。


円山応挙「元旦図」(個人) 前期

あえて一推しにしたいのは応挙の「元旦図」です。袴を着た男が茫洋たる無限の空間にてただ一人、初日の出を拝む姿が表されています。そのひとりぼっちの姿はもちろん、背後にのびる影など、何と寂し気な雰囲気を醸し出す作品ではないでしょうか。シンプルな構図をとりながらも、この哀愁漂う光景には強く心を捉えられてなりませんでした。


伊藤若冲「伏見人形七布袋図」(国立歴史民俗博物館) 前期

さて展示替えの情報です。本展は途中、一度の展示替えを挟み、ほぼ全ての作品が入れ替わります。

【前期】3月25日(金)~4月17日(日)
【後期】4月19日(火)~5月8日(日)


会期の延長などはありません。ご注意下さい。

また注意しておきたいのは計画停電の情報です。府中市美術館は東京電力の計画停電エリアの「第2グループD」に入っています。よって同館では停電が実施される場合、その時間帯、およびその前30分、また後40分を一時閉館します。

但し事前に東京電力より停電を回避するとの発表があった時はこの限りではありません。(通常開館します。)詳細は美術館まで直接お問い合わせ下さい。(ハローダイヤル:03-5777-8600)


4月19日からの後期には芦雪の「寒山拾得図」(京博寄託。重文。)や若冲の「付喪神図」(福岡市博蔵)などの注目作も登場します。こちらも伺う予定です。

いつもながらに同館マスコットのぱれたんの工房、またワークシートなど、来場者を楽しませる仕掛けもありました。それに立派な図録も人気となるのではないでしょうか。これまでの府中市美の江戸絵画展では会期途中で図録が完売したこともあります。まずは早めに出かけられた方が良いかもしれません。

府中市美前の桜並木もそろそろ華やぐのではないでしょうか。前期は4月17日までの開催です。ともかくはおすすめします。

開館日時:月休。5月6日(金)は休館。10:00~17:00。(計画停電時は一時休館。)
交通案内:京王線東府中駅から徒歩15分。京王線府中駅からちゅうバス(多磨町行き)「府中市美術館」下車。
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「ヴィジェ・ルブラン展 - 華麗なる宮廷を描いた女性画家たち」 三菱一号館美術館

三菱一号館美術館千代田区丸の内2-6-2
「マリー=アントワネットの画家 ヴィジェ・ルブラン展 - 華麗なる宮廷を描いた女性画家たち」
3/1-5/8



18世紀フランスの女性画家たちの画業を紹介します。三菱一号館美術館で開催中の「ヴィジェ・ルブラン展 - 華麗なる宮廷を描いた女性画家たち」へ行ってきました。

タイトルにルブランとあるので、彼女の回顧展かと勘違いしてしまうかもしれませんが、実際には同時代、つまりは18世紀のフランス革命前後に活躍した女性画家たちの制作を追う展覧会です。 ルブラン23点の他、コステルらの同時代の女性画家、約80点の絵画が出品されていました。

構成は以下の通りです。

1.17世紀の女性画家
2.貴婦人のたしなみ
3.異国の女性画家たち
4.女性の世紀
5.王立絵画彫刻アカデミーの女性画家
6.新しい時代


単に作品だけでなく、制作のエピソードや当時の社会背景までを紹介する構成となっていました。


ジャン=オノレ・フラゴナールとマルグリット・ジェラール「盗まれた接吻」 サンクトペテルブルクエルミタージュ美術館

主に宮廷で制作をしていた当時の女性画家たちは、ともかくもそこで艶やかな貴婦人らの肖像を数多く描きましたが、一部には意外にも男性の一般市民をモデルとした画家もいました。


マドレーヌ=フランソワーズ・バスポルト「花百譜」 フランス国立図書館

例えばフランソワーズ・デュパルクの「荷物袋を持つ男」などもその一つです。また元々、肖像画家から出発したものの、後にヴェルサイユでルイ15世のために鳥や花を描いたマドレーヌ=フランソワーズ・バスポルトも忘れられません。「花百譜」における繊細な水彩表現は、それこそ日本の熊田千佳慕を連想させはしないでしょうか。可憐でした。


マリー・レクジンスカ、フランス王妃「麻雀の勝負(ヴェルサイユ宮殿、中国風居室の彩色パネル)」 個人蔵

当時の宮廷生活を知る作品としてあげられるのは、ルイ15世の王妃、マリー・レクジンスカによるヴェルサイユ宮殿の装飾パネル画です。

絵を描くことが好きだった王妃は時に実際に絵筆を持ち、宮殿内の一室を中国趣味の絵画で埋め尽くしました。会場ではそれらの作品を宮殿内の配置に即した再現展示で紹介しています。まさにシノワズリーの極致でした

され女性画家というと、何かと生き方に関しても華麗なイメージを抱くかもしれませんが、必ずしもそうとは言えません。

そもそも展覧会の主人公、ルブランも革命によって亡命生活を余儀なくされますが、いわゆる体制側にいた多くの女性画家たちはアントワネット同様、ギロチンに処されることも少なくありませんでした。


アンヌ・ヴァレイエ=コステル「青い花瓶の花」ナンシー美術館

また画壇、つまりは王立アカデミーにおいても女性の地位は全くをもって高いものではありません。アカデミーは60名の会員を有していましたが、うち女性会員は4名に制限されていたそうです。うちその一人のコステルの作品もいくつか展示されていました。

ともかく麗しい肖像画ばかりが展示されているのでなかなか受け取りにくい面はありますが、そうした画家たちの歩んだ苦難の歴史を思うと、一見華やかな展覧会にも「影」があることが浮かび上ってくるのではないでしょうか。

ハイライトはやはりルブランです。彼女の名前を聞いて、昨年秋、損保ジャパン東郷青児美術館で開催された「ウフィツィ美術館自画像コレクション展」のチラシの肖像画を思い出された方も多いかもしれません。


ヴィジェ・ ルブラン「自画像」1791年 ナショナル・トラスト ブリストル・コレクション

実は今回の展覧会でもその時に出された「マリー・アントワネットの肖像を描くヴィジェ=ルブラン」(1790)と瓜二つの作品、「自画像」(1791)が登場しています。一見すると同じ作品かと思ってしまうほど似ていますが、実はモデルの女性が異なっていました。(損保出品作はアントワネット、今作は娘のジュリー。)

知られざる画家たちにスポットを当てた意欲的な展覧会でした。なお美術館は地震の影響により一時休館していましたが、3/25より再開しました。

5月8日まで開催されています。

*開館日時:月休。10:00~17:00。(夜間開館は中止)詳細は美術館ニュースへ。
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「VOCA展 2011」 上野の森美術館

上野の森美術館台東区上野公園1-2
「現代美術の展望 VOCA展 - 新しい平面の作家たち - 」
3/14-3/30



上野の森美術館で開催中の「現代美術の展望 VOCA展2011 - 新しい平面の作家たち」へ行ってきました。

本年の受賞者は以下の通りです。(以前、こちらのエントリでもまとめてあります。)

VOCA賞 中山玲佳
VOCA奨励賞 後藤靖香
VOCA奨励賞 森千裕
佳作賞 熊澤未来子
佳作賞 澤田明子
大原美術館賞 上田暁子


また出品作家、及び推薦委員については公式WEBサイトをご覧ください。

VOCA展出品作家/推薦委員@上野の森美術館

本年も上記各委員より推薦された40歳以下の作家、計36名の平面作品が展示されていました。


後藤靖香「あきらめて」 顔料ペン、墨、カンバス 240.0×400.0cm

まず私の中で最も印象に深かったのは、奨励賞を受賞した後藤靖香の「あきらめて」です。横4mにも及ぶ大画面に黒一色で描かれているのは、彼女が常にモチーフとしていた戦時中の日本の兵隊でした。

オールを持って漕ぐ彼らの形相はまさに必至で、ボートから今にも落ちるのではないかと思うほどに前のめりなって力強く波をかき分けています。

これは作家自身の親戚に取材し、シベリア出兵時に仲間を捜索する水兵とのことでしたが、シンプルなモノクロームの世界には他の作品からは得難いリアルな緊迫感が立ち上がっていました。

モノクロームとは一転、今度は赤と白のみでどこか不穏な空間を表現したのは横野健一の「繋がる」です。

木版を制作するように板を彫りながらも紙に転写せず、そのまま支持体にしてしまうという技法自体も興味深い点がありますが、鬱蒼と生い茂る木立とあばら屋、また絡み合う犬と亡霊のように立つ男の姿からは、それぞれ剥き出しの生と死が交錯してぶつかり合っているような混沌とした世界を感じてなりません。血のように一面に滴る赤もまた鮮烈な印象を与えていました。

混沌と言えば熊野海の「Emission Nebula」もそうした言葉が似合う作品ではないでしょうか。

ケバケバしいまでのピンクのマグマを噴出する奇岩の奥には宇宙が垣間見え、下に広がる巨大な湖にはビキニ姿でくつろいだり何故かスーツや和装の格好をして歩く人達などが何ら脈絡なく描かれています。

さながら楽園か観光地を思わせる光景と、すぐ後ろに展開する破滅的な惨事とが、奇妙なほど均衡しているのがまた面白いと思いました。

縦横2メートルや3メートルと非常に大きな作品が目立つ中で、いつもの小さなサイズで作品を展示しているのが青山悟です。

「審査員たち/絵画の考察」の2点の刺繍は縦20センチ超、横30センチほどに過ぎませんが、その主題は今回の展覧会に問題を投げかけるものとなっています。当然ながらその技術はもとより、コンセプトにも感心させられる面の多い作品でした。

その他では推薦の山下裕二氏が「二十一世紀に復活した近世初期風俗画」と称する小池真奈美の「あたま山」も忘れられない一枚です。今も昔も変わらない日本人の桜の下でのどんちゃん騒ぎが時空を超え、どこかバーチャルな感覚で描きだされました。

平面以外のジャンル、つまりはパフォーマンスや立体の印象が強い雨宮庸介やパラモデルのいわゆる絵画を見られたのも収穫でした。


森千裕「Eternal itching(SAYONARA)」 透明水彩、鉛筆、水彩紙、木製パネル  145.0×210.0cm

地震の影響により関連のイベントは殆ど中止されてしまいましたが、作家の授賞式とトークが急遽、会期末の3月29日(火)に設定されました。

[VOCA展2011アーティストトーク/授賞式] 3月29日(火)
15:00~ アーティストトーク VOCA賞:中山玲佳/奨励賞:後藤靖香
16:15~ 授賞式(17時閉館)



中山玲佳「或る惑星」 アクリル、カンバス 130.0×388.0cm

3月30日までの開催です。

*開館日時:会期中無休。10:00~17:00
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首都圏の美術館休館情報 その4

開催未定だった展覧会が今週末よりいくつか始まります。3/26現在の首都圏の主な美術館の休館情報をまとめてみました。

開館中

弥生美術館(百花繚乱展)
Bunkamuraザ・ミュージアム(フェルメール地理学者展)*10:00~17:00。夜間開館中止
東京都写真美術館(日本のピクトリアリズム展)*10:00~17:00。夜間開館中止。
東京都庭園美術館(タイポグラフィ展)*10:00~17:00
神奈川県立近代美術館(彫刻家エル・アナツイのアフリカ展他)*計画停電時は一時休館→スケジュール
松岡美術館(コレクション幻想世界展)*10:00~16:00
目黒区美術館(日本の伝統パッケージ展)*10:00~17:00。会期延長5/22まで。
世田谷美術館(白洲正子展)*10:00~18:00。ただし電力需要の動向によっては変更も。
埼玉県立近代美術館(常設展)*計画停電にあわせ開館時間を変更→スケジュール
上野の森美術館(VOCA展)*10:00~17:00
東京オペラシティアートギャラリー(曽根裕展)*11:00~18:00。夜間開館中止。
東京国立近代美術館(岡本太郎展)*10:00~16:00。休館月曜日、但し3月28日、4月4日、5月2日は開館。
横浜美術館アートギャラリー(中谷ミチコ展)*10:00~17:00
東京都現代美術館(田窪恭治展/MOTアニュアル2011)*10:00~17:00
横須賀美術館(原口典之・若江漢字展)*10:00~17:00
ブリヂストン美術館(コレクション展)*10:00~16:00
パナソニック電工汐留ミュージアム(白井晟一展)*10:00~17:00
太田記念美術館(小林清親展)*10:30~16:00
練馬区立美術館(グランヴィル展)*会期延長4/10まで→お知らせ
山種美術館(ボストン美術館浮世絵名品展)*会期末まで無休(当初休館日の月曜日を開館)夜間開館中止。開館時間変更→お知らせ
ブリヂストン美術館(コレクション展)*10:00~16:00
太田記念美術館(小林清親展)*10:30~16:00
根津美術館(古鏡とひなかざり展)*10:00~16:00
三菱一号館美術館(ヴィジェ・ルブラン展)*10:00~17:00
府中市美術館(江戸の人物画 姿の美、力、奇)*10:00~17:00。計画停電時は一時閉館。

3月26日(土)より開館

国立新美術館(シュルレアリスム/アーティストファイル)*10:00~16:00
国立西洋美術館(レンブラント展)*3/26、27は開館。10:00~16:00
サントリー美術館(夢に挑む コレクションの軌跡)*10:00~18:00
原美術館(原美術館コレクション展)*火~金→11:00~16:00、土日祝→10:00~17:00
森美術館(フレンチ・ウィンドウ展)*開館時間を短縮して開館→基本情報

3月29日(火)より開館

東京国立博物館(総合文化展)*10:00~16:00。特別展「写楽」は会期変更で5/1から。
損保ジャパン東郷青児美術館(選抜奨励展)*10:00~16:00

一時休館 *開館予定日が変更される可能性もあります。

国立科学博物館(常設展示)*3/31まで。
平塚市美術館(コレクション展)*3/31まで。

開催延期(再開未定)

横浜美術館(プーシキン展)
江戸東京博物館(五百羅漢 幕末の絵師 狩野一信)*4月末まで全面休館の予定

展示中止

大倉集古館(煌めきの近代展)*次回は4/2より布工芸展を予定。
出光美術館(琳派芸術展)*次回は4/23より花鳥の美展を予定。
そごう美術館(福富太郎コレクション展)*当面休館
ニューオータニ美術館(ベルナール・ビュフェ展)*3/19より所蔵品展を予定。
板橋区立美術館(発信/板橋/2011展)*次回は4/2より江戸民間画工展を予定。
三井記念美術館(三井家のおひなさま展)*次回予定の北斎展も中止。
千葉市美術館(市民美術展)*次回は4/26よりボストン美術館浮世絵展、岡本秋暉展を予定。
川村記念美術館(上村松園展)*次回は5/24よりフラワースケープ展を予定。
目黒区美術館(原爆を視る展)*開催中止。現在開催中の「包む」展を会期延長。

状況が変化する場合もあります。最新情報は各美術館のサイトをご覧ください。

まず本日(26日)の再開情報です。それぞれ開催が延期されていたサントリー美術館の「コレクションの軌跡展」、そして森美術館の「フレンチウィンドウ展」がようやく始まります。アートナイトの主なイベント(チャリティー企画は開催。)は全て中止されましたが、国立新美のシュルレアリスム展とあわせて、六本木界隈の展覧会も本格始動ということになりそうです。



【本日以降の六本木界隈の美術館の開催状況】
国立新美術館(シュルレアリスム/アーティストファイル)*10:00~16:00
サントリー美術館(夢に挑む コレクションの軌跡)*10:00~18:00
森美術館(フレンチ・ウィンドウ展)*開館時間を短縮して開館→基本情報


また同じく本日再開がアナウンスされていた上野の国立西洋美術館ですが、特別展のレンブラント展に限り、今日、明日は時間を短縮(10:00~16:00)して開館します。(その後の開館については28日に発表予定。)



「今後の開館情報について2011年3月25日(金)」@レンブラント展

一方でしばらく情報のなかった江戸東京博物館ですが、建物の空調設備に損傷があることが判明し、博物館自体が4月末まで臨時休館となりました。注目の「狩野一信展」についてはまだアナウンスがありませんが、開催は少なくとも5月以降になりそうです。



地震の影響により、施設設備の修繕のため4月末頃まで休館します@江戸東京博物館

なお上野で唯一、再開の見通しがたっていなかった東京国立博物館ですが、本館と平成館の総合文化展に限り、時間を短縮(16時まで)して3月29日(火)から開館します。

「2011年3月29日(火)から開館します」@東京国立博物館

また同じく東博で4月5日から開催予定だった特別展「写楽」の会期が変更されました。開幕は一ヶ月ほど延期です。5月1日に始まります。



「写楽展会期の変更について」@特別展写楽 5/1~6/12(当初は4/5~5/15)

なお夜間開館は中止されました。開館時間→09:30~17:00(土日祝のみ18時閉館。)

さて今回の一連の大災害は東北や関東の他の地域の美術館にも影響を与えています。

「ジョルジョ・モランディ展は、東日本大震災の影響により、4月9日よりの開催が開催不可能となりました」@豊田市美術館

豊田市美術館で4月8日から予定されていたモランディ展が「開催不可能」となりました。こういう状況下で致し方ない面はあるのかもしれませんが、やはり残念でなりません。

開館している美術館においても、電力不足により開館時間が短縮、もしくは変更になっている場合が多くあります。また実際に計画停電のエリア内にある美術館は、停電時館にあわせて開館時間を逐次変更しているようです。

【計画停電にあわせて開館時間を逐次変更している美術館】
神奈川県立近代美術館(彫刻家エル・アナツイのアフリカ展他)
埼玉県立近代美術館(常設展)
府中市美術館(江戸の人物画 姿の美、力、奇)


お出かけの際は開館時間を各美術館までお問い合わせ下さい。*3/29一部情報修正。

*関連リンク
東北地方太平洋沖地震の影響による臨時休館などの情報:甲信越地方/東北地方/関東地方@ミュージアムカフェ
savemuseum@ウィキ-東日本大地震によるミュージアムの被災情報・救援情報
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府中市美術館の「江戸の人物画」展が明日(3/25)より開催

地震の影響により一時休館中だった府中市美術館ですが、いよいよ明日3月25日(金)より待望の展覧会により再開します。



「江戸の人物画 姿の美、力、奇」@府中市美術館 3/25~5/8 10:00~17:00

2007年の動物絵画展、そして一昨年の江戸絵画の風景展に続く、府中市美術館最大の目玉と言うべき江戸絵画展です。今回は人物画、「人のかたち」(美術館WEBサイトより引用)に着目し、国内各地の美術館や個人より集められた99点の江戸絵画がずらりと揃います。

実はチラシをいただいた時からもう非常に楽しみにしていた展覧会でした。改めてこちらにも一部アップしておきます。(クリックで拡大します。)





若冲に芦雪、それに蕭白らの人気の奇想派から応挙、また春信や井特の浮世絵、それに北斎に江漢などと、江戸絵画好きにはたまらないラインナップではないでしょうか。

これまでの府中市美の江戸絵画展シリーズに倣い、会期途中で大半の作品が入れ替わります。

【前期】3月25日(金)~4月17日(日)
【後期】4月19日(火)~5月8日(日)


会期は予定通り5月8日までですが、一部作品の展示期間が当初発表と異なっています。詳しくは以下の出品リスト(pdf)をご覧ください。

展示予定表@府中市美術館

スライドレクチャー、もしくは展示講座については現在のところ予定通り開催されるそうです。(今後変更される可能性もあります。)

20分スライドレクチャー
日時:毎週日曜日 午後2時と3時の2回
会場:講座室

展覧会講座
第1回 4月16日(土曜日)午後2時
会場:講座室
内容:「人のかたちと江戸絵画」
講師:金子信久(学芸員)

第2回 5月5日(木曜日・祝日)午後2時
会場:講座室
内容:「ポーズをめぐって 江戸と西洋」
講師:音ゆみ子(学芸員)

なお来館に際して重要なのは計画停電の情報です。府中市美術館は東京電力の計画停電エリア内で第2グループに入っています。よって同館では第2グループ停電時間帯、およびその前30分、また後40分を一時閉館します。十分にご注意下さい。

計画停電、ガス、水道、交通機関などの状況@府中市
週間計画停電(予定)@東京電力
 *3/31までの計画停電スケジュール。

たとえば3/26(土)では第2グループが15:20~19:00に入るため、その30分前の14:50に閉館、また3/27(日)では12:20~16:00までが停電予定のため11:50より一時閉館となる可能性があります。(詳細は美術館までお問い合わせ下さい。電話番号:042-336-3371)

同館館長の井出先生のツイッター(@ideyoichiro)にて展示が始まると聞いただけでも嬉しくなりました。時間の制約も厳しいところですが、この展覧会だけは何としてでも前後期の両方見に行きたいと思います。

*関連エントリ
「江戸の人物画 姿の美、力、奇」(前期) 府中市美術館
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首都圏の美術館休館情報 その3

少しずつではありますが、開館する美術館は確実に増えています。3/22現在の首都圏の主な美術館の休館情報をまとめてみました。

開館中

弥生美術館(百花繚乱展)
Bunkamuraザ・ミュージアム(フェルメール地理学者展)*10:00~17:00。夜間開館中止
東京都写真美術館(日本のピクトリアリズム展)*10:00~17:00。夜間開館中止。
東京都庭園美術館(タイポグラフィ展)*10:00~17:00
神奈川県立近代美術館(彫刻家エル・アナツイのアフリカ展他)*計画停電時は一時休館→スケジュール
松岡美術館(コレクション幻想世界展)*10:00~16:00
目黒区美術館(日本の伝統パッケージ展)*10:00~17:00
世田谷美術館(白洲正子展)*計画停電時は変更あり。
埼玉県立近代美術館(New Vision Saitama 4)*計画停電にあわせ開館時間を変更→スケジュール
上野の森美術館(VOCA展)*10:00~17:00
東京オペラシティアートギャラリー(曽根裕展)*11:00~18:00。夜間開館中止。
東京国立近代美術館(岡本太郎展)*10:00~16:00
横浜美術館アートギャラリー(中谷ミチコ展)*10:00~17:00
東京都現代美術館(田窪恭治展/MOTアニュアル2011)*10:00~17:00
横須賀美術館(原口典之・若江漢字展)*10:00~17:00
ブリヂストン美術館(コレクション展)*10:00~16:00
パナソニック電工汐留ミュージアム(白井晟一展)*10:00~17:00
太田記念美術館(小林清親展)*10:30~16:00

3月23日(水)より開館

練馬区立美術館(グランヴィル展)*会期延長4/10まで→お知らせ
山種美術館(ボストン美術館浮世絵名品展)*会期末まで無休(当初休館日の月曜日を開館)夜間開館中止。開館時間変更→お知らせ
ブリヂストン美術館(コレクション展)*10:00~16:00
パナソニック電工汐留ミュージアム(白井晟一展)*10:00~17:00
太田記念美術館(小林清親展)*10:30~16:00

3月24日(木)より開館

根津美術館(古鏡とひなかざり展)*10:00~16:00

3月25日(金)より開館

三菱一号館美術館(ヴィジェ・ルブラン展)*10:00~17:00
府中市美術館(江戸の人物画 姿の美、力、奇)*10:00~17:00。計画停電時は一時閉館。

3月26日(土)より開館

国立新美術館(シュルレアリスム/アーティストファイル)3/26、27は開館。10:00~16:00
国立西洋美術館(レンブラント展)3/26、27は開館。10:00~16:00
サントリー美術館(夢に挑む コレクションの軌跡)10:00~18:00
原美術館(原美術館コレクション展)*3/26以降開館予定。

一時休館 *開館予定日が変更される可能性もあります。

国立科学博物館(常設展示)*3/31まで。
平塚市美術館(コレクション展)*3/31まで。

当面休館(再開未定)

東京国立博物館(総合文化展)
損保ジャパン東郷青児美術館(選抜奨励展)

開催延期(再開未定)

横浜美術館(プーシキン展)
江戸東京博物館(五百羅漢 幕末の絵師 狩野一信)
森美術館(フレンチ・ウィンドウ展)

展示中止

大倉集古館(煌めきの近代展)*次回は4/2より布工芸展を予定。
出光美術館(琳派芸術展)*次回は4/23より花鳥の美展を予定。
そごう美術館(福富太郎コレクション展)*当面休館
ニューオータニ美術館(ベルナール・ビュフェ展)*3/19より所蔵品展を予定。
板橋区立美術館(発信/板橋/2011展)*次回は4/2より江戸民間画工展を予定。
三井記念美術館(三井家のおひなさま展)*次回は4/16より北斎展を予定。
千葉市美術館(市民美術展)*次回は4/26よりボストン美術館浮世絵展、岡本秋暉展を予定。
川村記念美術館(上村松園展)*次回は5/24よりフラワースケープ展を予定。

今後さらなる状況の変化が予想されます。最新情報は各美術館のサイトをご覧ください。

まずは朗報です。一時休館していた練馬区立美術館のグランヴィル展の会期が一週間ほど延長されました。

グランヴィル展の会期変更について@練馬区立美術館 4/3→4/10まで。

またボストン美術館浮世絵展開催中の山種美術館は今後、会期最終日まで無休で開館されます。(平日と土休日で開館時間が異なります。)

ボストン美術館浮世絵展@山種美術館 4/17まで無休。

なおスパイラルで来月初旬の「行商」は、開場時間こそ短縮されるものの、予定通り開催されるそうです。(内覧会は中止。)

「行商~ギャラリー・サーカス」@スパイラルガーデン 4/1~4/3

一方で4/1~4/3に予定されていたアートフェア東京が中止となりました。

アートフェア東京2011、開催延期@ART iT

また4/2より横浜美術館で開催予定の「プーシキン展」も開幕が延期されました。(新たな開幕日は未定。)

プーシキン美術館展開幕延期のお知らせ

ところで神奈川県立近代美術館の来年度の展示スケジュールが発表されましたが、リリースには原発事故により、海外からの出品のある展示を中心に変更の可能性があると記されています。今後、他の美術館の展覧会にもそうした影響が出てくるかもしれません。

2011年度展覧会スケジュール(予定)のお知らせ@神奈川県立近代美術館

ブログは不定期で更新します。

*3/26に情報を修正しました。→首都圏の美術館休館情報 その4

*関連リンク
東北地方太平洋沖地震の影響による臨時休館などの情報:甲信越地方/東北地方/関東地方@ミュージアムカフェ
savemuseum@ウィキ-東日本大地震によるミュージアムの被災情報・救援情報
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「冨井大裕 - 色と形を並べる」 ラディウム-レントゲンヴェルケ

ラディウム-レントゲンヴェルケ中央区日本橋馬喰町2-5-17
「冨井大裕 - 色と形を並べる」
3/4-3/26



レントゲンヴェルケで開催中の冨井大裕個展、「色と形を並べる」へ行ってきました。

作家、冨井大裕のプロフィールについては同画廊WEBサイトをご覧ください。

冨井大裕個展「色と形を並べる」

またご本人もWEBサイトをお持ちです。

Mtohiro Tomii com

最近では2007年の「ニュー・ヴィジョン・サイタマ」の他、2009年のギャラリーαMにおける「変成態」にも出品がありました。

さて冨井と言えばいつも何気ない日用品を用い、シンプルながらも美しいオブジェを作り出してきましたが、今回もその味わいは変わらないかもしれません。

作品に加えられた行為はずばり重ねることと並べることです。素材はとある薄いカーペットです。それが何層にも重ね合わされ、色と形に微妙な変化を与えながら、結果一つの大きな構造物を形成しました。

冨井は変成態の際もエアキャップという軽い素材を使いながら、それを重ねることで強度のあるオブジェを生み出していましたが、そうした素材と作品の間にある意外性、またギャップも大きな魅力かもしれません。

この作品の他にもワイヤーや釘、ナットなどの言わば繊細な素材が、ちょっとした作為を加えることで思いもよらぬ美しさをたたえています。この展示に接するとそうした身近な日用品を見る目も少し変わっていくかもしれません。

冨井は現在、東京都現代美術館で開催中の「MOTアニュアル2011」にも出品があるそうです。チラシ表紙も彼の作品です。もちろん出かけるつもりです。



MOTアニュアル2011 Nearest Faraway@東京都現代美術館 2/26~5/8

3/26まで開催されています。

*開廊日時:火~土(日月祝休)11:00~19:00。地震の影響により変更される場合があります。最新情報は画廊のツイッターをご参照下さい。@RoentgenwerkeAG
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「発信//板橋//2011」 板橋区立美術館

板橋区立美術館板橋区赤塚5-34-27
「発信//板橋//2011」
2/26~開催中止



板橋区立美術館で開催されていた「発信//板橋//2011」へ行ってきました。

残念ながら地震の影響により途中で打ち切りとなってしまいましたが、江戸絵画展などで定評のある板橋区立美術館が現代作家を紹介した意欲的な展覧会でした。

出品作家は以下の7名でした。

利部志穂
そり町勝治
はい島伸彦
藤本壮介
船井美佐
屋代敏博
吉賀あさみ

単に板橋に縁のある作家を並べたわけではありません。同区内の出身、もしくは在住の作家と、そうでない作家を半数ほどにわけ、板橋と関わらせることで新たな美術の在り方を問う内容となっていました。いわゆるご当地の作家のみのグループ展でないところが、今回の展示の大きな特徴ではなかったでしょうか。

ジャンルを問わず、立体や平面、それに写真に映像など盛りだくさんの展示でしたが、手狭なスペースを逆手にとっての美しいインスタレーションを展開していたのは吉賀あさみでした。


吉賀あさみ「The Colors in Itabashi」 2011年

吉賀は美術館敷地の土を採取して絵具をつくり、それを高さ4メートルほどの筒状の布地に塗って、あたかも赤く灯る光の柱のようなオブジェを暗室に組み立てています。この土地そのものを素材とした作品は、まさに板橋発という展示コンセプトにも見事に合致していました。


船井美佐「PARADISE/BOUNDARY Birds on River」 2011年

一方、アクリルミラー製の鳥を壁面に装飾した船井美佐の「PARADISE/BOUNDARY Birds on River」(2011)も、美術館の敷地を意識した作品と言えるかもしれません。窓の外に広がる緑地が作品の効果的な借景となっていました。


屋代敏博「回転回2011」 2011年

回転回でお馴染みの屋代敏博がワークショップで地域の人々と関係します。また映像「Philharmony」の舞台には、区内の清掃工場の屋上なども登場していました。

はい島伸彦の動物のオブジェと、木の幹をモチーフとしたそり町勝治のペイントの対比がまた巧みです。どこかポンポンを思わせる可愛らしいはい島の動物たちは、生命感に漲るそり町の森林の住人たちであるかのようでした。


利部志穂「うごく 動機の設定」 2011年

ガラスやレンズの他、様々な廃材をモニターなどに緩やかにつなぎあわせ、それ自体はおろか、空間全体にも何らかの意味を与えようとする利部志穂のインスタレーションも印象に残ります。決して面白いとは言えない板橋区美のエントランスが、いつもとは一味も二味も異なって見えました。

初めにも触れたように地震の影響により展示は中止されてしまいました。展示に携われた方の無念を思うと何とも言葉になりませんが、ここでこの展覧会は終わってしまったわけではありません。今回はあくまでも「発信//板橋」の第一弾です。第二弾、そして第三弾と続く、次の展開にも期待したいと思いました。

展示は終了しています。
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首都圏の美術館休館情報 その2

3/18現在の首都圏の主な美術館の休館情報をまとめてみました。

開館中

弥生美術館(百花繚乱展)
Bunkamuraザ・ミュージアム(フェルメール地理学者展)*10:00~17:00。夜間開館中止
畠山記念館(酒井抱一展)*10:00~15:00。
東京都写真美術館(日本のピクトリアリズム展)*10:00~17:00。夜間開館中止。
東京都庭園美術館(タイポグラフィ展)*10:00~17:00。
神奈川県立近代美術館(彫刻家エル・アナツイのアフリカ展他)*計画停電時は一時休館→スケジュール
松岡美術館(コレクション幻想世界展)
目黒区美術館(日本の伝統パッケージ展)*10:00~17:00。

3月19日(土)より開館

世田谷美術館(白洲正子展)*計画停電時は変更あり。
埼玉県立近代美術館(New Vision Saitama 4)*計画停電にあわせ開館時間を変更→スケジュール
上野の森美術館(VOCA展)*10:00~17:00。
東京オペラシティアートギャラリー(曽根裕展)*11:00~18:00。夜間開館中止。
東京国立近代美術館(岡本太郎展)*10:00~16:00。3/23以降の開館は未定。
国立新美術館(シュルレアリスム/アーティストファイル)*10:00~16:00。3/23以降の開館は未定。
横浜美術館(高嶺格展)*10:00~17:00。
東京都現代美術館(田窪恭治展/MOTアニュアル2011)*10:00~17:00。
横須賀美術館(原口典之・若江漢字展)*10:00~17:00。

3月20日(日)より開館

日本民芸館(日本の古人形展)*10:00~15:30。変更の可能性あり。来館時に要電話確認。

一時休館 *開館予定日が変更される可能性もあります。

山種美術館(ボストン美術館浮世絵名品展)*3/19まで。以降未定。
練馬区立美術館(グランヴィル展)*3/21まで。
ブリヂストン美術館(コレクション展)*3/22まで。
根津美術館(古鏡とひなかざり展)*3/22まで。
パナソニック電工汐留ミュージアム(白井晟一展)*3/22まで。
太田記念美術館(小林清親展)*3/22まで。
三菱一号館美術館(ヴィジェ・ルブラン展)*3/24まで。
国立西洋美術館(レンブラント展)*3/25まで。3/26以降は特別展のみ会場予定。
国立科学博物館(常設展示)*3/31まで。
平塚市美術館(コレクション展)*3/31まで。

当面休館(再開未定)

東京国立博物館(総合文化展)
損保ジャパン東郷青児美術館(選抜奨励展)
原美術館(原美術館コレクション展)

開催延期(再開未定)

江戸東京博物館(五百羅漢 幕末の絵師 狩野一信)
森美術館(フレンチ・ウィンドウ展)
府中市美術館(江戸の人物画 姿の美、力、奇)
サントリー美術館(夢に挑む コレクションの軌跡)

展示中止

大倉集古館(煌めきの近代展)
出光美術館(琳派芸術展)*次回は4/23より「花鳥の美」展を予定。
そごう美術館(福富太郎コレクション展)
ニューオータニ美術館(ベルナール・ビュフェ展)*3/19より所蔵品展を開催予定。
板橋区立美術館(発信/板橋/2011展)
三井記念美術館(三井家のおひなさま展)
千葉市美術館(市民美術展)
川村記念美術館(上村松園展)

なお今後さらなる状況の変化が予想されます。最新情報は各美術館のサイトをご覧ください。

また3/26~27に予定されていた六本木アートナイトが中止となりました。

「六本木アートナイト2011」3月開催中止のお知らせ

その他、休館情報や被災・救援情報についてには下記リンク先サイトにも掲載されています。あわせてご覧ください。

東北地方太平洋沖地震の影響による臨時休館などの情報:甲信越地方/東北地方/関東地方@ミュージアムカフェ

savemuseum@ウィキ-東日本大地震によるミュージアムの被災情報・救援情報

*3/22に情報を修正しました。→首都圏の美術館休館情報 その3
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首都圏の美術館休館情報

先日簡単にまとめた首都圏の主な美術館の休館情報ですが、計画停電等で大きく状況が変化しています。改めてこちらにまとめてみました。

開館中

弥生美術館(百花繚乱展)
Bunkamuraザ・ミュージアム(フェルメール地理学者展)*10:00~17:00。夜間開館中止
ワタリウム美術館(ハートビート展)
畠山記念館(酒井抱一展)*10:00~15:00。
東京都写真美術館(日本のピクトリアリズム展)*10:00~17:00。夜間開館中止。
東京都庭園美術館(タイポグラフィ展)*10:00~17:00。
神奈川県立近代美術館(彫刻家エル・アナツイのアフリカ展他)*計画停電時は一時休館→スケジュール

一時休館

松岡美術館(コレクション幻想世界展)*3/17まで。
大倉集古館(煌めきの近代展)*3/17まで。
埼玉県立近代美術館(New Vision Saitama 4)*3/18まで。
上野の森美術館(VOCA展)*3/18まで。
太田記念美術館(小林清親展)*3/18まで。
日本民芸館(日本の古人形展)*3/18まで。
山種美術館(ボストン美術館浮世絵名品展)*3/18まで。
東京オペラシティアートギャラリー(曽根裕展)*3/18まで。
国立西洋美術館(レンブラント展)*3/18まで。
東京国立近代美術館(岡本太郎展)*3/18まで。
パナソニック電工汐留ミュージアム(白井晟一展)*3/18まで。
根津美術館(古鏡とひなかざり展)*3/18まで。
国立新美術館(シュルレアリスム展)*3/18まで。
国立科学博物館(常設展示)*3/18まで。
東京国立博物館(総合文化展)*3/18まで。開館後も公開展示室を限定
横浜美術館(高嶺格展)*3/18まで休館。
東京都現代美術館(田窪恭治展/MOTアニュアル2011)*3/18まで。
練馬区立美術館(グランヴィル展)*3/21まで。
板橋区立美術館(発信/板橋/2011展)*3/22まで。
三井記念美術館(三井家のおひなさま展)*3/22まで。
ブリヂストン美術館(コレクション展)*3/22まで。
三菱一号館美術館(ヴィジェ・ルブラン展)*3/24まで。

当面休館(再開未定)

千葉市美術館(市民美術展)
川村記念美術館(上村松園展)
損保ジャパン東郷青児美術館(選抜奨励展)
原美術館(原美術館コレクション展)

開催延期(再開未定)

江戸東京博物館(五百羅漢 幕末の絵師 狩野一信)
府中市美術館(江戸の人物画 姿の美、力、奇)
森美術館(フレンチ・ウィンドウ展)

展示中止(開催中止)

出光美術館(琳派芸術展)*次回は4/23より「花鳥の美」展を予定。
そごう美術館(福富太郎コレクション展)
ニューオータニ美術館(ベルナール・ビュフェ展)*3/19より所蔵品展を開催予定。

なお今後さらなる変化も予想されます。最新情報は各美術館のWEBサイトをご覧ください。

ちなみにお馴染みの「ミュージアムカフェ」でも東北、関東、甲信越地方の休館情報が掲載されています。

東北地方太平洋沖地震の影響による臨時休館などの情報:甲信越地方/東北地方/関東地方

また以下のサイトにも休館情報の他、被災・救援の美術館情報が掲載されています。

savemuseum@ウィキ-東日本大地震によるミュージアムの被災情報・救援情報

東北、北関東方面では、地震により直接大きな被害を受けた美術館もあります。復旧のために長期の休館も見込まれそうです。

少しばたばたしております。ブログは不定期で更新します。

*3/18に情報を修正しました。→首都圏の美術館休館情報その2
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地震による美術館への影響などについて

昨日、東日本を中心に巨大地震がありました。残念なことに既に多くの方が亡くなられ、また今も多くの方が救援を待っておられます。被災地の東北方面の状況を報道で知るにつれ、今回の尋常ならざる被害にただただ言葉を失うばかりです。心よりお見舞い申し上げます。

私は発生時、千葉県内にいましたが、その後の交通機関の麻痺に巻き込まれた程度で、無事当日中に徒歩で帰宅出来ました。

当初から携帯電話は不通となり途方に暮れましたが、ツイッターがかなり早い段階で復旧していたのには驚きました。TLにはデマも多数出ていましたが、交通機関などの情報はいち早く得ることが出来た上、DMは身近な連絡手段として大変に有益でした。

さてこういう状況下では致し方ありませんが、首都圏の美術館や博物館にも大きな影響が出ています。

臨時休館情報を「子連れアート鑑賞日記」のせいなさんが丁寧にまとめて下さいました。ありがとうございます。

「地震による美術館の休館情報」@子連れアート鑑賞日記

また「弐代目・青い日記帳」のTakさんも情報をまとめておられます。

「東北地方太平洋沖地震による美術館・博物館閉館情報」@弐代目・青い日記帳

そちらの情報もあわせると、現時点における首都圏で、明日の日曜(13日)、それ以降開館、もしくは当面休館予定の美術館はご覧の通りです。

3月13日(日)より開館

Bunkamuraザ・ミュージアム(フェルメール地理学者とオランダ・フランドル絵画展)*3/14休館
ワタリウム美術館(ハートビート展)
板橋区立美術館(発信/板橋/2011展)
埼玉県立近代美術館(New Vision Saitama 4)

3月15日(火)より開館(但し上野の森美術館のみ14日月曜。)

上野の森美術館(VOCA展)
太田記念美術館(小林清親展)
日本民芸館(日本の古人形展)
畠山記念館(酒井抱一展)

当面休館

山種美術館(ボストン美術館浮世絵名品展)*3/15は休館。以降未定。
東京オペラシティアートギャラリー(曽根裕展)*3/15は休館。
出光美術館(琳派芸術展)*3/15まで休館。
国立西洋美術館(レンブラント展)*3/15まで休館。
東京都写真美術館(日本のピクトリアリズム展)*3/15まで休館。
東京都庭園美術館(タイポグラフィ展)*3/15まで休館。
東京国立近代美術館(岡本太郎展)*3/15まで休館。
神奈川県立近代美術館(彫刻家エル・アナツイのアフリカ展)*3/15休館。
パナソニック電工汐留ミュージアム(白井晟一展)*3/16まで休館。
根津美術館(古鏡とひなかざり展)*3/16まで休館。
国立新美術館(シュルレアリスム展)*3/16以降は状況により休館。
三菱一号館美術館(ヴィジェ・ルブラン展)*3/16まで休館。17日以降開館予定。
ブリヂストン美術館(コレクション展)*3/18まで休館。
国立科学博物館(常設展示)*3/18まで休館。
東京国立博物館(総合文化展)*3/18まで休館。
横浜美術館(高嶺格展)*3/18まで休館。
練馬区立美術館(グランヴィル展)*3/21まで休館。
三井記念美術館(三井家のおひなさま展)*3/22まで休館。

再開未定

東京都現代美術館(田窪恭治展/MOTアニュアル2011)
千葉市美術館(市民美術展)
川村記念美術館(上村松園展)
大倉集古館(煌めきの近代展)
損保ジャパン東郷青児美術館(選抜奨励展)
そごう美術館(福富太郎コレクション展)
原美術館(原美術館コレクション展)

計画停電などで大きな変更が生じています。最新情報は各美術館のWEBサイトをご覧ください。

ちなみに江戸東京博物館で15日から開催予定だった「五百羅漢 幕末の絵師 狩野一信」は、館内の安全点検のため、開幕を延期することになりました。

特別展「五百羅漢」展の開幕延期について@江戸東京博物館

ART-ITでもギャラリーを含めた美術館の休館情報が掲載されています。

臨時休館、休廊情報@ART-IT

余震の他、原発など、まだ全く予断を許しませんが、なんとかこれ以上の惨禍が起きないことを願ってやみません。どうかお気をつけてお過ごし下さい。

追記:下記リンク先エントリで情報を修正しました。(3/16)

首都圏の美術館休館情報

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「中山明日香 - empirical garden」 INAXギャラリー

INAXギャラリー2中央区京橋3-6-18 INAX:GINZA2階)
「中山明日香 - empirical garden」
3/1-3/29



INAXギャラリー2で開催中の中山明日香個展、「empirical garden」へ行ってきました。

作家プロフィールの他、展示風景については同ギャラリーWEBサイトをご参照下さい。

中山明日香「empirical garden」@現代美術個展GALLERY2

2010年に京都市立芸術大学美術学部を卒業後、現在は同大学の修士課程で学んでおられるそうです。また昨年の5月に丸の内で開催されたアートアワードにも出品がありました。

さて今回の個展では横4メートルほどの作品を含む、主に大作の油彩が4点ほど展示されていますが、まず印象深いのはその画面を埋め尽くすビビッドな色遣いです。

あたかもペンキを塗りこめたかのようなどっしりとしたブルーやグリーンが、庭や室内など、一見するところ日常的な風景を描きだしています。ベンチやバーベキュー、そして物干竿などは、どこか夜を思わせる暗がりを背景に、その鮮烈な色味にて力強く浮き上がっていました。

ただそうした明るい色や日常のモチーフも、しばらく見ているとどこか不穏な気配を感じてなりません。それこそ誰もいないバーベキューや、下着とともに吊り下がる肉のかたまりなどは、現実の景色をシュールな方向へと揺さぶってきます。

またそうした不在の景色をはじめ、たとえば空は真っ暗にも関わらず、輝かしいほどに明るい画面など、現実と非現実がない交ぜになった空間も奇妙なほどに印象に残りました。

3月29日まで開催されています。

*関連エントリ(同時開催中の展覧会)
「にっぽんの客船 タイムトリップ展」 INAXギャラリー

*開廊日時:月~土(日祝休) 10:00~18:00
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「第5回 shiseido art egg 川辺ナホ」 資生堂ギャラリー

資生堂ギャラリー中央区銀座8-8-3 東京銀座資生堂ビル地下1階)
「第5回 shiseido art egg 川辺ナホ - Open Secret」
3/4~27



本年度最後のアートエッグです。資生堂ギャラリーで開催中の川辺ナホ個展、「Open Secret」へ行ってきました。

展示概要については同ギャラリーWEBサイトをご参照下さい。

Shiseido art egg Vol.5 展示案内

また作家、川辺ナホ氏もご自身でHPをお持ちです。

Naho Kawabe 

武蔵野美術大学で映像を学んだ後、主にドイツで制作を続けてきました。

さて今回は川辺の制作の中核でもある映像3点と、1点の平面作品が展開されていましたが、そこに共通するのは「見ることの不確かさ」であるかもしれません。

キーワードは視覚トリックです。色とりどりの球がぶら下がる先には「HELP」の文字が揺らぎ、何やらプリミティブな人形の向こうにはあたかも影絵のような像がぼんやりと浮かび上がっています。そしてそれぞれの実体、つまり球や人形の手前に置かれているのは映写機です。実体と映し出された像との関係は一体どうなのかについて、しばし頭を悩ませることになりました。

実際の種明かしは会場で探っていだきたいところですが、この2点のイメージに関しては、1点が映像そのもの、そしてもう1点が単なる影に過ぎません。

「事象と事実」(解説パンフレットより引用)との間にあるズレや揺らぎが、シンプルな映像により鮮やかに示されていました。

奥の小部屋の床面に広がる炭のペイント、「封印した!」(2011)にもそうしたトリックが目立たない形で隠されています。光と影は床の上で美しく溶け合っていました。

もう1点の映像作品が調整中で見られませんでした。会期中にもう一度伺いたいと思います。



「第5回 shiseido art egg」スケジュール(Shiseido art egg賞は4月下旬に発表予定。)
藤本涼  1月7日(金)~30日(日)
今村遼佑 2月4日(金)~27日(日)
川辺ナホ 3月4日(金)~27日(日)

3月27日まで開催されています。

*開廊日時:火~日(月休) 平日11:00~19:00 日・祝11:00~18:00
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「包む - 日本の伝統パッケージ展」 目黒区美術館

目黒区美術館目黒区目黒2-4-36
「包む - 日本の伝統パッケージ展」
2/10-5/22(会期延長)



古くから日本人が大切にしてきた「包み」の文化を再確認します。目黒区美術館で開催中の「包む 日本の伝統パッケージ展」へと行って来ました。

何かと簡易包装が推奨されるせいか、最近でこそ趣きも失われつつある「包む」、ようは様々なパッケージですが、時に凝った意匠はおろか、そこにこめられた作り主の思いは当然ながら否定されたわけではありません。


「柚子味噌」 東京都/笹乃雪

展示ではグラフィックデザイナーとして活躍し、日本の包みの美しさに魅了されて様々な容器を収集した岡秀行氏(1905~1995)のパッケージコレクションが一同に紹介されています。

第1室・2室 「岡秀行 包むコレクション」木/竹/土/わら/紙/布/その他
第3室 「Pick up 伝統の美/生活の美」
第4室 「映像コーナー」


菓子折、酒樽、また弁当箱や酒瓶、それに祝儀袋などがほぼ露出展示の形でずらりと揃っていました。

素材別にパッケージを紹介しているのも展覧会の特徴の一つかもしれません。竹や笹、それに紙といった素材が、ちょっとした工夫、また意匠を加えることで、驚くべきほどに斬新なアートへと変化していきました。


「おひねり」

その際立ったものとして私が強く惹かれたのは「おひねり」、ようは投げ銭の包み紙です。

言ってしまえば賽銭をたった一枚の紙が包んでいるに過ぎませんが、その花のような形からは、簡素ながらも美の一つの在り方が現れてはいないでしょうか。まさに見立ての妙味でした。


「ささらあめ」 宮城県/熊谷屋

また花と言えば「ささらあめ」も忘れられません。飴を束にして開いた形はまるでお花畑です。そもそも和菓子自体が味だけではなく目でも楽しむものですが、こうしたパッケージもまた魅力を高めていました。


「卵つと」 山形県

竹や笹などで編んだかごなども機能性と美しさが両立したパッケージと言えるかもしれません。竹筒をそのまま用いた薬味入れは、それこそ身近な日用品の中に潜む「包み」の美学を感じることが出来ました。

ハイライトは結納の目録一式ではないでしょうか。雛壇に並ぶ結納の目録の意匠は、藁や紙などを駆使して出来た「包み」の総合芸術です。また千歳飴の袋など、子どもの頃に心を踊らせたようなパッケージも郷愁を誘っていました。

「包み」の美を3D映像で再現した「包 TSUTSUMU」(監督:押切隆世)も見所の一つです。コレクションの都合なのか、例えば風呂敷などの「布」のパッケージについての紹介は殆どありませんでしたが、包みが生み出す美の多様な世界には終始感心させられました。


「澤之鶴」 兵庫県/沢の鶴株式会社

余計なことかもしれませんが、酒樽や徳利などのパッケージがかなり多く、酒好きには嬉しい展覧会でもありました。

「包む─日本の伝統パッケージ/ビー・エヌ・エヌ新社」

5月22日までの開催です。おすすめします。(会期が大幅に延長されました。)

*開館日時:火~日(月休)但し3月21日(月祝)は開館、翌22日(火)は休館。10:00~18:00(入館は17:30まで)
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「鹿島茂コレクション1 グランヴィル - 19世紀フランス幻想版画展」 練馬区立美術館

練馬区立美術館練馬区貫井1-36-16
「鹿島茂コレクション1 グランヴィル - 19世紀フランス幻想版画展」
2/23-4/10



19世紀フランスを代表する版画家、グランヴィルの世界を紹介します。練馬区立美術館で開催中の「鹿島茂コレクション1 グランヴィル 19世紀フランス幻想版画」展のプレビューに参加してきました。

意外にも練馬区立美術館では初めてとなるフランス物の展覧会です。フランス文学者で古書蒐集家としても知られる鹿島茂氏は「グランヴィル狂」と自認するほどグランヴィルに傾倒し、膨大なコレクションを形成しました。


展示風景

今回はその作品を回顧展方式で一同に展示しています。

1 1825~1835年 ナンシーからパリへ~カリカチュアの王
2 1836~1847年 挿絵の世界へ~幻想世界の確立
3 グランヴィル死後


38シリーズ、約200点にも及ぶグランヴィルの版画作品が、時代別にズラリと並んでいました。

僅か40数年の短い生涯だからといって、グランヴィルの作風を一括りにするのは乱暴かもしれません。ナンシー生まれのグランヴィルはパリに出た後、細密画の仕事を手掛けつつ、舞台衣装のデザインからキャリアをスタートさせました。


「サロンの巫女」 1827年

流行のタロットカードの絵柄を表した「サロンの巫女」も初期の佳作です。ここでグランヴィルは父の友人の画家、マンシオンに依頼され、カード52枚の表絵を描きあげました。しかしながらまだ実績に乏しい彼は、気の毒なことにも、カードのケースの上に名前を記すことが出来ません。彼は下請け時代、かなり厳しい生活を送っていましたが、そうしたエピソードを知ることの出来る作品でした。

そんなグランヴィルに転機をもたらすのが、結果的に彼の真骨頂となった動物戯画のシリーズです。


「現代版変身譚」-「恋人の退店時間」 1829年

社会風俗を冷ややかな眼差しで見つめ、市民たちを動物に見立て描いた「現代版変身譚」は、売れ行きが好調だっただけでなく、ジャーナリズムからも大いな注目を集めた出世作となりました。

そしてこの動物戯画こそ、グランヴィル版画の大きな魅力に他なりません。


「動物たちの私生活・公生活情景」-「さあ、立ち上がって私についてきなさい」 1842年

「19世紀挿絵絵本の最高傑作」(図録より引用)ともうたわれる晩年の「動物たちの私生活・公生活」ではネズミや猫にウサギ、時には悪魔までを持ち出して社会の様々な様相を風刺しました。彩色は後の時代による部分もあるそうですが、細密極まりない描線はそれこそ単眼鏡必須です。ここは作品に張り付くように見入ってしまいました。

さて話は前後しますが「現代版変身譚」を成功させたグランヴィルは、風刺画家として新聞挿絵の仕事にも取り組みます。


「洋梨の生理学」 1832年

ここで興味深いのは風刺版画家としても有名なドーミエとの違いです。「ドーミエの笑いはユーモアだが、グランヴィルの笑いはブラック・ユーモア」と断じる鹿島氏の言葉を借りても、確かに王ルイ=フィリップの顔を模した「洋梨の生理学」などからは、かなり辛辣な表現を見ることが出来ます。

政治風刺画の取り締まりの強化など、グランヴィルを取り巻く制作環境は必ずしも良かったわけではありませんが、「カリカチュール」や後の「シャリヴァリ」などで政治風刺画を描き続けました。


「ガリヴァー旅行記」 1938年

比較的分かりやすい画風のドーミエに対し、あまりにも「毒」(図録より引用)の強いグランヴィルは人気の点で後塵を拝します。以降、グランヴィルはやや作風を変化させ、「ガリヴァー旅行記」や「ラ・フォンテーヌの寓話」などの挿絵本の制作に積極的に取り組むようになりました。

晩年のグランヴィルにはこれまでの動物戯画、風刺精神と並んで、幻想性というまた一つの大きな要素が加わります。


「もう一つの世界」 1844年

その昇華したのが「もう一つの世界」です。とある博士らが例えばシャンパンが噴出する惑星などへ冒険する物語は、擬人化された動物や植物をとりこんで、まさに奇想天外なワンダーランドを作りあげています。


「週刊絵入新聞 マガザン・ピトレスク」-「犯罪と贖罪」

グランヴィルは死後、言わば忘れられたため、後の美術史に与えた影響は少ないとのことですが、一方でよく指摘される通り、晩年のグランヴィルには後のシュールレアリスムを彷彿させる作品も少なくありません。時にブリューゲルを思わせたグランヴィルの戯画的世界は、こうした新たな展開を見せたところで、43歳の若さによる突然の死により終わりを迎えてしまいました。


展示風景

鹿島氏が「グランヴィルを見たら人生が変わる。」(図録より引用)とまで豪語する展覧会です。奇想天外のグランヴィルの版画世界に浸っていると確かに時間を忘れてしまいました。

「グランヴィル―19世紀フランス幻想版画/鹿島茂/求龍堂」

なお今回の図録は一般書籍として書店でも発売中です。出品作の全ての図版は掲載されていませんが、出版元は質の高さで定評のある求龍堂です。是非お手にとってご覧ください。

実は内覧時に加えて今日(3月6日)、既に2回目を拝見してきましたが、評判も上々なのか、館内は思いの外に賑わっていました。ひょっとすると会期末に向けて混雑してくるかもしれません。


会場入口

4月10日までの開催です。もちろんおすすめします。

*地震の影響により一時休館しましたが、3月23日(水)より通常開館します。また会期が4月10日(日)まで延長されました。

*開館日時:火~日(月休)10:00~18:00(入館は17時30分まで)

注)写真の撮影と掲載は主催者の許可を得ています。
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