『new born 荒井良二』 千葉市美術館

千葉市美術館
『new born 荒井良二 いつも しらないところへ たびするきぶんだった』
2023/10/4~12/17



自ら「絵本もつくる人」と称する荒井良二は、日本絵本賞大賞を受賞した『きょうはそらにまるいつき』をはじめとする数多くの絵本のほか、「みちのおくの芸術祭山形ビエンナーレ」の芸術監督を担うなど、絵本だけではなく、絵画、音楽、舞台美術などジャンルを超えて活動を続けてきました。

その荒井の多様な制作を紹介するのが『new born 荒井良二』で、会場には絵本原画、新作インスタレーション、絵画、立体作品から私蔵のガラクタなど約300点もの作品が展示されていました。



まず目を引くのが「ぼくはこんな絵本を作ってきたんだ」と題し、『あさになったのでまどをあけますよ』をはじめとする絵本原画の展示で、原画に加えて小さなスケッチや「展示案」とする展示プランのメモなども公開されていました。



また展示台など会場には「思い切りやりたいことを描いて 失敗とか成功ということよりも 人に贈るギフトみたいにしようと思ってる」など、直筆のメッセージも書かれていて、さながら荒井のインスピレーションの源泉を見るかのようでした。



「山形ビエンナーレ2018」を再構成した展示も見どころといえるかもしれません。ここでは屋台のような作品やマスコット、また楽器と組み合わせた動物のかたちをした立体作品、さらに絵画などが並んでいて、作曲家の野村誠が展示のために作曲した音楽がBGMとして流れていました。



今回の展示のための新作、『旅する名前のない家たちを ぼくたちは古いバケツを持って追いかけ 湧く水を汲み出す』とは、2010年に発表した絵画『逃げる子どもI』から着想を得たインスタレーションで、約40の名前のない家たちによって構成されていました。



それぞれの家には車輪がついている上、小さな子どもたちが住んでいて、あたかも船や車に乗り、子どもたちがキャラバンを組んで旅していくかのような光景が築かれていました。


「絵本もつくる人」荒井良二のイマジネーションに満ちた創作世界、千葉市美術館にて個展が開催中!|Pen Online

12月17日まで開催されています。

『new born 荒井良二 いつも しらないところへ たびするきぶんだった』 千葉市美術館@ccma_jp
会期:2023年10月4日(水)~12月17日(日) 
休室日:10月10日(火)、23日(月)、11月6日(月)、20日(月)、12月4日(月)*第1月曜日は全館休館
時間:10:00~18:00。
 *入館は閉館の30分前まで
 *毎週金・土曜は20時まで。
料金:一般1200(960)円、大学生700(560)円、高校生以下無料。
 *( )内は前売り、市内在住の65歳以上の料金。
 *常設展示室「千葉市美術館コレクション選」も観覧可。
 *ナイトミュージアム割引:金・土曜日の18時以降は共通チケットが半額
住所:千葉市中央区中央3-10-8
交通:千葉都市モノレールよしかわ公園駅下車徒歩5分。京成千葉中央駅東口より徒歩約10分。JR千葉駅東口より徒歩約15分。JR千葉駅東口より京成バス(バスのりば7)より大学病院行または南矢作行にて「中央3丁目」下車徒歩2分。
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『杉本博司 本歌取り 東下り』 渋谷区立松濤美術館

渋谷区立松濤美術館
『杉本博司 本歌取り 東下り』
2023/9/16~11/12


『杉本博司 本歌取り 東下り』 展示風景

渋谷区立松濤美術館にて『杉本博司 本歌取り 東下り』が開かれています。

これは和歌の作成技法のひとつである「本歌取り」を作品制作に援用する杉本が、昨年に姫路市立美術館で行った『杉本博司 本歌取り―日本文化の伝承と飛翔』の内容を再構成して開いているもので、会場には歴史的な絵画を本歌とした写真による屏風といった新作を中心に、旧作から古典の作品などが公開されていました。


杉本博司『富士山図屏風』 2023年 作家蔵 

このうち『富士山図屏風』とは、北斎の『冨嶽三十六景 凱風快晴』を本歌にした新作で、杉本は通称「赤富士」の描かれた場所と推定される山梨県の三ツ峠山に出かけて撮影を行い、一部をデジタルにて処理した上で、かつて北斎も見たと思われる富士山の雄大なすがたを写し出しました。


「Brush Impression」シリーズ 展示風景

コロナ禍においてニューヨークのスタジオに戻ることができず、古くなってしまった印画紙の活用を模索する中で生まれた「Brush Impression」のシリーズも興味深いかもしれません。

ここで杉本は周囲のほとんど見えない暗室に入り、印画紙に現像液、または定着液に浸した筆で文字を書いていて、書の技法を本歌取りしつつ、自らの感覚を頼りに生み出された文字を力強く表していました。


右上:杉本博司『宙景 001』 2023年 杉本表具 作家蔵

代表的な「海景」において古代と同じ目で海を見ようとした杉本が、今度は同じく太古より人々が暮らしてきた地球のすがたを捉えようとしたのが「宙景」と呼ぶ作品で、ソニーやJAXAなどが共同開発した人工衛星「EYE」のカメラを遠隔操作して撮影した地球を写し出していました。


杉本博司『フォトジェニック・ドローイング 015 :タルボット家の住み込み家庭教師、アメリナ・ぺティ女史と考えられる人物 1840〜41年頃』 2008年

このほかイギリスの科学者で数学者のウィリアム・ヘンリー・フォックス・タルボットのネガを本歌とした「フォトジェニック・ドローイング」も見どころといえるかもしれません。


『杉本博司 本歌取り 東下り』 展示風景

杉本が深く敬愛するという白井晟一による建築空間と作品が響き合う光景にも魅力を感じました。

10月15日にて前期展示が終了し、17日より後期展示がはじまりました。これ以降の展示作品の入れ替えはありません。


白井晟一の名建築で見る杉本博司の「本歌取り」、渋谷区立松濤美術館にて展覧会が開催中|Pen Online

11月12日まで開催されています。

『杉本博司 本歌取り 東下り』 渋谷区立松濤美術館@shoto_museum
会期:2023年9月16日(土)~11月12日(日)
 *前期:9月16日(土)~10月15日(日)、後期:10月17日(火)~11月12日(日)
休館:月曜日。(ただし、9月18日、10月9日は開館)、9月19日(火)、10月10日(火)
時間:10:00~18:00 
 *毎週金曜日は20時まで開館
 *入館は閉館の30分前まで。
料金:一般1000(800)円、大学生800(640)円、高校生・60歳以上500(400)円、小中学生100(80)円。
 *( )内は団体10名以上、および渋谷区民の入館料。
 *渋谷区民は毎週金曜日が無料。
 *土・日曜、祝日は小中学生が無料。
場所:渋谷区松濤2-14-14
交通:京王井の頭線神泉駅から徒歩5分。JR線・東急東横線・東京メトロ銀座線、半蔵門線渋谷駅より徒歩15分。
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『東京ビエンナーレ2023』 東京都心北東エリア

東京都心北東エリア
『東京の地場に発する国際芸術祭 東京ビエンナーレ2023』
2023/9/23〜11/5



千代田区、中央区、文京区、台東区の4区にまたがる東京都心北東エリアにて、『東京の地場に発する国際芸術祭 東京ビエンナーレ2023』が開かれています。


日比野克彦 作品展示風景

まず最も北に位置する谷中・鶯谷・上野・御徒町エリアでは、とりわけ寛永寺の展示が充実していて、通常非公開の渋沢家霊堂前庭にて日比野克彦と鈴木理策が、一部にVRを用いたインスタレーションなどを公開していました。


「顔のYシャツ」

都心では数少ない古い個人商店の跡地でも展示が行われていて、そのうちの神田・湯島エリアの「顔のYシャツ」では、中村政人が『私たちは、顔のYシャツ』と題した展示を行っていました。


中村政人 作品展示風景

ここでは同店のシンボルであった顔の看板をモチーフに、絵画をはじめとしたメディアで作品化していて、あわせてかつての記憶を蘇らせるべく、顔をひとりの人格として象徴化するインスタレーションを展開していました。


「海老原商店」

神田須田町の「海老原商店」も関東大震災後の復興期に建てられた古い建築で、中では西尾美也ほかが『パブローブ 100年分の服』のプロジェクトを行っていました。


『パブローブ 100年分の服』 展示風景

『パブローブ 100年分の服』とは、パブリックとワードローブを組み合わせた造語で、地域の人々から集められた過去100年分の服を展示、さらに図書館のように借りることのできるプロジェクトでした。


『パブローブ 100年分の服』 展示風景

この古着の中には一つ一つ来歴などを物語コメントがつけられていて、中には大震災より前の花嫁衣装で、3代にわたって着てこられたという振袖や、1940年代の当時の国民服といった貴重なものも少なくありませんでした。


「エトワール海渡リビング館」 展示風景

『東京ビエンナーレ2023』で最も作品数が多いのが、東日本橋・馬喰町エリアのエトワール海渡リビング館でした。


畠山直哉 展示風景

館内では畠山直哉や佐藤直樹、中島伽耶子といった国内のアーティストをはじめ、海外作家公募プロジェクトとしてマルコ・バロッティやヒルダー・エリサ・ヨンシュドッティルなど海外アーティストが展示を行っていて、絵画から映像、インスタレーションと多様な作品が並んでいました。


佐藤直樹 作品展示風景

そのうち佐藤直樹による植物の大型木炭画シリーズも見応えがあったかもしれません。会場は1階から7階までと続いていて、映像ほか各種プロジェクトの成果展示なども充実していました。


大丸有エリア 作品展示風景

このほか、水道橋・神保町エリアから大丸有エリアなどの無料展示も見て歩くのも楽しいかもしれません。


『ネオメタボリズム/ガラス』 展示風景

JR秋葉原~御徒町駅間高架下(神田・湯島エリア)のスペースを使った中村政人の『ネオメタボリズム/ガラス』も面白く思えました。


水道橋・神保町エリア 作品展示風景

WEBメディアの「イロハニアート」にも『東京ビエンナーレ2023』の見どころについて寄稿しました。


『東京ビエンナーレ2023』が開催中。アートを通して東京の魅力を再発見! | イロハニアート

11月5日まで開催されています。

『東京の地場に発する国際芸術祭 東京ビエンナーレ2023』@tokyobiennale) 東京都心北東エリア
会期:2023年9月23日(土)〜11月5日(日)*秋会期
会場:東京都心北東エリア(千代田区、中央区、文京区、台東区の4区にまたがるエリア) の歴史的建築物、公共空間、学校、店舗屋上、遊休化した建物等
入場:一部の会場およびプログラムは有料。
チケット情報
① エトワール海渡リビング館:一般2500円、学生1500円。
② 寛永寺:一般1500円、学生900円。
③ 海老原商店:一般500円、学生300円。
④ 顔のYシャツ:一般500円、学生300円。
 *すべて高校生以下は無料。
 *ガイドブック特別版(一般5000円)、通常版(一般2500円)あり。
場所:千代田区東神田1-15-15(エトワール海渡リビング館)
交通:JR線馬喰町駅4番出口より徒歩2分、都営新宿線馬喰横山駅A1出口より徒歩6分。(エトワール海渡リビング館)
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『北陸工芸の祭典 GO FOR KOGEI 2023』 富山県富山市富岩運河沿いの3エリア

富山県富山市富岩運河沿いの3エリア
『北陸工芸の祭典 GO FOR KOGEI 2023 物質的想像力と物語の縁起―マテリアル、データ、ファンタジー』
2023/9/15~10/29


上田バロン 展示作品

今日的な観点から工芸の魅力を発信する芸術祭、『北陸工芸の祭典 GO FOR KOGEI 2023』が、富山県富山市富岩運河沿いの3つのエリアにて開かれています。


富岩運河環水公園 奥は久保寛子の展示作品

そのうち最も富山駅に近いのが環水公園エリアで、ここでは環水公園と富山県美術館、そして同エリアの事実上の主会場である樂翠亭美術館にて展示が行われていました。


近藤高弘 展示作品

樂翠亭美術館で目を引くのは土を素材とした作品で、辻村塊の信楽壺がエントランスに並び、和室では自らを象ったという近藤高弘の坐像が物静かな佇まいを見せていました。


金理有 展示作品

また同館では付属する日本庭園にも作品が展開していて、土地と人の営みの関係をテーマに活動する野村由香が土を押し出すインスタレーションを制作していたほか、蔵の中では金理有による一つ目のオブジェが妖しい眼差しを覗かせていました。


中島閘門

この環水公園エリアから富岩運河を北上し、ちょうど富山湾と半分あたりの地点に位置するのが、中島閘門エリアでした。


横野明日香 展示作品

中島閘門とはパナマ運河方式で約2.5メートルの水位差を調整する現役の閘門で、展示は閘門横のスペースと操作場、また少し離れた場所にある通称「電タク」と呼ばれる建物にて行われていました。


定村瑤子 展示作品

かつてのタクシー会社の社屋であった「電タク」では、建物内部と屋外、さらにギャラリーにて主に絵画をメインとした作品が展示されていて、黒部ダムの風景を量感あふれた描写で表現した横野明日香や、かつての社長室の空間からインスピレーションを受けて絵画を描く定村瑤子の作品に見応えがありました。


葉山有樹 展示作品

3つのエリアで最も富山湾に近いのが、江戸時代には北前船の寄港地として栄え、現在も酒蔵などの古い街並みを残す岩瀬エリアでした。


コムロタカヒロ 展示作品

ここでは北前船の北陸五大船主であった馬場家や、酒蔵桝田酒造店といった8ヶ所の歴史的建造物などにて作品が展開していて、歴史ある街並みと工芸やアートが響き合う光景を見ることができました。


古川流雄 展示作品


Penオンラインでも『北陸工芸の祭典 GO FOR KOGEI 2023』の見どころについて寄稿しました。

遊覧船で巡る「水の都」富山の芸術祭、『北陸工芸の祭典 GO FOR KOGEI 2023』が開催中!|Pen Online


ささきなつみ 展示作品

いわゆる旧来の工芸の概念を拡張し、より現代アートに引き付けたような芸術祭といえるかもしれません。富山の運河沿いに開けた、思いの外に多様な作品に見入りました。


葉山有樹 展示作品

会期も残すところあと半月となりました。10月29日まで開催されています。

『北陸工芸の祭典 GO FOR KOGEI 2023 物質的想像力と物語の縁起―マテリアル、データ、ファンタジー』@goforkogei) 富山県富山市富岩運河沿いの3エリア
会期:2023年9月15日(金)–10月29日(日)
休場日:樂翠亭美術館(水曜)、富山県美術館(水曜、9月19日)、ほか会期中無休
時間:10:00~16:30
 *入場は16時まで
チケット(ガイドブック付き):一般2500円、高校生1500円。
 *会場購入・引換:樂翠亭美術館(水曜休)、電タク、桝田酒造店 満寿泉
場所:富山市奥田新町2-27(樂翠亭美術館)
交通:JR「富山駅」北口から徒歩8分、富山港線 「インテック本社前駅」から徒歩5分。(樂翠亭美術館)
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『手塚治虫 ブラック・ジャック展』 東京シティビュー

東京シティビュー
『手塚治虫 ブラック・ジャック展』
2023/10/6~11/6



今年連載50周年を迎えた手塚治虫の『ブラック・ジャック』の世界を紹介する展覧会が、六本木ヒルズ森タワー52階の東京シティビューにて開かれています。

今回の『手塚治虫 ブラック・ジャック展』の最大の見どころは、「週刊少年チャンピオン」に掲載された531点もの直筆原稿が展示されていることで、記念すべき第1話目「医者はどこだ!」の全ページも原稿で読むことができました。



また「B・J遍歴」や「人体の神秘」10のキーワードによって『ブラック・ジャック』のストーリーを追う構成となっていて、あわせて手塚の医大時代の資料や、作品の誕生に迫る手塚プロの関係者や出版に携わった証言映像も公開されていました。



このほか、「B・J蘇生」と題し、現代と当時の視点で『ブラック・ジャック』を紐解く展示も興味深いかもしれません。



コロナ禍や昨今の世界情勢において、改めて意味を持つ生命の尊さや、医療の重要性や課題などのテーマも作品の随所に表れていて、手塚のメッセージは今の時代も強く響いているように思えてなりませんでした。



Penオンラインでも『手塚治虫 ブラック・ジャック展』の見どころを寄稿しました。


連載50周年!『手塚治虫 ブラック・ジャック展』が東京シティービューにて開催中|Pen Online

フォトスポットのみ撮影が可能です。11月6日まで開催されています。*Penの記事の写真撮影と掲載は主催者の許可を得ています。

『手塚治虫 ブラック・ジャック展』@BJExTwt) 東京シティビュー@tokyo_cityview
会期:2023年10月6日(水)~11月6日(月) 
休館:会期中無休。
時間:10:00~22:00
 *入場は閉館の21:00まで。
料金:一般2100円、高校・大学生1600円、4歳~中学生800円、65歳以上1800円。
 *平日オンライン料金。土日祝オンライン、また平日窓口、土日祝窓口料金の設定あり。
住所:港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー52階
交通:東京メトロ日比谷線六本木駅1C出口徒歩5分(コンコースにて直結)。都営地下鉄大江戸線六本木駅3出口徒歩7分。
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2023年10月に見たい展覧会【鹿児島睦/楊洲周延/青木野枝】

過去に記憶がないほどに暑かった日々もようやく終わり、朝晩を中心に一気に秋めいてきました。10月は1年のうちでも多くの展覧会が開幕する月です。今月に見たい展覧会をリストアップしてみました。


『鹿児島睦 まいにち展』※市立伊丹ミュージアムでの展示風景

展覧会

・『あざみ野コンテンポラリーvol.14 長谷川繁 1989—』 横浜市民ギャラリーあざみ野(10/7~10/29)
・『Material, or』 21_21 DESIGN SIGHT(7/14~11/5)
・『宇川直宏展 FINAL MEDIA THERAPIST @DOMMUNE』 練馬区立美術館(9/10~11/5)
・『めぐりあう大津絵』 八王子市夢美術館(9/15~11/5)
・『東京ビエンナーレ2023(秋会期)』 東京都心北東エリア(9/23~11/5)
・『手塚治虫 ブラック・ジャック展』 東京シティビュー(10/6~11/6)
・『春陽会誕生100年 それぞれの闘い 岸田劉生、中川一政から岡鹿之助へ』 東京ステーションギャラリー(9/16~11/12)
・『村田コレクション受贈記念 西洋工芸の美』 日本民藝館(9/14~11/23)
・『インド細密画』 府中市美術館(9/16~11/26)
・『北斎のまく笑いの種』 すみだ北斎美術館(9/20~11/26)
・『日本画聖地巡礼 —東山魁夷の京都、奥村土牛の鳴門—』 山種美術館(9/30~11/26)
・「横尾忠則 寒山百得展』 東京国立博物館・表慶館 (9/12~12/3)
・『井田幸昌展 Panta Rhei|パンタ・レイ―世界が存在する限り』 京都市京セラ美術館(9/30~12/3)
・『生誕120年 棟方志功展 メイキング・オブ・ムナカタ』 東京国立近代美術館(10/6~12/3)
・『やまと絵—受け継がれる王朝の美—』 東京国立博物館(10/11~12/3)
・『激動の時代 幕末明治の絵師たち』 サントリー美術館(10/11~12/3)
・『装飾の庭 朝香宮邸のアール・デコと庭園芸術』 東京都庭園美術館(9/23~12/10)
・『楊洲周延 明治を描き尽くした浮世絵師』 町田市立国際版画美術館(10/7~12/10)
・『さいたま国際芸術祭2023』 旧市民会館おおみや(10/7~12/10)
・『イヴ・サンローラン展 時を超えるスタイル』 国立新美術館(9/20~12/11)
・『new born 荒井良二 いつも しらないところへ たびするきぶんだった』 千葉市美術館(10/4~12/17)
・『コスチュームジュエリー美の変革者たち シャネル、スキャパレッリ、ディオール』 パナソニック汐留美術館(10/7~12/17)
・『石川真生 —私に何ができるか—』 東京オペラシティ アートギャラリー(10/13~12/24)
・『文晁と北斎―このふたり、ただものにあらず』 栃木県立美術館(10/21~12/24)
・『鹿児島睦 まいにち展』 PLAY! MUSEUM(10/7~2024/1/8)
・『青木野枝 光の柱』 市原湖畔美術館(10/14~2024/1/14)
・『即興 ホンマタカシ』 東京都写真美術館(10/6~2024/1/21)
・『生誕270年 長沢芦雪 —奇想の旅、天才絵師の全貌—』 大阪中之島美術館(10/7~12/3)
・『竹内栖鳳 破壊と創生のエネルギー』 京都市京セラ美術館(10/7~12/3)
・『ゴッホと静物画 伝統から革新へ』 SOMPO美術館(10/17~2024/1/21)
・『パリ ポンピドゥーセンター キュビスム展—美の革命 ピカソ、ブラックからドローネー、シャガールへ』 国立西洋美術館(10/3~2024/1/28)
・『イン・ビトウィーン』 埼玉県立近代美術館(10/14~2024/1/28)
・『モネ 連作の情景』 上野の森美術館(10/20~2024/1/28)
・『ニューホライズン 歴史から未来へ』 アーツ前橋と前橋市中心市街地(10/14~2024/2/12)
・『開館20周年記念展 私たちのエコロジー:地球という惑星を生きるために』 森美術館(10/18~2024/3/31)

ギャラリー

・『石内都 初めての東京は銀座だった』 資生堂ギャラリー(8/29~10/15)
・『ステファン・サグマイスター ナウ・イズ・ベター』 ギンザ・グラフィック・ギャラリー(8/30~10/23)
・『杉本博司|火遊び——Playing with Fire』 ギャラリー小柳(9/5~10/27)
・『雨宮庸介個展「雨宮宮雨と以」』 BUG(9/20~10/30)
・『牧野貴 コラージュとアンチコスモス』 ANOMALY(10/7~11/4)
・『ボスコ・ソディ「GALAXY」』 SCAI THE BATHHOUSE(9/16~11/5)
・『In Praise of Shadows – ヴェルサイユ宮殿 森田恭通 写真展』 CHANEL NEXUS HALL(9/27~11/5)
・『nomoco Organising Chaos』 YUKIKOMIZUTANI(10/21~11/11)
・『浮田要三 自画像』 Kanda & Oliveira(10/7~11/18)
・『西澤徹夫 偶然は用意のあるところに』 TOTOギャラリー・間(9/14~11/26)

まずは立川のPLAY! MUSEUMです。陶芸家でアーティストの鹿児島睦の個展、『鹿児島睦 まいにち展』が開かれます。



『鹿児島睦 まいにち展』@PLAY! MUSEUM(10/7~2024/1/8)

これは草花や生き物をモチーフにした絵皿を制作する鹿児島の新旧の器を紹介するもので、あわせて国内外のファッションやインテリアなどのさまざまな領域でのコラボレーションしたプロダクツなども公開されます。


また絵本『蛇の棲む水たまり』の物語の世界を言葉と器で紡ぐインスタレーションも出展され、鹿児島の幅広い制作を楽しむことができます。PLAY!による空間演出も見どころとなりそうです。

続いては幕末から明治末にかけて活躍した浮世絵師の展覧会です。町田市立国際版画美術館にて『楊洲周延 明治を描き尽くした浮世絵師』が開催されます。



『楊洲周延 明治を描き尽くした浮世絵師』@町田市立国際版画美術館(10/7~12/10)

1838年に高田藩の藩士の家に生まれた楊洲周延は、若くして歌川派に学ぶものの、戊辰戦争にて旧幕府軍に加わるなどして激動の時を過ごし、40歳となった明治に入ってから本格的に絵師として活動をはじめました。


今回の展覧会では錦絵、版本、肉筆画など約300点の作品が公開され、楊洲周延がどのように制作をしていったのかについて明らかにされます。必ずしも単独の展覧会で取り上げられる機会の多い絵師ではないだけに、浮世絵ファン注目の展覧会となるかもしれません。

ラストは現代美術です。市原湖畔美術館にて『青木野枝 光の柱』が行われます。



『青木野枝 光の柱』@市原湖畔美術館(10/14~2024/1/14)

かねてより鉄を素材にした彫刻を手がけてきた青木野枝は、各地の芸術祭に参加するなどして活動し、あたかも自然と調和するような有機的とも呼べる作品を制作してきました。


青木は展示に際し、美術館で最も特徴的な地下からの高さ9メートルの吹き抜け空間に着目して新作『光の柱』を制作していて、あわせてのような『core』をはじめとする大型作品が公開されます。

イロハニアートにも10月のおすすめの展覧会を寄稿しました。


【10月おすすめ展覧会5選】長沢芦雪から『やまと絵』、松山智一まで | イロハニアート

少しブログの更新が滞っておりますが、しばらくはマイペースで続けたいと思います。それでは今月もどうぞよろしくお願いいたします。
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『創立80周年記念 常盤山文庫の名宝』 東京国立博物館 東洋館8室

東京国立博物館 東洋館8室
『創立80周年記念 常盤山文庫の名宝』
2023/8/29~10/22


『創立80周年記念 常盤山文庫の名宝』展示風景

初代理事長の菅原通濟(すがはらみちなり)が古美術の蒐集をはじめた1943年を創立とする、公益財団法人常盤山文庫の80周年を記念した展覧会が、東京国立博物館東洋館8室にて開かれています。


『寧上人宛上堂偈』 退耕徳寧筆 中国 南宋時代・景定3年(1262)

国宝2件、重要文化財21件からなる常盤山文庫コレクションは、日本と中国の禅僧の墨跡と中国宋・元時代の絵画を中心に、中国陶磁や漆工などの工芸からなっていて、2018年より多くが東京国立博物館へと順次寄託されました。


右:『彫漆雲文水注』 中国 南宋時代・12~13世紀

長い把手と鶴首状の注口を持つ『彫漆雲文水注』とは南宋時代の作品で、朱と黒漆を交互に塗り重ねた漆の層に渦巻きの雲文を彫り込んでいました。陶磁ではなく彫漆で雲文を表現した珍しい水注といえるかもしれません。


『拾得図』 虎巌浄伏賛 中国 元時代・13~14世紀

南宋から元時代に活動した虎巌浄伏の賛を伴う『拾得図』は、同じ虎巌の賛のある静嘉堂文庫美術館の『寒山図』と対幅の作品で、素早い筆致を用いて腰を曲げて立つ拾得の様子を巧みに描いていました。


『龍図』 李えき筆 中国 明時代・15~16世紀

一方で放胆な筆使いにて風雨を起こす龍を頭部をダイナミックに描いた『龍図』(明時代)も力作ではないでしょうか。


『柿本人麻呂像』 伝詫磨栄賀筆、性海霊見賛 南北朝~室町時代・14世紀

このほか、川端康成旧蔵の美しい『青磁盤』(南宋時代)や、東福寺などで活動した禅僧が賛を寄せた『柿本人麻呂像』(南北朝〜室町時代)なども印象に残りました。


会場は東洋館4階の8室です。総合文化展(常設展)チケットで観覧できます。

撮影も可能でした。10月22日まで開催されています。

『創立80周年記念 常盤山文庫の名宝』 東京国立博物館 東洋館8室(@TNM_PR
会期:2023年8月29日(火) ~10月22日(日)
休館:月曜日、9月19日(火)、10月10日(火)。ただし9月18日(月・祝)、10月9日(月・祝)は開館。
時間:9:30~17:00
 *入館は閉館の30分前まで。
料金:一般1000円、大学生500円。
 *総合文化展料金。
住所:台東区上野公園13-9
交通:JR線上野駅公園口・鶯谷駅南口より徒歩10分。東京メトロ銀座線・日比谷線上野駅、京成電鉄京成上野駅より徒歩15分。
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