2020年 私が観た展覧会 ベスト10

年末恒例の私的ベスト企画です。私が2020年に観た展覧会のベスト10をあげてみました。

2020年 私が観た展覧会 ベスト10

1.「開館記念展 見えてくる光景 コレクションの現在地」 アーティゾン美術館



コロナ禍において、かつてないほど美術館のコレクションの価値が見直されていますが、アーティゾン美術館のオープニングを飾った「見えてくる光景 コレクションの現在地」は極めて充実していたのではないでしょうか。旧ブリヂストン美術館より2倍に広がったスペースには、印象派から現代へと至る200点超もの石橋財団コレクションが展示されていて、まさに圧巻の一言でした。また新たに加わった作品も見逃せないものが少なくなく、とりわけジュルジュ・マチューやマリア=エレナ・ヴィエラ・ダ・シルヴァといった現代美術の質の高さには舌を巻くほどでした。以降、同館では「鴻池朋子 ちゅうがえり」や「琳派と印象派」などの見応えのある展示も続いていて、今、東京で一番おすすめの美術館を問われれば、私はアーティゾン美術館を挙げると思います。

2.「ヨコハマトリエンナーレ2020」 横浜美術館、プロット48、日本郵船歴史博物館



国内の大半の芸術祭が中止となる中、人数を制限しながらも、ほぼ唯一開かれたのが「ヨコハマトリエンナーレ2020」でした。横浜美術館やプロット48などを会場に30カ国、計60名(組)のアーティストが多様な展示を行っていて、既存の価値や通念の転換を迫るような批評的な作品も少なくありませんでした。また「独学」、「発光」、「友情」、「ケア」、「毒」の計5つのキーワードが設定されていましたが、最も考えさせられたのが「世界に否応なく存在する毒と共生すること」(パンフレットより)とされた「毒」でした。価値の分断や対立など、何かと単純化して物事を捉えがちな今だからこそ、見るべき点の多い展覧会でもありました。

3.「ロンドン・ナショナル・ギャラリー」国立西洋美術館



今年の西洋絵画展の中で最も質量ともに充実していると感じたのが「ロンドン・ナショナル・ギャラリー」展でした。クリヴェッリの「聖エミディウスを伴う受胎告知」をはじめとして、これほど一点一点の作品を時間をかけて見たことはなかったかもしれません。緊急事態宣言解除後、久しぶりに足を運んだ展覧会の1つでしたが、会場に足を踏み入れた途端、湧き上がるような高揚感とともに絵を見る喜びを強く感じたことを覚えています。また公式ガイドブックの制作に一部携わったのも勉強になりました。

4.「ピーター・ドイグ展」 東京国立近代美術館



イギリスの現代アートシーンで脚光を浴びたピーター・ドイグの日本初の個展でした。初期から現在に至るまでの油彩約30点とポスター「スタジオフォルムクラブ」の40点が一堂に並んでいて、中でも見たことがあるようで見たことのない幻夢的な光景を描いた油彩に強く魅せられました。具象的でありながら歪みを伴い、また明るく美しい色彩を基調としつつも、不思議と毒々しく、一抹の恐怖感すら覚えるドイグの作品の魅力を存分に味わうことが出来ました。

5.「ミナ ペルホネン/皆川明 つづく」 東京都現代美術館



皆川明が設立したミナ ペルホネンの25周年を期した展覧会でした。ファッションからインテリア、さらにはシェルハウスへと多様に展開する皆川のものづくりを紹介していて、単にデザインというよりも、皆川のアイデアに心を惹かれました。現代美術家の藤井光や会場デザインを担った田根剛など、専門家との協働も大きな見どころでした。

6.「作品のない展示室」 世田谷美術館



新型コロナウイルス感染症の影響によりスケジュールの変更を余儀なくされた世田谷美術館が、作品を展示せずに美術館の空間のみを公開した展覧会でした。実のところ出向く前はやや懐疑的に思っていましたが、実際に見ると砧公園の緑が絵画のフレームのように展示空間へ映り込むのが殊更に美しく、これまで何度も通っていたにもかかわらず、殆ど初めて美術館の建物に魅力を感じました。また普段は閉じられた搬入口を公開するなど、通常とは異なった姿を見られたのも良かったと思いました。

7.「桃山―天下人の100年」 東京国立博物館



安土桃山時代を中心に花開いた芸術を圧倒的な質量で見せるかつてない展覧会でした。絵画、刀剣、甲冑などの200件を超える作品はどれも優品揃いで、ほぼ全編がハイライトと呼んで差し支えないほどでした。中でも狩野山雪、山楽の天球院や大覚寺を飾る屏風絵が魅力的で、山雪の「籬に草花図襖」の大胆な構図には強く驚かされました。

8.「コレクション展 2020-3:ふるえる絵肌」 青森県立美術館



今年はいくつか関東以外の美術館に出かけましたが、その中で最も感銘を受けたのが青森県立美術館で開催されていたコレクション展でした。ここでは伊藤二子に馬場のぼる、それに成田亨や佐野ぬいなど青森出身の作家を「絵肌」をキーワードに紹介していて、いずれの作品も引き立って見えました。また通年展示である奈良美智のコレクションも充実していた上、シャガールの「アレコ」の舞台背景画全4点の展示も想像以上のスケールで感銘を受けました。

9.「石岡瑛子 血が、汗が、涙がデザインできるか」 東京都現代美術館



世界的なデザイナーでアートデイレクターでもある石岡瑛子の仕事を振り返った、世界初の大規模な回顧展でした。資生堂やPARCOの仕事からはじまり、忠臣蔵やシルク・ドゥ・ソレイユ・ヴァレカイ、そしてイーモウの北京五輪からオランダ国立オペラのニーベリングの指環へと至る展示は質量ともに圧倒的で、会場を進めば進むほど石岡の世界観にのみ込まれるような熱量を感じました。

10.「生誕140年記念 背く画家 津田青楓とあゆむ明治・大正・昭和」 練馬区立美術館



図案で生計を立てつつ、日本画や洋画、それに書など幅広い分野で活動した津田青楓の画業を、約250点もの作品と資料で丹念に辿る回顧展でした。若い頃の装飾図案に心惹かれるとともに、日露戦争の従軍体験や社会運動への関心、そして拷問を受ける運動家の姿を描いた「犠牲者」などを通して、自らの制作を切り開いていった津田の生き様がひしひしと伝わるような展覧会でした。

次点.「アイヌの美しき手仕事」 日本民藝館



ベスト10以外で特に印象に残った展覧会は以下の通りです。(順不同)

・「トライアローグ:横浜美術館・愛知県美術館・富山県美術館 20世紀西洋美術コレクション」 横浜美術館
・「横浜美術館コレクション展 ヨコハマ・ポリフォニー:1910年代から60年代の横浜と美術」 横浜美術館
・「琳派と印象派 東⻄都市文化が生んだ美術」 アーティゾン美術館
・「生誕100年 石元泰博写真展 伝統と近代」 東京オペラシティアートギャラリー
・「式場隆三郎 腦室反射鏡」 練馬区立美術館
・「宮島達男 クロニクル 1995-2020」 千葉市美術館
・「The UKIYO-E 2020 ─ 日本三大浮世絵コレクション」 東京都美術館
・「和巧絶佳展 令和時代の超工芸」 パナソニック汐留ミュージアム
・「ART in LIFE, LIFE and BEAUTY」 サントリー美術館
・「開館15周年記念特別展 三井家が伝えた名品・優品」 三井記念美術館
・「特別展 きもの KIMONO」 東京国立博物館
・「ドレス・コード? ─ 着る人たちのゲーム」 東京オペラシティ アートギャラリー
・「オラファー・エリアソン展」 東京都現代美術館
・「鴻池朋子 ちゅうがえり」 アーティゾン美術館
・「Thank You Memoryー醸造から創造へー」 弘前れんが倉庫美術館
・「聖地をたずねて 西国三十三所の信仰と至宝」 京都国立博物館
・「古典×現代2020―時空を超える日本のアート」 国立新美術館
・「奇才―江戸絵画の冒険者たち―」 江戸東京博物館
・「ドローイングの可能性」東京都現代美術館
・「杉本博司 瑠璃の浄土」京都市京セラ美術館 新館 東山キューブ
・「生誕120年・没後100年 関根正二展」 神奈川県立近代美術館鎌倉別館
・「白髪一雄」 東京オペラシティ アートギャラリー
・「奈良原一高のスペイン――約束の旅」  世田谷美術館
・「小さなデザイン 駒形克己展」 板橋区立美術館

今年は一にも二にも新型コロナウイルスに振り回された一年でした。年の初め、中国・武漢での報道を見聞きして、日本や世界へも感染が広がるとは思いましたが、その時点でまさかこれほど長期渡って影響が及ぶとは予想も付きませんでした。

本来、オリンピックイヤーだったこともあり、インバウンドを意識した大型展が多く企画され、一方で海外館の借用作品を含む西洋美術展も予定されていましたが、残念ながら中止に追い込まれる展覧会も少なくありませんでした。また緊急事態宣言下においては殆ど全ての美術館が臨時休館となりました。新型コロナウイルスに伴う一都三県の美術館の休館情報はブログでもまとめましたが、かつては当たり前の日常だった、休日に美術館へ出かけて展覧会を鑑賞すること自体が困難となりました。

新型コロナウイルスへの対応に伴う「美術館・博物館」休館情報 第一報(3月2日)、第二報(3月9日)、第三報(3月16日)、第四報(3月24日)、第五報(4月1日)、第六報(4月9日)、第七報(5月2日)、第八報(6月2日)、第九報(6月25日)

そうした中、家にいながらにして美術のコンテンツを楽しめる、オンライン配信に積極的に取り組む美術館や博物館も見られました。私のブログでも外出が叶わなかった時期、いくつかの美術館のオンラインでの活動を「WEBで見る美術館」として追いかけました。

「オンラインミュージアム」で楽しむ國學院大學博物館
「広島⇔東京 インスタギャラリートーク」で見たい「生誕135年 川端龍子展」
「バーチャル北海道博物館」で学びたい北海道の自然・歴史・文化
「どこでも恐竜博物館」で知りたい福井県立恐竜博物館
オンライン・プログラム「Mori Art Museum Digital」で楽しむ現代アート
山種美術館の「おうちで日本画」でチャレンジする塗り絵
「どこでもれきはく」で学びたい 日韓の海にまつわる生活文化
コレクションから庭園まで 「美術館オリジナル動画」にて楽しむ岡田美術館
「おうちでミュージアム」で知りたい「竹中大工道具館」の魅力
坂茂のオンライン・ギャラリートークで鑑賞する「坂茂建築展」
アーティストが動画で語る「ふたつのまどか―コレクション×5人の作家たち」展
「みる」、「よむ」、「つくる」など多様なコンテンツで楽しむ「おうちでポーラ美術館」
くまモンと一緒に見る「モダンアート ニッポン!ウッドワン美術館名品選」
「おうちで式場展」で見る「式場隆三郎:脳室反射鏡」展
オンラインショップで探したい展覧会カタログ&グッズ
「おうちで体験!かはくVR」で探検する国立科学博物館
バーチャル・ツアーやニコニコ美術館で見る「ピーター・ドイグ展」
かはくチャンネルで見る「ボタニカルアートで楽しむ日本の桜-太田洋愛原画展-」 
解説動画で楽しみたい「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」
「オンラインで楽しむ横浜美術館」で見たい「澄川喜一 そりとむくり」展

特設サイトを開設して展示風景を閲覧できたり、中止された展覧会を学芸員やアーティストがyoutubeで解説を配信したり、Instagramライブやニコニコ動画でトークイベントを行うなど多様な取り組みが行われました。また北海道博物館による「おうちミュージアム」など全国の美術館のオンライン活動をつなげる試みも見られました。それらはコロナ禍の今も進行中であったり、アーカイブとして残されていて、美術鑑賞の新たなあり方について示唆に富む内容も少なくありませんでした。

皆さまは今年一年、どのような美術との出会いがありましたでしょうか。このエントリをもちまして年内のブログの更新を終わります。今年も「はろるど」とお付き合い下さりどうもありがとうございました。それではどうぞ良いお年をお迎え下さい。

*過去の展覧会ベスト10
2019年2018年2017年2016年2015年2014年2013年2012年2011年2010年2009年2008年2007年2006年2005年2004年その2。2003年も含む。)
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「〼〼⊿〼(益々繁盛)」 クリエイションギャラリーG8

クリエイションギャラリーG8
「160人のクリエイターと大垣の職人がつくるヒノキ枡 『〼〼⊿〼(益々繁盛)』」
2020/12/1~2021/1/20



クリエイションギャラリーG8で開催中の「160人のクリエイターと大垣の職人がつくるヒノキ枡 『〼〼⊿〼(益々繁盛)』」を見てきました。

かつて穀物を測る道具だった枡は、現在も祝いの席や小物入れとして使われるなどして、長らく人々の生活と関わってきました。

岐阜県大垣市は枡の全国生産量の8割を担っていて、市内に残った3つ製造業者の職人たちが、釘を使わない組み木の伝統的な枡を作り続けてきました。



こうした大垣の枡と160名のクリエイターが協働したのが「〼〼⊿〼(益々繁盛)」で、会場には美術家や漫画家、デザイナーらが思い思いに絵をつけた枡が展示されていました。



ともかく会場に枡が所狭しと並んでいて、1つ1つの作品にクリエイターらがコメントをつけるとともに、小物や文具を入れたサンプルも並んでいました。



今回の展覧会の最大の特徴は、収益金を寄付するチャリティープロジェクトであることでした。1990年に始まった同プロジェクトは、2009年より「Creation Project」として収益金を東日本大震災や熊本地震の義援金に当てていて、2017年からはセーブ・ザ・チルドレンに寄付してきました。

また「Creation Project」では、毎年異なった地域の産業を応援すべく、物づくりの仕事に焦点を当てていて、昨年は京都の職人によるふろしき、一昨年は福島の窯元の豆皿が取り上げられました。



今回の枡も1つ2200円で販売されていて、私も色々と迷った結果、ウロボロスをモチーフにした仲條正義さんの枡を購入してきました。



枡は「増す」や「益す」と読めることから縁起物ともされてきました。手持ちに日本酒がなかったため、焼酎と合わせて写真を撮りましたが、お正月にお酒を頂く時に使いたいと思いました。



なお出品の160種類の枡は、リアル会場だけでなくオンラインショップでも購入可能です。詳しくは同展の公式サイトをご覧下さい。

会場奥では今年夏にオンラインで行われたワークショップ「枡をデザインしよう」の成果展示も行われていました。



ここでは大垣の大橋量器で枡を作り続ける大橋博之さんとデザイナーの天宅正さんが講師を務め、12名の子どもたちが枡のデザインに挑戦して、原画やコメントシート、絵柄を印刷した枡が並んで公開されていました。



いずれも大変な労作で、特にシンプルな線描でカワウソを4面に象った小学校5年生のデザインに魅せられました。ペン立てとして用いるべくデザインされたそうです。

「〼〼⊿〼(益々繁盛)」展は2会場制です。同じ銀座に位置し、クリエイションギャラリーG8にもほど近いガーディアン・ガーデンでも展示が行われています。



入場には事前にWEBでの登録が必要です。但し当日や直前でも定員に達していない場合は、直接会場にて登録した上で入場ができます。(ガーディアン・ガーデンは来場登録が不要。)


クリスマスまでの当初の会期(12月25日まで)より約1ヶ月延期されました。1月20日まで開催されています。*12月26日〜1月5日は年末年始のため休館

「160人のクリエイターと大垣の職人がつくるヒノキ枡 『〼〼⊿〼(益々繁盛)』」 クリエイションギャラリーG8@g8gallery
会期:2020年12月1日(火)~2021年1月20日(水) *会期延長。
休館:日・祝日。年末年始(12月26日~1月5日)。 
時間:11:00~19:00。
料金:無料。
住所:中央区銀座8-4-17 リクルートGINZA8ビル1F
交通:JR線新橋駅銀座口、東京メトロ銀座線新橋駅5番出口より徒歩3分。
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「生命の庭ー8人の現代作家が見つけた小宇宙」 東京都庭園美術館

東京都庭園美術館
「生命の庭ー8人の現代作家が見つけた小宇宙」
2020/10/17~2021/1/12



東京都庭園美術館にて開催中の「生命の庭ー8人の現代作家が見つけた小宇宙」を見てきました。

今回出展したのは、青木美歌、淺井裕介、加藤泉、康夏奈、小林正人、佐々木愛、 志村信裕、山口啓介の8名のアーティストで、「人間と自然の関係性」をテーマに、絵画や彫刻、インスタレーションなどの多様な作品を公開していました。


淺井裕介「混血ーその島にはまだ言葉がありませんでした」 2019〜2020年

まず本館の大広間で目立っていたのが、土を用いた泥絵などを制作する淺井裕介の「混血ーその島にはまだ言葉がありませんでした」でした。少年や鹿に似た動物、はたまた草花や装飾的なモチーフが壁一面に広がっていて、それこそ森羅万象の生態系が描かれているかのようでした。


淺井裕介「頭上の森」 2020年

土はもちろん、赤ペンキや墨、またアクリル以外に、近年取り組んでいるという鹿の血も絵具として用いていました。また淺井は蝦夷鹿の頭骨や角を使った「頭上の森」などの立体も展示していました。いずれも角の先に動物の装飾が施されていて、未知の生き物として生まれ変わったかのようでした。


山口啓介「香水塔と花箱」 2020年

白磁の香水塔のある次室と大客室に展開した、山口啓介の「香水塔と花箱」も美しいかもしれません。


山口啓介「香水塔と花箱」 2020年

ここではドライフラワーや造花、また種子などを天然樹脂で固めた「カセットプラント」と呼ばれる作品が並んでいて、一部は窓の外から淡く色とりどりの光を室内へと写し込んでいました。


山口啓介「花波ガラス」 2020年

さらに山口は本館と新館をつなぐスペースに「花波ガラス」を展示していて、透明の小箱に入れられた自然の花と造花が美しいグラデーションを描いていました。花の向こうに屋外の庭園の緑が重なって映るのも良かったかもしれません。


加藤泉 展示風景

円形の窓から庭園を望む大食堂に作品を展示していたのは、胎児のような人型の彫刻や絵画で知られた加藤泉でした。


加藤泉 展示風景

ちょうど手足を広げて浮遊するような彫刻や、男女の肖像のような絵画が並んでいて、いずれもシュールでかつコミカルな表情を見せていました。その様子からは、あたかもアール・デコの空間を楽しんでいる住人のようにも思えました。


加藤泉「無題」 2020年

この他にも市松模様の大理石の敷かれたベランダをはじめ、大きな金庫のある小部屋にも隠れるように作品を置いていました。とりわけ後者はまるで金庫から飛び出してきたような仕草をしていて、愛おしくさえ映りました。


加藤泉「無題」 2020年

今回の展覧会の中で最もアール・デコの空間に映えていたのは加藤の作品だったのではないでしょうか。かくれんぼうならぬ作品を探して歩く面白さも感じられるかもしれません。


佐々木愛「鏡の中の庭園」 2020年

漆喰を用いて自然の景色を彫刻として表現した、佐々木愛の作品にも魅せられました。そのうち「鏡の中の庭園」では、丸い円盤状の支持体へ草花や蝶を線描のように刻み込んでいて、カーテン越しの柔らかい光を受けていました。


佐々木愛「鳥たちが見た夢」(部分) 2020年

「鳥たちが見た夢」も同様の漆喰の作品で、草花や鳥の繊細な模様があたかもカーテンのレースのように広がっていました。


小林正人「名もなき馬」 2014年

さらに本館では床置きした絵画を描いた小林正人や、自然のランドスケープを立体に表現したような康夏奈の作品も目を引きました。


「生命の庭」 新館ギャラリー1 展示風景

一方の新館では、広いホワイトキューブを活かして、山口啓介や小林正人が比較的サイズの大きな絵画を展示していました。

また山口は絵画の他に、東日本大震災以降ひたすら原発に関するニュースを記す日記「震災後ノート」も公開していて、まさに現在のコロナ禍などについても事細かに記述していました。


青木美歌 展示風景(本館部分)

さらにギャラリー2では、ミクロのウイルスなどを連想させるガラス彫刻を制作する青木美歌が、それこそ宝石の煌めきを思わせるような美しい展示を繰り広げていました。(ギャラリー2のみ撮影不可)こちらもお見逃しなきようにおすすめします。


志村信裕の「光の曝書(メンデルスゾーンの楽譜)」 2020年

かつて朝香宮が所有していた楽譜と映像を組み合わせた、志村信裕の「光の曝書(メンデルスゾーンの楽譜)」にも魅せられました。ちょうど楽譜の部分に庭園で撮影した緑や光が移ろうように映されていて、景色だけでなく静かに流れる時間までが切り取られているようでした。



12月28日から1月4日は年末年始のためにお休みです。


1月12日まで開催されています。

「生命の庭ー8人の現代作家が見つけた小宇宙」 東京都庭園美術館@teienartmuseum
会期:2020年10月17日(土)~2021年1月12日(火)
休館:第2・第4水曜日(10/28、11/11、25、12/9、23) 、年末年始(12/28~1/4)。
時間:10:00~18:00。
 *11/20、11/21、11/27、11/28、12/4、12/5は20時まで開館。
 *入館は閉館の30分前まで。
料金:一般1000(800)円 、大学生800(640)円、中・高校生・65歳以上500(400)円。
 *( )内は20名以上の団体料金。
 *小学生以下および都内在住在学の中学生は無料。
 *第3水曜日のシルバーデーは当面中止。
住所:港区白金台5-21-9
交通:都営三田線・東京メトロ南北線白金台駅1番出口より徒歩6分。JR線・東急目黒線目黒駅東口、正面口より徒歩7分。
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年末年始の「美術館・博物館」休館情報 2020/2021

今年も残すところあと1週間となりました。一都三県(東京・神奈川・埼玉・千葉)における、主な美術館と博物館の休館情報をまとめてみました。



【新型コロナウイルス感染症に伴う休館情報】

・出光美術館 長期休館中
・NTTインターコミュニケーション・センター  長期休館中
・埼玉県立近代美術館 12/24~1/18休
 「上田薫」 ~1/11 開催中止
・埼玉県立歴史と民俗の博物館 12/24~1/17休
 「特別展 銘仙」 1/2~ 開催延期
・台東区立朝倉彫塑館 12/26~1/12休
 「Enjoy sports 朝倉文夫の1964年」 ~3/7
・原爆の図丸木美術館 12/28~1/8休
 「内田あぐり VOICES いくつもの聲」 ~1/24
・ちひろ美術館・東京 1/2〜臨時休館
 「子どもの心を見つめて いわさきちひろ展」 ~1/31 展示休止

まずは新型コロナウイルス感染症に関する情報です。埼玉県立近代美術館と埼玉県立歴史と民俗の博物館、それに台東区立朝倉彫塑館などは、感染拡大防止の観点から年末年始の休館期間が当初よりも拡大されました。

・東京都現代美術館 「MOTコレクション 第2期 コレクションを巻き戻す」 1/2~12休
・東京都美術館 「コレクション展 読み、味わう昭和の書」 〜12/28(会期変更。当初会期は1/7まで)


東京都現代美術館は都の文化施設で開催する文化事業の一部休止の方針に伴い、「MOTコレクション 第2期 コレクションを巻き戻す」について、1月2日から12日まで休室することを決めました。(但し「石岡瑛子展」と「MOTアニュアル2020」は通常会期通り開催。)また東京都美術館もコレクション展「読み、味わう昭和の書」の会期が短縮され、年内の12月28日までとなりました。

首都圏では感染症の拡大傾向が依然として続いているだけに、今後も臨時休館に入ったり、通常の休館を延長する美術館が出るかもしれません。

続いて東京・神奈川・埼玉・千葉の各エリア別の休館情報です。



【上野】

・上野の森美術館 無休 
 「KING&QUEEN展」 ~1/11
 http://www.ueno-mori.org

・国立科学博物館 12/28~1/1休
 「日本のたてもの」 ~1/11 予約制
 http://www.kahaku.go.jp

・国立近現代建築資料館 12/29~1/3休
 「工匠と近代化 大工技術の継承と展開」 ~2/21
 http://nama.bunka.go.jp

・国立西洋美術館 館内施設整備のため休館中
 http://www.nmwa.go.jp

・台東区立朝倉彫塑館 12/26~1/12休 休館延長
 「Enjoy sports 朝倉文夫の1964年」 ~3/7
 http://www.taitocity.net/zaidan/asakura/

・東京藝術大学大学美術館 12/26~休
 「Public Device -彫刻の象徴性と恒久性」 ~12/25
 https://www.geidai.ac.jp/museum/

・東京国立博物館 12/26~1/1休
 「日本のたてもの―自然素材を活かす伝統の技と知恵」 ~2/21 予約制
 「博物館に初もうで」 1/2~1/31 予約制
 http://www.tnm.jp 
 *1月2日(土)、8日(金)、9日(土)の夜間開館を中止。

・東京都美術館 12/29~1/3休
 「読み、味わう昭和の書」 〜12/28 会期短縮
 「読み、味わう現代の書」 ~1/7
 「没後70年 吉田博展」 1/26~
 http://www.tobikan.jp

・弥生美術館・竹久夢二美術館 12/28~1/2休
 「奇想の国の麗人たち/夢二が愛した日本」 ~1/31 予約制
 http://www.yayoi-yumeji-museum.jp



【丸の内・京橋・日本橋・新橋】

・アーティゾン美術館 12/28~1/4休
 「琳派と印象派」 ~1/24 予約制
 https://www.artizon.museum

・相田みつを美術館 12/28~1/1休
 「いまから ここから」 ~1/17
 http://www.mitsuo.co.jp/museum/

・出光美術館 新型コロナウイルス感染症の状況に鑑み休館中
 http://idemitsu-museum.or.jp

・国立映画アーカイブ 12/28~1/4休
 「川本喜八郎+岡本忠成 パペットアニメーショウ2020」 ~3/28
 https://www.nfaj.go.jp

・東京国立近代美術館 12/28~1/1休
 「眠り展:アートと生きること」 ~2/23 予約制(当日券の販売もあり)
 http://www.momat.go.jp

・三の丸尚蔵館 休館中
 https://www.kunaicho.go.jp/event/sannomaru/sannomaru.html

・東京ステーションギャラリー 12/28~1/1休
 「河鍋暁斎の底力」 ~2/7 予約制
 http://www.ejrcf.or.jp/gallery/

・パナソニック汐留ミュージアム 12/16~1/8休
 「香りの器 高砂コレクション展」 1/9~
 https://panasonic.co.jp/es/museum/

・三井記念美術館 12/26~1/3休
 「国宝の名刀『日向正宗』と武将の美」~1/27 予約制
 http://www.mitsui-museum.jp

・三菱一号館美術館 12/31~1/1休
 「1894 Visions ルドン、ロートレック展」 ~1/17 予約制(当日券の販売もあり)
 http://mimt.jp

・ミュゼ浜口陽三・ヤマサコレクション 12/21~1/15休
 「沈潜と蒸留 浜口陽三 濱田祐史 二人展」 1/16~
 https://www.yamasa.com/musee/



【表参道・青山】

・太田記念美術館 12/14~1/5休
 「和装男子―江戸の粋と色気」 1/6~
 http://www.ukiyoe-ota-muse.jp

・岡本太郎記念館 12/28~1/4休
 「対峙する眼」  ~1/31
 http://www.taro-okamoto.or.jp

・根津美術館 12/21~1/8休
 「きらきらでん(螺鈿)」 1/9~ 予約制
 http://www.nezu-muse.or.jp

・ワタリウム美術館 12/31~1/4休
 「生きている東京展」 ~1/31
 http://www.watarium.co.jp



【新宿・渋谷】

・NTTインターコミュニケーション・センター  新型コロナウイルス感染症の拡大の防止の観点から休館中
 http://www.ntticc.or.jp/ja/

・草間彌生美術館 12/28~1/7休
 「我々の見たこともない幻想の幻とはこの素晴らしさである」 ~3/29 予約制
 https://yayoikusamamuseum.jp

・國學院大學博物館 12/27~1/12休
 「楽石雑筆―神道考古学の祖 大場磐雄の記憶と記録」 ~12/26
 「江戸のベストセラー 唐詩選」 1/13~
 http://museum.kokugakuin.ac.jp

・渋谷区立松濤美術館 12/29~1/3休
 「舟越 桂 私の中にある泉」 ~1/31
 http://www.shoto-museum.jp

・東京オペラシティ アートギャラリー 12/21~1/15休
 「千葉正也個展」 1/16~
 https://www.operacity.jp/ag/

・中村屋サロン美術館 12/29~1/5休
 「コレクション展示」 ~2/21
 https://www.nakamuraya.co.jp/museum/

・文化学園服飾博物館 12/19~2/17休
 「ヨーロピアン・モード」 2/18~
 http://museum.bunka.ac.jp

・Bunkamura ザ・ミュージアム 1/1休
 「ベルナール・ビュフェ回顧展」 ~1/24
 http://www.bunkamura.co.jp/museum/

・SOMPO美術館 12/28~1/4休
 「東郷青児 蔵出しコレクション」 ~1/24 予約制
 https://www.sompo-museum.org



【六本木・虎ノ門】

・大倉集古館 12/28~1/1休
 「海を渡った古伊万里~ウィーン、ロースドルフ城の悲劇」 ~1/24
 https://www.shukokan.org

・菊池寛実記念 智美術館 12/28~1/1休
 「鈴木藏の志野」 ~3/21
 http://www.musee-tomo.or.jp

・国立新美術館 12/22~1/6休
 「DOMANI・明日展 2021」 1/30~
 http://www.nact.jp

・21_21 DESIGN SIGHT 12/26~1/3休
 「トランスレーションズ展」 ~3/7
 http://www.2121designsight.jp

・森アーツセンターギャラリー 無休
 「ミッキーマウス展」 ~1/11 予約制(残券がある場合は当日券を販売)
 https://macg.roppongihills.com/jp/

・森美術館 無休
 「STARS展:現代美術のスターたち」 ~1/3 予約制(当日券の販売もあり)
 https://www.mori.art.museum/jp/

・サントリー美術館 12/28~1/1休
 「美を結ぶ。美をひらく。」 ~2/28
 https://www.suntory.co.jp/sma/

・泉屋博古館分館 改修工事のため休館中
 https://www.sen-oku.or.jp/tokyo/



【恵比寿・白金・目黒・品川・台場】

・アクセサリーミュージアム 12/21~2/1休
 http://acce-museum.main.jp

・WHAT(建築倉庫ミュージアム) 12/28~1/4休
 「謳う建築」 ~5/30 予約制
 https://archi-depot.com

・東京都写真美術館 12/29~1/1休
 「138億光年 宇宙の旅/瀬戸正人 記憶の地図」 ~1/24
 http://topmuseum.jp

・日本科学未来館 12/28~1/1休 予約制
 http://www.miraikan.jst.go.jp

・日本民藝館 改修工事のため休館中
 http://www.mingeikan.or.jp

・山種美術館 12/28~1/2休
 「東山魁夷と四季の日本画」 ~1/24 予約制(当日券の販売もあり)
 http://www.yamatane-museum.jp

・東京都庭園美術館 12/28~1/4
 「生命の庭」 ~1/12
 http://www.teien-art-museum.ne.jp

・原美術館 12/28~1/4休
 「光―呼吸 時をすくう5人」 ~1/11 予約制
 http://www.haramuseum.or.jp/jp/hara/

・目黒区美術館 12/28~1/4休
 「視ることの楽しみ ― 画材と素材の引き出し博物館」 1/16~
 http://mmat.jp

・畠山記念館 施設改築工事のため休館中
 http://www.ebara.co.jp/csr/hatakeyama/

・松岡美術館 所蔵作品の修復調査、設備点検のため休館中
 http://www.matsuoka-museum.jp



【両国・清澄白河・駒込】

・江戸東京博物館 12/21~1/1休
 「古代エジプト展 天地創造の神話」 ~4/4
 https://www.edo-tokyo-museum.or.jp

・すみだ北斎美術館 12/29~1/1休
 「GIGA・MANGA 江戸戯画から近代漫画へ大江戸歳事記」 ~1/24
 http://hokusai-museum.jp

・たばこと塩の博物館 12/28~1/4休
 「明治のたばこ王 村井吉兵衛」 ~1/24
 https://www.jti.co.jp/Culture/museum/index.html

・東京都現代美術館 12/28~1/1休
 「石岡瑛子 血が、汗が、涙がデザインできるか/MOTアニュアル2020」 ~2/14 予約優先チケットあり
 「MOTコレクション 第2期 コレクションを巻き戻す」 1/2~12休
 http://www.mot-art-museum.jp

・刀剣博物館 12/25~1/8休
 「埋忠〈UMETADA〉桃山刀剣界の雄」 1/9~ 土日祝は予約制
 https://www.touken.or.jp/museum/
 
・東洋文庫ミュージアム 12/29~1/3休
 「岩崎文庫の名品―東洋の叡智と美」 ~1/17
 http://www.toyo-bunko.or.jp/museum/



【池袋・目白・板橋・練馬】

・板橋区立美術館 12/28~1/4休
 「だれも知らないレオ・レオーニ展」 ~1/11 予約制
 http://www.itabashiartmuseum.jp

・古代オリエント博物館 12/28~1/3休
 「イスラエル、ガリラヤ湖畔の遺跡  -ヒッポスとエン・ゲヴ-」 ~1/31
 http://aom-tokyo.com

・ちひろ美術館・東京 1/2〜臨時休館
 「子どもの心を見つめて いわさきちひろ展」 ~1/31 展示休止
 https://chihiro.jp/tokyo/

・練馬区立美術館 12/28~1/4休
 「35年の35点 コレクションで振り返る練馬区立美術館」 ~2/14
 https://www.neribun.or.jp/museum.html

・永青文庫 12/28~1/8休
 「新・明智光秀論 細川と明智 信長を支えた武将たち」 ~1/31
 http://www.eiseibunko.com

・講談社 野間記念館 建て替えのため休館中
 http://www.nomamuseum.kodansha.co.jp



【世田谷】

・五島美術館 12/25~1/4休
 「茶道具取合せ展」 ~2/14
 http://www.gotoh-museum.or.jp

・静嘉堂文庫美術館 12/28~1/4休
 「江戸のエナジー 風俗画と浮世絵」 ~2/7
 http://www.seikado.or.jp

・世田谷美術館 12/28~1/4休
 「美術家たちの沿線物語 田園都市線・世田谷線篇」 ~3/28
 「世田谷美術館コレクション選 器と絵筆 魯山人、ルソー、ボーシャンほか」 1/5~
 https://www.setagayaartmuseum.or.jp

・世田谷文学館 12/21~1/4休
 「第39回 世田谷の書展 世田谷ゆかりの作家たち」 1/5~
 https://www.setabun.or.jp
 


【武蔵野・多摩】

・東京富士美術館 12/26~1/4/休
 「写真コレクション特集 あつまれ!どうぶつ」 ~1/24
 http://www.fujibi.or.jp

・八王子夢美術館 12/29~1/3休
 「近代西洋絵画名作展 印象派からエコール・ド・パリまで」 ~1/24
 http://www.yumebi.com

・府中市美術館 12/28~1/4休
 「メイド・イン・フチュウ 公開制作の20年」 ~2/28
 https://www.city.fuchu.tokyo.jp/art/

・町田市立国際版画美術館 12/28~1/4休
 「新収蔵作品展 Present for You わたしからあなたへ/みんなから未来へ」 1/5~
 http://hanga-museum.jp

・三鷹市市民ギャラリー 12/29~1/4休
 「三鷹市美術ギャラリー収蔵作品展Ⅰ 靉嘔」 ~2/28
 http://mitaka-sportsandculture.or.jp/gallery/

・武蔵野市立吉祥寺美術館 12/14~1/8休
 「阪本トクロウ|デイリーライブス」 1/9~
 http://www.musashino-culture.or.jp/a_museum/

・多摩美術大学大学美術館 12/7~1/5休
 「多摩美の版画、50年」 1/6~
 http://www.tamabi.ac.jp/museum/



【神奈川県】

・馬の博物館 12/25~1/5休
 「小さな騎士(ナイト)たち」 ~2/14
 http://www.bajibunka.jrao.ne.jp/uma/

・岡田美術館 12/31~1/1休
 「画遊人・若冲 ―光琳・応挙・蕭白とともに」 ~3/28
 http://www.okada-museum.com

・神奈川県民ホールギャラリー 12/30~1/4休
 「大山エンリコイサム展 夜光雲」 ~1/23
 http://www.kanakengallery.com

・神奈川県立近代美術館葉山館 12/21~1/8休
 「フランシス・ベーコン バリー・ジュール・コレクションによる」 1/9~
 http://www.moma.pref.kanagawa.jp

・神奈川県立歴史博物館 12/27~1/4休
 「かながわの正月ーよい年になりますようにー」 ~1/24
 http://ch.kanagawa-museum.jp

・鎌倉文華館鶴岡ミュージアム 12/29~1/4休
 「鶴岡八幡宮と文士たち」 〜1/31
 https://tsurugaokamuseum.jp

・川崎浮世絵ギャラリー 12/21~1/4休
 「新春浮世絵展」 1/5~
 https://ukiyo-e.gallery

・川崎市岡本太郎美術館 12/29~1/3休
 「クルト・セリグマンと岡本太郎」 ~1/24
 http://www.taromuseum.jp/

・そごう美術館 無休
 「ミレーから印象派への流れ展」 ~1/24
 https://www.sogo-seibu.jp/common/museum/

・茅ヶ崎市美術館 12/29~1/3休
 「桑久保徹」 ~2/7
 http://www.chigasaki-museum.jp

・BankArt KAIKO + BankART Temporary 12/28~休
 「M meets M 村野藤吾展 槇 文彦展」 ~12/27
 http://www.bankart1929.com

・平塚市美術館 12/28~1/4休
 「新収蔵品展 国際興業コレクションを中心に」 ~2/21
 http://www.city.hiratsuka.kanagawa.jp/art-muse/

・藤沢市アートスペース 12/28~1/4休
 「Artists in FAS 2020 入選アーティストによる成果発表展」 1/30~
 http://www.city.fujisawa.kanagawa.jp/bunka/FAS

・ポーラ美術館 無休
 「Connections-海を越える憧れ、日本とフランスの150年」 ~4/4
 http://www.polamuseum.or.jp

・横須賀美術館 12/29~1/3休
 「倉重光則+天野純治展 ミニマリズムのゆくえ」 ~12/25
 http://www.yokosuka-moa.jp

・横浜市民ギャラリーあざみ野 12/29~1/3休
 https://artazamino.jp

・横浜美術館 12/29~1/3休
 「トライアローグ:横浜美術館・愛知県美術館・富山県美術館 20世紀西洋美術コレクション」 ~2/28 予約制
 http://yokohama.art.museum

・神奈川県立金沢文庫 12/28~1/4休
 「東アジア仏教への扉」 ~1/31
 https://www.planet.pref.kanagawa.jp/city/kanazawa.htm

・神奈川県立近代美術館鎌倉別館 改修のため休館中
 http://www.moma.pref.kanagawa.jp/annex

・川崎市市民ミュージアム 令和元年東日本台風の浸水被害により休館中
 https://www.kawasaki-museum.jp



【埼玉県】

・岩槻人形博物館 12/28~1/4休
 「天野家の雛祭り」 1/30~
 https://ningyo-muse.jp

・うらわ美術館 12/27~1/4休
 「芳年―激動の時代を生きた鬼才浮世絵師」 ~1/24
 http://www.city.saitama.jp/urawa-art-museum/index.html

・角川武蔵野ミュージアム 12/29~12/31、1/4~1/7休
 「《米谷健+ジュリア展》 だから私は救われたい」 〜3/7
 https://kadcul.com

・川口市立アートギャラリー・アトリア 12/28~1/4休
 「アートな年賀状展2021」 1/8~
 http://www.atlia.jp

・川越市立美術館 12/29~1/3休
 「常設展 第4期 1980年代以降の美術―関根伸夫など」 ~3/28
 https://www.city.kawagoe.saitama.jp/artmuseum/

・河鍋暁斎記念美術館 12/24~1/3休
 「丑年の寿ぎ―新春祝画と七福神―」 1/4~
 http://kyosai-museum.jp/hp/top.html

・原爆の図丸木美術館 12/28~1/8休 休館延長
 「内田あぐり VOICES いくつもの聲」 ~1/24
 https://marukigallery.jp

・埼玉県立近代美術館 12/24~1/18休 休館延長
 「上田薫」 ~1/11 開催中止
 http://www.pref.spec.ed.jp/momas/

・埼玉県立歴史と民俗の博物館 12/24~1/17休 休館延長
 「特別展 銘仙」 1/2~ 開催延期
 http://www.saitama-rekimin.spec.ed.jp

・さいたま市大宮盆栽美術館 12/29~1/3休
 「子どもたちに伝えたい さいたまの盆栽」 ~1/27
 https://www.bonsai-art-museum.jp/ja/

・鉄道博物館 12/29~1/1
 「鉄道写真家・南 正時作品展~蒸気機関車のある風景」 ~1/11
 http://www.railway-museum.jp



【千葉県】

・市原市湖畔美術館 12/28~1/4休
 「本城直季 (un)real utopia」 ~1/24
 http://lsm-ichihara.jp/

・航空科学博物館 12/29~12/31休
 http://www.aeromuseum.or.jp

・国立歴史民俗博物館 12/27~1/4休
 「アイヌ文化へのまなざし-N.G.マンローの写真コレクションを中心に」 ~5/9
 https://www.rekihaku.ac.jp

・佐倉市立美術館 12/28~1/4休
 「カオスモス6 沈黙の春に」 1/26~
 http://www.city.sakura.lg.jp/sakura/museum/

・千葉県立美術館 12/28~1/4休
 「魔法の手 ロッカクアヤコ作品展」 ~1/11
 https://www.chiba-muse.or.jp/ART/

・千葉市美術館 12/29~1/4休
 「田中一村展 ―千葉市美術館収蔵全作品/ブラチスラバ世界絵本原画展」 1/5~
 http://www.ccma-net.jp

・DIC川村記念美術館 12/25~1/4休
 「コレクション展示」 ~1/11 予約制
 http://kawamura-museum.dic.co.jp

・成田山書道博物館 ~12/31休
 「今日の書壇 新井光風展」 1/1~
 http://www.naritashodo.jp

・ホキ美術館 12/29~1/1休
 「ホキ美術館ベストコレクション展」 ~5/16 予約制
 https://www.hoki-museum.jp

最後は年明けに開館する美術館についてです。

【元日(金)から開館する美術館・博物館】

・上野の森美術館 「KING&QUEEN展」
・森アーツセンターギャラリー 「ミッキーマウス展」
・森美術館 「STARS展:現代美術のスターたち」
・そごう美術館 「ミレーから印象派への流れ展」
・ポーラ美術館 「Connections-海を越える憧れ、日本とフランスの150年」
・角川武蔵野ミュージアム 「《米谷健+ジュリア展》 だから私は救われたい」
・成田山書道博物館 「今日の書壇 新井光風展」
・航空科学博物館


上野の森美術館の「KING&QUEEN展」やそごう美術館の「ミレーから印象派への流れ展」、それにポーラ美術館 「Connections-海を越える憧れ、日本とフランスの150年」などは年末年始のお休みがありません。それに森美術館の「STARS展:現代美術のスターたち」と森アーツセンターギャラリーの「ミッキーマウス展」はともに元日も開館しますが、それぞれ新年早々の1月3日と1月11日に会期が終了し、改修工事のために4月まで休館します。


角川武蔵野ミュージアムは元日から3日までお正月特別期間として開館し、4日より7日までが年始の休館となります。(年内は28日まで開館)やや変則的なために注意が必要です。

【2日(土)から開館する美術館・博物館】

・国立科学博物館 「日本のたてもの」
・東京国立博物館 「日本のたてもの―自然素材を活かす伝統の技と知恵」、「博物館に初もうで」
・相田みつを美術館 「いまから ここから」
・東京国立近代美術館 「眠り展:アートと生きること」
・東京ステーションギャラリー 「河鍋暁斎の底力」
・三菱一号館美術館 「1894 Visions ルドン、ロートレック展」
・Bunkamura ザ・ミュージアム 「ベルナール・ビュフェ回顧展」
・大倉集古館 「海を渡った古伊万里~ウィーン、ロースドルフ城の悲劇」
・菊池寛実記念 智美術館 「鈴木藏の志野」
・サントリー美術館 「美を結ぶ。美をひらく。」 ~2/28
・東京都写真美術館 「138億光年 宇宙の旅/瀬戸正人 記憶の地図」
・日本科学未来館
・江戸東京博物館 「古代エジプト展 天地創造の神話」
・すみだ北斎美術館 「GIGA・MANGA 江戸戯画から近代漫画へ大江戸歳事記」
・東京都現代美術館 「石岡瑛子 血が、汗が、涙がデザインできるか/MOTアニュアル2020」
・ちひろ美術館・東京 「子どもの心を見つめて いわさきちひろ展」
・岡田美術館 「画遊人・若冲 ―光琳・応挙・蕭白とともに」
・鉄道博物館 「鉄道写真家・南 正時作品展~蒸気機関車のある風景」
・ホキ美術館 「ホキ美術館ベストコレクション展」

新年は2日から多くの美術館が開館します。東京国立博物館では恒例の「博物館に初もうで」が開催され、新春吉祥作品紹介として長谷川等伯の国宝「松林図屛風」などが公開される他、干支の丑に因んで牛をモチーフとした作品が展示されます。但し新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、カレンダーの配布や獅子舞や和太鼓の演奏は中止されました。また「眠り展:アートと生きること」を開催中の東京国立近代美術館も2日より開館しますが、例年行われている1月2日の無料観覧及び来館者プレゼントについては中止となりました。


「えどはくでお正月!2021」を開催する江戸東京博物館では、2日と3日の常設展示が無料で見られる他、5日と6日に尺八の演奏や獅子舞などが披露されます。さらに9日から11日には「正月寄席」も開かれ、落語や太神楽などのイベントが行われます。また東京都写真美術館では2日と3日に限り、2階の「瀬戸正人 記憶の地図」と3階の「日本初期写真史 関東編 幕末明治を撮る」が無料で観覧できます。

【3日(日)から開館する美術館・博物館】

・弥生美術館・竹久夢二美術館 「奇想の国の麗人たち/夢二が愛した日本」
・山種美術館 「東山魁夷と四季の日本画」

【4日(月)から開館する美術館・博物館】

・国立近現代建築資料館 「工匠と近代化 大工技術の継承と展開」
・東京都美術館 「読み、味わう現代の書」
・三井記念美術館 「国宝の名刀『日向正宗』と武将の美」
・渋谷区立松濤美術館 「舟越 桂 私の中にある泉」
・東洋文庫ミュージアム 「岩崎文庫の名品―東洋の叡智と美」
・古代オリエント博物館 「イスラエル、ガリラヤ湖畔の遺跡  -ヒッポスとエン・ゲヴ-」
・八王子夢美術館 「近代西洋絵画名作展 印象派からエコール・ド・パリまで」
・川崎市岡本太郎美術館 「クルト・セリグマンと岡本太郎」
・茅ヶ崎市美術館 「桑久保徹」
・横須賀美術館
・横浜市民ギャラリーあざみ野
・横浜美術館 「トライアローグ:横浜美術館・愛知県美術館・富山県美術館 20世紀西洋美術コレクション」
・川越市立美術館 「常設展 第4期 1980年代以降の美術―関根伸夫など」
・河鍋暁斎記念美術館 「丑年の寿ぎ―新春祝画と七福神―」
・さいたま市大宮盆栽美術館 「子どもたちに伝えたい さいたまの盆栽」

【5日(火)から開館する美術館・博物館】

・アーティゾン美術館 「琳派と印象派」
・国立映画アーカイブ 「川本喜八郎+岡本忠成 パペットアニメーショウ2020」
・岡本太郎記念館 「対峙する眼」
・ワタリウム美術館 「生きている東京展」
・SOMPO美術館 「東郷青児 蔵出しコレクション」
・WHAT(建築倉庫ミュージアム) 「謳う建築」
・東京都庭園美術館 「生命の庭」
・原美術館 「光―呼吸 時をすくう5人」
・目黒区美術館 「視ることの楽しみ ― 画材と素材の引き出し博物館」
・たばこと塩の博物館 「明治のたばこ王 村井吉兵衛」
・板橋区立美術館 「だれも知らないレオ・レオーニ展」
・練馬区立美術館 「35年の35点 コレクションで振り返る練馬区立美術館」
・五島美術館 「茶道具取合せ展」
・静嘉堂文庫美術館 「江戸のエナジー 風俗画と浮世絵」
・世田谷美術館 「世田谷美術館コレクション選 器と絵筆 魯山人、ルソー、ボーシャンほか」
・世田谷文学館 「第39回 世田谷の書展 世田谷ゆかりの作家たち」
・東京富士美術館 「写真コレクション特集 あつまれ!どうぶつ」
・府中市美術館 「メイド・イン・フチュウ 公開制作の20年」
・町田市立国際版画美術館 「新収蔵作品展 Present for You わたしからあなたへ/みんなから未来へ」
・三鷹市市民ギャラリー 「三鷹市美術ギャラリー収蔵作品展Ⅰ 靉嘔」
・神奈川県民ホールギャラリー 「大山エンリコイサム展 夜光雲」
・神奈川県立歴史博物館 「かながわの正月ーよい年になりますようにー」
・鎌倉文華館鶴岡ミュージアム 「鶴岡八幡宮と文士たち」
・川崎浮世絵ギャラリー 「新春浮世絵展」
・平塚市美術館 「新収蔵品展 国際興業コレクションを中心に」
・藤沢市アートスペース
・神奈川県立金沢文庫 「東アジア仏教への扉」
・岩槻人形博物館 「天野家の雛祭り」
・うらわ美術館 「芳年―激動の時代を生きた鬼才浮世絵師」
・川口市立アートギャラリー・アトリア
・市原市湖畔美術館 「本城直季 (un)real utopia」
・国立歴史民俗博物館 「アイヌ文化へのまなざし-N.G.マンローの写真コレクションを中心に」
・佐倉市立美術館
・千葉県立美術館 「魔法の手 ロッカクアヤコ作品展」
・千葉市美術館 「田中一村展 ―千葉市美術館収蔵全作品/ブラチスラバ世界絵本原画展」
・DIC川村記念美術館 「コレクション展示」


2021年に約40年以上の歴史に幕を閉じる原美術館は、年明けの1月5日から開館し、最後の展覧会である「光―呼吸 時をすくう5人」が1月11日まで開かれます。但し既に事前予約枠が開館日の全てにおいて定員に達しているため、現在はキャンセルが出た場合のみ改めて予約することが可能です。

【年明けから新たにスタートする主な展覧会】

・パナソニック汐留ミュージアム 「香りの器 高砂コレクション展」 1/9~
・ミュゼ浜口陽三・ヤマサコレクション 「沈潜と蒸留 浜口陽三 濱田祐史 二人展」 1/16~
・太田記念美術館 「和装男子―江戸の粋と色気」 1/6~
・根津美術館 「きらきらでん(螺鈿)」 1/9~
・東京オペラシティ アートギャラリー 「千葉正也個展」 1/16~
・目黒区美術館 「視ることの楽しみ ― 画材と素材の引き出し博物館」 1/16~
・世田谷美術館 「世田谷美術館コレクション選 器と絵筆 魯山人、ルソー、ボーシャンほか」 1/5~
・町田市立国際版画美術館 「新収蔵作品展 Present for You わたしからあなたへ/みんなから未来へ」 1/5~
・武蔵野市立吉祥寺美術館 「阪本トクロウ|デイリーライブス」 1/9~
・多摩美術大学大学美術館 「多摩美の版画、50年」 1/6~
・神奈川県立近代美術館葉山館 「フランシス・ベーコン バリー・ジュール・コレクションによる」 1/9~
・河鍋暁斎記念美術館 「丑年の寿ぎ―新春祝画と七福神―」 1/4~
・千葉市美術館 「田中一村展―千葉市美術館収蔵全作品/ブラチスラバ世界絵本原画展」 1/5~


年明けに新たに始まる展覧会も少なくありません。そのうち千葉市美術館では「田中一村展 ―千葉市美術館収蔵全作品」と「ブラチスラバ世界絵本原画展」が同時に開催されます。ただし混雑状況に応じて入場規制を行う他、千葉市の通知に基づき、12月26日から1月11日までの間の施設利用について新規利用予約が停止されます。

今後、新型コロナウイルスの更なる感染拡大により、各美術館の開館状況が大きく変化する場合があります。また入場方法も予約の有無など各館で異なります。お出かけの際は予め各美術館のWEBサイトをご確認ください。
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「2021年 見逃せない美術展」 日経おとなのOFF

年末恒例の美術展特集が今年も刊行されました。日経おとなのOFFの「絶対見逃せない 2021美術展」を読んでみました。


これは全国の大型展を中心に、2021年に開催予定の展覧会情報を網羅したもので、付録のハンドブックでは80の展覧会がピックアップされていました。

「マティス 自由なフォルム」 国立新美術館(9月15日~12月13日)
「生誕150年記念 モンドリアン展」 SOMPO美術館(3月23日~6月6日)



お馴染みの山下裕二先生と山田五郎さんの「必見の美術展」の対談に続いて特集されたのが、マティスとモンドリアンの展覧会で、「マティス 自由なフォルム」や「生誕150年記念 モンドリアン展」についての情報が詳しく掲載されていました。

「ゴッホ展」(仮) 東京都美術館(9月18日~12月12日)
「コンスタブル展」 三菱一号館美術館(2月20日~5月30日)


西洋美術でクローズアップされていたのは、2021年の秋に東京を皮切りに、福岡、名古屋へと巡回予定の「ゴッホ展」と、2月から三菱一号館美術館で行われる「コンスタブル展」でした。そのうちコンスタブルは35年ぶりの回顧展だけあり、待ち望んでいた方も多いかもしれません。

「カラヴァッジョ キリストの埋葬展」 国立新美術館(3月24日~5月10日)
「KING&QUEEN展」 上野の森美術館(開催中~1月11日)


この他、今年予定され、来年へと延期となった「カラヴァッジョ キリストの埋葬展」や、現在、上野の森美術館で開催中の「KING&QUEEN展」についての特集も目を引きました。

また「アートを解読」と題した中野京子先生の「KING&QUEEN展」の解説や、キュレーターの長谷川祐子氏によるおすすめ現代美術展のガイド、さらには武蔵野美術大学教授の森山明子さんの「デザインを知る3つの視点」など、読みものとして充実しているのも嬉しいところでした。

「渡辺省亭 欧米を魅了した花鳥画」 東京藝術大学大学美術館(3月27日~5月23日)
「小村雪岱スタイル 江戸の粋から東京モダンへ」 三井記念美術館(2月6日~4月18日)
「笠松紫浪 最後の新版画」 太田記念美術館(2月2日~3月28日)
「川瀬巴水展」(仮)  SOMPO美術館(10月2日~12月26日)
「曾我蕭白展」(仮) 愛知県美術館(10月8日~11月21日)



日本美術では曾我蕭白、吉田博、田中一村などが取り上げられていて、特に今春に大規模な回顧展が予定された渡辺省亭と、近年人気を高めている小村雪岱について掘り下げていました。また版画では吉田博や川瀬巴水などと並び、2月から太田記念美術館で回顧展の予定された笠松紫浪にも注目が集まるかもしれません。

さらに仏像に関する展示の特集や、全国47都道府県のおすすめ美術館を紹介する「県民自慢の美術館」などと内容も盛り沢山でした。



今年も3大付録の「2021 美術展80ハンドブック」と「2021年美術展名画カレンダー」、それにマティスの「クリアファイル」が健在でした。そのうち「2021 美術展80ハンドブック」から、私が注目したい展覧会をいくつかピックアップしてみました。(上に取り上げた展覧会を除く)

「田中一村展」 千葉市美術館(1月5日~2月28日)
「ショック・オブ・ダリ」 三重県立美術館(1月9日~3月28日) 諸橋近代美術館(4月24日~6月27日)
「フランシス・ベーコン」 神奈川県立近代美術館葉山(1月9日~4月11日) 渋谷区立松濤美術館(4~6月)
「20世紀のポスター 図像と文字の背景」 東京都庭園美術館(1月30日~4月11日)
「与謝蕪村 ぎこちないを芸術にした画家」 府中市美術館(3月13日~5月9日)
「アイノとアルヴァ 二人のアアルト」 世田谷美術館(3月20日~6月20日) 兵庫県立美術館(7月~8月)
「ライゾマックス マルティプレックス」東京都現代美術館(3月20日~6月20日)
「マーク・サンダース」 東京都現代美術館(3月20日~6月20日)
「あやしい絵展」 東京国立近代美術館(3月23日~5月16日) 大阪歴史博物館(7月3日~8月15日)
「ピピロッティ・リスト」 京都国立近代美術館(4月6日~6月13日) 水戸芸術館(8月7日~10月17日)
「大・タイガー立石展」(仮) 千葉市美術館(4月10日~7月4日) 青森県立美術館(7月20日~9月5日) 高松市美術館(9月18日~11月3日) 埼玉県立近代美術館・うらわ美術館(11月6日~2022年1月16日)
「ミネアポリス美術館 日本絵画の名品」 サントリー美術館(4月14日~6月27日) 福島県立美術館(7月8日~9月5日) MIHO MUSEUM(9月18日~12月12日)
「グランマ・モーゼス展」 あべのハルカス美術館(4月17日~6月27日) 名古屋市美術館(7月10日~9月5日) 静岡市美術館(9月14日~11月17日) 世田谷美術館(11月20日~2022年2月27日)
「アナザーエナジー展:挑戦しつづける力」 森美術館(4月22日~9月26日)
「コレクター福富太郎の眼」 東京ステーションギャラリー(4月24日~6月27日)
「イサム・ノグチ 発見の道」 東京都美術館(4月24日~8月29日)
「聖徳太子と法隆寺」 奈良国立博物館(4月27日~6月20日) 東京国立博物館(7月13日~9月5日)
「クロード・モネ 風景への問いかけ」 アーティゾン美術館(5月29日~9月10日)
「上村松園」 京都市京セラ美術館(7月17日~9月12日)
「KAWS TOKYO FIRST」 森アーツセンターギャラリー(7月16日~10月11日)
「福田美蘭展」(仮) 千葉市美術館(10月2日~12月19日)
「民藝の100年」 東京国立近代美術館(10月26日~2021年2月13日)



2020年は新型コロナウイルスの影響により、多くの美術館が臨時休館に追い込まれ、予定されていた展覧会の多くが延期、もしくは中止となってしまいました。未だ先が見通せない状況が続いていますが、来年は何とかスケジュール通りに展覧会が開催されることを願ってやみません。


この年末年始、日経おとなのOFFの「絶対見逃せない 2021美術展」を読みながら、来年の展覧会についてあれこれ思いを巡らせるのも楽しいかもしれません。まずは書店で手にとってご覧下さい。

「日経おとなのOFF 2021年 絶対に見逃せない美術展」(日経トレンディ2021年1月号増刊)
出版社:日経BP社
発売日:2020/12/9
価格:950円(税込)
内容:惜しまれつつ休刊になった「 日経おとなのOF 」ですが、年末の「見逃せない美術展」特集号は、今年も健在です。コロナ禍の影響が不安視される2021年の美術展ですが、美術館の担当学芸員やスタッフの皆さんの、知恵と努力の成果、期待以上の「見逃せない美術展」の予定が目白押しです。
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「STARS展:現代美術のスターたち―日本から世界へ」 森美術館

森美術館
「STARS展:現代美術のスターたち―日本から世界へ」
2020/7/31~2021/1/3



日本を代表する6名の現代美術家の活動を紹介する展覧会が、森美術館にて開催されています。

それが「STARS展:現代美術のスターたち―日本から世界へ」で、草間彌生、李禹煥(リ・ウファン)、宮島達男、村上隆、奈良美智、杉本博司らの作品がそれぞれ個展の形で公開されていました。


村上隆「Ko2ちゃん(プロジェクト Ko2)」 1997年

冒頭はスーパーフラットのシリーズでも世界的に注目を集める村上隆の展示で、比較的早い段階の「ヒロポン」や「マイ・ロンサム・カウボーイ」とともに、今年制作された「チェリーブロッサム フジヤマ JAPAN」や「ポップアップフラワー」などが合わせて並んでいました。


村上隆 展示風景

このように「STARS展」では、各作家が「国際的に認められるようになった時期」(解説より)と最新作とが並置されるのが特徴で、新旧の対比や融合も見どころとなっていました。


李禹煥「対話」 2019年、「対話」 2020年

強烈なエネルギーが迸るような村上の展示とは一転し、白とグレーの小石を敷き詰め、瞑想を誘うような静謐な空間を築き上げたのが、いわゆるもの派の作家として知られた李禹煥でした。


李禹煥「関係項」 1969/2020年

ここではまるで太古の化石のような石の「関係項」を起点に、ステンレスの棒と石を組み合わせた「関係項ー不協和音」、さらには近年の絵画シリーズの「対話」が互いに響き合うように展示されていて、全てが1つのインスタレーションを築いているかのようでした。


李禹煥 展示風景

石の感触を足裏で確かめながら作品の合間を縫って歩いていると、屋内のホワイトキューブであるにも関わらず、いつしか自然の中に設えられた祈りの場にいるような錯覚に囚われました。端的に絵画と彫刻だけでなく、空間全てが李の作品と言って良いのかもしれません。


草間彌生 展示風景

続く草間彌生では、1960年頃の初期作品より1990年台のベネチア・ビエンナーレに出品した「天上よりの啓示」から、最新の絵画である「わが永遠の魂」などが展示されていて、網目や突起などの造形から抽象と具象を行き来しつつ、現在の「生命の讃歌」(解説より)へと至った作風の変遷を辿ることができました。


草間彌生「芽生え」 1992年

1992年の「芽生え」は黒い地のキャンバスに緑色の線が網目模様のように広がった作品で、抽象的ながらも自然の緑の息吹を表しているように見えました。ひたすら反復しして増殖しつつも、震えるような線の揺らぎも興味深いところかもしれません。


奈良美智 展示風景

子どもをモチーフとした肖像画などで人気の奈良美智は、絵画やドローイングだけでなく、家の形をした大型のインスタレーションなどを展示していました。「STARS」展の中で最も密度の濃い内容だったかもしれません。


奈良美智 展示風景

またCDや書籍、こけしに人形などの玩具といった自らのコレクションまでも公開していて、奈良の多様なカルチャーへの関心の在り処とともに、作品のインスピレーションの源泉を伺い知ることができました。


杉本博司「時間の庭のひとりごと」 2020年 (30分2秒)

この他、宮島達男によるLEDを用いたプール状の大型インスタレーション「時の海―東北」プロジェクト(2020 東京)」や、杉本博司が江の浦測候所を舞台に初めて映画作品として制作した「時間の庭のひとりごと」も見どころといえるかもしれません。


杉本博司 展示風景

さて今回の「STARS展」で私が最も見応えがある感じたのは、アーティストの活動歴や海外で開催された日本の現代美術展の歴史を辿ったアーカイブ展示でした。

いずれも展覧会のカタログや写真、批評などを細かに紹介していて、テキストや資料などが想像以上に充実していました。(アーカイブ展示のみ撮影不可)ひょっとすると全ての展示の中でアーカイブを一番時間をかけて見ていたかもしれません。


サムソン・ヤン(楊嘉輝)「音を消した状態#22:音を消したチャイコフスキー交響曲第5番」 2018年 (45分)

「STARS展」に続くMAMコレクションのサムソン・ヤン(楊嘉輝)の映像、「音を消した状態#22:音を消したチャイコフスキー交響曲第5番」も面白い作品ではなかったでしょうか。タイトルのごとくオーケストラが一心不乱にチャイコフスキーの第5交響曲を演奏していましたが、楽器に消音するように仕掛けられていて、一切の楽音が鳴り響きませんでした。ただひたすらにメンバーの息遣いや楽器の擦れるような音のみが聞こえていて、微かにリズムや音楽の骨格が浮き上がるかのようでした。

新型コロナウイルス感染症に伴う情報です。窓口で予約不要の当日券を購入することが可能ですが、「3密」回避の観点より、日時指定制のチケットをオンラインで発売しています。


オンラインチケットには特別料金が設定されていて、一般2000円が1200円に割引されるなど大変にお得です。事前にオンラインからチケットを予約されることをおすすめします。



年明けまでの会期も残り少なくなってきました。2021年1月3日まで開催されています。

「STARS展:現代美術のスターたち―日本から世界へ」 森美術館@mori_art_museum
会期:2020年7月31日(金)~2021年1月3日(日) *会期変更。
休館:会期中無休。
時間:10:00~22:00
 *火曜日は17時で閉館。
 *9月22日(火・祝)、11月3日(火・祝)、12月29日(火)は22時まで開館。
 *12月5日(土)、6日(日)、12日(土)、13日(日)、19日(土)、20日(日)、26日(土)~1月3日(日)は9時から開館。
  *入館は閉館の30分前まで。
料金:一般2000円、学生(高校・大学生)1300円、子供(4歳~中校生)700円、65歳以上1700円。
 *オンラインチケット(日時指定チケット)の特別割引料金あり。一般1200円、学生900円、子供700円、65歳以上1100円。
住所:港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー53階
交通:東京メトロ日比谷線六本木駅より地下コンコースにて直結。都営大江戸線六本木駅より徒歩10分。都営地下鉄大江戸線麻布十番駅より徒歩10分。
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「ダグ・エイケン New Ocean:thaw」 エスパス ルイ・ヴィトン東京

エスパス ルイ・ヴィトン東京
「ダグ・エイケン New Ocean:thaw」 
2020/11/13〜2021/2/7



エスパス ルイ・ヴィトン東京で開催中の「ダグ・エイケン New Ocean:thaw」を見てきました。

1968年にアメリカで生まれたアーティストのダグ・エイケンは、写真や映像、インスタレーションなどの多様な表現によっては、人々の知覚に訴え、没入感を誘う作品を制作してきました。

そのダグ・エイケンがアラスカの氷河や景色を舞台にしたのが、6面の大型スクリーンを用いた映像作品、「New Ocean:thaw」でした。


ダグ・エイケン「New Ocean:thaw」 2001年 3チャンネルビデオ、6面投影、スクリーンによる映像インスタレーション 4分10秒

ちょうど暗がりの展示室の中央にへ半円形のスクリーンが向き合うように設置されていて、中に立ち入ってはスクリーンの間に挟まれるような形で映像を見ることができました。



ここでは一面の氷に覆われたアラスカの大地が青い空とともに映されていて、氷河が破壊されるように溶けていきつつ、水滴が落ちては消えていくような光景が展開していました。また氷の溶ける音と電子音がミックスされた音響もダイナミックで、氷河の中に投げ込まれているかのような錯覚に囚われました。まさにこれぞ没入感というべき体験なのかもしれません。



約4分ほどの短い映像ながらも、氷河の景色や状態は目まぐるしく変化していて、時に氷そのものが抽象的なパターンへと移り変わるのが興味深く思えました。



また一口に氷河と言えども、氷の中に森のような景色が見えたり、ぽっかりと開いた穴の暗がりまるで宇宙のようであったり、水滴が生き物のように動いたりするなど、多様なイメージが浮かび上がるのも魅力的でした。



地上から海の中の氷へと移り、青空の太陽フレアの輝かしい光を捉えては、再び氷河へと視点が映される展開は、無限に続くかのようで、永遠の時間の中を彷徨っているような心持ちにさせられました。


「ダグ・エイケンとの対談」 2020年 シングルチャンネル・ビデオ、長編ドキュメンタリーフィルムからの抜粋 9分20秒

長編ドキュメンタリーを抜粋した映像、「ダグ・エイケンとの対談」も見逃せないかもしれません。ここで作家は、近作の砂漠のパビリオンなどを紹介しつつ、制作の意図について語っていて、作品の背景や世界観の一端を知ることができました。

2001年に制作され、現在はフォンダシオン ルイ・ヴィトンのコレクションである「New Ocean: thaw」は、2002年に東京オペラシティアートギャラリーで開かれた個展、「ダグ・エイケン ニュー・オーシャン」で一度公開されました。以来、なかなかダグ・エイケンの作品を国内で見ることがなかっただけに、久しぶりの良い機会と言えそうです。



予約は不要です。2021年2月7日まで開催されています。おすすめします。

「ダグ・エイケン New Ocean:thaw」 エスパス ルイ・ヴィトン東京
会期:2020年11月13日(金)〜2021年2月7日(日)
休廊:不定休
時間:12:00~20:00
料金:無料
住所:渋谷区神宮前5-7-5 ルイ・ヴィトン表参道ビル7階
交通:東京メトロ銀座線・半蔵門線・千代田線表参道駅A1出口より徒歩約3分。JR線原宿駅表参道口より徒歩約10分。
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「第14回shiseido art egg 藤田クレア展  ふとうめいな繋がり」 資生堂ギャラリー

資生堂ギャラリー
「第14回shiseido art egg 藤田クレア展  ふとうめいな繋がり」
2020/11/27~12/20



資生堂ギャラリーで開催中の「第14回shiseido art egg 藤田クレア展  ふとうめいな繋がり」を見てきました。

1991年に中国の北京に生まれ、現在、東京藝術大学大学院美術研究科の助手に在籍する藤田クレアは、長い海外生活から「他者との違いを意識し」(解説より)、人とのコミュニケーションのあり方を問う作品などを制作してきました。


藤田クレア「静かなダンス」 2020年

その藤田は銀座の地下空間に築いたのは、巨大なシャンデリアのような噴水「静かなダンス」でした。 ちょうど8角形の台座の上に、花のような形をした噴水が起立していて、上から水が噴いては表面から滴り落ちていました。また噴水の上には透明のオブジェが宙に浮かんでいて、まるで飛天が舞うような姿にも見えました。



さらに噴水の周囲の壁には小さな金属のピストンが上下にゆっくりと動いていて、さながら噴水の水と呼応しているかのようでした。



噴水そのものは複数のチューブによって築かれていて、終始、水が下から上へと吸い上げられていました。また鼓動を打つような音が鳴っていて、音と水の動きが一定のリズムを刻んでいました。



これらは「秘密のダンスパーティー」(解説より)をイメージしたそうですが、私にはパーティーのような華やかさが醸し出されているというよりも、それこそ秘密、言い換えれば何らかの秘められた妖しい儀式が執り行われるようにも思えました。



一方で噴水から小展示室へと目を転じると、巻貝や水槽などを用いた数点のオブジェが展示されていました。


藤田クレア「Never the same」 2019年

「Never the same」は、回転運動によって稼働するピストンが、水飴と思しき液体の中へめり込むのように刺さる作品で、ぬるっとした液体とピストンが混じり合う姿は肉感的にも映りました。まるで未知の有機物を培養する装置のように見えるかもしれません。


「Invisible soundscape ~version 1 : (1 + √5)/2+x~ 」 2020年

巻貝を用いた「Invisible soundscape ~version 1 : (1 + √5)/2+x~ 」も興味深い作品ではないでしょうか。ここでは小さな金属球が回転する巻貝の表面を撫でるように接触していて、貝の形に応じて玉が動くと、それに連動して鉄琴が鳴るように作られていました。



機械仕掛けのオブジェやインスタレーションの動きに、不思議と人間の性や関わりなどが見え隠れするのが魅力と言えるかもしれません。目で動きを追いつつ、音を耳で確認しながら見入りました。

「第14回 shiseido art egg」展示スケジュール
西太志展:2020年10月2日(金)~10月25日(日)
橋本晶子展:2020年10月30日(金)~11月22日(日)
藤田クレア展:2020年11月27日(金)~12月20日(日)


オンラインでの事前予約制です。12月20日まで開催されています。

「第14回shiseido art egg 藤田クレア展  ふとうめいな繋がり」 資生堂ギャラリー@ShiseidoGallery
会期:2020年11月27日(金)~12月20日(日)
休廊:月曜日。*祝日が月曜にあたる場合も休館
料金:無料。
時間:11:00~19:00(平日)、11:00~18:00(日・祝)
住所:中央区銀座8-8-3 東京銀座資生堂ビル地下1階
交通:東京メトロ銀座線・日比谷線・丸ノ内線銀座駅A2出口から徒歩4分。東京メトロ銀座線新橋駅3番出口から徒歩4分。
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「トライアローグ:横浜美術館・愛知県美術館・富山県美術館  20世紀西洋美術コレクション」 横浜美術館

横浜美術館
「トライアローグ:横浜美術館・愛知県美術館・富山県美術館  20世紀西洋美術コレクション」 
2020/11/14~2021/2/28



横浜美術館で開催中の「トライアローグ:横浜美術館・愛知県美術館・富山県美術館  20世紀西洋美術コレクション」の特別鑑賞会に参加してきました。

関東、中部、北陸地方を代表する横浜美術館、愛知県美術館、富山県美術館では、それぞれ近現代の西洋美術を収集の柱として、貴重なコレクションを築き上げてきました。

その3つの公立美術館のコレクションより20世紀の西洋美術を振り返るのが「トライアローグ」展で、ピカソ、ミロ、エルンストからウォーホル、リヒターへと至る約70作家、全123点の作品が展示されていました。


第1章「アートの地殻変動」 展示風景

まず第1章「アートの地殻変動」では1900年から1930年への美術の動向が紹介されていて、キュビスムからフォーヴィズム、さらにロシア構成主義やダダなどの多様な作品が並んでいました。


コンスタンティン・ブランクーシ「空間の鳥」 1926年(1982年鋳造) 横浜美術館

20世紀の最初の30年間では、連続写真や映画、電車などの科学技術が人々の生活を変えたとともに、美術においても変革期が訪れ、遠近法を解体したキュビスムや工業製品を作品に導入したダダなどの多様なイズム(流派)が生まれました。


右奥:パブロ・ピカソ「青い肩かけの女」 1902年 愛知県美術館
左からパブロ・ピカソ「座る女」(1960年、富山県美術館)、「肘かけ椅子で眠る女」(1927年、横浜美術館)、「肘かけ椅子の女」(1923年、富山県美術館)

今回の「トライアローグ」展で特に面白いのは、3つの美術館のコレクションから特定の作家に着目して比較する「Artist in Focus」のコーナーでした。例えば第1章では全て女性をモデルとしたパブロ・ピカソの「青い肩かけの女」、「肘かけ椅子の女」、「肘かけ椅子で眠る女」、「座る女」の4点の絵画が並んでいて、青の時代からシュルレアリスムに接近し、キュビスムへと展開した画風の変遷を辿ることが可能でした。


左:フェルナン・レジェ「緑の背景のあるコンポジション」 1931年 愛知県美術館
中央:フェルナン・レジェ「コンポジション」 1931年 横浜美術館
右:フェルナン・レジェ「インク壺のあるコンポジション」 1938年 富山県美術館

またフェルナン・レジェの「コンポジション」、「緑の背景のあるコンポジション」、「インク壺のあるコンポジション」は、いずれも機械的モチーフを組み合わせた作品で、第一次世界大戦の従軍体験から兵器の機能美に魅せられ、機械を取りこんだ1930年代の作品を見比べることができました。


左:ハンス・アルプ「鳥の骨格」 1947年 富山県美術館
中央:ハンス・アルプ「瓶と巻き髭」 1923〜26年 横浜美術館
右:ハンス・アルプ「森」 1917年頃 愛知県美術館

この他、クレーの油彩転写の技法に着目した展示や、妻のゾフィー・トイバーとの関係から年代の異なる作品を並べたハンス・アルプも興味深い内容で、各館のコレクションを補完し合いながら、あたかも何らかの物語が紡がれていくかのようでした。


右:ヴァシリィ・カンディンスキー「網の中の赤」 1927年 横浜美術館

なお各館のコレクションの特徴としては、全体としてバウハウスが少ない一方、愛知県美術館はドイツ表現主義、そして横浜美術館はロシア構成主義が多く、富山県美術館では第二次大戦以降のポップ・アートなどに注目すべき作品が見られるそうです。それぞれのコレクションの個性などについて注意しながら見ていくのも面白いかもしれません。

第2章「アートの磁場転換」では、第一次世界大戦を経て第二次世界大戦へと至った1930年以降の30年間を取り上げていて、国際的なムーヴメントを起こしたシュルレアリスムや戦後アメリカの抽象表現の作品が展示されていました。


左:マックス・エルンスト「ポーランドの騎士」 1954年 愛知県美術館
中央:マックス・エルンスト「少女が見た湖の夢」 1940年 横浜美術館
右:マックス・エルンスト「森と太陽」 1927年 富山県美術館

中でもシュルレアリスムは、各館のコレクションの中核を成すもので、とりわけエルンストやミロ、それにデルヴォーなどは傑作と呼べる作品が少なくなく、展覧会の1つのハイライトを築いていました。


左:ポール・デルヴォー「こだま(街路の神秘)」 1943年 愛知県美術館
中央:ポール・デルヴォー「夜の汽車」 1947年 富山県美術館
右:ポール・デルヴォー「階段」 1948年 横浜美術館

デルヴォーでは1940年代の「こだま(街路の神秘)」、「夜の汽車」、「階段」の3点が並んでいて、ギリシア・ローマ風の古代建築をはじめ、蒸気機関車やガス灯など、古代と近代の時空を超えた画家ならではのイメージを目の当たりにできました。


左:ジャクソン・ポロック「無題」 1946年 富山県美術館
右:アド・ラインハート「No.114」 1950年 愛知県美術館

アメリカの抽象主義では、アド・ラインハートの「No.114」とジャクソン・ポロックの「無題」が並び合う展示も魅惑的かもしれません。そのうちのポロックは床に置いたカンヴァスへ絵具をたらすポーリングの手法を試行しはじめた頃の作品で、色と線がせめぎ合いながら画面の外へと広がるような表現が示されていました。


手前:右からマン・レイ「贈物」(1921年、1970年再制作、横浜美術館)、メレット・オッペンハイム「りす」(1969年、1970年再制作、横浜美術館)、メレット・オッペンハイム「りす」(1969年、1970年再制作、富山県美術館)
奥:右からサム・フランシス「消失に向かう地点の青」(1958年、愛知県美術館)、モーリス・ルイス「ダレット・シン」(1958年、富山県美術館)

マン・レイのオブジェ越しに見えるサム・フランシスの「消失に向かう地点の青」など、意外な組み合わせが生み出す展示風景そのものにも新鮮味があったのではないでしょうか。20世紀美術の歴史と多様性について知見を得られる展示でもありました。


第3章「アートの多元化」 展示風景 手前中央はロバート・ラウシェンバーグ「ボーリアリス・シェアーズ I」(1990年、富山県美術館)

ラストの第3章「アートの多元化」では、1960年代以降のネオ・ダダやポップ・アート、ミニマルアートなどが紹介されていて、アメリカを中心に表現が刷新され、流派や傾向では包括し得ない多元化した美術の動向を追うことができました。


右:イヴ・クライン「肖像レリーフ アルマン」1962年原型制作 愛知県美術館
中央:フランシス・ベーコン「座像」 1961年 横浜美術館
左:フランシス・ベーコン「横たわる人物」 1977年 富山県美術館

ここで目を引くのが、各館のコレクションの想像を超える質の高さで、日本の公立美術館で初めて収集したフランシス・ベーコンの「横たわる人物」などの記念碑的と呼べる作品もありました。

なお1970年から80年代の作品は、各館が収集活動を開始した当時のもので、まだ価値が定まらない現代美術でもありました。


ゲルハルト・リヒター「オランジュリー」 1982年 富山県美術館

ゲルハルト・リヒターの「オランジュリー」は、ドイツの国際展「ドクメンタ7」(1982年)に画家が出品した5点のうちの1つで、オレンジや黄色の色面が重層的に連なりながら、鮮やかな地平を築いていました。なお同作はドクメンタののち、1984年に当時の富山県立近代美術館での「富山国際美術展」に出品されて収蔵につながりました。今年10月にはポーラ美術館が約30億円で作品を落札したことでも話題を集めたリヒターですが、当時は今では考えられない価格で入手できたそうです。


右奥:ジョージ・シーガル「ロバート&エセル・スカルの肖像」 1965年 愛知県美術館
左:クリスチャン・ボルタンスキー「シャス高校の祭壇」 1987年 横浜美術館

ジョージ・シーガルの「ロバート&エセル・スカルの肖像」や、ジョセフ・コスースの「哲学者の誤り #2 よきものとやましくない良心」など、ともすると目にする機会の多くない作品が展示されているのも魅力かもしれません。何かと海外の美術館の作品を中心した大型展に注目が集まりがちですが、率直なところ国内の美術館のコレクションでこれほど充実した20世紀美術の展覧会が見られるとは思いませんでした。


ジョゼフ・コスース「哲学者の誤り #2 よきものとやましくない良心」 1991年 富山県美術館

オンラインでの日時指定予約制です。観覧無料(招待券など)の場合も原則、事前に日時を指定する必要があります。但し事前に予約で完売していない場合は、当日、券売所にてチケットを購入することができます。

「ヨコハマ・ポリフォニー:1910年代から60年代の横浜と美術」 横浜美術館(はろるど)

コレクション展「ヨコハマ・ポリフォニー」と合わせると、質量ともに膨大でした。時間に余裕を持ってお出かけ下さい。


2021年2月28日まで開催されています。なお横浜での展示を終えると、愛知県美術館(2021年4月23日~6月27日)と富山県美術館(2021年11月20日~2022年1月16日)へ巡回します。(会期は予定)

*最上段の写真は右からルネ・マグリット「真実の井戸」(1963年、富山県美術館)と「王様の美術館」(1966年、横浜美術館)

「トライアローグ:横浜美術館・愛知県美術館・富山県美術館  20世紀西洋美術コレクション」 横浜美術館@yokobi_tweet
会期:2020年11月14日(土)~2021年2月28日(日)
休館:木曜日。但し2月11日を除く。年末年始(12月29日~1月3日)、2月12日(金)。
時間:11:00~18:00
 *カフェ小倉山は10:45~18:00
料金:一般1500円、大学・専門学校生1100円、高校・中学生500円、小学生以下無料。
 *オンラインでの日時指定予約制。
 *当日に限り、「横浜美術館コレクション展」も観覧可。
 *団体受付は中止
住所:横浜市西区みなとみらい3-4-1
交通:みなとみらい線みなとみらい駅3番出口から徒歩3分。JR線、横浜市営地下鉄線桜木町駅より「動く歩道」を利用、徒歩約10分。

注)写真は特別内覧会の際に主催者の許可を得て撮影しました。
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「ヨコハマ・ポリフォニー:1910年代から60年代の横浜と美術」 横浜美術館

横浜美術館
「横浜美術館コレクション展 ヨコハマ・ポリフォニー:1910年代から60年代の横浜と美術」 
2020/11/14~2021/2/28



2021年3月より横浜美術館は、大規模改修工事のために約2年に渡って休館します。

その休館前の最後のコレクション展となるのが「ヨコハマ・ポリフォニー:1910年代から60年代の横浜と美術」で、大正時代より高度経済成長期までの横浜にゆかりのある作品、約150点が公開されていました。


左:有島生馬「背筋の女」 1909 (明治42)年
右:ポール・セザンヌ「縞模様の服を着たセザンヌ夫人」 1883~85年

冒頭は1910年に横浜で生まれた有島生馬の「背筋の女」で、有島が影響を受けたセザンヌの「縞模様の服を着たセザンヌ夫人」と並んで展示されていました。パリでセザンヌの大回顧展を見て衝撃を受けた有島は、文芸誌「白樺」にて画家を紹介していて、それが日本における本格的なセザンヌ受容の切っ掛けとなりました。ちょうど左右に向かい合うような光景も興味深いのではないでしょうか。


椿貞雄「夏蜜柑図」 1939 (昭和14)年

続いては川村信雄の「早春風景」や椿貞雄の「夏蜜柑図」などが展示されていて、後者では陶器に整然と並んだ夏蜜柑を濃厚な筆触で表していました。2人はともに岸田劉生が結成したフュウザン会に属した画家で、川村は後に横浜市商工課が主導した横浜美術協会の発足に携わりました。


木下孝則「樹蔭読書」 1921~23 (大正10~12)年

大正時代には多くの日本人美術家が横浜港からフランスを目指して旅立ちました。そのうちの木下孝則は1921年から2年間渡仏した画家で、エコール・ド・パリに影響を受けて「樹陰読書」などを描きました。白い帽子をかぶっては読書に勤しむ女性には、どこか気品を感じさせる面があるかもしれません。


左上:織田觀潮「横浜桜木町駅 『大正震火災木版画集』より」 1923~1924 (大正12~13)年 ほか

1923年に発生した関東大震災は横浜にも甚大な被害を与え、画家たちも灰塵に期した街の様子を絵に表しました。


片岡球子「緑蔭」 1939 (昭和14)年

一方で復興する横浜では、早くも震災の2年後に横浜美術展が開催され、多くの観客が押し寄せるなどして注目を集めました。ここでは横浜で教鞭を取りつつ、横浜美術展にも出品を重ねた片岡球子の「緑蔭」が目立っていたかもしれません。そして横浜美術展は後の1932年、市主催の横浜美術協会展(横展)として再出発しました。


中央:鏑木清方「いで湯の夕べ(『文芸倶楽部』第18巻 第11号口絵、博文館)」 1912(明治45)年発行

大正から昭和にかけての新版画運動も横浜と接点がありました。新版画を興した版元の渡邊庄三郎は、キャリアの最初期に浮世絵店「蓬枢閣」の横浜支店に勤め、外国人向けに浮世絵を販売していて、海外への復刻の依頼などを契機に錦絵の再興を志しました。


左:石渡江逸「横浜萬国橋」 1931 (昭和6)年
右:石渡江逸「(神楽)子安一の宮神社」 1931 (昭和6)年

ここで魅惑的なのは、東京に生まれ巴水に師事しながら都下や神奈川を描いた石渡江逸でした。いずれも横浜を舞台とした2点の作品が並んでいて、とりわけ水色から紫色に染まる夕景を情緒的に描いた「横浜萬国橋」に強く心を引かれました。


左:川上澄生「横濱(よこはまはわがふるさと)」 1967 (昭和42)年

幼少期に横浜で過ごした川上澄生の作品も見応えがありました。3歳にて東京に移り住むも、生涯横浜を愛したとされていて、「横濱(よこはまはわがふるさと)」などの作品を残しました。


常盤とよ子「路上」 1954 (昭和29)年

戦後間もない時期の横浜を記録した写真も興味深いかもしれません。中でも常盤とよ子は、女性労働者やいわゆる娼婦らを積極的に写していて、占領軍兵士の駐留した街角の光景を捉えた「路上」が目を引きました。


手前:イサム・ノグチ「三位一体」 1948年
中央奥:岡田謙三「黒と象牙色」 1955 (昭和30)年

1つのハイライトとも言えるのが、岡田謙三とイサムノグチの作品を同じ空間に並べた展示でした。1902年に横浜で生まれた岡田は、渡米後にワシントンでノグチとの2人展を行うなどして親交を持っていました。


第7章「ニューヨークでの活躍―岡田謙三とイサム・ノグチ」展示風景

またアメリカ生まれのノグチも3歳で来日し、青春期を山手のセント・ジョセフ・カレッジで過ごしていました。ともにアメリカで活動しながら横浜でも接点のあった作家同士で、それぞれの絵画と彫刻のかたちが響き合うような光景に目を奪われました。


斎藤義重「内部」 1981 (昭和56)年

青森に生まれ、1961年に横浜へ移った斎藤義重による大規模な立体作品、「内部」も目立っていたのではないでしょうか。


斎藤義重「内部」 1981 (昭和56)年

円形の曲線を描く展示室の壁面には、ラッカーや木、それに紐などによる彫刻が連なっていて、抽象的ながらも何らかの機械的な装置のようにも見えました。


第9章「ハマ展の洋画家と彫刻家」 展示風景

長く続いていた横展は戦争で廃止されるも、終戦の翌年にはハマ展として復活し、1950年代以降はグループ展の開催が活発化するなど、様々な画家が横浜で活動しました。


山中春雄「退屈な二人」 1954 (昭和29)年

大阪に生まれ横浜へと移住し、1950年に神奈川アンデパンダン展を開いたのが山中春雄で、「退屈な二人」と題した作品が展示されていました。巨大な手足をもった2人の人物が透明なテーブルを前に裸で腰掛けていて、黒く太い輪郭線からは、画家の影響を受けたビュフェの作風を見て取ることができました。


磯辺行久「Work 62-19 Work 62-19」 1962 (昭和37)年

ラストは横浜市民ギャラリーで開かれ続けてきた現代美術展、「今日の作家展」にて出品された作家の展示でした。


白髪一雄「梁山泊」 1967 (昭和42)年

1964年に開設された同ギャラリーでは、美術評論家の推薦による「今日の作家展」が行われ、その後も形式や会場を変えながら、40年以上も現代美術を取り上げてきました。


吉村益信「大ガラス」 1969 (昭和44)年

ここには1960年代に同展に参加した作品が並んでいて、白髪一雄の「梁山泊」や吉村益信の「大ガラス」などが特に目立っていました。

全10章立てで横浜のアートシーンを追いかける構成も充実していて、同地で多面的に展開した作家の活動を丹念に紹介していました。現在、横浜美術館では企画展「トライアローグ」も行われていますが、質量ともに引けを取らない内容と言えるかもしれません。


コレクション展のため撮影も可能でした。また当日に限って「トライアローグ」展のチケットで観覧することができます。

オンラインによる事前予約制が導入されました。但し事前に完売していない日時に関しては、券売所において観覧券の予約と購入が可能です。

2021年2月28日まで開催されています。おすすめします。

「横浜美術館コレクション展 ヨコハマ・ポリフォニー:1910年代から60年代の横浜と美術」 横浜美術館@yokobi_tweet
会期:2020年11月14日(土)~2021年2月28日(日)
休館:木曜日。但し2月11日を除く。年末年始(12月29日~1月3日)、2月12日(金)。
時間:11:00~18:00
 *カフェ小倉山は10:45~18:00
料金:一般500円、大学・高校生300円、中学生100円、小学生以下無料。
 *オンラインでの日時指定予約制。
 *団体受付は中止
住所:横浜市西区みなとみらい3-4-1
交通:みなとみらい線みなとみらい駅3番出口から徒歩3分。JR線、横浜市営地下鉄線桜木町駅より「動く歩道」を利用、徒歩約10分。
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「柵瀨茉莉子展 いのちを縫う」 横浜美術館アートギャラリー1、カフェ小倉山

横浜美術館アートギャラリー1、カフェ小倉山
「柵瀨茉莉子展 いのちを縫う」
2020/11/14~12/13



横浜美術館アートギャラリー1、カフェ小倉山で開催中の「柵瀨茉莉子展 いのちを縫う」を見てきました。

1987年に神奈川県の横須賀で生まれた柵瀨茉莉子(さくらい・まりこ)は、「縫う」ことを表現の手段としては、木片や花びらなどを素材に作品を制作してきました。

その柵瀨の個展が「いのちを縫う」と題した展示で、過去の作品を踏まえつつ、生まれ育った横須賀の佐島を舞台とした新作などが公開されていました。


「葉っぱのかさぶた」 2007〜2008年

まず最初期に制作されたのが「葉っぱのかさぶた」で、作家が学生時代、構内に落ちた椎の葉を布のかばんに縫い付けた作品でした。ここで興味深いのは縫う行為に至ったプロセスで、当時の大学内で自ら命を絶った人がいたと知り、消えた命のために糸で葉を日々縫い込んだとしていました。


「いとの日 2」 2019〜2020年

以来、柵瀨は亡き祖母のトレーナーへ髪の毛を塗った作品や、展示の準備の際に起きた台風の被災者に思いを馳せて針を進めるなど、縫いに鎮魂の祈りを捧げてきました。こうした縫う所作と祈りが結びついているのも、柵瀨の創作の大きな特徴かもしれません。それぞれの作品に作家自らが手書きで思い出を添えているのも印象に残りました。


「木を縫う 11」 2010年

「葉っぱのかさぶた」に続き、木の皮に穴を開けて金糸で縫い取ったのが「木を縫う」のシリーズでした。会場でもいくつかの木片が吊るされていて、遠目では判然としないものの、近づいて見ると確かに金色の糸が縫われていることが分かりました。


「木を縫う 11」(部分) 2010年

それらは木目に沿っていながらも、時には自由に模様を広げていて、必ずしも一様ではありませんでした。中には集めた樹皮を縫いつなぎ、立体として表現した作品もありました。


「貝の試作」 2020年

この他では、貝殻やダチョウの卵に刺繍を施した作品も興味深いのではないでしょうか。また亡くなった祖母が戦時中に使っていたかばんに縫いを入れた作品には、それこそ祖母への祈りとともに、カバンを再生させては新たな命を吹き込もうとする作家の意思が感じられました。


「山の記憶」 2019〜2020年
 
大きな布に花びらや葉、それに実や皮などを塗って山の形を築いた「山の記憶」も魅惑的な作品かもしれません。これほど樹皮や葉っぱが愛おしく感じられたこともなく、細かな糸と木の皮や葉の織りなす小宇宙に心を惹かれました。


「戦時中のかばん」 2018年

会場は横浜美術館のアートギャラリー1で、正面エントランスよりグランドギャラリー右手横の企画展入口の奥のスペースになります。またカフェ小倉山でもミニ展示が行われていました。


入場は無料です。新型コロナウイルス感染防止の観点から、当初会期(3月14日~4月12日)より変更されました。12月13日まで開催されています。

「柵瀨茉莉子展 いのちを縫う」 横浜美術館アートギャラリー1、カフェ小倉山(@yokobi_tweet
会期:2020年11月14日(土)~12月13日(日) *会期変更
休館:木曜日。
時間:11:00~18:00
 *カフェ小倉山は10:45~18:00
料金:無料。
住所:横浜市西区みなとみらい3-4-1
交通:みなとみらい線みなとみらい駅3番出口から徒歩3分。JR線、横浜市営地下鉄線桜木町駅より「動く歩道」を利用、徒歩約10分。
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「M meets M 村野藤吾展 槇文彦展」 BankART KAIKO、BankART Temporary

BankART KAIKO、BankART Temporary
「M meets M 村野藤吾展 槇文彦展」 
2020/10/30~12/27



1959年に村野藤吾の設計によって建てられた横浜市庁舎は、今年移転のために役目を終え、一方で新たにオープンした新庁舎のデザイン監修を槇文彦が担いました。

そうした新旧の横浜市庁舎を中心に、村野と槇の建築作品を模型や図面、それに資料によって詳らかにするのが「M meets M 村野藤吾展 槇文彦展」で、それぞれ会場は馬車道駅を挟んだBankART KAIKOとBankART Temporaryに分かれていました。



まずBankART KAIKOでは村野の建築が紹介されていて、中でも目を引くのが手描きの横浜市庁舎の図面でした。そこでは1階から6階までの平面図をはじめ、議場天井図や市民広間展開図、はたまた屋上スピーカー取付詳細図などがずらりと並んでいて、さながら建物が解剖される光景を目の当たりにするかのようでした。

これらはいずれも京都工芸繊維大学美術工芸資料館に所蔵された資料で、村野の没後12年経った1996年に同館に寄贈されました。また原寸の階段手摺図などは実に精緻に描かれていて、村野がいかに建物全体ではなく、細部の意匠にまでこだわって設計したのかが良く分かりました。



一連の横浜市庁舎の図面の他には、村野が全国各地で手がけた建築の模型や写真が展示されていて、中には日本生命日比谷ビル(日生劇場)の貝が貼られた天井の試作などの興味深い資料もありました。

この他では村野の手がけた椅子やソファも見逃せない作品かもしれません。椅子では背もたれや肘掛けを体にフィットするように丸みを持たせてたり、脚先を爪先立っているように細くして、床との隙間を開けて浮いているように見せるなど、様々な工夫を凝らしていました。村野は椅子だけでなく、照明や時計も自らデザインしました。


「横浜市役所」 神奈川県横浜市 2020年 1:1000

もう1つの会場であるBankART Temporaryの「槇文彦展」では、これまでに槇が手がけた建築の模型や写真パネルが数多く公開されていました。


「横浜市役所」 神奈川県横浜市 2020年 1:500

1階の展示室では「ヒルサイドテラス」や「横浜新庁舎」などに関する展示が行われていて、市庁舎では500分の1スケールの模型だけでなく、市議会本会議場の床カーペットや市民ラウンジの腰壁の木材のサンプルも並んでいました。それに天井付近より吊り下がる、30分の1スケールの巨大な断面図も目を引くかもしれません。


「東京電機大学 東京千住キャンパス I - II」 東京都足立区 2017、2014年 1:200

もう1つの3階のスペースでは、「幕張メッセ」や「東京電機大学 東京千住キャンパス」から、「4ワールドトレードセンター」に「深圳海上世界文化芸術中心」などの建物が紹介されていました。


「深圳海上世界文化芸術中心」 中国・深圳 2017年 1:500

「マサチューセッツ工科大学 新メディア研究所」などの海外での活動も目立っていたのではないでしょうか。


「4ワールド・トレード・センター」 アメリカ合衆国・ニューヨーク 2013年

それぞれBankART KAIKOは旧帝蚕倉庫、BankART Temporary旧第一銀行をリノベーションした施設でもあります。そうした歴史的建造物とのコラボレーションも見どころと言えるかもしれません。


BankART KAIKOの入居する北仲ブリック

BankART Temporaryのみ模型の撮影が可能でした。(BankART KAIKOの「村野藤吾展」は、入口写真パネル以外、撮影不可。)


アイランドタワー(手前)と横浜市役所

今年6月末に全面供用を開始した横浜新市庁舎は、馬車道駅にも直結し、BankART Temporaryのすぐ隣に位置しています。低層部には全国で初めて市役所内の商業施設である「ラクシス フロント」が入居していていて、ブックカフェや飲食店などが連なっていました。


横浜市役所 1階アトリウム

低層部はオープンスペースとして自由に行き来することも可能で、開放感のあるガラス張りの巨大なアトリウムも目を引きました。


一方で関内の旧庁舎の敷地は高層ビルとして再開発されますが、行政棟は宿泊施設として利用されることが決まりました。「M meets M 村野藤吾展 槇 文彦展」を鑑賞しながら、実際の庁舎を見学するのも良いかもしれません。

12月27日まで開催されています。

「M meets M 村野藤吾展 槇文彦展」 BankART KAIKO、BankART Temporary(@bankart1929
会期:2020年10月30日(金)~12月27日(日)
休館:月曜日。但し1月23日は開館。
時間:11:00~19:00。
料金:一般1600円、大学生・専門学校生1000円、横浜市民1000円、高校生・65歳以上600円。中学生以下無料。
 *村野藤吾展と槇文彦展の共通チケット
 *本人に限り会期中何度でも入場可。
住所:神奈川県横浜市中区北仲通5-57-2-1F(BankART KAIKO)、神奈川県横浜市中区本町6-50-1(BankART Temporary)
交通:みなとみらい線馬車道駅2a出口直結徒歩1分(BankART KAIKO)、みなとみらい線馬車道駅1b出口直結徒歩1分(BankART Temporary)。
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「トランスレーションズ展」 21_21 DESIGN SIGHT

21_21 DESIGN SIGHT
「トランスレーションズ展 −『わかりあえなさ』をわかりあおう」
2020/10/16〜2021/3/7



意思疎通の手段である「翻訳=トランスレーション」を「コミュニケーションのデザイン」と見立てて、様々な取り組みを紹介する展覧会が、21_21 DESIGN SIGHTで開催されています。

それが「トランスレーションズ展 −『わかりあえなさ』をわかりあおう」で、情報学研究者のドミニク・チェンをディレクターに迎え、「ことばの海をおよぐ」、「伝えかたをさぐる」、「異種とむきあう」など7つのテーマの元、研究者やデザイナーによる21のプロジェクトが公開されていました。


グーグル・クリエイティブ・ラボ + スタジオ・ザ・グリーンアイル + ドミニク・チェン「ファウンド・イン・トランスレーション」

まず興味深いのは、Googleの翻訳プログラムを用いた『ファウンド・イン・トランスレーション』で、モニターに発せられた問いの答えをマイクに吹き込むと、一面のモニターへ23カ国語に表示される双方向型のインスタレーションでした。


グーグル・クリエイティブ・ラボ + スタジオ・ザ・グリーンアイル + ドミニク・チェン「ファウンド・イン・トランスレーション」

ここでは「あなたにとっての幸せとはなにか?」や「昨日の夜に食べたものは?」などが問いかけられていて、日本語で答えるとスピーディーに各国語に変換されていきました。しかし中には変換されずにそのまま表示される場合もあり、翻訳の難しさを感じさせるものがありました。


グーグル・クリエイティブ・ラボ + スタジオ・ザ・グリーンアイル + ドミニク・チェン「ファウンド・イン・トランスレーション」

現在、Googleの翻訳は108の言語に対応しているものの、地球上で話されている言語は7000近くにも及んでいるそうです。それに言語同士が互いに繋がり、翻訳のプロセスが可視化されるような仕掛けも興味深く思えました。


和田夏美 + 筧康明「…のイメージ」

和田夏美と筧康明による「…のイメージ」も面白いかもしれません。スクリーンには空とビルのアニメーションが映されていて、手前のタブレットの前で雨や雲、飛行機を手話にて表すと、雨が降ったり、飛行機が飛ぶ姿が映し出されました。

また音の振動を光の強さに変換することで、音が聞こえない人でも音を感じられる本田達也の「オンタナ」など、いわゆる障害のある人々とコミュニケーションを図るための取り組みも目立っていたかもしれません。


長谷川愛「Human×Shark」

いわば奇抜とも言えるアイデアで異種とのコミュニケーションを探るのが、長谷川愛の「Human×Shark」でした。「サメと人が愛し合うことは可能なのか?」と問う長谷川は、サメを引き寄せる匂いに着目し、性的に惹起する化学物質を調合していて、それをダイバーにつけてはサメを引き寄せる光景を見せていました。


シュペラ・ピートリッチ「密やかな言語の研究所:読唇術」

シュペラ・ピートリッチの「密やかな言語の研究所:読唇術」も大胆な試みではないでしょうか。ピートリッチは植物の葉の気孔の開閉を動物の唇に見立てつつ、AIや読唇術によって植物の声を解釈しようとしていて、気孔の動きがまるで人間の口の開閉のように見えるのが面白く感じました。


エラ・フランシス・サンダース「翻訳できない世界のことば」

エラ・フランシス・サンダースの「翻訳できない世界のことば」も魅惑的かもしれません。ここには世界中の翻訳できない表現をイラストとともに紹介していて、世界の言葉の多様性を目の当たりにするかのようでした。


やんツー「観賞から逃れる」

鑑賞者との距離を作品がとろうとするやんツーの「鑑賞から逃れる」も興味深いのではないでしょうか。絵画、彫刻、映像の3つの作品が、タイヤやローラーの動力と組み合わさって配置されていて、近づくとあたかもソーシャルディスタンスを図ろうとするように離れていきました。


長岡造形大学「縄文のある暮らし」

一口に「翻訳」とはいえども、言語に五感や身体によるコミュニケーションだけでなく、デザインやアートなどの幅広い視点も取り込まれていて、意外な発見の少なくない展覧会でした。他者や異文化との共感や理解には、何よりも「わかりあえなさ」を繋ごうとする試みが重要なのかもしれません。


11月18日より事前予約が不要となりました。会場内の撮影も可能です。

2021年3月7日まで開催されています。

「トランスレーションズ展 −『わかりあえなさ』をわかりあおう」 21_21 DESIGN SIGHT@2121DESIGNSIGHT
会期:2020年10月16日 (金) 〜2021年3月7日 (日)
休館:火曜日。但し11月3日、2月23日は開館。年末年始(12月26日〜1月3日)。
時間:11:00~18:30(平日)、10:00〜18:30(土日祝)
 *入場は閉場の30分前まで。
料金:一般1200円、大学生800円、高校生500円、中学生以下無料。
 *15名以上の来場は事前連絡。
住所:港区赤坂9-7-6 東京ミッドタウン・ガーデン内
交通:都営地下鉄大江戸線・東京メトロ日比谷線六本木駅、及び東京メトロ千代田線乃木坂駅より徒歩5分。
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2020年12月に見たい展覧会【眠り/舟越桂/美の交流が生んだ6つの物語】

今年も残すところあと1ヶ月となりました。全国的に新型コロナウイルスの感染が再び拡大し、一部地域では外出や往来の自粛が求められていますが、関東の大半の美術館は感染症対策を行った上で開館しています。予約制を導入した美術館も珍しくなくなりました。

1年の締めくくりの月にはどのような展覧会が開催されているのでしょうか。12月に気になる展覧会をリストアップしてみました。

展覧会

・「根津美術館の国宝・重要文化財」 根津美術館(11/14~12/20)
・「STARS展:現代美術のスターたち―日本から世界へ」 森美術館(7/31~2021/1/3)
・「光―呼吸 時をすくう5人」 原美術館(9/19~2021/1/11)
・「だれも知らないレオ・レオーニ展」 板橋区立美術館(10/24~2021/1/11)
・「上田薫」 埼玉県立近代美術館(11/14~2021/1/11)
・「生命の庭―8人の現代作家が見つけた小宇宙」 東京都庭園美術館(10/17~2021/1/12)
・「1894 Visions ルドン、ロートレック展」 三菱一号館美術館(10/24~2021/1/17)
・「大山エンリコイサム展 夜光雲」 神奈川県民ホールギャラリー(12/14~2021/1/23)
・「本城直季 (un)real utopia」 市原湖畔美術館(11/7~2021/1/24)
・「東郷青児 蔵出しコレクション~異国の旅と記憶~」 SOMPO美術館(11/11~2021/1/24)
・「芳年 激動の時代を生きた鬼才浮世絵師」 うらわ美術館(11/18~2021/1/24)
・「ベルナール・ビュフェ回顧展 私が生きた時代」 Bunkamuraザ・ミュージアム(11/21~2021/1/24)
・「東山魁夷と四季の日本画」 山種美術館(11/21~2021/1/24)
・「138億光年 宇宙の旅」 東京都写真美術館(11/21~2021/1/24)
・「国宝の名刀 日向正宗と武将の美」 三井記念美術館(11/21~2021/1/27)
・「生きている東京」 ワタリウム美術館(9/5~2021/1/31)
・「舟越桂 私の中にある泉」 渋谷区立松濤美術館(12/5~2021/1/31)
・「河鍋暁斎の底力」 東京ステーションギャラリー(11/28~2021/2/7)
・「桑久保徹 A Calendar for Painters without Time Sense. 12/12」 茅ヶ崎市美術館(12/12~2021/2/7)
・「MOTアニュアル2020 透明な力たち/石岡瑛子 血が、汗が、涙がデザインできるか」 東京都現代美術館(11/14~2021/2/14)
・「眠り展:アートと生きること」 東京国立近代美術館(11/25~2021/2/23)
・「美を結ぶ。美をひらく。美の交流が生んだ6つの物語」 サントリー美術館(12/16~2021/2/28)
・「米谷健+ジュリア展 だから私は救われたい」 角川武蔵野ミュージアム(11/6~2021/3/7)
・「Connections―海を越える憧れ、日本とフランスの150年」 ポーラ美術館(11/14~2021/4/4)
・「国立ベルリン・エジプト博物館所蔵 古代エジプト展 天地創造の神話」 江戸東京博物館(11/21~2021/4/4)

ギャラリー

・「第14回 shiseido art egg 藤田クレア展」 資生堂ギャラリー(11/27~12/20)
・「Creation Project 2020 160人のクリエイターと大垣の職人がつくるヒノキ枡」 クリエイションギャラリーG8(12/1~12/25)
・「内藤礼」 タカ・イシイギャラリー(11/27~12/26)
・「内海 聖史 : squid」 アートフロントギャラリー(11/27~12/27)
・「榎忠 RPM-1200」 ANOMALY(12/5~2021/1/16)
・「工藤麻紀子 空気に生まれかわる」 小山登美夫ギャラリー(12/11~2021/1/16)
・「石岡瑛子 グラフィックデザインはサバイブできるか(前期:広告・キャンペーン)」 ギンザ・グラフィック・ギャラリー(12/4~2021/1/23)
・「ダグ・エイケン New Ocean:thaw」 エスパス ルイ・ヴィトン東京(11/13~2021/2/7)

まずは人間が生きるために欠かせない「眠り」をテーマにした展覧会です。東京国立近代美術館にて「眠り展:アートと生きること」が開かれています。



「眠り展:アートと生きること」@東京国立近代美術館(11/25~2021/2/23)

これはゴヤを案内役に、ルーベンスやエルンスト、それに森村泰昌や塩田千春などの作品を「眠りのかたち」から読み解くもので、国内の6つの国立美術館のコレクションから33作家、約120点の作品が展示されます。


微睡みを文字に表したようなチラシデザインからして個性的ですが、トラフ建築設計事務所の会場構成なども見どころとなるかもしれません。なお本展は「陰影礼讃」(2010年)、「No Museum,No Life?ーこれからの美術館事典」(2015年)に続く、国立美術館の合同企画展の第3弾でもあります。

続いて現代の彫刻の展覧会です。渋谷区立松涛美術館にて「舟越桂 私の中にある泉」が行われます。



「舟越桂 私の中にある泉」@渋谷区立松濤美術館(12/5~2021/1/31)

1951年に生まれた舟越桂は、大学院在学中に聖母子像の制作依頼を受けたことを切っ掛けに木彫を作りはじめ、主に楠の人物彫像で高く評価されてきました。


その舟越の1980年代以降の木彫を中心にしたのが「私の中にある泉」と題した個展で、ドローイングや版画の他、制作の際のメモや自作のおもちゃなどを通して、作家の内面を探っていきます。舟越桂の作品は近年、例えば東京都美術館の「木々の対話」(2016年)などでもまとめて公開されましたが、都内の美術館の個展としては久々の機会ではないでしょうか。

続いて定評のあるリニューアル・オープン記念展の第3弾です。サントリー美術館にて「美を結ぶ。美をひらく。美の交流が生んだ6つの物語」が開催されます。



「美を結ぶ。美をひらく。美の交流が生んだ6つの物語」@サントリー美術館(12/16~2021/2/28)


これは古伊万里、鍋島、紅型、和ガラス、浮世絵、ガレの6つのコレクションを公開するもので、洋の東西の「交流」に着目し、互いの文化との影響関係などを紐解いていきます。第1弾、第2弾のリニューアル展と比べると工芸が多くなることが予想されますが、立体展示にも定評のある同館だけに、また魅惑的な内容となりそうです。

個人的に11月は色々と用事が重なり、思ったように展覧会を見て回ることができませんでした。また夏から秋にかけて遠方の美術館などを幾つか回りましたが、この冬は近場の展示を中心に見ていくつもりです。

それでは今月もどうぞ宜しくお願いします。
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