久石譲「フェルメール&エッシャー」

久石譲ニューアルバム、「フェルメール&エッシャー」を聞いてみました。



現在、フェルメール・センター銀座で開催中の「フェルメール光の王国展」ですが、その展覧会のために作曲家の久石譲氏が音楽を作曲したことをご存知でしょうか。

それが「久石譲 フェルメール&エッシャー」です。先日、CDアルバムとして発売されました。

言うまでもなくフェルメールとエッシャーはともにオランダの画家ですが、久石は作曲のため、ハーグをはじめとするオランダの各地を渡り歩きます。

そこで様々なイメージを受け取った彼は、ピアノと弦楽四重奏のための音楽を全11曲書き下ろしました。

アルバムは二部構成です。前半6曲がフェルメール、そして後半5曲がエッシャーとなっていました。

Side Ver.
01. Sense of the Light
02. Circus
03. A View of the River
04. Blue and Eyes
05. Vertical Lateral Thinking
06. Muse-um

Side Esc.
07. Trees
08. Encounter
09. Phosphorescent Sea
10. Metamorphosis
11. Other World

音楽と美術は時に親和性の高い芸術とも指摘されますが、実のところそう簡単に言えるものではないかもしれません。

とりわけ楽器のモチーフこそ登場するものの、とかく静謐と語られるフェルメールに音楽をつけるのは非常に難しいのでないでしょうか。実際に久石自身も「完璧に仕上げられたフェルメールの絵画から音を探し出すことなどできない。」と述べています。



とは言え、試聴すると、フェルメールのどこか神秘的なまでの絵画を連想出来る面もあるかもしれません。ピアノが終始、控えめなステップを踏みつつ、そこに弦がそっと寄りそうかのように絡みあっています。訥々とした語り口で日常に潜む美しい情景を浮かび上がらせていました。



一方でエッシャーの音楽はもっと激しさを伴っているのではないでしょうか。久石はミニマル音楽でも知られているそうですが、こちらに関しては前衛という言葉が相応しいかもしれません。弦は時に金切り声すら挙げています。だまし絵ならぬエッシャーの複雑怪奇な世界は、弦やピアノが力強く行き交う音楽からもイメージ出来ました。

「フェルメール&エッシャー/久石譲/Independent Label Council Japan」

なお本アルバムはフェルメール・センター銀座はもとより、一般のCD店でも販売されています。試聴ブースなどがあるやもしれません。見つけたらしばし耳を傾けてみてはいかがでしょうか。

「フェルメール 光の王国/福岡伸一/木楽舎」

*関連エントリ
「フェルメール 光の王国展」 フェルメール・センター銀座
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「堂東由佳 virus」 INAXギャラリー2

INAXギャラリー2
「堂東由佳 virus」
2/2-2/27(会期終了)



シルクスクリーンを埋め尽くしていたのは意外な動物たちでした。INAXギャラリー2で開催されていた堂東由佳個展、「virus」へ行ってきました。

本展の概要、また作家のプロフィールについては同ギャラリーのWEBサイトをご覧ください。

堂東由佳:virus@現代美術個展 GALLERY2

2011年に京都市立芸術大学美術研究科の絵画専攻版画を修了後、佐藤美術館の奨学生展やアートアワードトーキョーなどに出品を重ねて来ました。



さて会場を一面、見渡す限りに空間を埋めているのは、木製の机の上に敷かれたモノクロのシルクスクリーンです。

その紋様は、たとえば何らかのデザインとしての抽象的な図柄を反復しているようにも見えますが、良く目を凝らすと意外な動物たちがひしめき合っていることがわかります。



それはずばり擬人化された猫たちです。猫たちは一見、まるで踊って楽しんでいるかのような姿をしています。思わずにやりとさせられるような光景でした。

しかしながらあくまでも一見としたのには理由があります。

よくよく猫を見て下さい。皆、嘔吐したりお腹を下したりしているではありませんか。

以前より猫を頻繁に描いていたという作家の堂東は、作品の中にそれこそ『毒』を含ませようと、タイトルのごとき「virus」(ウイルス)に冒された猫のモチーフを取り入れました。

いうまでもなくウイルスは強い感染力があります。とすると作品の増殖するようなパターンも、その感染力の表れなのかもしれません。



一部、色を取り込んだ作品も展示されています。そちらのシリーズの今後の展開も気になりました。

INAXギャラリー2の展示スケジュール

・平子雄一 -庭先メモリーズ 見えない森- 展
2012年3月1日(木)~3月29日(木)
・吉田夏奈 -Panoramic Forest- Panoramic Lake- 展
2012年4月2日(月)~4月25日(水)

4月には、先日のあざみ野コンテンポラリーにも参加していた吉田夏奈の展示があります。こちらも要注目です。

展示は既に終了しました。

「堂東由佳 - virus - 展」 INAXギャラリー2
会期:2月2日(木)~2月27日(月)
休廊:日・祝
時間:10:00~18:00
住所:中央区京橋3-6-18 INAX:GINZA2階
交通:東京メトロ銀座線京橋駅より徒歩1分、東京メトロ有楽町線銀座一丁目駅7番出口より徒歩3分、都営浅草線宝町駅より徒歩3分、JR線有楽町駅より徒歩7分。
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「和のよそおい展」チケットプレゼント

いつも「はろるど・わーど」をご覧くださりありがとうございます。



艶やかな和服や髪飾りなど、『よそおい』を切り口に日本画の名だたる作品を紹介する「和のよそおい展」。


展示室風景

お客様にも和服の方が多いという山種美術館ならではの好企画ですが、そのペアチケットを抽選で5組10名様にプレゼント致します。

応募多数のため締め切らせていただきました。ありがとうございました。

ご希望の方は、件名に「和のよそおい展チケット希望」、本文にフルネームでお名前とメールアドレス、またお持ちの方はツイッターアカウントを明記してメールをお送り下さい。

応募先は harold1234アットマークgoo.jp です。アットマークの表記は@にお書き直し下さい。お間違えのないようお願いします。

ツイッターのDMでは受け付けておりません。転売目的でのご応募はご遠慮下さい。


展示室風景

なお「和のよそおい展」については以下の記事でまとめてあります。

「和のよそおい」 山種美術館

ちなみに山種美術館といえばカフェ椿の特製和菓子です。今回出品最大の異色作、森田曠平「投扇興」は、扇を象ったお菓子「うたげ」に仕上がってます。


「和のよそおい展」特製和菓子。左手前「うたげ」。

柚子あんの上品な甘さが口に広がりました。

お申し込み多数の際はご希望に添えない場合もあります。その際はどうかご勘弁下さい。

それではご応募お待ちしております。

「和のよそおい - 松園・清方・深水 - 」 山種美術館
会期:2月11日(土・祝)~3月25日(日)
休館:月曜日
時間:10:00~17:00
住所:渋谷区広尾3-12-36
交通:JR恵比寿駅西口・東京メトロ日比谷線恵比寿駅2番出口より徒歩約10分。恵比寿駅前より都バス学06番「日赤医療センター前」行きに乗車、「広尾高校前」下車。

注)写真は報道内覧会時に主催者の許可を得て撮影したものです。
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「臼井良平展 PET」 無人島プロダクション

無人島プロダクション
「臼井良平展 PET (Portrait of Encounterd Things)」
1/28-2/26、3/6-3/11



無人島プロダクションで開催中の臼井良平個展、「PET (Portrait of Encounterd Things)」へ行ってきました。

前もって様々な評判を聞いていたこともあり、その素材については頭に入っていたつもりでしたが、実際に見ても俄には信じ難いほどの完成度で驚きました。



ずばり、このペットボトル、何で出来ているかお分かりいただけるでしょうか。

これまでにも臼井は身近なものの見方を変化させる、「見立て」(ギャラリーサイトより引用)の作品を発表してきましたが、ひょっとすると今回ほどトリッキーなものはなかったかもしれません。

種明かしをすると、これら一連のペットボトルは、全てガラスによって出来ています。

ようはペットボトルのガラス彫刻です。臼井は石膏の型を用い、一つ一つ手間ひまをかけてガラスのペットボトルを制作しました。



またテーブル上に並ぶペットボトルは必ずしも全て同じではありません。表面をよく見ると浮き上がってきますが、その磨き方の如何により、ボトルの透明度は変化しています。曇ったものからほぼ透き通り、中の気泡が見えるまでのものと様々でした。

本来的に素材として軽いプラスチックが、ガラスという重厚でかつ存在感のある作品に変化します。一方で日頃、ほぼ使い捨てにされるペットボトルと、落とすとすぐ割れてしまうガラスという意外な共通項(脆さや儚さ)も、興味深いポイントなのかもしれません。

それにしてもここに挙げた写真はもとより、会場でもぱっと見ただけではガラスとは分かりません。実際にもペットボトルだと思って帰られる方すらおられるそうです。



色を取り込んだ瓶もガラスです。また会場内でギャラリーの方にお声がけすると、瓶のいくつかを触ることが出来ます。それを持ち上げて重みを感じた時、ようやく間違いなくガラスだということが分かりました。視覚の危うさを再認識させられるような作品といえるかもしれません。

最後にキャップもガラスと聞いて改めて驚いたわけですが、唯一、すぐさまこれらが間違いなくガラスであると分かる箇所があります。(下写真)



ヒントは冷蔵ケースです。お見逃しなきようご注意下さい。

なお臼井は横浜の竜宮美術旅館でのグループ展、「RYUGU IS OVER!!」にも出品中です。



「RYUGU IS OVER!! -竜宮美術旅館は終わります」
会期:2月17日(金)ー3月18日(日)
開館:月・金・土・日 13:00~21:00 *一部作品は20時まで。
会場:竜宮美術旅館(横浜市日ノ出町1-53-2)
作家:青田真也、淺井裕介、臼井良平、狩野哲郎、志村信裕、武田陽介、冨井大裕、丹羽良徳、森田浩彰+大久保あり、八木貴史、安田悠、SHIMURABROS、mamoru、Yu Cheng-Ta

こちらも何とか伺いたいと思います。

なお会場では初めてLEDライトを一部照明として導入したそうです。ガラスの煌めきは確かに際立っていました。

3月11日までの開催です。*2/27-3/5はイベントのため展示の観覧は出来ません。

「臼井良平展 PET (Portrait of Encounterd Things)」 無人島プロダクション
会期:1月28日(土)~2月26日(日)、3月6日(火)~3月11日(日)
休廊:月・祝日
時間:火~金、12:00~20:00 土~日、11:00~19:00
住所:江東区三好2-12-6 SNAC内
交通:東京メトロ半蔵門線清澄白河駅B2出口より徒歩2分。都営大江戸線清澄白河駅A3出口より徒歩4分。
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「フェルメールへの招待」(朝日新聞出版)

監修に國學院の小池先生を迎え、一部解説執筆と全体の編集を「青い日記帳」のTakさんが担当された朝日新聞出版の「フェルメールへの招待」を読んでみました。



光沢感のある上質な「真珠の耳飾りの少女」の表紙からして思わず感心された方も多いかもしれません。

見開きには厚紙に印刷され、切り離してポスターにも使用可能な耳飾りの少女があるのも心憎いところですが、オールカラーでB5版、全96ページ、フェルメール全作の解説と図版、また充実したコラムなども掲載されて1200円とは相当にお得だと言えるのではないでしょうか。



「初めてでも楽しく鑑賞できる」という帯の謳い文句の通り、終始平易な語り口ながらも、多角的にフェルメールの魅力を味わえるような内容となっています。

まず充実しているのは、人気6作品(真珠の耳飾りの少女、牛乳を注ぐ女、手紙を読む青衣の女、絵画芸術、真珠の首飾りの女、デルフトの眺望)の「パーフェクト解説講座」です。



ここでは絵画のエッセンスを「ここがポイント!」として分かりやすく読み解いていますが、嬉しいのは作品が何と一部拡大されて原寸大になっていることでした。

また通常、やや分かりにくくさえあるフェルメール絵画のスケール感を一目瞭然にした、全37作のサイズ比較ページも見逃せません。



身近な牛乳パックと作品を並べることで、その大きさを体感的に掴み取ることが出来ました。

読み物として面白いのは、怖い絵シリーズでもお馴染みの中野京子さんによる「真珠の首飾りの少女」を何と聖母マリアに重ねて読む、「光に包まれてうっとりする少女は受胎告知される聖母マリア?」のコラムです。

また贋作事件や作品自体の真偽にかけても何かと話題となるフェルメールだけに、その辺についての内容もかなり突っ込んだ記述がなされています。



それにフェルメール全点を年代別に解説した「誌上ギャラリー」や、フェルメールと同時代の画家などを紹介し、さりげなくメツーまでを引用した「ちょっと美術史」など、ビギナー向けとは言えども、かなり読み応えのある内容だという印象を受けました。

ずばり世に数多あるフェルメール関連本の中で、おそらくは最も親しみやすく、しかもコストパフォーマンスに優れた一冊としても過言でありません。

「フェルメールへの招待/朝日新聞出版」

さて先日もお知らせしましたが、本書の発売を記念し、『フェルメールへの招待』出版記念パーティを3月3日に開催します。



「フェルメールへの招待」出版記念パーティ
開催日:2012年3月3日(土)
時間:19:15~21:15(受付:19:00~)
場所:渋谷Fiesta(渋谷区神南1-8-18 神南フラッツB1)
交通:渋谷駅、原宿駅より徒歩7~8分。渋谷消防署の裏です。
参加費:5000円

Takさんのフェルメールのスライドトーク、またビンゴ大会など、盛りだくさんの内容にするつもりです。なお会場では本書を特別割引価格で発売します。

ご参加希望の方は下記いずれかの方法でお申込み下さい。3/1をもって受付を締め切らせていただきました。

1:Twitterアカウントをお持ちの方。
twiplaのサイトにTwitterでログインし「参加する」をクリックして下さい。

2:Twitterアカウントお持ちでない方。
参加ご希望の旨、メールでお知らせ下さい。メールアドレス:harold1234 アットマーク goo.jp

3:FBアカウントをお持ちの方
FBページのイベント欄にご参加の旨をお知らせ下さい。

フェルメール、アート好きの集うカジュアルな会を目指しています。それでは改めまして皆さんのご参加をお待ちしております。
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「ルドンとその周辺 夢見る世紀末」 三菱一号館美術館

三菱一号館美術館
「ルドンとその周辺 夢見る世紀末」
1/17-3/4



フランスの城館に100年以上も秘蔵されていたルドンの大作、「グラン・ブーケ」がついにベールをぬぎました。三菱一号館美術館で開催中の「ルドンとその周辺 夢見る世紀末」へ行ってきました。

闇を刻む黒から一転、「グラン・ブーケ」を含む色彩豊かな世界と、幻想と夢の中に多様なイメージを開花させたルドンですが、本展はその画業をほぼ回顧展形式で楽しめる内容と言っても差し支えありません。

世界有数とまでいわれる岐阜県美術館のルドン・コレクションと、今回、三菱一号館に新たに収蔵された「グラン・ブーケ」をあわせ、全140点ものルドン、もしくは象徴主義の画家らの絵画が一堂に会しました。

構成は以下の通りです。

第一部 ルドンの黒
第二部 色彩のルドン
第三部 ルドンの周辺


冒頭は「ルドンの黒」、ようはルドンが画業の前半に手がけていた木炭の素描と版画の作品が登場します。


オディロン・ルドン「夢のなかで 悲しき上昇」(1879年)

ルドンはいわゆる黒の時代以前から、鉛筆やペンにより自然を写生することを習慣的に続けていました。

そこで重要なのは樹木のモチーフです。

「森の中の男」(1865年)や「樹」(1865年頃)でも見られるように、ルドンは大きな樹木とそこへ寄りそう人物を好んで描いています。

彼の初の石版画集「夢のなかで」(1979年)の表紙も木であることに気づかれた方も多いのではないでしょうか。

この版画集で早くもルドンの夢、また無意識の世界への強い関心を伺うことも出来ますが、そのイメージの源泉にはあくまでも自然があったというわけでした。

ポーに捧げた二番目の版画集「エドガー・ポーに」(1882年)では、さらにルドンの神秘主義的な傾向を見ることが出来ます。


オディロン・ルドン「夢のなかで 幻視」(1879年)

ルドンと言えば植物と人物の頭部、また目を融合させた奇異なモチーフでもよく知られていますが、その元になっていたのが、彼が出入りしていた知識人サークルの一員である植物学者のアルマン・クラヴォーでした。

またルドンはさらに師のロドルフ・ブレスダンのロマン主義的な銅版画の影響を受けています。

実は今回の展覧会ではこのブレスダンやモローなど、ルドンの画風と関わりのある画家の作品が紹介されているのも重要なポイントです。

非常に精緻な描写の元、自然の中に物語的とも伝奇的ともいえる要素を取り込んだブレスダンの作品こそ、ルドンが本来見ようとしていた自然の世界であったのかもしれません。

さて黒の時代で重要なのは、彼がいかに光と色彩を獲得したのかということではないでしょうか。


オディロン・ルドン「夢想 日の光」(1891年)

実際に「夢想」(1891年)や「光」(1893年)を見ていると、闇から光へと移りゆくルドン変化を知ることが出来ます。

それを象徴するのが、暗がりの中に光に満ちた女性の顔を描いた「女の横顔」(1885年頃)ではないでしょうか。顔から灯る光はいつしか画面全体へと広がり、それが色を得て、ルドンの「色彩の時代」へ進んでいきました。


オディロン・ルドン「眼をとじて」(1900年以降)

さて色彩のルドンで忘れられないのが、「オフィーリア」(1901-02年頃)です。

闇から光が差し込み、また画面手前の緑色の織りなす色彩空間の中を、彼の妻をモチーフにしたともいわれる「眼をとじて」風の女性が横たわっていました。

また後半生に集中的に描き、それこそ「グラン・ブーケ」にも連なる色鮮やかな花の絵も魅惑的ではないでしょうか。

とりわけ得意とするパステルを用いた「青い花瓶の花々」(1904年頃)の美しさは際立っているといえるかもしれません。ブルーの滲みる花瓶からは、それこそこぼれ落ちそうなほどに花々が咲き誇っています。またモネの睡蓮を思わせるような淡いピンクと水色の背景の色も印象に残りました。

そして目玉の「グラン・ブーケ(大きな花束)」(1901年)です。


オディロン・ルドン「グラン・ブーケ(大きな花束)」(1901年)

1897年、フランスのドムシー男爵は、ブルゴーニュ地方にある城館内の36平方メートルにも及ぶ食堂装飾をルドンに依頼します。

ルドンはその巨大な壁面を18分割し、色彩豊かな植物画による大パノラマを築きました。

ともかくチラシにもサイズが記載されているように、縦2.5メートル、幅1.6メートルという大きさに圧倒された方も多いのではないでしょうか。

もはや官能的でありかつ生気に満ちた花々は、それこそ青い花瓶からもこぼれ落ちるほどに咲き乱れています。

この作品こそ当地のドムシーの城館に2010年まで掲げられていたという伝説の一枚に他なりませんが、ともかくは取り外されてから僅か2年という短い期間で、ここ日本で見られるとはまさか思いもよりませんでした。

ちなみに三菱一号館ではこのブーケの展示に全力を傾けています。写り込みのないケース、そして暗がりから色の浮き上がってくる照明と、まさにこの上ない環境で楽しむことが出来ました。


マックス・クリンガー「版画集『手袋』 誘拐」(1881年)

さて後半の「ルドンの周辺」では、先ほど挙げたブレスダンの他に、ムンク、クリンガー、そしてゴーギャンなどの作品も展示されています。

率直なところゴーギャンとルドンに関係があったとは意外な印象を受けましたが、実は彼らには深い交流がありました。


ポール・ゴーギャン「ステファーヌ・マラルメの肖像」(1891年)

特にゴーギャンはルドンの黒を高く評価していましたが、ルドンもゴーギャンの死に際し、彼の横顔をモチーフにした作品を描いたそうです。ルドン以外の画家でお気に入りの作品を探すのも展覧会の醍醐味かもしれません。

本展は巡回展ですが、「グラン・ブーケ」は三菱一号館のみ出品とのことで、図録に図版が掲載されていません。しかしながらそれを補うのがブーケの特製リーフレットです。


「グラン・ブーケ」の特製リーフレット

ここではドムシー城の壁画全体の図版と、ブーケの解説が記されています。価格は一部、200円です。これはおすすめ出来るのではないでしょうか。

「もっと知りたいルドン/高橋明也/東京美術」

またルドンに関しては同館館長の高橋明也氏による「もっと知りたいルドン」(東京美術)が大変参考になります。本展出品の作品も掲載されています。是非ご覧ください。

会期末に入り、会場も賑わっていました。なお通常休館日の月曜、会期最終週の2月27日に限り開館するそうです。水・木・金の夜間開館(20時まで)とあわせて狙い目になるのではないでしょうか。


オディロン・ルドン「神秘的な対話」(1896年頃

それにしても出品元の岐阜県美術館のルドン・コレクションの充実ぶりには感心させられました。一度は訪ねてみたいものです。

3月4日まで開催されています。おすすめします。

「ルドンとその周辺 夢見る世紀末」 三菱一号館美術館
会期:1月17日(火)~3月4日(日)
休館:月曜日。但し2月27日(月)は開館。
時間:10:00~18:00(火・土・日・祝)、10:00~20:00(水・木・金)
住所:千代田区丸の内2-6-2
交通:東京メトロ千代田線二重橋前駅1番出口から徒歩3分。JR東京駅丸の内南口・JR有楽町駅国際フォーラム口から徒歩5分。
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「西洋美術史入門」 (ちくまプリマー新書)

ちくまプリマー新書より刊行された池上英洋著、「西洋美術史入門」を読んでみました。



これまでにも平易な語り口ながらも、専門性のある内容で西洋美術に関する様々な新書を出されている池上先生ですが、今回もまた趣向を変え、美術史の導入となるべく本を上梓されました。

それが「西洋美術史入門」です。タイトルは至ってオーソドックということで、例えば年代別に美術史が解説されているのかと思いきや、そこは池上先生のこと、そう簡単な構成をとるはずもありません。

基礎的な美術的知識を一通り踏まえながらも、美術史を通して社会を見る目、また捉え方を養えるような内容となっていました。

そもそも美術史はおろか、絵を見る、読み解くとは一体何であるのかというのが本作のスタートです。


ムリーリョ「無原罪の御宿り」1678年

実はこの著作、池上先生が教鞭をとられている大学での学部初年次の学生を対象とした「西洋美術史1」の講義をダイジェストにまとめたものです。というわけで、どこかマニアックになりがちな美術を、本体的には密接である社会に引き付けて、さながら謎を解くように噛み砕いているというわけでした。

さて一例に挙げたいのが絵を読むための「スケッチ・スキル」と「ディスクリプション・スキル」です。

美術史では当然ながら様々な図版を引用するため、まずは慣れることが必要とのことですが、そうした図版の分析に重要なのが上記の二つのスキルです。これはようするに絵画イメージをスケッチと記述という視覚、言語情報に変換する手法ですが、美術以外の現象やモノにも当てはめて言えるのではないでしょうか。


アングル「王座の皇帝ナポレオン一世」1806年

また様々な図像には記号が隠され、それが如何なるシンボルと意味を持ち得ているのかという点も重要だと指摘しています。

「図像解釈学」におけるイメージの見え方、また分析は、まさに美術史の中心課題でもある「社会を知るための手がかりとなりうる」(P.48)の核心に他なりませんでした。


ジャン・ロレンツォ・ベルニーニ「聖テレサの法悦」1647-52年

第三章「社会と美術」では美術を通し、制作した当時の生活、風俗、また経済を考察していく実例がいくつも挙げられています。

たとえばカトリック教会は何故、対抗宗教改革後に「感情移入しやすい作品」を求めていたのかや、それこそ現在Bunkamuraで開催中のラブレター展にも出ていた、何故に17世紀のオランダでは手紙が重要だったのかなども紹介されています。

そうした絵画や作品をきっかけに、その背景に隠されていた社会のあり方を詳らかにすることこそ、美術史を学ぶ醍醐味と言えるのは間違いなさそうです。


フィリッポ・リッピ「聖母子」1465年頃

後半の第四章「美術の諸相」では美術作品にとって欠かせない技法と主題はもちろん、美術史におけるパトロンの史的変遷と言ったユニークな内容も登場します。

ラストは「美術の歩み」として、西洋美術史を簡単な見開き構成で展開していますが、これも必ずしも有りがちな教科書的な記述ではなく、現代における美術のあり方など、随所に問題提起がなされている点も重要です。

「西洋美術史入門/池上英洋/ちくまプリマー新書」

また冒頭のカラー図版を含め、総じて図版の引用が多くすいすいと読んでいくことが出来ます。巻末の参考文献リストも有用でした。

「恋する西洋美術史/池上英洋/光文社新書」

まずは是非とも書店であたってみて下さい。おすすめします。
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「和のよそおい」 山種美術館

山種美術館
「和のよそおい - 松園・清方・深水 - 」
2/11~3/25



山種美術館で開催中の「和のよそおい - 松園・清方・深水 - 」のプレスプレビューに参加してきました。

さて毎度、充実した日本画コレクションを多様な切り口で見せる山種美術館ですが、今回のキーワードは和服や髪飾りなど、それこそタイトルの如くの「よそおい」に他なりません。

まさに「山種美術館・お着物祭り」です。色とりどり、紋様も艶やかな主に和装の女性をモチーフとした日本画、約60点がずらりと揃っていました。(出品リスト


鈴木春信「柿の実とり」1767-68年頃 他 山種美術館

冒頭、春信や清長の浮世絵を経由して登場するのが、春草や古径などの描いた和装美人です。


小林古径「河風」1915年 山種美術館

もちろん、私の好きな古径の「河風」など、作品そのものに魅力があるのは言うまでもありませんが、浮世絵と近代日本画の美人画、しかもその衣装に着目して比較する機会などそう滅多にないのではないでしょうか。

伝統とモダンの間で変化してきた『よそおいの美の変遷』を垣間見ることが出来ました。


展示室風景

会場で最も華やいるのが『舞妓の美』と題されたコーナーです。かねてより多くの画家がモチーフとしてきた舞妓には、まさによそおいの美の極致が反映されています。

帯、かんざし、また髪結いなど、衣装と装身具の全て見る舞妓の美こそ、展示のハイライトの一つでもありました。

ところで広尾移転後の企画展では、例えば三番町時代ではあまり出てこなかったような、言わば見慣れない作品が出てくるのも重要なポイントです。


森田曠平「投扇興」1968年 山種美術館

中でも興味深いのは森田曠平の「投扇興」ではないでしょうか。森田は京都に生まれ、安田靫彦に師事した日本画家ですが、三者を上と横から同時に眺めて描いたような大胆な構図、そして人物のどことなく誇張された表現などは、他の作品とは明らかに一線を画しています。


小倉遊亀「舞う(舞妓)」1971年、「舞う(芸者)」1972年 山種美術館

インパクトという点では小倉遊亀の「舞う」も強烈ですが、よそおいを通して見る絢爛豪華な美の世界には思わず圧倒されてしまいました。


展示室風景

後半は我らが松園、怒濤の18点、そろい踏みです。同館ご自慢の松園が一挙に公開されています。


上村松園「新蛍」1929年、「蛍」1913年、「夕べ」1935年 山種美術館

また松園と言えば透け表現も巧みなところです。お馴染みの特別室では簾を用いた清涼感のある表現が印象的な「新蛍」、「蛍」、そして「夕べ祭り」がさながら三幅対のように並んでいました。


和のよそおい展「Cafe椿」特製和菓子

同館恒例、展覧会毎に新作がお目見えするCafe椿の特製和菓子もご覧の通りです。ちなみにこれでの和菓子をWEB上で(ショップ&カフェコーナー)で一覧出来るのをご存知でしょうか。

「Cafe椿 和菓子集」@山種美術館

まさかあの手のこんだお菓子がこれほどあったとは思いもよりません。まずはクリックしてみて下さい。

ちなみに本展では「きもの割引」と題し、着物を来て来館すると、団体割引料金で観覧出来る上、『プチギフト』までプレゼントしていただけます。こちらも狙い目です。


上村松園「砧」1938年と山崎妙子館長

プレス内覧時、同館の山崎館長にお願いして「砧」の前でポーズをとっていただきました。拙い写真で恐縮ですが、本当にどうもありがとうございました。

なお山崎館長は現在、家庭画報にて、「感じる!日本画 山種美術館・山崎妙子館長特別講義」と題した日本画の魅力に迫るコーナーを連載中です。

「家庭画報 2012年3月号/世界文化社」

日本美術の専門家のお立場から、かなり突っ込んだ視点にて日本画の素材や技法を紹介されています。三月号は「表具」についてのお話でした。是非とも誌面でご覧ください。


「鈴木松風堂」特製箱入り上村松園はがきセット20枚

*お知らせ
チケットが手元に若干枚数あります。ご入用の方はペアでプレゼント致しますので、その旨、メールにてご連絡下さい。
連絡先:harold1234アットマークgoo.jp

3月25日までの開催です。

「和のよそおい - 松園・清方・深水 - 」 山種美術館
会期:2月11日(土・祝)~3月25日(日)
休館:月曜日
時間:10:00~17:00
住所:渋谷区広尾3-12-36
交通:JR恵比寿駅西口・東京メトロ日比谷線恵比寿駅2番出口より徒歩約10分。恵比寿駅前より都バス学06番「日赤医療センター前」行きに乗車、「広尾高校前」下車。

注)写真は報道内覧会時に主催者の許可を得て撮影したものです。
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「難波田史男の15年」 東京オペラシティアートギャラリー

東京オペラシティアートギャラリー
「難波田史男の15年」
1/14-3/25



僅か15年の画業ながらも、「戦後美術の歴史に名を刻んだ」(チラシより引用)、難波田史男(1941-74)の軌跡を辿ります。東京オペラシティアートギャラリーで開催中の「難波田史男の15年」へ行ってきました。

今から遡ること7~8年前、かつてここオペラシティで難波田史男展を見て、その繊細でかつ自由なイメージの絵画に虜となったものですが、以来、久しぶりとなる回顧展が始まりました。

まさに難波田史男展の決定版です。彼のコレクションというと世田谷美術館も有名ですが、同館をはじめ東近美、また難波田龍起・史男記念美術館、そしてもちろんオペラシティなど、国内各地より集められた200点超もの作品が一同に介しました。

展覧会の構成は以下の通りです。

1.自己とのたたかいの日々
2.無意識の深みから
3.コスモスへの旅
4.線と色彩の融合
5.失われた太陽
6.色彩の深まり
7.幾何学と生命の表現
8.自己と他者の物語
9.生と死の彼方へ


主に時系列に沿いながらも、いくつかのトピックによって、難波田史男の画業を様々な観点から見定める内容となっていました。

展示は10代からはじまります。1960年、高校を卒業した難波田史男は美術を志そうと文化学院に入学します。後、授業に馴染めず、自己の世界に入り、まさに内面を追求して独自の画風を展開するようになりました。


「ニコライ堂」1960年 油彩、段ボール 東京オペラシティアートギャラリー

そうした学園生活を一端を伺わせるのが、文化学院のある御茶ノ水のシンボルでもあるニコライ堂を描いた「ニコライ堂」(1960年)です。

また「自己とのたたかいの日々」シリーズでは、そうした多感で揺れ動く10代の気持ちをそのままストレートにぶつけていきます。早くもこの時期で史男を特徴づける人物表現、また細かな線描が見られるのは興味深いところでした。

ともかく自己の内面を重視した史男は、そうした内面の奥に潜む無意識の世界を表そうと、オートマティック的な手法によるドローイングを手がけるようになりました。

またここではシュルレアリスムの影響も受けていたそうです。色の爛れた空間を楽し気に行き交う人達を描いた「Untitled」(1961)に目が止まります。これは史男の心を通してしか見えない幻想かもしれませんが、ひょっとすると彼にとっては現実そのものなのかもしれません。

さらに彼はそうした幻想からその上の世界、つまりは宇宙的な空間を志向するようになります。その代表作として知られるのが、計10枚組の大作、「不詳(10点組)」(1963年)です。

そこでは浮遊する宇宙船などがカンディンスキーを思わせる幾何学的空間に描かれています。会場では作品が高い場所に掲げられているのもポイントです。宇宙旅行をパノラマ絵巻で追体験しているような気分になりました。


「彩色画7」1963年 水彩、インク、紙 東京オペラシティアートギャラリー

史男の繊細な感性は20代に入るとより鋭敏になったと言えるのかもしれません。文化学院を中退後、1965年に早稲田大学の美術専攻科に入学した彼は、これまでよりもさらに細かな線と淡い水彩を交錯させ、さも個々のモチーフが自立してうごめいているかのような生命感のある作品を描いていきます。

それこそヴォルスを思わせる線はまさに神経の震えとも表せるのではないでしょうか。かつての幾何学的な線面の上に、より有機的に関係し合うモチーフが絡み合います。ここに史男の画風が確立しました。


「太陽の讃歌」1967年 水彩、インク、紙 アートスペース游

60年代後半に頻出する「太陽」は、史男を特徴づける一つのモチーフと言えるのかもしれません。史男は太陽は今や不条理しか照らさないと嘆きます。彼はサルトルやカミュに傾倒したそうですが、他にもランボーを引用した作品などがあり、フランス文学の強い影響を感じました。

しかしながらこの時期に入ると作品にどことない『影』がかかってくるように思えたのは私だけでしょうか。

史男は「ぼくらはこの世界にしか生きられないのだ。僕はもはや孤独とか寂しいとか言わない。僕はこの世界を賛美して死にたい。それは色彩による、ただ色彩のみが美しい。」という言葉を残しています。

グレーの滲み渡る暗鬱な空を描いた「冬の空」(1967年)の物悲しい様子には強く心を打たれました。


「無題」1970年 水彩、インク、紙 世田谷美術館

しかしながら終始、孤独へ向かった史男とは言えども、絵画においてはむしろ群像的表現、また絵本に出てくるような可愛らしい人物が描かれているのも重要なポイントです。そして晩期には限定された登場人物の中に強い関係性を与えた、言わば家族などの親密な場を描いたような作品も登場します。


「少女と秋」1972年 水彩、インク、紙 東京国立近代美術館

絵画で向き合う虚ろな登場人物はその朧げな色面、線の中で、一体を会話しているのでしょうか。また妖精などのモチーフも多数描かれています。史男はより彼岸へと向かいながらも、やはり何かとの繋がりを失わないようにと、ひたすら幻想の国を彷徨い続けているかのもしれません。

史男は1974年、フェリーから転落してその短い生涯をとじます。彼の70年代の作品には『水』が多く描かれているのも見逃せませんが、それは胎内回帰、言わば最も強い他者との繋がりである母との関係を求めていたのでしょうか。

彼の「私が点を打つと私の意識は上下左右に動き出します。音楽の繊細な旋律の中を変化してゆく音のような形象をよそおいながら、私は線の旅に出ます。」の言葉ほど、史男の制作を端的に示しているものはありません。

私にとってはかけがえのない画家の一人です。ともかく彼の作品と一枚でも多く向き合えただけでも幸せでした。

「終着駅は宇宙ステーション/難波田史男/幻戯書房」

3月25日まで開催されています。敢えて声を大にはしませんが、おすすめしたいと思います。

「難波田史男の15年」 東京オペラシティアートギャラリー
会期:1月14日(土)~3月25日(日)
休館:月曜日、2月12日(日)*全館休館日
時間:11:00~19:00 *金・土は20時まで開館。
住所:新宿区西新宿3-20-2
交通:京王新線初台駅東口直結徒歩5分。
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「フェルメールへの招待」出版記念パーティのチラシが完成しました!

先日、拙ブログで告知させていただき、twiplaでも参加受付中の「フェルメールへの招待」出版記念パーティ(3/3)。

有り難いことに既に多くの方のご参加表明をいただいておりますが、そのイメージとして@butainunana2さんがこんな素敵なチラシをつくって下さいました!どうもありがとうございます!

(クリックで拡大!)

なお「フェルメールへの招待」(朝日新聞社出版)は監修に國學院大学の小池寿子先生、そしてフェルメール30作の解説と全体の編集に「青い日記帳」のTakさん(@taktwi)が担当された、「これまでにないフェルメールパーフェクトガイド」です。発売日は2月24日。

実は先日、ちらりと中を拝見させていただきましたが、「初心者向け」としながらも、かなり突っ込んだ箇所もあって、失礼ながらも想像以上に本格的なガイド本という印象を受けました。



なお3月3日のパーティーでは会場で「フェルメールへの招待」を特別割引価格で販売致します!そちらにもご期待下さい。

それでは改めましてパーティーの概要です。

「フェルメールへの招待」出版記念パーティ
開催日:2012年3月3日(土)
時間:19:15~21:15(受付:19:00~)
場所:渋谷Fiesta渋谷区神南1-8-18 神南フラッツB1)
交通:渋谷駅、原宿駅より徒歩7~8分。渋谷消防署の裏です。
参加費:5000円


出版記念パーティーと言っても、「フェルメール・イヤーを盛り上げよう!」ということで、アート大好き、フェルメール好きな方とワイワイ楽しくやろうという敷居の低い会です。

もちろんドレスコートも不要。ですが、会を盛り上げるためにもフェルメールに因んだ何か(雛祭りも!)を身につけてくだされば大歓迎です!



「イヤー・オブ・フェルメール」
今年はなんとフェルメール作品が日本に6点も来る年!フェルメール関連の展覧会やフェルメールに関する本の発売、WebやSNSでの展開などの賑わいが見られます。そんなフェルメールに詳しい人も初心者も全く知らない人でも集まってその賑わいの一角に参加してみませんか? ご来場の際にはあなたがフェルメールと聞いてイメージする物を何か身につけて来て下さい。アクセサリーでも服の色でも髪型でも構いません。もちろんコスプレもあり! えっ?フェルメールアクセサリーなんて分からない?大丈夫、この日は雛祭り。そういう方は雛祭りをイメージするものを身につけてご来場下さいね!

3/1をもって受付を締め切らせていただきました。

参加ご希望の方はいずれかの方法でご表明下さい。

1:Twitterアカウントをお持ちの方。
twiplaのサイトにTwitterでログインし「参加する」をクリックして下さい。

2:Twitterアカウントお持ちでない方。
参加ご希望の旨、メールでお知らせ下さい。メールアドレス:harold1234 アットマーク goo.jp

またご来場いただいた方には、フェルメール・センター銀座よりご提供の「特製フェルメール缶バッチ」を100名様にプレゼントすることが決まりました!



他の企画もまだまだ色々と検討中です!

それでは皆さんのご参加をお待ちいたしております!

*関連エントリ・リンク
「フェルメールへの招待」出版記念パーティを開催します!(拙ブログ)
「フェルメールへの招待」出版記念パーティ(twipla)
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「ジャクソン・ポロック展」 東京国立近代美術館

東京国立近代美術館
「ジャクソン・ポロック展」 
2/1-5/6



待望の展覧会が開幕しました。東京国立近代美術館で開催中の「ジャクソン・ポロック展」のプレスプレビューに参加してきました。

生誕100年を記念し、アジア初のポロック回顧展として愛知県美術館で始まった同展ですが、2月1日からいよいよ東京へと巡回してきました。

ポロックはブリヂストン美術館やDIC川村記念美術館など、単発的に何点かを見る機会はありましたが、これほどの規模でかつ画家の制作を追う形で紹介されたことは、少なくとも国内では一度もありませんでした。

まさに「日本におけるポロック元年」です。


展示室風景

いわゆる門外不出、イラン革命以来一度も国外へ出ることのなかった大傑作「インディアンレッドの地の壁画」を含む、国内外より集められた約70点の作品が一同に介しました。

展覧会の構成は以下の通りです。(出品リスト

第1章 1930-1941年:初期「自己を探し求めて」
第2章 1942-1946年:形成期「モダンアートへの参入」
第3章 1947-1950年:成熟期「革新の時」
第4章 1951-1956年:後期・晩期「苦悩の中で」


さて先に画家の制作を追う形と記しましたが、今回の最大の魅力は、まさに波瀾万丈、時代を翻弄し、また牽引したポロックの画業を時間軸で俯瞰出来ることに間違いありません。


「無題 自画像」1930-33年頃 ポロック=クラズナー財団

冒頭、何やら暗澹たる面持ちでこちらを見やるのは、ポロックがちょうど絵を学び始めた頃に描かれたという「自画像」(1930-33年頃)です。

1912年アメリカ西部のワイオミングに生まれ、18歳でニューヨークに出てきたポロックは、師事したリジョナリズムの画家、ベントンの他、陰鬱な画風でも知られるライダーに傾倒しました。

また彼の若い頃の生活や家庭環境、とりわけ母との関係もポロックの制作に何らかの影響を与えたと考えられています。自身も美術を愛し、息子を芸術家にさせようとした母でしたが、ポロックにとってはいわゆる抑圧的でかつ権威的で、その態度は彼に一種のトラウマとなってのしかかりました。

大きな女性を中央に描き、その周囲を子どものような人が囲む「女」(1930-33年頃)は、ポロックの屈折した母と家庭への思いの現れとも言えるのかもしれません。


左:「西へ」1934-35年頃 スミソニアン・アメリカ美術館、右:「綿を摘む人たち」1935年頃 オルブライト=ノックス・アート・ギャラリー

一方で初期のベントンやライダーの画を受け継ぐ作品として知られるのは「西へ」(1934-35年)です。若い頃のポロックはともかく落ち着かず、例えば「西部を旅しながら、売春婦と会うために刑務所で過ごした」などというエピソードも残っているほどですが、どこか不気味な画風はそうした彼の荒んだ生活とも関連しているのかもしれません。

1930年後半になるとポロックはベントンの影響を脱し、今度はメキシコの壁画の画家たちに強いシンパシーを抱きます。

そこでポロックはポーリング、つまりは後の方向を決定付ける流し込みの技法を経験します。また他にはトーテムやネイティブ・アメリカン文化の影響を受けたものなど、言わばアクションペインティングとは一見結びつかない、半ば表現主義的な知られざる作品を見られるのも、展示の大きなポイントでした。

そうしたこの時期のあまり知られていない作品として挙げられるのが、彼の唯一のモザイク画である「無題」(1938-41年頃)ではないでしょうか。


「無題」1938-41年頃 ポロック=クラズナー財団

色鮮やかなモザイクが散り、そこを黒い輪郭線が走る様子からは、抽象への萌芽を見ることが出来るかもしれません。それにしてもまさかポロックがモザイク画を描いていたとは知りませんでした。

1940年を過ぎるといよいよ我々の知っているポロックが登場します。ポーリングによってさらに動きと自由な形態を操るようになった彼は、アメリカの有力批評家、グリーンバーグの注目を得たことで、一躍スターダムの地位を獲得しました。


「トーテム・レッスン2」1945年 オーストラリア国立美術館

そのグリーンバーグが激賞した作品が「トーテム・レッスン2」(1945年)です。タイトルにもあるようにネイティブ・アメリカンへの関心こそ示すものの、かつての自身の内面の露出を見せた作風は影を潜め、モチーフの意味を云々しない、いわゆる一つの絵画として存在感の際立った平面を作り出します。

「月の器」(1945年頃)ではポーリングともう一つポロックを特徴づける技法、ドリッピング(たらし)を用い、具象と抽象の間を超えた、より斬新で新しい空間を得ることが可能になりました。


「ブルー-白鯨」1943年頃 大原美術館

また少し時代こそ遡るものの、この時期の作品で面白いのは、「ブルー - 白鯨」(1943年頃)です。ここではタイトルでも一目瞭然、ポロックが好んで読んだというメルヴィルの「白鯨」を引用しています。

一面の青を背景に浮かぶどこか幻想的で断片的でモチーフはミロを連想させますが、実際に彼は1941年、MOMAで行われたミロの回顧展に接していたようです。ポロックはピカソにも多大な影響を受けましたが、ミロの感化もあったとは知りませんでした。


展示室風景

1947年、いよいよポロックが西洋美術史上、唯一の地位を占めるときがやってきます。それが『オールオーヴァーの絵画』です。

キャンバスを床に敷き、画面に直接筆を接することなく、まるで紐を投げ広げるように絵具をたらしていく技法、ドリッピングで描かれた一連の絵画は、複雑怪奇な抽象面を展開しながらも、画面の中心と部分の主従の関係を乗り越え、中心のない、全てが渾然一体となった平面を作り上げることに成功しました。


「ナンバー7, 1950」1950年 ニューヨーク近代美術館

今から遡ること60年前、1951年に都美館で開催された読売アンデパンダン展で初めて日本にやってきたポロック作、「ナンバー7, 1950」(1950年)もこうした作品の一つです。

何ものにもとらわれず、常に運動するかのようにのたうち回り、また振動する線の乱舞は、不思議にも剛胆さと繊細さ、そして多様性と均一性を兼ね備えた、まさに他にはない生命感と躍動感に溢れた平面を展開しています。

そして本展の超目玉の「インディアンレッドの地の壁画」(1950年)です。初めにも触れたように1976年、王朝時代にイランに渡ってから革命後、ただの一度も国外へ出ることのなかった最高傑作とも呼ばれるこの作品を今、東京で、まさに目と鼻の先でじっくり見入ることが出来るわけです。


「インディアンレッドの地の壁画」1950年 テヘラン現代美術館

この作品を前にして、視界の全てを絵画イメージに委ねていくと、色彩と線の恐ろしいまでの交錯、またリズムに全身が飲み込まれ、それこそ動けなくなってしまうのではないでしょうか。

迸る生命、そして神経の線は、絵具を垂らして描くことによるのか意外にも脆く、また繊細で、その一見密集した画面からは想像もつかないような浮遊感すらたたえています。

単一性と多様性の同居も、ポロックのオールオーヴァーの特徴の一つとして挙げられますが、常に揺れ動く細部の多様でカオスなイメージと、全体の驚くべきほどの調和は、まさに混沌と均衡が同時に進行するかのような森羅万象の宇宙そのものにも例えられるかもしれません。


展示室風景

さてオールオーヴァーで頂点を極めたポロックですが、常に変化を求める彼のこと、その場所にずっととどまることはありませんでした。

1951年には作風を一転、オールオーヴァーを放棄し、今度はポーリングを黒のみに限定、またモチーフにも具象を再び取り入れた絵画を制作していきます。


右:「ナンバー8, 1951/黒い流れ」1951年 国立西洋美術館

元々「インディアンレッドの地の壁画」でも強く浮き上がっていたのが黒い線であるように、ポロックにとっての重要な色とは黒でしたが、今度はそれを前面に押し出します。そして黒が細部だけでなく、全体の均衡も打ち破ってひたすらに乱れていく「ナンバー8, 1951/黒い流れ」(1951年)のような作品を描きました。

結果的に黒い塗料だけに限定したブラック・ポーリングは1年で放棄し、1952年には再び色を取り入れましたが、このどこか悪魔的とさえいえる黒こそ、ポロック晩期を特徴づける作風に他なりません。

展覧会のラストを飾るのは、私にとっては馴染みの深いDIC川村記念美術館の「緑、黒、黄褐色のコンポジション」(1951年)です。


「緑、黒、黄褐色のコンポジション」1951年 DIC川村記念美術館

前にも触れたことがありましたが、実はこれこそ私にとってポロックにしびれ、そして一目惚れした作品です。それにしても一つの大きな制作の流れを追った上で改めて前に立つと、線と面にはより震えとどこかもどかしいまでの迷い、また苦悩を感じてなりません。

この作品を初めて目にした時に受けた印象は激しさでも力強さでもなく、儚さでしたが、それはあながち見当違いでもなかったのではないかと思えました。


アトリエ再現展示

出口にはポロックのアトリエをの再現展示もあります。一般的に画家の回顧展として70点とはそう多くないかもしれませんが、ともかくは偏愛のポロックを回顧的に追えた上、夢にも思わない「インディアンレッドの地の壁画」などの代表作を前にすることが出来て感激もひとしおでした。


アトリエ再現展示(床面)

ちなみに「インディアンレッドの地の壁画」は1998年のMoMAで行われたポロックの一大回顧展にも出品されていません。是非ともこの絵画を前にして打ち震えてみて下さい。

関連の講演会の情報です。

シンポジウム「PAINTERS' ROUND-TABLE: WHAT IS JP? 画家たちのポロック」
 出演:堂本右美、岡村桂三郎、小林正人
 モデレーター:中林和雄(当館企画課長)
 日程:2月12日(日) 13:00~16:00 *終了済

シンポジウム「今ポロックの何を見るのか」
 出演:池上裕子(美術史)、沢山遼(美術批評)、林道郎(美術史)
 モデレーター:中林和雄
 日程:3月24日(土) 13:00~16:00

講演会「ポロックとは何か」
 講師:中林和雄 (当館企画課長)
 日程:4月22日(日) 14:00~15:30

いずれも申込不要、参加無料(先着150名)です。(開演30分前に開場)

なお本展は東京国立近代美術館の開館60週年を記念し、誕生日当日の方は無料で入館出来ます。

東京国立近代美術館60周年記念サイト

「ジャクソン・ポロック/タッシェン」

5月6日までの開催です。もちろんおすすめします。

「生誕100年 ジャクソン・ポロック展」 東京国立近代美術館
会期:2月10日(金)~2012年5月6日(日)
休館:月曜日(3月19日、3月26日、4月2日、4月30日は開館)
時間:10:00~17:00 但し金曜は20時まで。
場所:千代田区北の丸公園3-1
交通:東京メトロ東西線竹橋駅1b出口徒歩3分。

注)写真は報道内覧会時に主催者の許可を得て撮影したものです。
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「さかざきちはるの世界展」 市川市芳澤ガーデンギャラリー

市川市芳澤ガーデンギャラリー
「さかざきちはるの世界展~チーバくんとなかまたち~」
2/11-3/25



市川市芳澤ガーデンギャラリーで開催中の「さかざきちはるの世界展」へ行ってきました。

JR東日本ユーザーはもちろん、各地でも人気のSuicaペンギンですが、その生みの親はイラストレーターで絵本作家の坂崎千春さんであることをご存知でしょうか。

さかざきちはる公式WEBサイト

そのさかざきさんの制作と作品を紹介するのが、今回の「さかざきちはるの世界展」です。

館内にはこの「Suicaペンギン」をはじめ、ダイハツCMキャラクター「カクカク・シカジカ」、そしてマガジンハウス社の「クウネルくん」、さらには千葉県のマスコットキャラクターでもある「チーバくん」などのキャラクターのイラストや原画、それにグッズなどがずらりと勢揃いしていました。


市川駅でのチーバくん

そのようなさかざきさんのキャラクターの中でも、我々千葉県民にとって最も馴染みのあるのが、今回の主役でもあるチーバくんです。

こちらも言うまでもなくさかざきさんがデザインされたマッコットですが、元々は平成22年の国体のキャラクターとしてデビューしました。

それが大会終了後も県民の後押しを受け、今では千葉県のマスコットとして活躍しているわけです。また実はさかざきさんは市川市のご出身でもあります。そうした縁もあり、今回の市川での個展が実現したというわけでした。

チーバくんの広場(千葉県)/@chi_bakun_chiba(チーバくん公式アカウント)

しかしながら手狭な空間ではありますが、4つのトピックからなる展示はなかなか見応えがあります。

「キャラクターの部屋」
「ペンギンの小部屋」
「絵本の部屋」
「さかざきちはるの部屋」


中でも充実しているのはラスト、「さかざきちはるの部屋」ではないでしょうか。

ここではそれこそアトリエ再現ならぬ、さかざきさんの制作の現場と原点を体験出来るような仕掛けがとられています。

まさかさかざきさんの本棚(写真パネル)から小学生時代の作文までをここで拝見出来るとは思いもよりません。また本棚には書籍に混じり、展覧会図録が散見出来たのもポイントです。次から次へと愛嬌のあるマスコットを生み出すさかざきさんの感性と頭脳を垣間見るようでした。

「Penguin Diary 2012/オレンジページ」

ペンギンやチーバくんといったメジャーなマスコットだけではなく、初期の作品や絵本の原画も展示されています。何でもさかざきさんによると、このクラスでの個展は初めてとのことでしたが、確かに制作の過程と全貌を知ることが出来るような内容といえるかもしれません。

「クウネルがゆく (クウネルの本)/坂崎千春/マガジンハウス」

マスコットが出来ていく過程の様子を追ったイラストには特に目を引かれました。多くのマスコットを特徴づけるあの黒く柔らかい線そのものにこそ、さかざきさんの温かい息遣いがこめられているのではないでしょうか。


グッズ各種

小規模ではありますが物販もあります。チーバくんのガチャガチャコーナーもありました。

「イラストのこと、キャラクターデザインのこと。/坂崎千春/ビー・エヌ・エヌ新社」

図録に準じたさかざきさんの本、「イラストのこと、キャラクターデザインのこと。」も是非読んでみようと思います。

なお同ギャラリーはJR市川駅より徒歩20分ほど離れた場所にある小さな施設です。お出かけの際はあらかじめ地図を参照した方が良いかもしれません。また市川駅北口には市営の無料レンタサイクル(市川第6駐輪場)もあります。

芳澤ガーデンギャラリーアクセス案内



「関連イベント」 *関連イベントは入館料(300円)のみ必要。

「世界でひとつの絵本をつくろう!」
 日時:2月26日(日) 13:00~16:00
 対象:小学生 参加費無料(先着15名) (申込先:047-374-7687)
 講師:西野沙織(イラストレーター)

「坂崎千春さんのギャラリートーク」
 日時:3月11日(日) 13:00~13:30

「坂崎千春さんのサイン会」
 日時:3月11日(日) 14:00~16:00 
 *サイン会は当日ミュージアムショップにて書籍を購入した場合に限る。
 *9:30から整理券配布。先着100名。

「ミュージアム・コンサート」
 日時:3月17日(土) 14:00~15:00
 出演:細川紘希(サクソフォン) 蓼沼雅紀(サクソフォン) *先着50名

今のところ巡回はありません。さかざきさんの魅力に触れられる絶好の機会です。是非、市川までお越し下さい。

3月25日まで開催されています。

「さかざきちはるの世界展~チーバくんとなかまたち~」 市川市芳澤ガーデンギャラリー
会期:2月11日(祝)~3月25日(日)
休館:月曜日
時間:9:30~16:30
住所:千葉県市川市真間5-1-18
交通:JR線市川駅より徒歩16分、京成線市川真間駅より徒歩12分。
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「第6回 shiseido art egg 鎌田友介展」 資生堂ギャラリー

資生堂ギャラリー
「第6回 shiseido art egg 鎌田友介展 - Dimension Destruction Destruction」
2/3-2/26



第6回アートエッグの展示も第二弾に突入しました。資生堂ギャラリーで開催中の「第6回 shiseido art egg 鎌田友介展」へいってきました。

現在、白金の児玉画廊でも個展開催中の鎌田ですが、そちらでも印象深かったアルミサッシを用い、資生堂のスペースを大胆に変化させています。



キーワードはタイトルにもある歪み、そして破壊です。ホワイトキューブの壁面、床すれすれの低い地点から天井まで、さも空間を刻むかの如く連なるのは、古びたアルミサッシの窓枠、計130枚でした。

サッシは変形し、歪んでいますが、そのいずれもは先端部分が鋭く尖っています。それこそ刃物です。近づくとサッシに刺されてしまうかのような恐怖感さえ覚えました。

一方で興味深いのはそうした強い物質感をもったサッシが、やや離れた地点から俯瞰すると、全く異なった表情をもって見えることです。

言わばサッシから離れれば離れるほど、今度はそれこそサッシが絵画のように平面として映るではありませんか。

複雑でかつ様々にサッシを組み合わせることにより、時にフレーム同士が重なり、言わば線となって、いつの間にか二次元的な広がりのみだけを持ち得ているような面へと変化します。その姿はまるで幾何学模様を描く、壁画としてのドローイングのようでもありました。

そうした錯視的な仕掛けは奥の暗室の「D cube(reverse)」でも伺い知れるかもしれません。解説シートにもある「せり出し」とまでは感じられませんでしたが、割れたアクリル板や剥がされた板などの破壊の痕跡は、何ともいい難い迫力がありました。

白金との展示とあわせてご覧になられることをおすすめします。

「鎌田友介:D Structure」@児玉画廊 東京 1月21日(土)~2月25日(土)

2月26日までの開催です。

「第6回 shiseido art egg」展示スケジュール
three  1月6日(金)~29日(日)
鎌田友介 2月3日(金)~26日(日)
入江早耶 3月2日(金)~25日(日)

「第6回 shiseido art egg three展」 資生堂ギャラリー
会期:2月3日(金)~26日(日)
休館:毎週月曜日
時間:11:00~19:00(平日)/11:00~18:00(日・祝)
住所:中央区銀座8-8-3 東京銀座資生堂ビル地下1階
交通:東京メトロ銀座線・日比谷線・丸ノ内線銀座駅A2出口から徒歩4分。東京メトロ銀座線新橋駅3番出口から徒歩4分。
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「ぐるっとパス2012」概要発表

首都圏の美術館・博物館巡りでは定番の「ぐるっとパス」ですが、このほど2012年度版の概要が発表されました。



「東京・ミュージアム ぐるっとパス2012」のご案内(東京都歴史文化財団)

「東京・ミュージアムぐるっとパス2012」
エリアやジャンルからお好みの施設を選んで、美術館・博物館めぐりを楽しめるお得なチケットブック。
【対象施設】都内75の美術館・博物館・動物園・水族園・植物園 *各施設指定の展示を1回観覧可能。
【販売価格】2,000円 *大人料金のみ
【販売期間】平成24年4月1日(日)~平成25年1月31日(木) *ただし最終有効期限は平成25年3月31日
【有効期間】最初に利用した日から2ヶ月間
【販売場所】ぐるっとパス全75対象施設の窓口等

さり気なく毎年割引の対象施設、もしくは内容が変わるのがこのパスの特徴でもあります。

今年は昨年より対象施設が4館増え、計75施設となりました。三鷹市山本有三記念館、アミューズミュージアム、戸栗美術館、印刷博物館、アクセサリーミュージアムは新規参入(フリー入場)、また改装を終える東京都美術館と世田谷美術館も復活(ともに割引対象施設)しました。



一方でかつて完全フリーだったブリヂストン美術館が一部展示につき割引となったのも注意すべきポイントですが、東京駅近辺の美術館についてはお得な共通券も発売されています。



東京駅周辺美術館共通券(三菱一号館美術館)

ブリヂストン美術館、出光美術館、三井記念美術館、三菱一号館美術館の4館入場可能で3000円です。この界隈の美術館についてはこちらの券にシフトしていくのかもしれません。

それにしても「ぐるっとパス」によって存在を知る美術館も少なからずあるのではないでしょうか。最近、パスを使って美術館や博物館へ行くことが減りましたが、今年は新規開拓、未訪の施設へも出向きたいものです。

なおリリースによると詳細は3月中旬頃に歴史文化財団のWEBサイトで発表されるそうです。そちらも待ちたいと思います。
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「フェルメールへの招待」出版記念パーティを開催します!

監修に國學院大学の小池寿子先生、「青い日記帳」のTakさん(@taktwi)がフェルメール30作品の解説執筆と全体の編集を担当された「フェルメールへの招待」(朝日新聞社出版)がいよいよ2月24日に出版されます。



それを祝してのパーティを3月3日、雛祭りの日に開催することになりました!!

3/1をもって受付を締め切らせていただきました。

「イヤー・オブ・フェルメール」
今年はなんとフェルメール作品が日本に6点も来る年!フェルメール関連の展覧会やフェルメールに関する本の発売、WebやSNSでの展開などの賑わいが見られます。そんなフェルメールに詳しい人も初心者も全く知らない人でも集まってその賑わいの一角に参加してみませんか? ご来場の際にはあなたがフェルメールと聞いてイメージする物を何か身につけて来て下さい。アクセサリーでも服の色でも髪型でも構いません。もちろんコスプレもあり! えっ?フェルメールアクセサリーなんて分からない?大丈夫、この日は雛祭り。そういう方は雛祭りをイメージするものを身につけてご来場下さいね!


会場は渋谷と原宿の間にある「渋谷Fiesta」。勿論貸し切り。
http://r.gnavi.co.jp/g801409/

「フェルメール・イヤーを盛り上げよう!」というイベントです!

パーティーなどと言うと堅苦しく思ってしまうかもしれませんが、アート大好き、フェルメール好きな方とワイワイ楽しくやろうという敷居の低い会です。

Takさんのスライドトークショーも準備してあります。監修の小池先生も場合によってはお仕事の合間をぬって駆けつけて下さるかもしれません。もちろん本の販売も行います!

その他お楽しみ企画も検討中!決まり次第、後日告知します!

【企画・特典】

1.「フェルメールへの招待」(朝日新聞社出版)を会場内でのみ特別割引価格で販売します!

2.フェルメール・センター銀座よりご提供の「フェルメール缶バッジ」を先着100名様にプレゼント!

3.各種展覧会グッズなどの当たるビンゴ大会を開催します!

「フェルメールへの招待」出版記念パーティ開催概要
開催日:2012年3月3日(土)
時間:19:15~21:15(受付:19:00~)
場所:渋谷Fiesta(渋谷区神南1-8-18 神南フラッツB1)
交通:渋谷駅、原宿駅より徒歩7~8分。渋谷消防署の裏です。
参加費:5000円




カジュアルな会なのでドレスコートも一切不要。ジーンズでもOKですが、フェルメールに因んだ何か(雛祭りも!)を身につけてくださると大歓迎です!

なお会は2時間のビュッフェ形式、フリードリンクを予定しています。(会場レンタルの都合上、受付開始時間は多少遅れる場合があります。)

参加ご希望の方はいずれかの方法で参加表明お願い致します。*定員に達した時点で募集締め切ります。

1:Twitterアカウントをお持ちの方。
twiplaのサイトにTwitterでログインし「参加する」をクリックして下さい。

2:Twitterアカウントお持ちでない方。
参加ご希望の旨、メールでお知らせ下さい。メールアドレス:harold1234 アットマーク goo.jp

それでは皆さんどうぞ奮ってご参加下さい!

「フェルメールへの招待」出版記念パーティ
http://twipla.jp/events/18974
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