「彦坂敏昭 『テサグリの図画』」 資生堂ギャラリー

資生堂ギャラリー中央区銀座8-8-3 東京銀座資生堂ビル地下1階)
「第2回 shiseido art egg 彦坂敏昭 テサグリの図画」
3/7-30



第2回アートエッグのトリを飾ったのは、今年のMOTアニュアルにも参加した彦坂敏昭でした。アニュアル展では「燃える家」など、赤も鮮やかな版画ドローイングが印象的でしたが、今回はモノクロなど、比較的落ち着いた色面の作品が紹介されています。

全体的にはアニュアルで受けた印象とあまり変わりませんでしたが、あえて比較するのなら、今回の出品作の方が幾分抽象性を感じさせるものが目立っていると思います。とある風景画像がデジタルに加工される段階において、まるでモザイク画のような抽象性を帯び、それが版画方式で紙に定着、さらには線描や彩色の加わることで、何かの地図とも、また小さな各ピースの組合わさったパズルともいえるような複雑怪奇な全体が生み出されていきました。ちりぢりに解体された細密な各部分が滲むように周囲へと広がり、別の形、または色面と浸食しながら組合わさっていく様子は、微細な生き物がうじゃうじゃとうごめいているかのような感覚さえ与えています。単に風景を解体するのみでは終りません。

やはり見入るのは、上でも触れた「燃える家」シリーズです。炎に包まれ、それこそ柱や屋根が崩れ落ちていく様が、その形と色面のうごめきによって表現されています。パチパチと燃え盛る音が聞こえてくるかのようでした。



今月末までの開催です。なお、art egg賞は4月下旬に発表されるそうです。

*関連エントリ(第2回 shiseido art egg)
「窪田美樹 DESHADOWED - かげとり」
「槙原泰介 『flooring』」
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )