「清らかなるもの - 舟越保武・長谷川潔を中心に - 」 東京オペラシティアートギャラリー

東京オペラシティアートギャラリー新宿区西新宿3-20-2
「清らかなるもの - 舟越保武・長谷川潔を中心に - 」
1/26-3/23



池田満寿夫展に続く収蔵品展です。表題の二名の作家をメインに、その他、保田井智之、中野滋、坂部隆芳らの作品が紹介されています。



前半は舟越保武と長谷川潔による、まさに美しき女性の競演です。極めて端正な面持ちを見せる舟越の女性ブロンズ像が、まるで空間を清めるかのようにして並び、壁には長谷川潔による同じく女性をモチーフとした版画がいくつもかけられています。ここで興味深いのは、それら長谷川潔の一連の版画作品です。長谷川といえば、例のメゾチントによるシュールな感覚の静物版画が思い浮かぶところですが、ここで見られるのは比較的初期の頃(1920年代)の作品、つまりはドライポイントによる、まるで乳白色の藤田を思わせるような美しい裸婦像でした。一般的な「黒の技法」による長谷川からは想像もつかないような、その白に魅力のある作品です。(ちなみに長谷川の全体の作品数を鑑みると、一連のメゾチントよりもドライポイントなどの作品の方が多いそうです。)

後半では、かつての収蔵品展でも馴染みの深い、保田井智之の二体の像、「ミザンソロプ」(1989)と「ネガ・チャイルド」(1991)が印象的です。楠や松、それに桧などとブロンズを断片的に組み合わせて出来たのは、腕や細部に欠けた、その不完全さが生み出す妖気に魅力のある像でした。それはまるで海の底より引き揚げてきたサテュロスとも、はたまた長い間日の目を見ることのなかった古い仏像でもあるかのようです。ざっくりと切り込まれた木の表面、または重みのある爛れたブロンズの質感などにも惹かれました。(関連情報:保田井智之展@横浜高島屋美術画廊 3/5-11)

今月23日までの開催です。

*関連エントリ(同時開催中の展覧会)
「池田満寿夫 - 知られざる全貌展 - 」 東京オペラシティアートギャラリー
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