医科栄養学・栄養医学ブログ

医学部で医科栄養学を学んだ経験と最新の栄養医学をこのブログに反映したいと、考えています。

ガンの栄養療法とビタミンCの作用について その二 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2014-08-24 17:04:13 | 健康・病気

ビタミンCはガンと深い関係が有る栄養素ですが、がんの場合、ビタミンC要求量が増加する事実は、ガン患者は極度にビタミンCが枯渇しているという観察から示唆されます。実験動物のラットに強力な発がん物質であるメチルコラントランを投与すると、ビタミンCの内的産生の増大をもたらします。なお、ラットはヒトと違ってビタミンCの内的産生能力を持っています。ラットがガンに罹ると、体重70kgのヒトに換算して約16g/日のビタミンCを産生します。このことから、ヒトでもガンに罹った場合、ビタミンCの防御的要求量として約10~15gのビタミンCが必要と考えられます。この量は、ビタミンCがビタミンとしてではなく、炭水化物などの栄養素と同じような考えれば、決して多い量ではありません。

また、この量は癌患者に内的防御メカニズムを最高に働かすための必要量であることは確かです。ビタミンCの大量投与は、ガン代謝に直接拮抗する可能性があります。ビタミンCは多くのガンが関係した酵素系に拮抗する可能性も有り、組織培養では、エールリッヒ腹水がん細胞に対し、細胞毒素であることが、研究により明らかになりました。さらに、アスコルビン酸(還元型ビタミンC)ーデハイロドアスコルビン酸(酸化型ビタミンC)系の酸化ー還元性は、生理学的にきわめて重要です。この系は、多くの水酸化反応に含まれ、ガン細胞の特異的性質のいくらかに拮抗します。また、近年、成人T細胞白血病がウイルスの感染の結果起こることが明らかになり、ウイルス性のガンの問題がクローズアップされ、抗ウイルス薬の投与が行われていますが、ビタミンCの併用がその効果を高め、その副作用を緩和する、と報告されています。

ラウス肉腫ウイルスは、いくらかの動物でのガンの原因となり、ヒトでは、扁平上皮細胞がんは、回帰性疱疹の感染部位で進行し、ヘルペスシンプレックスの併発が考えられています。また、ヘルペスウイルスは子宮頸部癌の原因となっています。エプステンバールウイルスのヘルペスウイルスは、バーキットリンパ腫や肉腫、それに白血病の原因でもあります。これらのことから、抗ウイルス因子はウイルス性のガンに対し防御作用を有し、ビタミンCの大量投与は、抗ウイルス作用を有することから、抗ウイルス因子となります。

Reference
Linus Pauling et al: Cancer and VitaminC. Linus Pauling Institute of Science and Medicine. 1979
stone, I: The healing factor: VitaminC against Disease. Grosset and Dunlap. 1972、