医科栄養学・栄養医学ブログ

医学部で医科栄養学を学んだ経験と最新の栄養医学をこのブログに反映したいと、考えています。

認知症対策とメタ分析によるビタミンDの効果について 栄養医学ブログ

2012-10-23 15:21:29 | 健康・病気

L lewellyn博士グループの研究やGiovannucci博士の研究とその他の研究を統合したメタ分析が、オンタリオ健康・老化統合研究所のCynthia Balion博士らのグループにより実施されました。

成人におけるビタミンD血中濃度と認知機能、認知症との間の関連を調べるため、五つのデータベ―スが2010年まで調べられ、それらには、比較グループでの研究デザインすべてが含まれて いました。認知機能もしくはその悪化は、全体もしくは領域の特異的認知行動のテストにより調べられ、認知症は、承認基準により診断されました。また、ビタミンDの血中濃度測定は必要事項でした。二人の統計処理の専門研究者は、別々のデータを抽出し、以前に定めた基準を用いて、研究の質を評価しました。Q統計とI二乗方式が、異差性のテストに用いられ、加重値平均偏差(WMD)とHedge's gにかなう無作為効果モデルを用いて、Balion博士らは、メタ分析を実施しました。なお、メタ分析とは、過去に行われた、いろんな研究結果を統合し、より信頼性の高い結果を求めるための手法や統計解析のことで、広く用いられています。

結果には37件の研究が含まれていました。8件の研究では、平均した、小さい精神症状の試験(MMSE)のスコアは、ビタミンD>50nmol/Lの被験者とビタミンD<50nmol/Lの被験者を比較するデータを含んでいました。MMSEとWMDを比較した研究では、著しい異差性が認められました。しかし、ビタミンD値がもっと高いグループは、全般的に、正の効果が認められました。そして、小さい正の効果は、いろんな感度分析に関わらず続きました。対照とアルツハイマー病(AD)を比較するデータは六つの研究で見られたが、二つの研究では、商業的利用からはずされた方法が利用されました。残った四つの研究では、アルツハイマー病グループは対照グループと比較して、ビタミンD濃度が更に低い結果でした。

これらの結果から、もっと低いビタミンD濃度では、より低い認知機能とアルツハイマー病のもっと高いリスクが認められましたが、更なる研究により、ビタミンDの適正量の摂取がアルツハイマー病の予防と治療に有益であることが証明されることを期待しています。Balion博士らの成果は、良い方向性を示していると考えられます。更なる研究を期待しています。なお、ビタミンDは脂溶性なので取り過ぎに注意が必要です。1,000国際単位/日以内なら安全と考えられますが、腎疾患、肝臓疾患の人は、特に注意が必要で、医師に相談して下さい。

References

VitaminD, cognition, and dementia: Cynthia Balion et al. Neurology ,sept 25,2012

Vitamin D and Cognition: JWatch Neurology, Oct 16, 2012

筆者の栄養医学ブログは、ブログアドレスnutr-blog.blogspot.comとblog.goo.ne.jp/h35p39の両ブログで見られます。