医科栄養学・栄養医学ブログ

医学部で医科栄養学を学んだ経験と最新の栄養医学をこのブログに反映したいと、考えています。

ウルトラディアンリズムと精神疾患の関係について 栄養医学ブログ 日本ビタミンC研会 藤井毅彦

2015-03-10 14:04:24 | 健康・病気

人は日々の睡眠ー覚醒リズムによって健康を維持したり、損ねたりする傾向があります。新しい研究では、ウルトラディアンリズム(生物の持つ数十分から数時間のリズム)も健康に影響し、特に精神機能に影響しているようです。いろんなストレスはこのリズムに影響し、健康にも影響します。

人の毎日の睡眠ー覚醒サイクルは、体内24時間時計(生体時計)により制御されています。しかし、日々の活動は、24時間よりもっと短いリズムにより影響を受けます。この乱れが、精神疾患やいろんな病気の誘因になります。また、この短いリズムは、ウルトラディアンリズムと呼ばれ、約4時間サイクルで起こります。

このリズムは、幼児において夜寝る前に最もよく観察され、毎日の覚醒している間に、一定間隔で一日三回食事を摂ることからも説明可能です。この4時間ウルトラディアンリズムは、脳のカギとなる化学物質であるド―パミンによって活性化されます。双極性疾患や統合失調症の症例で示唆されているように、脳内でのドーパミン値が良好でない時、4時間のそのリズムが48時間まで延長されます。したがって、この事は健康にいろいろ影響を及ぼします。

Douglas mental Health University Institute and McGill UniversityのKai-Florian Storch博士らの研究によると、遺伝子を修飾したマウスでの研究では、睡眠の異常は、過去においてサ―カディアンリズムの破たんを伴っており、ドーパミンによるウルトラディアンリズムのジェネレーター(発生させるもの)のインバランスをもたらします。このことは、ある双極性疾患の症例で観察された躁病と欝病の間の2日サイクルへの説明となります。このことは、48時間サイクルで活動しているドーパミンオシレータ(ドーパミンを発振させるもの)によるものです。

この仮説となる研究は、ドーパミンに基づいたリズムジェネレイターの新しい発見によるだけでなく、精神病理学との関連によって独創的な仮説となっていますが、更なる研究を期待しています。この新しいデータでは、ウルトラディアン覚醒オシレーターが働かなくなった時、睡眠は妨げられ、躁病が双極性疾患患者で発症します。また、オスシルレィターのインバランスは、統合失調症を発症します。したがって規則正しい生活習慣とストレスの緩和、遺伝的にビタミンB3の大量が必要な体質の人のビタミンB3摂取などが、その予防に重要です。この発見は、ドーパミンの制御破たんと結び付いた双極性疾患と統合失調症に対する治療法のヒントを与えるものです。更なる研究が待たれます。

References
Ian D Blum, et al: A highly tunable dopaminergic oscillator generates ultradian rhythms of behavioral arousal. eLife,2014
Deconstructing mental illness through ultradian rhythms. SciencerDaily. Deb 21, 2015