医科栄養学・栄養医学ブログ

医学部で医科栄養学を学んだ経験と最新の栄養医学をこのブログに反映したいと、考えています。

摂取食品の組み合わせとアルツハイマー病のリスクとの関係について 栄養医学ブログ 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2013-05-25 21:33:57 | 健康・病気

食品摂取の組み合わせとアルツハイアー病のリスクとの関連は、今まで、断片的には、栄養学者が研究し、その関連を指摘していましたが、個々の食生活の多様性から、研究はしにくく、その結果も相反する結果が出ていました。しかし、コロンビア大学のYian  Gu博士らは食事パターンを分類し、どのパターンの食生活がアルツハイマー病のリスクに結び付くかを、疫学調査により、突き止めました。

野菜サラダ、ナッツ、魚、家禽の肉(ニワトリ、七面鳥など)、それに野菜(アブラナ科)や果物などの摂取量が多く、高脂肪の乳製品、赤身の肉、動物の臓器の肉(ハムバーグなど)、それにバターなどの摂取量が少ない食事を摂取するヒトは、アルツハイマー病の発症が、そうでないヒトに比べて少ないことが、Yian  Gu博士らの研究で明らかになりました。最も重要な、変わりうる環境因子の一つである食事と結び付いた疫学的証拠(エビデンス)では、アルツハイマー病(認知症の一つ)のリスクは急激に増えつつあります。しかしながら、アルツハイマー病のリスクに関しては、個々の栄養素や特徴となる食事の影響について、繰り返しますが、現在ある文献では相反した結果が出ており、この理由の一つとして、協働作用をする食品どうしや栄養素どうし、それに食品の特徴が複雑に混じった食事を、人々が摂取するからと考えられます。ここに、栄養と病気のリスクの関連の研究の難しさがあります。

Yian Gu博士らは、ニューヨーク在住の痴呆症に罹っていない2,148名の成人(65歳以上)について研究し、参加者は食事のパターンについて情報を提供され、1年半ごとに(平均4年間)痴呆症の発症を評価されました。7つの食事パターンでは、以前にアルツハイマー病のリスクと関連が有ることが証明された、7つの栄養素の血中濃度の変化も確認されました。すなわち、それらは、飽和脂肪酸、一価不飽和脂肪酸、オメガ―3不飽和脂肪酸、オメガー6不飽和脂肪酸、VE、VB12、それに葉酸(VM)でした。追跡調査の間に253名がアルツハイマー病を発症しましたが、一つの食事パターンがアルツハイマー病のリスクの減少に深く関係していました。この食事パターンは、このブログの最初に紹介しました。

低リスクの食事パターンの栄養素の組み合わせは、アルツハイマー病の発症において、いろんな代謝経路をもたらします。VB12と葉酸は、循環性ホモシステイン値を減らすことができ、アルツハイマー病に影響するホモシステインと関係が有るビタミンです。VEは、強い抗酸化能によりアルツハイマー病を予防しますが、その際、VCも必要と考えられます。また、オメガー3不飽和脂肪酸は、動脈硬化による痴呆や認識障害、その発症や細胞膜機能への影響による血詮症や炎症、ベターアミロイド蛋白質の蓄積によるアルツハイマー病を予防するに違いありません。

ところで、ルンド大学のマウスによる研究では、アルツハイマー病の有毒蛋白質をビタミンCが溶かす、と報告されています。なお、野菜、果物、いも、豆などは、農薬や重金属に汚染されていない健康な土壌で栽培されたものを、摂取することが、健康増進に必要で、ヒトの健康は、土壌や水と深く関係しています。

References

Food combination associated with reduced Alzheimer's disease risk identified in new study: Science Daily, Apr. 13,2010

Food combination and Alzheimer disease risk: Yian Gu et al. Arch Neurol,2010