医科栄養学・栄養医学ブログ

医学部で医科栄養学を学んだ経験と最新の栄養医学をこのブログに反映したいと、考えています。

膀胱がん発症リスクとビタミンD欠乏の関係について 栄養医学ブログ  日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2019-04-24 10:11:41 | 健康・病気

ビタミンDは、いろんな研究からビタミンCと同様、がん発症のリスクを減らすと、報告されています。今回は、ビタミンDと膀胱がん発症のリスクの関係について考えていきたいと、思います。

最近の外国の研究によると、ビタミンDは、膀胱の健康維持にある役割を果たすと、報告されています。また、John Carnell博士によると、ビタミンDは膀胱がん患者の生存率にも関係しているそうです。他の外国の研究によると、ビタミンDを試験的に摂取した老人では、摂取していない老人の対照に比べて、生存率が67%ほど伸び、死亡した老人では、ビタミンDを試験的に摂取しなかった対照に比べて、摂取した老人は、2年ほど長く生きたと、報告されています。また、2015年の研究では、血中ビタミンDとビタミンE(α-トコフェロール)の併用摂取では、膀胱がんリスクの負の相関が認められたと、報告され、血清ビタミンD値が低いと膀胱がんリスクが高まるとも、報告されています。

膀胱がんの発症と進行におけるビタミンD値では、より侵襲性膀胱がんのリスクが高い場合、血漿25(oH)ビタミンD値が低いことが示唆されます。Yu-Young Wang博士らの研究によると、老人でのカロチノイド(栄養素)、ビタミンD、ビタミンB1、ナイアシン(ビタミンB3)、そしてビタミンEのトータルの高摂取は、膀胱がんリスクと負の相関が認められたと、報告されています。これらの研究結果からビタミンDは、他のがんだけでなく、膀胱がんに対しても抗がん作用を有するホルモン様栄養素と考えられます。また、ビタミンDの常用上限安全摂取量は2,000国際単位/日ぐらいと言われていますが、膀胱ガン治療の場合、それより多い摂取量が摂取されているようですが、ビタミンDの長期、過剰摂取による不整脈発症が、ユタ大学の研究から報告されているので、上記、安全量を維持するのが賢明と考えられます。なお、膀胱がん患者は、コーヒーなどカフェイン含有飲料(膀胱ガン発症の可能性あり)の代わりに添加物の入っていない野菜ジュース(柑橘類、豆類、ニンジン、トマト、キャベツ、カリフラワー、ブロッコリー)の常飲が、米国では推奨されています。

References

VitaminD and bladder cancer risk, recurrence and progression. World Cancer Research Fund International

liao Y, et al. Impact of serum vitaminD level on risk of bladder cancer. Tumour Biol. 2015 Mar;36(3):1567-72

Low vitaminD is associated with increased bladder cancer risk. Endocrine Abstracts(2016)44 p129

Yvette Brazier . VitaminD deficiency may raise bladder cancer risk. Medical News Today. 8 November 2016

VitaminD and cancer prevention. NIH 2013

John Cannell, MD. VitaminD monitoring linked to bladder cancer. Feb 21, 2013