医科栄養学・栄養医学ブログ

医学部で医科栄養学を学んだ経験と最新の栄養医学をこのブログに反映したいと、考えています。

グルタチオンとガンの複雑な関係について 栄養医学ブログ 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2014-10-22 16:39:03 | 健康・病気

細胞のグルタチオン値が高値であると、その抗酸化作用により病気を予防し、老化をコントロールし、ガンのリスクを減らすと報告されています。しかし、困った事には、グルタチオンは、化学療法剤や放射線療法の副作用を緩和するため用いられていますが、ガン細胞のグルタチオン値を高めることにより、これらの療法の攻撃から、ガン細胞自身を守るという研究での証拠があります。ガン細胞は、その細胞の高グルタチオン値により、ガン細胞死に抵抗する可能性が有ります。これら良いタイプと悪いタイプのグルタチオンは、遺伝によってコントロールされている可能性が有り、ガンの防御、あるいはガンの憎悪は遺伝によって決まる決まる可能性が有ります。なお、グルタチオンなど抗酸化栄養素によって、癌が防御されたり、憎悪したりする場合がありますが、憎悪する場合は、遺伝的に極めて少数のヒトであると考えられます。日本人は心配ないと報告されていますが、東ヨーロッパ人には抗酸化栄養素が、ガンに対して悪い方向に向くヒトが少数ですがいると、報告されています。

ドイツとスペインの研究者らは、遺伝により、グルタチオンがガンに対し、防御、あるいは憎悪する現象と癌細胞のグルタチオンーSートランスフェラ―ゼの関係に注目しています。米国の研究者らによると、グルタチオン-S-トランスフェラ―ゼにPANA/NOという抗ガン剤を反応させ、PANA/NOは酸化窒素(NO)に分解され、ガン細胞は死滅しました。また、ガン細胞のグルタチオン高値は、骨髄腫、乳がん、結腸ガン、喉頭ガン、それに肺がんなどでガン細胞を保護する可能性が有ります。したがって、グルタチオンのIV投与は癌細胞のグルタチオン値を高め、化学療法や放射線療法らのフリーラジカル発生効果により癌細胞を叩く、これらの療法の効果を弱めるのではないかという報告も有りますが、一方、これらの療法の副作用を緩和するため、グルタチオンのIVを治療後に実施している医師もいます。これらに関して、現在、研究が進められています。

なお、新鮮な野菜、果物などは、グルタチオンを含みますのでガン予防に推奨されています。同時に、これらの食品の解毒作用を強めるプロバイオテイクスの摂取も望まれ、また、ビタミンCなど必須ビタミンと癌と戦う天然化合物の摂取が望まれます。更なる研究を期待しています。



References
Glutathiones: http://www.canceractive. com
Balendiran GK, et al: The role of glutathione in cancer. Cell Biochem Funct. 2004 Nov-Dec; 22(6):343-52