医科栄養学・栄養医学ブログ

医学部で医科栄養学を学んだ経験と最新の栄養医学をこのブログに反映したいと、考えています。

統合失調症への栄養素ベタインの効果について 栄養医学ブログ 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2021-06-12 16:48:40 | 健康・病気

統合失調症については、多くの研究でナイアシン(ビタミンB3)の効果が報告されていますが、栄養素の中では,ナイアシンのように効果の報告事例が多い栄養素は、数少ないようです。今回は、栄養素のベタインが統合失調症に対し有効性の可能性が報告されていますので、これについて考えていきたいと思います。なお、ベタインは栄養サプリメントとして米国では使用されており、アミノ酸の一種と位置づけられ、長期摂取による副作用も少ないようです。

臨床栄養学では、ベタイン(トリメチルグリシン)は、肝機能を高め、肝臓への脂肪の沈着を防ぐことから脂肪肝の治療にも用いられ、また、肝臓の酸化を防ぎ肝臓を保護すると報告されています。さらに、グルタチオンやクレアチニンの産生に寄与し、筋肉の成長に最適なように、ホルモンバランスを整えます。

理化学研究所の研究によると、ベタインは、初期症状の統合失調症患者の血漿中では減少すると報告されています。統合失調症のバイオマーカーを証明するために、初期症状の統合失調症患者とその対照群から血漿代謝産物を試験し、上記、結果になったようです。

Amanda Alvurez博士らによると、ベタイン(グリシンベタイン)の欠乏は、統合失調症患者の脳での病状の一因となっています。マウスにベタインを補給することはその精神症状を緩和できると、理化学研究所のデータは示しています。

なお、ベタインはホモシステイン尿症の治療薬としてすでに使用されており、精神症状の治療にも、副作用が最小であることから、統合失調症の治療に有望視されています。ベタインが統合失調症の治療薬になるかどうか、今後の研究が待たれます。

References 

Tetsuo Ohnishi, et al. Investigation of betaine as a novel psychotherapeutic for schizophrenia. EBioMedicine. Published by the LANCET.Vol45, July2019,Pages432-446

Amanda Alvurez. Boosting betaine may be a treatment for schizophrenia. Hotoff Press, Jun27,2019