医科栄養学・栄養医学ブログ

医学部で医科栄養学を学んだ経験と最新の栄養医学をこのブログに反映したいと、考えています。

L-カルニチンの心筋虚血と末梢血管虚血の改善作用について 栄養医学ブログ 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2023-01-22 16:50:04 | 健康・病気

動脈硬化や糖尿病などにより、体のいろんな部位や器官で血管の虚血が起り、狭心症や心筋梗塞、脳梗塞などで命と落としたり、また、足の閉塞性動脈硬化症などが起り、足が痛くて歩行困難になる人が多くいます。そして、いろんな研究から、L-カルニチンは心筋の虚血だけでなく、いろんな末梢血管の虚血を改善し、その効果の根拠として、毛細血管を拡張し、その血流を改善することが報告されています。

"Circulation"誌に載ったG Brevetti博士らの研究によると、筋肉機能の改善の目安として、L-カルニチンで治療した末梢血管性疾患患者での歩行距離の延長が研究されました。末梢血管性疾患患者の二重盲検テストによるL-カルニチン(アミノ酸系栄養成分)の作用は、末梢血管性疾患用薬剤が体から完全に排泄された後、20名のこれらの患者で3週間、無作為に、プラセボ、あるいはL-カルニチン(2g/日を経口で)を摂取するよう割り当てられ、3週間、追加的に他の治療法とクロスオーバーして実施されました。各治療期間の終わりに歩行距離がトレッドミルでテストされ、測定されました。

結果では、歩行距離は、プラセボの174+/-63mからL-カルニチンの306+/-122m(p<0.01)へ伸びました。虚血性の筋肉の生検は、4名の追加患者でのL-カルニチンの投与を15日間実施し、この治療投与では、総カルニチン値が著しく増加したことが証明されました。これらの結果から、末梢血管性疾患により影響を受けた、四肢での運動による代謝上の変化は、L-カルニチンがこれらの機能を改善し、歩行距離の延長に繋がったと考えられます。食事の改善や運動と共に、L-カルニチンやその誘導体も、上記疾患に対し補助的に摂取することは、高齢化による心筋機能の劣化を始め、足腰の末梢血管や筋肉機能の劣化の改善に貢献する可能性があります。更なる研究の積み重ねが待たれます。

References

G Brevetti, et al. Increases in walking distance in patients with peripheral vascular disease treated with L-carnitine. Circulation. 1988;77:767-773

R Lango, et al. Influence of L-carnitine and its derivatives on myocardial metabolism and function in ishemic heart disease and during cardiopulmonary bypass. Cardiovascular Research . Vol51, Issue1, 1July 2001. pqge21-29

Craig J McMackin,et al. Effect of combined treatment with alpha lipoic acid and acetyl-L-carnitine on vascular function and blood pressure in coronary artery diseases\ patients. J Clin Hypertens. 2007 Apr;9(4):249-255