医科栄養学・栄養医学ブログ

医学部で医科栄養学を学んだ経験と最新の栄養医学をこのブログに反映したいと、考えています。

疾患でのTNF-α、IL-6上昇とビタミンC、乳酸菌の関係について 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦 

2018-04-01 10:31:37 | 健康・病気

クローン病、潰瘍性大腸炎など自己免疫疾患、がん、感染症などではTNF-α(炎症の中心的因子)の著しい上昇が、多くの研究で報告されています。このTNF-α値の上昇を抑制することが、これらの疾患の軽減につながる可能性が有ることから、ビタミンCや乳酸菌が研究され、これらの抗TNF-α作用が報告されています。

乳酸菌による研究では、Hegazy sK博士らは、潰瘍性大腸炎患者に8週間にわたって乳酸菌のLactobacillus delbruekiiとLactobacillus fermentumを摂取してもらい、IL-6の結腸濃度の低下とTNF-αとNFkappaBp65の発現の減少を確認しています。他の研究でも、乳酸菌の同様の作用を報告しています。

生体の酸化ストレスは、外部からの病原体の侵入による宿主(ヒト)の生得免疫応答の重要な一部ですが、ビタミンCの肺炎に対する効果は報告されていましたが、酸化ストレスと炎症に及ぼすビタミンCの影響は、肺炎患者の集団では研究されていませんでした。Luzhou医科大学のYuabyuan Chen博士と他の大学の研究によると、登録した肺炎患者の活性酸素(ROS)、DNAの損傷、superoxidedimutase(SOD)活性、TNF-α、IL-6(生物学的反応修飾物質)が調べられ、さらにリポポリサッカライドの刺激によるマクロファージが調べられました。また、MH-S細胞は、RFP-LC3プラスミドでトランスフェクト(遺伝子操作の一方法)されました。オートファジィ(自己消滅)は、マクロファージ細胞で調べられました。その結果、重度の肺炎患者は、活性酸素、DNAダメージ、TNF-α、IL-6値の著しい増加が認められ、SOD値の著しい低下が認められました。

肺炎患者の細胞は、血清を含まない培地で24時間、リポポリサッカライド、もしくはビタミンC100nMで処理され、ビタミンCの培地は、マクロファージの活性酸素、DNAのダメージ、TNF-α、IL-6、それにP38をそれぞれ抑制しました。さらに、ビタミンCはマクロファジーのオートファジィも抑制し、炎症性因子に有効なことが分かり、DNAをも守ることがわかってきました。これらのことから、以前に報告された乳酸菌による炎症因子の抑制だけでなく、ビタミンCにもいろんな炎症因子の抑制作用があることが分かってきました。更なる研究により、ビタミンCとプロバイオティクスが、いろんな難病の炎症因子を抑制することが、期待されます。

References
Yuanyuan Chen, et al.VitaminC mitigates oxidative stress and TNF-α in severe community-aquired pheumonia and LPS-induced macrophages. Mediators of inflammation. 2014
EI-Taukhy MA, et al. Effects of chronic ethanol and vitaminC administration on production of TNF-α and IL-6 in rats. Egypt J Immunol. 2006;13(1):1-10
Hegazy SK, et al. Effect of probiotics on pro-inflammatory cytokines and NF-kappaB activation in ulcerative colitis.World J Gastroenterol. 2010 Sept 7; 16(339;4145-51