医科栄養学・栄養医学ブログ

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統合失調症対策とナイアシンアミド、R-リポ酸の新研究について 栄養医学ブログ 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2013-05-03 19:44:25 | 健康・病気

統合失調症の研究では、ナイアシンアミドとR-リポ酸の併用により、症状の寛解が認められるという新研究が発表されていますが、両者とも栄養素であるので、臨床研究は、安全面で、よりたやすく実施しやすい、と考えられます。この研究はまだ仮説の段階なので、更なる研究により、患者に福音をもたらす結果が出ることを期待しています。

チオール基を有する硫黄化合物としての、R-リポ酸(ALA)とその還元型のデハイドロリポ酸(DHLA)は、強力な抗酸化物質(抗酸化栄養素)で、グルタチオン(GSH)と同じ機能の多くを有するフリーラジカルスカベンジャー(フリーラジカルの掃除屋)です。ALAを摂取することは、統合失調症と呼ばれる脳の疾患に対し、有益なメカニズムの可能性である、酸化ストレスからミトコンドリアを守るのに役立ちます。

抗精神病薬による治療の少し前の、二つの小規模の研究では、ALAが統合失調症の症状を軽減させることを、発見されました。最近、動物による研究では、ALAの投与が、ミトコンドリアの機能を改善さすことが、示されました。栄養所要量ではなく、薬剤レベルの投与量(大量投与)では、ナイアシンアミドは、ミトコンドリア膜が傷つくのを守るのに有益で、抗酸化物質として働きます。

ALAはリポアミドの前駆体で、ミトコンドリアの必須補酵素であり、また、ナイアシンアミドは、NADの前駆体であり、NADHはNADの還元型で、ミトコンドリア内でALAからDHLAへの還元に必要です。DHLAはGSHを増やし、また、低GSH値は統合失調症の病態生理と関係したミトコンドリアの機能不全と酸化ストレスとなるので、現在進行中の研究と関係しています。

エネルギー産生に関係した細胞の一部であるミトコンドリアの酸化ストレスとその機能不全は、この障害(統合失調症)の進行と結び付いています。ミトコンドリアを守る手段では、R-リポ酸とナイアシンアミドは、ミトコンドリアが傷つかないようにしたり、グルタチオンと呼ばれるその保護物質量を高めるよう、働きます。そして、更なる研究により、希望の光が灯ることを期待しています。

その他に、食事性栄養サプリメントは、統合失調症の症状に対し、劇的効果を有することが証明されています。グリシンのサプリメントは、24%まで統合失調症の陰性症状を軽減するのに有益で、オメガ―3不飽和脂肪酸(魚油のEPA)は、統合失調症の陰性症状と陽性症状を軽減するのに有益です。また、抗酸化栄養素のVE、VC、それにR-リポ酸は併用した場合、、5%~10%ほどの症状の改善を示します。

Lao Tzuの研究によると、統合失調症の治療に於いて、ナイアシンなど他のビタミンに加えて、R-リポ酸を50mg/日から始め、100mg/日まで増やし、摂取し続けると、いくらかの驚くべき結果が得られました。それは、物事に取りつかれる傾向が少なくなり、社会性が改善されたことです。従って、強力な抗酸化栄養素であるR-リポ酸は、酸化ストレスによる双極性障害や統合失調症に重要、と考えられます。

References

Is it time to reassess alpha lipoic acid and niacinamide therapy in schizophrenia? :Sheila
E.J. Seyboit, Medical Hypotheses, Dec .2010

A massive dose of vitamins for depression and schizophrenia: Jessica Ramer, Jun 12,2011

Alpha lipoic acid administration for psychiatric disorders(Alzheimer's disease, Post-stroke depression, Schizophrenia, and Major depressive disorder)

Alpha lipoic acid and Schizophrenia:Psycho-Babble, Feb 21, 2010