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医科栄養学・栄養医学ブログ

医学部で医科栄養学を学んだ経験と最新の栄養医学をこのブログに反映したいと、考えています。

自己免疫疾患とプロバイオティクスの関係について 栄養医学ブログ 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2024-06-12 14:04:58 | 健康・病気
潰瘍性大腸炎を始め自己免疫疾患に苦しんで人が増加しています。そして、
自己免疫疾患が免疫異常から生じるため、免疫の改善、調整作用のある乳酸菌などプロバイオティクスが注目されています。

Yuying Liu博士らによると、いくつかの無作為比較対照試験では、プロバイオティクスによる腸内微生物の改変は、関節リウマチ、潰瘍性大腸炎、それに多発性硬化症などの胃腸症状と多臓器炎症の症状を改善する可能性がある事を示しています。全体として、炎症性腸疾患では、プロバイオティクスは、自己免疫疾患に用いるのは安全で、有望であると考えられるが、標準的治療法の補助薬として証明されたわけではないと、博士は述べています。

また、ビクトリア大学のBehnom Hoshemi博士らの研究によると、ヨーグルトに含まれているプロバイオティクスは、免疫細胞の炎症を減少さすことにより、自己免疫疾患患者に有益である事が証明されました。そのポイントは次の様です。●プロバイオティクスは腸管微生物叢に変化を与えます。そのことにより、多発性硬化症患者の免疫システムと炎症反応を改善し、影響を与えます。●プロバイオティクスは、ヒトと動物の多発性硬化症の回復に有望な効果を有します。●プロバイオティクスの経口投与は、効果的なルートです。●腸管内の微生物のバランスは、炎症反応を減少さすことにより、プロバイオティクス株を通じて多発性硬化症患者で維持されます。なお、多発性硬化症は、中枢神経に影響し、神経脱髄をもたらす慢性炎症性疾患として知られています。これらの自己免疫疾患の克服のため、更なる研究が期待れます。

References
Yuying Liu, et al. Probiotics in autoimmune disease and inflammatory disorders. Nutrients. 2018, Oct, 10(10):1537
 Behnom Hoshemi, et al. The effect of probiotics on immune responses and their therapeutic application. Biomedicine &Pharmacotherapy. Vol159, March 2023

紫外線発がん現象、性ホルモン依存性ガンとビタミンCの関係について 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2024-06-09 16:11:42 | 健康・病気
発がん性を有する卵胞ホルモン(エストロゲンなど)と性腺刺激ホルモン(ゴナドトロピンなど)の中でエストロジェンは乳腺、膣、子宮に対し、あたかもアゾ色素のように細胞分裂を楽々と誘発させ、卵巣、子宮、乳房をガン化させます。

Pauling博士によると、ビタミンCは性ホルモン代謝に入り、性ホルモン代謝を正常化し、性ホルモンによって起こるガンを退縮させる、と述べています。
このことにより、エストロジェンの分型過多による乳ガン、子宮ガン、卵巣嚢腫などに対し、ビタミンCを10g、毎日3回に分けて食後摂取することにより、これらのガンを退縮せしめると、述べています。

紫外線への法外量の暴露は、発がんをもたらします。研究報告によると、太陽光線の地域に住んでいる、健康な皮膚をした人々のいろんな皮膚ガンの発生率を増加させる証拠があります。ホーマブラック博士らのアルビノ無毛マウスでの研究では、強烈な紫外線照射は、発がん性ステロール、5-2コレステロール、6-2エポキサイドを産生し、皮膚ガンをもたらします。この過程に、ビタミンCを含む抗酸化栄養素をマウスに与えることにより、ガンを抑制することが証明されました。更なる研究の積み重ねが期待されます。

References
Pauling, L. et al. Cancer Research.Vol39, 1979
 

ビタミンCのインターフェロン産生作用とガンとの関係について 栄養医学ブログ 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2024-05-29 14:43:35 | 健康・病気
抗ウイルス物質のインターフェロンは、大学、研究所などで発見され、臨床で用いられていますが、その副作用などで患者を困らせています。そこで、体内でインターフェロンを産生できれば副作用がなく、ガンに対し価値がある可能性がありますが、ガンはいろんなウイルスによる侵襲で発症するガンもあります。しかし、インターフェロンは、ウイルスが発がんの原因かどうかに関わらず、わがままなガン細胞に対し、ある程度、直接的作用を有する可能性があります。インターフェロンの抗腫瘍効果が明確になるまで、モルモットにおいてビタミンCは、インターフェロンの産生を増大させるという重要な研究があります。ウイルスが体内に侵入すると、ビタミンCは、体内でのインターフェロンの産生は高めます。なお、次の臨床研究はヒトインターフェロンをガン患者に接種した研究です。

臨床例では、ウイルスによる小児ガンの一種の水痘は、急速に死をもたらし、恐れられています。アービン博士らは、ヒト白血球インターフェロンが抗ウイルス作用を有する事から、それを水痘の治療に用いました。44名の小児水痘患者がヒトリンパ球インターフェロンで治療され、72時間以内に発疹が現れました。新しい病変形成の平均日数は、インターフェロン接種群では3.8±1.89日、プラセボ群では5.3±2.5日(P<o.05)であった。インターフェロン接種者の81%は、プラセボ接種者の56%と比較した時、7日だけ、24時間以内に新しい病変が認められませんでした。次に、インターフェロン高接種者の92%は、プラセボ接種者の45%と比較したとき、6日だけ、24時間以内に新しい病変は認められませんでした。なお、プラセボ接種者の21名のうち3名は進行性水痘で死亡しました。インターフェロン接種者の23名のうち2名は、水痘が発症して2~3週で死亡しました。ウイルス検査では、これらの患者1名で陰性でした。また、治療期間の終わりに水痘の再発が見られました。生存者のうちインターフェロンでの治療は、重症伝染患者数を減らしました。アービン博士は、これらの結果から、免疫能に障害を受けた水痘患者では、インターフェロンは抗ウイルス作用を有すると、結論づけています。これらのことから、ウイルス性のガンへのインターフェロンの応用が期待されますが、副作用を考慮して、ビタミンCを多く摂取して、体内のインターフェロン値を高めておくことが必要と、考えます。更なる研究の積み重ねが待たれます。

References
Margelli San. Science. Vol212, Number5,Page1126~1127,June,1981


ガンの侵襲と栄養素拡散酵素に対するフィードバック阻害、そして免疫グロブリン、補体とビタミンCの関係について 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2024-05-26 11:01:17 | 健康・病気
ガン細胞は局部的に侵襲し、隣接間質物質グリコサミングリカンと高分子プロテオグリカンへの酵素的侵襲による転移性拡散により、脈管系チャネルとリンパ系チャネルに侵入します。粘性関門と脈管周辺の被包化の干渉に及ぼす解縮作用は、ガン細胞への栄養素の拡散を高めます。これら障害プロセスで循環するフィードバック阻害物質が存在し、PHI(腫瘍マーカー)として知られています。血清PHI濃度は個々に多くか、少なく存在するけれども、すべてのガン患者で決まって上昇します。血清PHI値は、"遊離した"循環ビタミンCと相互作用を示すという証拠が報告されていますが、さらに重要なことには、ガン侵襲酵素と栄養素拡散酵素に対する、自然に備わったフィードバック阻害剤は、グリコプロテインです。

Verance博士等によると、免疫グロブリンのビタミンCによる産生能力に関して、孤立した環境の健康な人たちでは、ビタミンCの摂取の増加は、免疫グロブリン合成の増大をもたらすことが証明されました。

補体システムに関しては、補体システムはマクロプロテイン分子の組み合う連鎖よりなり、外部からの侵略者を破壊する最後の武器となります。C1エステラーゼとして知られているこれら防御システムの生物学的トリガーは、これらの効果的合成がビタミンCの効力に依存していることが、モルモットの研究で証明されました。そして、更なる研究の積み重ねが期待されています。

Reference
Cameron,E. Chemi-Biol Interactions.9(1974)
Mangelli, San. Science. Vol212,Number5, Page1126-1127, 1980


発がん性過酸化水素の解毒化とビタミンCの作用について 栄養医学ブログ 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2024-05-13 11:28:10 | 健康・病気
H2O2(過酸化水素)は体内で発がん性物質になる場合があり、その解毒のためのビタミンCが注目されています。自然界では、植物の葉緑体は、水と二酸化炭素と光のエネルギーでデンプンを作る光合成を行うが、日照過度になると水分を蒸発させないため、気孔が閉じ二酸化炭素不足になり、光合成が十分できなくなります。このため余分の光エネルギーが水を過酸化水素に変えます。この過酸化水素は発がん性があるため、植物の細胞の中で長い間存在するのはよくありません。

京都大学の浅田博士の研究によると、葉緑体の中には過酸化水素を分解する酵素のカタラーゼが存在しませんが、どのように過酸化水素を分解しているのであろうか。この答えとして、葉緑体の中には還元型ビタミンCがあり、そのビタミンCが過酸化水素を水に変えているのです。そうすることで植物は過酸化水素の毒性から自身を守っています。そして、還元型ビタミンCは酸化型ビタミンCに変化します。なお、酸化型ビタミンCは光合成が正常になった時、もとの還元型ビタミンCに戻ります。

人体の中でも化学反応がうまくいかなくなった場合、過酸化水素がよくできるが、カタラーゼだけでなく、ビタミンCもその分解に一役を担っていると考えられ、発がん性物質の過酸化水素の解毒にビタミンCが重要な役割を担っていることが、植物の葉緑体の実験から明らかになりました。更なる研究の積み重ねを期待しています。

References
Margelli San.. Science. Vol212, Number5,1126~1127、Jun,1981