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医科栄養学・栄養医学ブログ

医学部で医科栄養学を学んだ経験と最新の栄養医学をこのブログに反映したいと、考えています。

ウイルス性ガンへのビタミンCの作用について  栄養医学ブログ 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2024-05-06 10:58:42 | 健康・病気
ウイルスとガンの関係が数多く報告され、ウイルス性ガンへの抗ウイルス薬の投与と共に、抗ウイルス作用のあるビタミンCの大量点滴が、欧米諸国で実施されています。

ソーク研究所のHunter博士らの研究によると、ガンウイルスが動物の細胞に侵入すると、ウイルスに取り付かれた細胞は、細胞分裂を止めどもなく繰り返します。この病態がガンですが、ガンウイルスが細胞の中に侵入すると、細胞内のアミノ酸のチロシンにリン酸がくっつきます。そして、リン酸化チロシンになると、それが刺激となって細胞分裂が繰り返されます。この現象が発がんですが、細胞中のチロシンにリン酸をくっつける酵素がチロシンキナーゼで、ガンウイルス遺伝子が、チロシンキナーゼの産生を促進させるよう命令を出します。従って、ウイルスに感染した細胞内では、リン酸化チロシンが数多く作られ、細胞分裂が止めどもなく行われます。ところが、このチロシンキナーゼの産生は、正常細胞が分裂するときも作られるが、正常細胞の分裂の場合、チロシンキナーゼの産生がコントロールされ、細胞分裂は止めどもなく行われません。

ところが、ガンウイルスが細胞の中に侵入すると、チロシンキナーゼを作れという命令を絶えず出します。よって、細胞はたえず分裂を繰り返し、ガンは進行していきます。ところが、ヒトの体にはウイルスに対する防御機構があり、ガンウイルスが侵入しても免疫系が活動を開始し、ガンウイルスを攻撃し、撃退します。ところが、ヒトの体内にはガンウイルスとよく似た遺伝子があり、その遺伝子が、ガンのアクセレイターやプロモータが体内に入り、その遺伝子と結合し、リン酸化チロシンができ、細胞分裂が始まり,ガンが発症します。そこで、これらが体内に侵入させないことも重要です。ここで、ガンになる前に免疫系が異常かどうかIgE抗体などの検査が必要です。免疫系が異常ならガンを撃退できません。

ビタミンCを十分摂取していた場合、ガンウイルスを撃退する免疫力が増強され、リン酸化チロシンの産生をもたらすチロシンキナーゼの活性化を抑制する働きがビタミンCにはあると、考えられますが、実験により確かめることが必要です。更なる研究の積み重ねが期待されます。

References
Magelli San,。Science,Vol212, Number5, Page1126~1127,June, 1981




ガン予防と食生活の関係について その五 栄養医学ブログ 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2024-05-01 10:30:25 | 健康・病気
ビタミンCは、漬物や医薬品由来の発がん性ニトロソアミン(ガン原性物質ジメチルニトロソアミンなど)を阻害し、また、ミネラルのセレニウムはガンに対し、ある程度、防御力を有する可能性があることが、疫学的研究や実験的研究から示唆されます。しかし、これらの研究の多くでは、セレニウムは毒性レベル近くで用いているので、その量では、ヒトでの応用には不向きですが、食品として摂取する分には含有量が少ないので、安全で、これらの理由から、セレニウム含有の野菜の摂取が推奨されます。

次に、鉄イオンの欠乏は、間接的に上部消化管ガン、おそらく胃ガンと結び付きます。食品からの摂取が安全面で求められます。研究によると、亜鉛イオンはガンと関係し、その濃度と実験デザインを変えることにより、発がん現象を強めたり、妨げたりすることが、動物実験から示唆されます。ミネラルのモリブデンの欠乏は、食道ガンの危険率の増大をもたらし、昆布に含まれるヨウ素の過剰摂取と欠乏は、甲状腺腫瘍の危険率の増大をもたらす可能性があります。なお、ミネラル類の過剰摂取は、肝臓や腎臓に負担をかけ、排泄しにくいので、過剰摂取に注意が必要です。

食品中の危険な外因性化学物質の多くに関心が持たれ、これらには、食品自身の危険な成分、環境性汚染物質、料理中に生じた変異原性物質、食品添加物が含まれます。また、近年の加工食品の使用の著しい増加、料理習慣の変化はガンの発生率の増加と関係しています。また、発がん物質は広く食品中に分布しています。多くの野菜は発がん性フラボノイドを含んでいますし、発がん活性は、コーヒ、アルコール飲料などを含む、多くの食品からの抽出物中に観察されます。よって、料理の工夫で無毒化する必要があります。

発がん物質は、肉や魚の蛋白質の高温による熱分解からも生じます。研究によると、低温処理による料理は、発がん物質の産生をもたらします。食品中に見いだされる変異原性物質の多くは、まだ発がん活性がテストされていない物も多いが、変異原性物質が発がん物質の可能性があることを示唆する研究が増えています。さらなる研究の積み重ねが求められます。

References
george E. Berkley. Cancer:How to prevent it&how to help your doctor fight it.1978 by Prentice-Hall, Inc.
Alcantara, Spekman. Diet,Nutrition, and Cancer.Page1040

ガン予防と食生活の関係について その四 栄養医学ブログ 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2024-04-29 16:21:46 | 健康・病気
多くのタイプのガンの発症率は、米国よりもニュージランドのような非工業国で高く、一般的なガンは、工業化ではなく、むしろ、いろんな他の、長いこと変わらない生活様式、特に食事に関係している事が多いです。また、いろんなタイプのガンの発生率は国によって違っており、移住した場合、移住先の国に特有なガンに罹る傾向があります。このことから、ガンは予防可能な疾患であります。

また、ガンと動物性脂肪が関係しているという証拠は、米国へ移住した日本人での研究からもたらされました。移民した日本人は、米国で肉食し、昔から食べていた伝統的日本食である低脂肪食、高食物線維食を食べなくなりました。なお、食事性動物脂肪は、ガンの促進を促し、動物性脂肪でない因子がガンを発病させ、発がん性物質の活性を高めます。これらの理由から、動物性脂肪の摂取を減らすべきです。動物性脂肪分は、心臓にも良くないので、オメガ-3不飽和脂肪酸(青魚、亜麻仁油などに含まれる)、オメガ-9不飽和脂肪酸(バージンオリーブ油などに含まれる)に変えるべきです。

バーキッド博士によると、食物に含まれるセルロース、リグニン、ガム、ペクチンなどの非栄養性成植物植物性食物線維など)は、直腸ガンや結腸ガンを予防すると、報告されています。昔の日本人は、動物性脂肪の摂取が少なく、食物線維の摂取量が多く、筆者も子供の頃、大腸ガンに罹ったという話は聞いておりません。逆に、最近は、大腸ガンに罹ったという報告は、よく聞くようになりました。食生活が逆転したためと考えられます。野菜や豆類、生の果物をよく摂取しましょう。次に、食物線維は、腸内で拡散因子として働き、糞便中の発がん物質を希釈し、その腸管通過時間を早めます。

肺がん、大腸ガン、膵臓ガン、前立腺ガンおよび腎臓ガンは、蛋白質を大量摂取すると危険率が高まると、報告されています。実験動物の研究では、発がん現象は、蛋白質の摂取が、実験動物の最高の成長に必要とされる量の最低値か、それ以下であるとき、発がんが抑制されます。ヒトでの研究でも、同じ結果でした。また、糖の大量摂取は、女性において膵臓ガンの危険性を高め、ジャガイモを大量摂取すると、男女とも肝がんの危険性を高めると、報告されています。デンプン類頻繁に摂取すると、胃がん、食道ガンの危険性が高まり、事実、昔の日本人はデンプン類の摂取が多く、胃がんになるヒトも多いようでした。また、デンプン類の少量摂取と共に砂糖を大量摂取すると、肺がんの危険率も高まると、報告されています。バランス食でガンを予防しましょう。更なる研究の積み重ねを期待しています。

References
Alcantara, Spekman. Diet, Nutrition, and Cancer.Page1040
シルトリー,C.抗ガン効果を高める食事.Vol65,number88,Page4610~4611,1974
George E.Berkley.CANCER:How to prevent it &How to help your doctor 
fight it.1978 by prentice-Hall, Inc 



ガン予防と食生活の関係について その三 栄養医学ブログ 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2024-04-23 11:54:48 | 健康・病気
グロズステイン博士によると、我々が食べている食品が、特に、ガンになる可能性に影響します。このことは、食生活をコントロールすることにより、食事に敏感なガンを防げる可能性があります。そして、特殊なガンの危険率は、食事を変えることにより、減少するかもしれません。

ガン発症を防ぐためには、食事での動物性脂肪でのカロリーの割合は、40%から30%までに減らすべきです。疫学的証拠と実験的証拠によると、脂肪分摂取とガンの発生率の間の因果関係を強く暗示させます。特に、結腸ガン、肺がん、それに前立腺ガンでは、その傾向が強いようです。これらの対策として、毎日、雑穀類、無精白米、野菜、果物などを常食すべきで、これら食品の中で野菜や果物には、ビタミンCとβカロテン(ビタミンAの前駆体)が多く含まれます。ビタミンCとβカロテンを多く含む食品は、柑橘類、緑葉色野菜、十字花科の野菜(きゃべつ、ブロッコリー、カリフラワーなど)です。実験室の研究によると、これらのビタミンC、ビタミンA族、ミネラルのセレニウム、食物線維、それに十字花科の野菜に含まれる非栄養性物質などは、がんの原因となる化学物質を阻害したり、ガンの危険率を減少させたりします。従って、これらの食品を多く摂取することにより、がんの危険性から逃れられます。

また、塩漬食品、漬物、燻製食品などは摂取を減らすべきです。高塩分のため、ある部位、特に胃と食道のガン発生率の増加に繋がります。アルコール飲料の大量摂取は避けるべきで、特に喫煙との併用は避けるべきで、これらを併用すると、健康に及ぼす副作用だけでなく、上部胃腸管、呼吸器等のガンのガンの危険率の増大をもたらします。喫煙は、肺がんの危険率の増大をもたらし、一般的には、喫煙者でアルコール飲料を大量に常飲する人は、ガン発症の危険性が高いです。

References
George E. Berkley. Cancer:How to prevent it &How to helpyour doctor fight it.1978byPrentice-Hall,Inc.,
h。L. Newbold, M.D. VitaminC against Cancer. STEIN AND DAY /publishers.Sept 1979

ガンと食生活の関係について その二 栄養医学ブログ 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2024-04-22 16:10:20 | 健康・病気
研究によると、結腸ガンは高脂肪食と関連があります。以前の日本では、結腸ガンの発生率は低く、動物性脂肪分の摂取はカロリー分の約12%、脂肪分は主として植物性不飽和脂肪酸と魚介類のオメガ3不飽和脂肪酸で、動物性の脂肪分は少なかったが、近年、欧米食の普及により、逆転しました。米国では、カロリー分の40%から44%は肉類から得られています。Bjeike博士によると、米国では、加工肉を大量に食べる人々での結腸ガンの特に高い危険性があり、結腸ガンの高発生率は、多量の精製食品と少ない食物線維を含んだ食品を食べる人々の間で見られます。精製食品は大便の塊が小さくなり、腸管を通過するのに長時間かかるが、高線維食は大便の塊が大きく、腸管通過時間が早く、また、腸管細菌叢が異なっています。

青カビなどから発生するアフラトキシンは、強力な肝細胞発がん物質で、食事にビタミンAが少ない場合、実験動物に結腸ガンを発症させる可能性があります。研究によると、腸管アリル炭水化物ーハイロドキシラーゼは、食事により変化する可能性があり、それは、順次,化学的発がん物質を変化させます。ラット腸管での炭水化物ーハイドロキシラーゼの活性は、キャベツ新芽、カブラ、アルファルファー、および他の食事性成分によります。また、食品中の外因性誘導物質により、変化する可能性があり、ガンに対する抵抗性に栄養素が重要な役割を果たすことを示唆しています。

References
Alcantara, Spekman. Diet, Nutrition and Cancer.page1040
Paul M,Newbelne. Diet and Nutrition. Britin , newyork academic medicine. Vol54, Number4, Page385~396, April ,1978
Bjelke, E.(1974)Epidemiologic studies of cancer of the stomach, colon and rectum with special emphasis on the role of diet. Scand.J. Gastroenterology, 9(Suppl.31):1-235