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グローバルネイチャークラブのガイド日記

グローバルネイチャークラブ(旧グローバルスポーツクラブ)のガイド仲間が観察した伊豆大島の自然の情報を中心にお届けします。

ジオ研勉強会「台風26号による土砂災害を考える」

2014年01月17日 | 火山・ジオパーク
一昨日の19時からジオパーク研究会主催、気象庁伊豆大島火山防災事務所長・加治屋秋実氏による「台風26号による土砂災害を考える」の講演会があったので参加しました。

例のごとく前の方に座ったので全体の写真が撮れていませんが、ジオ研以外からも参加者があり、合計40名以上の方が聞きに来ていたようです。


講演内容は、大雨になりやすい条件、雨以外に風も災害の原因となること、災害の起きやすい地形的条件や降水パターン、などの基礎情報の他、今回の災害の実態、災害当時の気象、地質、町の台風防災体制と避難勧告をめぐる問題などなど。

気象庁や東京都の資料を使っての説明も、わかりやすくて理解しやすかったですし…

(上記の写真では、左上が気象庁、右下が東京都の資料です)

加治屋氏自身が撮影した現場写真を使っての説明も、「こう考える」という根拠が示されていて、わかりやすかったです。

固い火山灰層の上にパイピングホールという地下水の通り道が空いていて、そこから水が流れた跡があることもとても良くわかる資料でした。

加治屋氏は「マスメディアから洪水のように多くの情報が流れていたが、避難勧告に対する責任追及が多く、今後の防災につながるような報道がほとんど無かったのが現状。住民セミナー、住民説明会、被災者の声を聞く会も行われたが、住民向けの情報発信が少ない。自分が語れるうちに語っておきたい。」というようなメッセージと共に、様々な角度から考えられる事実と根拠を語ってくれました。

質疑応答の時間には、被災者の方から次のような意見が出ていました。
「最初の一撃で土砂ダムが出来て、20mぐらいの高さまでたまって、次の水で崩壊していたのではないか?土砂流の音が大きくなったり、小さくなったり30分ぐらい続いていた。」
体験に基づく、とても貴重な意見だと思いました。

またご自身で聞き取りに言って、ご高齢の方から聞いた話しもしてくれました。
「神達には家の敷地に土を1m盛って木を植えて補強し、この土手は崩してはいけないという言い伝えがあったようだ。代々「山から水が来るから」と伝えられていたらしい。」

この「山からの水」に関しては、泉津でも90歳代の方が「大雨が降ると山から水が来る」と語っていた、という話しを最近聞きました。

これから、こういう「昔の出来事から学ぶ」聞き取りを、できる限りきちんと行って、情報を皆で共有して行く必要があるように感じました。

加冶屋氏からは「今月23日と30日に東京で4学会の発表会があり、3月に結果をまとめる」という情報もありました。また詳しい話しが聞ける機会があったら参加したいです。

最後に少しでしたが、みんなでグループワークをして「この島にどう住めば良いか?」を話し合いました。結局時間不足で「どう住めば良いか?」までは議論できませんでしたが、色々な意見が出ました。

出て来た意見は…
○防災マップを細かく周知して欲しい
○水と泥以外に杉の木が被害を大きくしたのではないか。植林するものを考えたい。
○各災害を想定して備蓄や避難を学ぶことが必要では?
○不安定土砂がどのくらいあって・・・ということが周知されるといい。
など様々でしたが、最も多かった意見は…

防災のマップの中に住民の声も届けて欲しい。」というものでした。

これに対して加冶屋氏は「現在の防災マップは担当者だけで作ったものだが、避難行動を起こすのは住民一人一人なので、最初はある程度町と火山防災事務所でまとめて、その後住民の意見を反映させるよう提案して行きたい」と答えていました。

「情報難民」という言葉があります。
「自分の身に何が起きたのか?」「今後の見通しはどうなるのか?」「できる限り安心して暮らすためにはどうすれば良いのか?」…「?」は本当に沢山あります。

行政も住民も「人のせい」にしないで、自然の中で人間ができることの限界も学びながら、みんなでできるだけ幸せに暮らせる方法を,探していきたいと思います。

その意味でも一昨日の勉強会は、とても貴重な2時間でした。

(カナ)
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