グローバルネイチャークラブのガイド日記

グローバルネイチャークラブ(旧グローバルスポーツクラブ)のガイド仲間が観察した伊豆大島の自然の情報を中心にお届けします。

全国火山博物館ネットワークの皆さんと

2013年12月06日 | 火山・ジオパーク
本日日帰りで、全国火山博物館ネットワークhttp://www.bandaimuse.jp/volcanet.htmの皆さんが来島しました。有珠山、雲仙普賢岳、磐梯山、立山、箱根などで、日々火山と向き合う方達です。

午前11時に到着後、すぐに山へ。
崩れた現場を歩きました。

1ヶ月少し前の御神火スカイラインの山頂口から少し下りたあたり…

路面は崩れおちた木や土砂で覆われていましたが…

今はこのようにきれいに片付いています。

皆さん、崩落した斜面を観察しつつ…

海側に寄せられた土砂(ほとんど火山灰)の観察も怠りません。
「この火山灰に水が飽和したら滑るな」ということが話題になっていました。

火山灰の粒の大きさも火山によって違い、雲仙普賢岳の民家近くの火山灰はもっと細かく、固まるとツルツル滑るのだそうです。

壊れた電柱を見た時は「こういうものを保存して、展示できませんか?」と言われました。

確かに今回の災害から私たちが気づかされたこと、学んだことは、いずれきちんとした形でまとめ、後世に伝えていく必要があります。(雲仙、有珠、三宅島などでは、災害にあった場所を「災害遺構」として残し、火山について伝えています。)

大島の今の状況では土砂の片付けや被災された方々への対応で精一杯で、とてもそこまで考える余裕はなさそうです。

でも、どんどん片付けが進む現状を考えると、もう既に誰かが「何をどう残し伝えていくか」を考えなければいけない時期に来ているのかもしれません…。

火砕流や土石流、岩なだれなどで人的被害の歴史を持ち、日々火山と向かい合っている皆さんは、どのような思いで景色を見ていたのでしょうか?


約3時間という短い時間でしたが、山以外でも色々なことを教えてもらいました。
せっかくなので、いくつか紹介します。

まず火山博物館の前にある、大きな溶岩。

南部の「岳の平」と言う場所で掘りだされたというこの岩は人が10人以上楽に座れるほど大きいく、赤い色が目立つ溶岩です。

この溶岩の形状から北大名誉教授の宇井先生が、色々教えてくれました。
その内容を私なりに解釈し,思い浮かんだ物語がコレです!

「勢いよく上空に噴き出したマグマの細かいしぶきが、火口の内側や外側に降り積もっていきました。それはとても高い温度だったので、降り積もったところで溶けてくっついて、赤いかたまりになりました。
どんどん噴火が続くと、山の中腹からも溶岩が流れ出しました。でも火口の中でくっつきあったしぶきの塊は大きすぎて外に出ることができず、火口の中でゴロゴロ転がって、だんだん丸くなりました。

こうしてできた丸くて赤い大岩は長い間、火口の中に埋まったままでしたが、周りの、穴のあいた軽い溶岩(火山の専門家はスコリアと呼ぶそうです)が重宝され採石が始まった結果、火口の中に隠れていた丸い塊が地表に現れたのではないかと考えられます。」

なんとも迫力のある話しです。
この赤くて巨大な岩が、密なところと目の洗いところが混ざっていることから、想像できることのようです。

「ここも穴があいてる」と宇井先生。
…指摘されて初めて気がつきました…。

津波注意の看板でも宇井先生が…

これはISO規格の、今一番新しい、世界に通用する津波注意の看板なのだそうです。

そして神社の石垣では、生命の星・地球博物館の笠間さんが…

これは角だけ成形し、他は自然のままの石を利用したもので「野面積み」と言われるそうです。
神奈川県の石垣山、一夜城にもこの石垣があるが、元禄地震、関東大震災でも崩れなかったとか…。
(昔の石積みの技術スゴイです。まだ詳しく読んでいませんが、この積み方は隙間が多いので水はけが良く崩れにくいという文章もありました。)

帰り際、港で写真を撮りました。
皆さん火山のエキスパートなだけではなく、ジオパークを支える人々でもあります。

いつも色々アドバイスをしてくださる洞爺湖有珠山ジオパークの三松さん(昭和新山の持ち主です)、様々なことを教えてくださる宇井先生、何度もお世話になった磐梯山ジオパークの佐藤さん、隠岐の全国大会で義援金を集めてくれた島原半島ジオパークの杉本さん、お目にかかれて嬉しかったです。

野面積みを教えてくれた箱根ジオパークの笠間さん、立山カルデラ(ジオパーク準備中)の菊川さん、これからよろしくお願いします。

(カナ)
コメント
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