グローバルネイチャークラブのガイド日記

グローバルネイチャークラブ(旧グローバルスポーツクラブ)のガイド仲間が観察した伊豆大島の自然の情報を中心にお届けします。

大島の火山・その2

2010年09月12日 | 火山・ジオパーク
先週に引き続いて、大島の火山について学んだことを報告します。

山頂に向かって舗装道路を上に登って行くと、最初の右カーブにこんな壁が出てきます。

火山を勉強した人がこの壁を見ると、今から約230年前の“安永の大噴火”の様子を
動く映像として再現する事ができるようなのです。

その理由を教えてもらいました。

壁には横のラインに粒の大きさが同じようなものが並んでいます。
そして、縦のラインには粒の大きさが違う塊が積み重なっています。

噴火のパワーがある時はベチャベチャとした溶けた溶岩の、大きな塊を降り積もらせますが、
パワーが弱まると、小さな粒しか飛ばせなくなるそうです。

この壁を見ると上の方に大きい塊が集まっているので、安永の噴火はだんだん規模が大きくなっていった…
ということがわかる、とのことです。

なるほど、そう言われてみると確かに…。

皆さんも次に三原山に登る機会があったら、ぜひこの壁の前で立ち止まり、
噴火の時の動画を、思い描いてみてください。

迫力の映像を思い浮かべることができたら、三原山に登るのが数倍楽しくなりますよ~。

さて、さらに上へ昇って行くと、今度は1986年の溶岩流が当時の舗装道路の上に
覆いかぶさってしまった事が良くわかる場所が出てきます。

道路をはさんで下は安永の噴火で溶岩が降り積もってできたもの、
上は1986年の噴火の時に火口からあふれ、流れ出たアア溶岩です。
良く見ると確かに、色も質感も違いますよね?

厚みがあり、パホイホイよりもゆっくり流れるアア溶岩の中身は、時間をかけて冷え固まるため
隙間のない密な状態になります。

そして冷えると縮んで、流れに対して垂直にヒビが入るそうです

樹海を歩くとこのアア溶岩のヒビの中に植物達が根を伸ばし逞しく生きている姿を見ることができます。
「このヒビが、木に根を張る隙間を提供し、森の土台になっていくんだなぁ。」
と思うと、何だかちょっとジーンときます。

樹海の下を流れた230年前の溶岩流。

そのヒビに根を伸ばすことができた木は、横にしか根を張れない仲間よりもしっかりと体を支え、
強風でも倒れずに生き残れる可能性が高まることでしょう。

その場所の地質や地形が、多くの生き物の命と密接にかかわり合っている事を実感します。

さて今日の最後は、お客様に「何ですか?」とよく聞かれる美しい模様…。
山頂近くまで登ると見られます。

これは安永の噴火の後半に何回かに分かれて火山灰が降り積もり、層になったためにできた模様のようです。
しかし、230年もよく風化しなかったですよね?
上からギュ~っと押されているからでしょうか??

最初は火山弾を飛ばしたり、溶岩流を流して派手に活動していた火山も
後半は時々小噴火をしては火山灰を降らせ、だんだん火山活動を終わらせていく…
というのが大島の今までの噴火に多いパターンだったようです。

でも1986年の噴火は例外で、火山灰を長く降らせる事もなく、有毒ガスも止まってしまいました。

次はどのような噴火になるのでしょう?

予測できない部分のある、変化する存在。
これって、まさに生き物ですよね?

知れば知るほど火山も、そして地球も、一つの生命体そのもののように感じられる今日この頃なのでした。

では、今回はこのぐらいで。
来週は山頂からのレポートの予定です!

(カナ)

コメント (2)
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