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買い集めていた45年前の週刊ベースボールを読み返しています

# 685 週間リポート 日本ハムファイターズ編

2021年04月28日 | 1977 年 



花の高校球児の「第二の男」
ドラフト1位指名の黒田投手(崇徳高)の獲得交渉は難航しているがドラフト外で将来性のある高校球児2人の入団が内定した。東海大相模高の岡部憲章投手と松商学園高の坂神隆広捕手だ。原選手や村中投手など甲子園を騒がせた面々は東海大学へ進学が決まったが岡部はプロ入りする。エースの村中の陰に隠れていたがスカウトの間では岡部の評価は高い。「トーナメント方式の高校野球ではどうしても制球の良い無難な投手が求められる。岡部は制球力が安定せず投げる機会が少なかったがあのスピードはプロ向き」と三沢スカウトは言う。実際に日ハム以外にも4球団が入団交渉をしていたが岡部は日ハムを選んだ。

「もちろん即戦力とは考えていませんが将来性はかなり高いと思います(三沢スカウト)」。契約金700万円・年俸170万円とドラフト指名組と比べれば低いが、「僕の今の実力では原や津末より評価は下で当たり前。だから力をつける為に彼らより先にプロに入るんだ。4年後には彼らもプロ入りするだろうけど、その時には必ず勝ってみせる(岡部)」とキッパリ言い切った。 " 俺は待ってるぜ " …と強気な性格もプロ向き。原、津末、村中らの4年間とプロでの4年間どちらが力がつくか興味深い。

ドラフトで3位指名した末次捕手(柳川商)が中央大学への進学を希望しており入団交渉は難航しているだけに将来性のある坂神選手の入団は首脳陣を安心させた。「ドラフト外といっても引け目はないです。プロの世界は入ってからが勝負ですから(坂神)」と。日ハムは昨オフに小坂敏彦、藤原真、横山晴久の過去にドラフト1位指名された3人の投手が揃って戦力外となった。3人は早大、慶大、法大で活躍した六大学のエースで神宮の森を沸かせたがプロでは大成しなかった。まさに坂神の言う通りプロ入り前の成績はあてにならない。



山下、宮本、佐伯そして大宮
鳴門キャンプを4日に打ち上げ本格的なオープン戦に突入した日ハム。大沢監督はキャンプの成果について自信いっぱいで「先ず選手のやる気が出て団結心が出来たのが何より」とチームの和を強調する。戦力的には広島から移籍の佐伯・宮本幸投手が投手陣を引き締め、新人の大宮捕手の強肩が日ハムの野球を変えると喜ぶ。また巨人から移籍の山下選手が空席だった二塁をしっかり埋めて打線も強化されたと評価している。その山下は5日の広島戦で120㍍の特大アーチを放ち「ホームランなんて…オープン戦はおろか二軍の試合でも2~3本がせいぜいなのに」と嬉しさを隠し切れない。8日の南海戦でも2安打・2打点と活躍し大沢監督を喜ばせた。

山下が活躍した広島戦の最後の1イニングに登板した宮本幸投手は打者3人を打ち取って「まぁほんの小手調べ」と澄ましたもの。古巣相手だったので報道陣から投げ辛らかった?と問われると「別に。紅白戦のつもりで投げましたわ」と涼しい顔。宮本が抑えで使える目途がたった大沢監督は「あと一人、宮本好・江田・宇田・三浦の中から使えるリリーフが出てくれば投手陣は万全」と自信を深める。先発組では杉田が5回2失点、高橋直が5回無失点、高橋一や野村、広島から移籍の佐伯も順調で先発5本柱は万全のようだ。キャンプの成果を一番気にしていた大社オーナーは「みんな調子良さそうで結構。自信を持って優勝に突進してくれ」と大社ラッパを高らかに鳴らした。



夢じゃないぞ120万人動員
昨年に続いてパ・リーグ観客動員数No,1に向けて出足は好調だ。「昭和52年度・第2回少年ファイターズの会」が催された13日の中日戦には後楽園球場に何と3万5千人が詰めかけた。本当はもっと入っているのではと思うくらい控え目な発表だ。この前景気に球団スタッフは自信をつけ、新たな動員企画を準備中。「今年は土曜・日曜日の試合には必ず大型ブロマイドのプレゼントなど何かしらの催しを考えています。4月10日の阪急戦は絶対にスタンドを満員にしたい」と今井営業部長の鼻息は荒い。

現在進行中の企画は
  ➊:球団旗、大沢監督のジャンボブロマイドのプレゼント
  ➋:3月26日に発足する大沢監督の後援会が江の島神社の神輿を担いでグラウンドを練り歩く
  ➌:後楽園球場周辺の小学校(約30校)の生徒を無料招待
といった具合で「とにかく今年も大いに楽しみにして下さい(今井部長)」と目標の120万動員へフロント陣は全力投球だ。

昨年に行われた「球場結婚式」が今年も13日のオープン戦開始前に行われた。鮮やかなグリーンの人工芝の上に純白のウエディングドレス姿で現れた花嫁さんは応募者620組の中から選ばれた朱実子さん(26歳)。大沢監督はじめ両チームの選手が立ち会い、3万5千人のファン共々祝福した。「こんな立派で一生の思い出に残る結婚式が出来て本当に幸せです」と光一さん・朱実子さんのカップルは興奮を抑えきれない。朱実子さんは「野球は詳しくありませんが今回を縁に日本ハムのファンになります。野球チームが出来るくらい子供を9人産んでみようかしら」とおのろけも。

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