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納戸の奥に眠っている箱を久しぶりに出してみると…
買い集めていた45年前の週刊ベースボールを読み返しています

#573 ペナントレース総括・ロッテオリオンズ

2019年03月06日 | 1985 年 



三冠王・落合、村田兆治復活、話題は多いが…
やらずもがなのタイムリーエラーが多い
ロッテ投手陣のチーム防御率はリーグ3位。しかし総失点は4位。つまり失策がらみの失点が多く、防御率に反映されていない。総失点中の失策がらみの失点は「98」。その比率は13.8%でリーグ最下位である。ちなみに最も少ない阪急は「64」で9.2%だった。例えば4月17日の近鉄戦で先発した仁科投手は7回裏まで3失点に抑えていたが8回裏に6点を取られてKOされた。一死後に水上選手が失策。次打者は三振に倒れたので仁科投手はこの時点で水上選手の失策がなければこの回を抑えた事になり、この後に取られた6点は仁科の自責点にはならなかった。

村田投手の復活で増えたモノ。それは暴投
失策数106個で守備率が.979 とリーグ4位だったロッテ。これにはバッテリーエラーは含まれていない。暴投30、捕逸12 は他球団の2倍近い。そこには村田投手の復帰が関係している。勝負球のフォークボールは暴投になり易く、村田ひとりで11暴投。主戦捕手で129試合出場の袴田選手の捕逸は8個で特に多いことはないが、20試合出場の斎藤選手は3個と多い。しかし斎藤は内野手から捕手へ転向して間もない為に致し方ない。

新人・横田や西村ら4年目以下選手の台頭
バッテリー間も含めて守りのミスが多かったロッテだがチーム打率は両リーグで1位の2割8分7厘だった。打線の中心は三冠王の落合選手だが今季は若手選手の台頭が目立った。横田選手は打率.300 でプロ野球史上8人目となる新人3割打者になった。シーズン前は横田以上の評価だった岡部選手もシーズン終盤に一軍昇格し少ない試合数ながらも12打数7安打・打率.583・2本塁打と打ちまくった。また野手転向2年目の愛甲選手は5月26日の阪急戦でプロ14打席目にして初安打を放ち、規定打席には届かなかったが打率.305 をマークした。4年目の西村選手も打率.311 をマーク。これに2年目の高橋選手を加えたプロ入り4年目以下の若手選手は計1030打数313安打・打率.304 と結果を残した。

番記者が選ぶベストゲーム
10月5日・対西武25回戦(西武)は意地を見せた一戦だった。西武がマジック「1」で迎えた地元の試合での胴上げに燃える西武の先発は防御率1位を走る工藤投手。対するロッテは荘投手で試合は始まった。初回、荘が田尾選手に適時打を許し1点を献上した。しかも荘は右肩の異常を訴えて1回で降板、2回裏からは新人の小川投手に継投した。重苦しい雰囲気を払ったのが落合選手。4回表に逆転45号2ラン、9回表にもダメ押しの46号。緊急登板した小川も2回以降は西武打線を1安打に抑え、最後まで投げ切り3対1で勝利した。「シーズン前半戦、西武を走らせたのはウチの責任」と稲尾監督。精一杯の抵抗を見せたロッテに来季の光を見た思いがした。

うっかり有藤が本領発揮。2千試合出場を知らなかったのは自分だけ
今季も押し詰まった10月17日の対近鉄戦。この試合で珍しい布陣が見られた。本来DHのリー選手が右翼へ、有藤選手がDH・五番でスタメンに名を連ねた。リーが守備に就くのは初めてだがこれには理由があった。この試合が有藤の2千試合出場達成の日だった。最近は若手の愛甲選手や岡部選手にスタメンを譲りベンチスタートが多かった有藤に「記念の日はスタメン出場で」と稲尾監督の粋な計らいであった。スタメンを知らされた有藤は「最近は守る機会も減ってチームに迷惑をかける」とスタメン出場を辞退した。スタメンを勧めるコーチと固辞する有藤。試合前にはちょっとした押し問答になった。そこで折衷案として守りに就かないDHでの出場となったのだ。

後で分かったことだが実は有藤自身は「2千本安打の方ばっかり気にしていたのでうっかりしていた。今になって考えると稲尾監督に申し訳ないことをした」とこの試合が2千試合目だと監督やコーチは知っていたが本人だけが気がついていなかった。スタメン出場を伝えた千田守備走塁コーチは「てっきり本人も知っているものと思っていた。何故あんなに固辞するのか不思議だったが後で知らなかったことを聞かされて合点がいった」と苦笑い。なんともノンビリ屋でうっかり者の有藤らしいエピソードだった。ちなみに試合の方は苦肉の策にもかかわらず、リーは4打数1安打・2三振、有藤も先制タイムリーの1安打だけに終わり近鉄に負けてしまった。

ともあれ有藤は今季、目標としていた2千本安打を達成した最高の年となった。その甲斐あって今オフは大忙し。北は札幌から南は鹿児島まで全国10ヵ所で " 2千本安打達成記念パーティー " が開かれた。述べ1万人を超えるファンに祝福され笑顔・笑顔の日々を過ごした。今季終盤から終了直後にかけて来季の去就問題が再燃したが、それも球団との話し合いで決着し、12月3日に東京・錦糸町のロッテ会館で開かれたパーティーの席上で自らの口から「優勝する為にチームの役に立ちたい。代打でも何でも構わない」と現役続行を表明した。次々と目標を達成し名球会にも仲間入り。来季には通算300盗塁(あと21個)にも意欲を見せる。未だ闘う男は健在といった所だ。

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