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納戸の奥に眠っている箱を久しぶりに出してみると…
買い集めていた45年前の週刊ベースボールを読み返しています

# 662 初春に誓う ④

2020年11月18日 | 1977 年 



中日ドラゴンズ:優勝へ定位置確保に今年にかける主力選手たち
中日の若きヒーローは最優秀投手賞(防御率第1位)と最優秀救援投手賞のダブル受賞を果たした鈴木孝投手だ。「今年は僕の野球人生で大きな節目になる年だと考えている」と話す理由は今季から先発投手としてローテーションに組み込まれる可能性が有るからだ。「2年連続でセーブ王になれた。このタイトルは誰にも渡したくないが先発に回るとそうはいかない。自分としては投手は先発して完投するのが理想なので先発に魅力も感じます。まだ正式な話は聞いていないけど、どちらに決まっても対応できるようにキャンプでみっちり練習します」とやる気を見せる。

エースの星野投手は「開幕の巨人戦で投げるのは俺だ」と早くも開幕投手宣言。「勝ち星は15勝。それ以上に負け数を1ケタにして出来るだけ貯金を増やして優勝に貢献する」と意気盛ん。女房役の木俣選手は「昨年は二度目の打率3割を達成できたがベストナインをあと一歩で逃したのが残念。今年も打率3割・全試合出場して優勝したい」と。今年から新主将に返り咲いた高木選手は「今の自分に主将が務まるか不安だが18年のプロ生活の総括として引き受けた。自分にとってもチームにとっても大切な年なので、とにかくチームの先頭に立って頑張る覚悟です」と責任感のある抱負を語った。

サードへのコンバートに挑んでいる大島選手は「今の僕にはオフも休みもない。チャンスを貰ったわけだから、これを生かさないでどうするかですよ。ただレギュラーの森本さんに勝つのは並大抵ではない。がむしゃらに挑んでダメならユニフォームを脱ぐ覚悟です。守りの方は何とかなってきたので、あとは一にも二にも打撃です」とベテランの森本選手に挑戦状を叩きつけた。新人王の田尾選手は井上選手との左翼手のレギュラー争いに挑む。「2年目のジンクスは気にしていない。というか気にしている余裕がないです。打撃も守りもまだまだ勉強中です。こうした競争はプロの世界では当たり前だと思っています」

そして昨年の中日ナインの中で一番印象に残ったのは最後の最後で張本選手(巨人)を追い抜いて首位打者に輝いた谷沢選手だろう。「今までの僕に何が欠けていたかは言われなくても分かっていますよ」と前置きして「正直に言って今の僕に追われているという意識はないです。相手チームのマークはより一層厳しくなると覚悟していますけど、自分に出来るだけのことをするだけです。首位打者になって今年3割を打たなかったらファンからも叱られる。打って当たり前と見られて期待が大きい分、結果を出さないと批判も大きい。それがプロだと重々承知しています。ファンの皆さんの期待を裏切らないよう頑張る」と。


ヤクルトスワローズ:V1達成のカギにぎる若松、大杉、松岡トリオ張り切る
監督代行から正式に監督に就任して発足した広岡体制。話題の酒井投手も入団して一気にセ・リーグの台風の目となったヤクルト。投打の主役は松岡投手と若松・大杉選手だ。エースの松岡は過去に20勝は一度きりで投手タイトル受賞は一度もない。そんな松岡が勝てない、タイトルに無縁の原因を自分なりに考えた。「ピッチングはリズム。それと一人相撲は絶対にダメ。俺は打たれると頭に血が昇って一本調子になる癖が抜けない。分かってはいるんだけど直らないんだな(松岡)」と話す。話題のルーキー・酒井が加入し期待の永川投手の成長も見込まれるが、頼りは松岡に他ならない。「口はばったいけどエースの名に恥じないだけのことはするよ(松岡)」と。

若松は首位打者が目標と公言している。昨年は張本選手と4ヶ月に渡る熾烈な打率争いを繰り広げたが、左手親指を脱臼して脱落。気がつけば谷沢選手(中日)にも抜かれて3位に終わった。だが「いい経験をさせてもらった。タイトルは逃したが納得のいくシーズンだった(若松)」と打率.344 はプロ生活6年間で最高の数字だった。実は昨年は慣れ親しんだ握りの太いタイ・カップ型のバットからノンプロ時代からプロ1年目に使用していた握りの細いバットに変えて成功した。「球に当てるだけではヒットにならない。強くスイングしないとダメなことに改めて気づかされた」と日々成長している。

ヤクルト打線のもう一人の雄である大杉は昨年暮れの契約更改で若松に1000万円以上の差をつけられた。実質的なチームへの貢献度ではセ・リーグ3位となる93打点はチームトップだが「もう金の話はよそう。数字と貢献度は別物だよ」と本人は意に介していない。若い杉浦選手にポジションを奪われかけた昨年の前半戦、足の故障や実母の病気などのアクシデントがもともとスロースターターだった大杉を追い詰めたが後半戦に盛り返した。ヤクルトに移籍して3年目、セ・リーグの投手にも慣れてそろそろタイトル獲得も現実味を帯びてきた。悲願のヤクルト初優勝に向けて打線の核弾頭になる覚悟は出来ている。


大洋ホエールズ:新生ホエールズのエース平松、結婚転機で奮闘の誓い
別当監督が目標とするAクラス入りを果たすには投手力の充実が鍵となるだけにエースの平松投手の責任は重くなる。「昨年は大きな怪我もなくシーズンを通して投げられた。今年も体調管理をしっかりやっていきたい(平松)」と昨年暮れに結婚しただけに新婚の奥様の責任も重大。「昨年は負け数(13勝17敗)が多すぎたので、今年は昨年の勝ち負けを逆にして貯金を増やしたい」と決意する。二番手の奥江投手は「昨年は救援から先発に急遽変わったのでリズムを崩してしまったけど今年は両方を任されても大丈夫なように準備したい。課題は細身なのでスタミナの強化。キャンプでは倒れるくらい走り込みをするつもりです」

新加入で期待されるのはセ・リーグに復帰した関本投手とドラフト1位指名の斎藤投手。「1年ぶりにセ・リーグに戻って来ました。慣れ親しんだリーグなので気負いはない。昨年は体調を崩して満足に働けなかったから、今年はキャンプでじっくり走り込み・投げ込みをやる。数字の目標はあえてしないが、とにかく怪我なく過ごしたい」と関本。ルーキーの斎藤は「先ずは一軍、次が先発ローテーション入り。新人王とか10勝とか考えず、与えられたチャンスを生かして1人の打者、1つのアウトを大事に取っていきたい。最低でも他の5球団から勝ち星をあげたい」と新人らしく控え目な抱負だ。

投手陣を支える女房役の福嶋選手は「今年チームがAクラスに入るには投手陣の奮起が必要だけに僕ら捕手たちの働きも重要になる。その為には各投手の特徴を引き出して、投手一人一人の能力を発揮させる必要がある」と話す。打線の中心は松原選手で「個人的には打率3割・30本塁打・100打点を目標にしている」とチームリーダーとして打線を牽引する覚悟だ。また人気者の山下選手は「昨シーズンから継続中の遊撃手として186守備機会無失策のセ・リーグ記録を更に伸ばしたい。オールスター、ベストナイン、ダイヤモンドグラブ賞を手に出来るように頑張りたい」と良い意味で欲を出してきた。

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