H's monologue

動き始めた未来の地図は君の中にある

使命の道に怖れなく どれほどの闇が覆い尽くそうと
信じた道を歩こう

東君平さんと「くんぺい童話館」のこと

2020-01-16 | 趣味趣味

 

高校生の頃(えらい昔の話!),やなせたかしさんの『詩とメルヘン』という雑誌が好きで毎月欠かさず買っていました(当時はなんと「文学少年モドキ」だったのです)。詩や童話と一緒にイラストが美しい月刊誌で,バックナンバーも少しづつ買い揃えて創刊号から持っていました。その中で,モノクロのシンプルだけど印象的なイラストと,優しくてユーモラスだけど,どこか哀愁を帯びた話や詩を書いておられたのが東君平さんでした。たしか「くんぺい魔法ばなし」という連載を毎月楽しみに読んだ覚えがあります。その後大学生になって下宿生活を始め,クラブ活動や音楽などに興味が移るにつれて『詩とメルヘン』もいつしか読まなくなりました。数年分の雑誌は実家の押入れの奥にしまい込んだまんま。その後,東君平さんのこともすっかり忘れていました。

今から15年前,夏休みに家族で八ヶ岳辺りに旅行したときのことです。ガイドブックで「くんぺい童話館」という文字を地図の上で目にしました。昔よく読んだあの君平さんの童話館があるんだ・・と懐かしく思い,家族と半日別行動にして訪れることにしました。小淵沢の別荘地の中を迷いながら,車でたどり着いた小さな建物は,花に囲まれた優しい空間でした。管理人と思われるひとりの女性の方がおられました。館内では君平さんのほぼ全ての絵本や童話,そして原画や切り抜き記事などが展示されており,自由に閲覧できるようになっていました。他に訪問者はおらず,新聞や雑誌に掲載された記事のファイルをパラパラと眺めていたときに,君平さんが若くして亡くなっていたという事実を初めて知りました。さらに「君平さんが亡くなった年齢が,まさにそこを訪れた時の自分の年齢である」ことを知り愕然としました。そしてそこにおられる物静かな女性が,残された奥様であることが何となく分かりました。それは何とも言葉にはできない衝撃でした。小一時間ほど過ごしたあと,帰り際に小さな本を一冊,そして何枚かの絵はがきとカレンダーを買いました。レジで奥様に「高校生の頃に君平さんの話を読むのが大好きだったこと,そして偶然ここを見つけて訪れてみて,君平さんが亡くなった年齢と今の自分が同じだと知って衝撃を受けたこと」などを伝えずにはいられませんでした(今思えばいいオッサンがちょっと恥ずかしい)。

 

 

その時に買った本とカレンダーは今でも大切に持っています。

 

 

 

再訪したのは,それから10年後でした。諏訪湖畔で行われた「野獣クラブ合宿」の帰りに,また一人で立ち寄りました。このときは最初ほどは迷いませんでしたが,やっぱり1度は通り過ぎてしまいました。前回と同じように奥様が一人で静かにカウンターの向こうにおられました。このときは何人かの君平さんの熱心なファンと思しき方が訪れていたように思います。また何枚か絵はがきを買って帰りました。その後古い絶版になった本をネット探して何冊か手にしていますが,また行きたいと思いつつ童話館への訪問は実現していません。

 

先日,M先生から送っていただいたカレンダーを見ながらそんなことを思い出しました。今の時期は「くんぺい童話館」は閉館となっていますが,今年は夏になったらまた行ってみたいな・・と思います。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« In My Resident Life! (リ... | トップ | 輸液大盤解説:新プロジェク... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

趣味趣味」カテゴリの最新記事