血液ガスの読み方で,代謝性アシドーシスのときの代償性換気の限界値(Pco2がどこまで下がるか)を求める簡易法がいくつかあります。最も簡便なのは magic number15というものです(上記)。これはHCO3-値が10〜40mEq/Lの範囲で使える,つまり代謝性アルカローシスでも使えて便利なんですが,欠点はHCO3-が10mEq/L以下の重症のアシドーシスでは使えないことです。
この時に便利なのが一番めの式です。
Winters’ formula : Pco2 = 1.5 x [HCO3-] + 8 ± 2
汎用性が高いと思いますが,これ意外に日本語の教科書に載っていないことが多いんですね。英語のサイトだとかなり一般的です。ちょっとマニアックになりますが,実は名前が間違って紹介されていることが多いんです。Winterさんではなく,Wintersさんの式なんです。試しにググってみても,半分くらいが「Winter's」になっています。
著者の名前は,間違えないようにしましょう。オリジナルの論文はこれです。
Ann Intern Med. 1967;66(2):312
元論文の図がこれです。
当院の朝のカンファレンス Morning Reportで,血液ガスの読み方の話がでたときに,この式を紹介しました。研修医のK先生がこの式をSlackにあげてくれて気づきました。
K先生,とりあげてくれてありがとう。おかげでブログネタがひとつ増えました(笑)。