H's monologue

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収縮期雑音の鑑別診断:ASか?MRか?

2020-09-06 | 身体診察


かなり前のことです。救急のK先生から,ちょっと心音を聞いてもらいたい方がいるんですが・・と相談を受けました。救急経由で整形外科に入院した患者さんだそうです。それではぜひ是非・・と一緒に病棟に行きました。

圧迫骨折で入院された90代の頭脳明晰,かくしゃくとした男性。診察させていただくと,聴診器を当てた瞬間に分かるほどの大きな収縮期雑音。じっくり診察させていただきました。

心尖部はnippleより明らかに外側に偏位していて,心尖拍動はsustainedに触れる。よ〜く触ると雑音が触れる(ような気がする)。Levine 4/6ですね。一般内科でやっているとそんなに触れる機会がないので勉強になります。最強点は心尖部あたりで,汎収縮期雑音だと思う。雑音は腋窩のほうに放散する。大動脈弁領域にくるとむしろ聞こえにくくなる。これでほぼMRの音でいいと思う。

さらに,しばらく聴いていると期外収縮のあとの雑音に増強がないことが確認できました。これで決まりですね。駆出性雑音の場合,期外収縮のあとの長いポーズの後の収縮では雑音が増強するので,この患者さんの収縮期雑音は駆出性ではなさそう。

時々心尖部で収縮期雑音のあとにもう一つ音が聞こえる。3音かな?(以前,これがわからず循環器Physical Examination講習会で質問したけど,後で自分がちゃんとわかっていないことを晒しただけの恥ずかしい質問だったと判明)。

汎収縮期雑音の後に過剰心音が聞こえたら,それは2音ではない。なぜならMRの雑音は,2音を超えるため2音は雑音に隠れて聞こえなくなるから。

・・・と,ちょっとドヤ顔でそのときは解説したのでした。ところが,心エコーをやってもらったら,中等度の僧帽弁閉鎖不全は確かにありましたが,さらに高度の大動脈弁狭窄(圧較差45mmHg)が合併していました。

え〜っ?そうなんだ。両方あったということですか。いや〜,やっぱり聴診は難しい。もっと精進します。

 

(写真は去年の今頃いったベルギービールフェス。来年は開催されるといいのですが・・)

コメント
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