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「キリング・フィールズ 失踪地帯」

2012年05月16日 | 映画
テキサス州のとある田舎町の殺人課刑事のマイク(サム・ワーシントン)は、血の気の多い性格から、しょっちゅう周囲とトラブルを起こしていた。
ニューヨークから異動してきたブライアン(ジェフリー・ディーン・モーガン)は、そんなマイクの相棒であり、唯一といっていい良き理解者でもあった。

二人は、住宅街で起きた少女の殺人事件を捜査していたが、手がかりさえつかめない。
そんな二人をあざ笑うかのように、次々と少女を狙った事件が発生した。
近隣ながら所轄外のエリアで発生した事件にもブライアンは関わっていくが、マイクは管轄外にまで手を出すのは間違いだと彼を抑えようとする。
しかしブライアンは、熱い正義感をたぎらせて捜査に没頭した。

ブライアンの地道な捜査から、ようやく有力な容疑者が浮上してきたとき、リトル・アン(クロエ・グレース・モレッツ)が失踪する。
彼女は複雑な事情のある家庭に育ち、心に傷を抱えていたため、同じ年頃の子供を持つブライアンが、いつも気をかけて面倒をみていた少女だったが、その日ブライアンが一緒にいながら、彼が目を離した隙に何者かに誘拐されてしまったのだ。
刑事としての勘が働いたブライアンは、アンが事件に巻き込まれたと直感した。
懸命にアンを捜索するブライアンに引っ張られ、マイクも次第に事件に深く入り込んでいく。

そして二人は、ついに「キリング・フィールド」と呼ばれて恐れられている犯罪多発地帯へと足を踏み入れる…


骨太のクライム・サスペンスを撮ることで知られるマイケル・マン監督が製作し、彼の娘であるアミ・カナーン・マンが初めてメガホンを取った作品。
テキサスに実在する「キリング・フィールド」と呼ばれる犯罪多発地帯で、1960年代から現在までに実際に起こった事件ファイルを徹底検証して作られたという実話ベースの脚本とも相まって、見応えのあるクライム・サスペンスに仕上がっている。
ここは製作指揮をとった父親のアドバイスの賜物か!?
しかし「ハート・ロッカー」のキャスリン・ビグロー監督の例を持ち出すまでもなく、骨太な作品の製作に監督の性別は関係しない。
父親譲りの天賦の才による次回作にも期待♪


自分の中では「キック・アス」の強烈なイメージが強いクロエ・グレース・モレッツが、「キック・アス」とはうって変わった静かな演技を見せている。
母親には養育放棄のような扱いを受けていて、心に深い傷を追っていて、少女らしい愛くるしい笑顔を見せることのない、押し殺した感情が出口を求めてにじみ出てくる目の表情は秀逸。
また、最近神の血を引いて“魔物退治”ばかりしているイメージの強いサム・ワーシントンが、優秀な殺人課の刑事だった父親の影に煩わされてもがきながら成長していく若い刑事を好演している。


スクリーンからヒリヒリとした緊張感が伝わってくる、上質のサスペンス映画。


キリング・フィールズ 失踪地帯
2011年/アメリカ  監督:アミ・カナーン・マン
出演:サム・ワーシントン、クロエ・グレース・モレッツ、ジェフリー・ディーン・モーガン、ジェシカ・チャステイン、ジェイソン・クラーク、アナベス・ギッシュ、シェリル・リー、スティーヴン・グレアム