面白き 事も無き世を 面白く
住みなすものは 心なりけり

「劇場版SPEC~天~」

2012年05月03日 | 映画
通常の捜査では解決できない特殊な事件を専門に扱う「警視庁公安部公安第五課未詳事件特別対策係」。
通称“未詳(ミショウ)”と呼ばれるこの部署に所属する特別捜査官の当麻紗綾(戸田恵梨香)と瀬文焚流(加瀬亮)のもとに入った「ミイラ死体殺人事件」の情報。
先に遺体で発見された同僚刑事も、同じようにミイラ化していた。
真相を追って捜査を進めるにつれて現れる数々の謎。
「シンプルプラン」と呼ばれるプロジェクトは何か?
「ファティマ第3の予言」とは?
謎が謎を呼び、更にまた謎を呼びながら、当麻の左手がうずきはじめる……


人間の脳の大部分は使われずに“眠っている”と言われている。
しかし、通常は“眠っている”部分が活性化すると、人間の叡智が及ばないような特殊な能力が使えるようになるという。
そんな「超能力」(=SPEC)を持つ人間(=スペックホルダー)のうち、何%かが自らのスペックを悪用しているとすれば、真相を明らかにできないまま「未詳事件」として未解決の事件が発生するのは必定。
原因や殺害方法その他、事件の全容が明らかにならない「未解決事件」は、もしかすると悪意をもった超能力者の仕業なのかもしれない(多少マジで)。

常軌を逸した難事件を解決するためには、常人をはるかにしのぐIQを誇り、決して常識にとらわれることのない当麻は適任。
そして彼女の相棒を務められるのは、これも常人を超えた体力を持つ瀬文が適任。
互いに“キレキャラ”として激しく罵り合いながらも、抜群のコンビネーションを発揮する当麻と瀬文の二人による“バディもの”でもある「SPEC」の劇場版は、物語の流れである「起承転結」の「転」にあたるシリーズのクライマックスとなるラストに向けた前段。
テレビドラマのシリーズと特別編の「翔」を見ていなくても、本作は独立して楽しむことができる。
とはいえ、やはりこれまでのシリーズについて、ある程度知識がある方がより楽しく観ることができるので、「SPEC」シリーズをこれまでご覧になったことの無い方は、ぜひパンフレットを購入しておくことをお勧めする。
なんとパンフレットにはテレビシリーズにおける各回と、特番である「翔」の、全てのあらすじが載っている。
上映の前にあらかじめ購入しておき、あらすじ部分を事前に読んでおけば、劇場版の面白さが際立つというものだ。
ただし本作のあらすじは読まずにご覧になることをお勧めする。


超能力を持つがゆえの悲哀を切なく描いた名作「七瀬ふたたび」のテイストを漂わせつつも、イマドキなキャラクターを縦横無尽に配して「堤ワールド」を炸裂させた、SF刑事ドラマ。
(と言っても「ロボット刑事K」ではないので念のため)


劇場版SPEC~天~
2012年/日本  監督:堤幸彦
出演:戸田恵梨香、加瀬亮、伊藤淳史、栗山千明、三浦貴大