面白き 事も無き世を 面白く
住みなすものは 心なりけり

「エアベンダー」

2010年07月16日 | 映画
それは遠い昔のこと。

世界は、「気の王国」「水の王国」「土の王国」「火の王国」の4つの国によって、バランスが保たれていた。
それぞれの国には、「気」「水」「土」「火」の4つのエレメントをそれぞれ操る能力を持つ、「ベンダー」と呼ばれる人々がいた。
「気の王国」には空気や風を操る「エアベンダー」が、「水の王国」には水を自由に操れる「ウォーターベンダー」が、「土の王国」には土を自在に操れる「アースベンダー」が、そして「火の王国」には、火を縦横無尽に操れる「ファイヤーベンダー」がいた。
そのベンダーの中に、4つのエレメント全てを操ることができるベンダーが一人だけ存在し、「アバター」と称されて人々からの尊敬を集めていたのだった。

アバターは、輪廻転生によって代々この世に現われ、世界の調和を保つ存在であったが、100年前に突然姿を消していた。
アバターが消えたことによってバランスを崩した世界の中で、火の国が世界の征服を狙い、動き出した。
まずは次のアバターが誕生するとされていたエアベンダーを殲滅し、土の王国を攻撃して次々と町を支配下におさめ、アースベンダーを封じ込めていく。
そしていよいよ、水の王国へとその魔の手を伸ばそうとしていた。

水の王国でウォーターベンダーとして育ってきた少女・カタラは、兄・サカの狩りを手伝っている最中、海中に沈んだ光る氷を発見した。
氷の中に閉じ込められていた一人の少年と巨大な生物を救い出したカタラは、兄とともに彼らを自分達の村へと連れて帰る。
この、まだ12歳という少年・アンこそ、エアベンダーの最後の生き残りであり、100年前に消えたアバターであった。
アバターが背負う宿命の重さに耐えかねたアンは、修行の途中で逃げ出し、嵐にあって氷の中へと閉じ込められていたのである。

100年の間に世界の調和が乱れ、戦乱の世となってしまったことに心を痛めたアンは、アバターとして生きていく宿命を受け入れる。
そして、まだ自在に操れるエレメントが「気」のみのため、真のアバターとして全てのエレメントを操る力を身につける修行を成し遂げるべく、カタラ、サカとともに世界の命運をかけた旅に出る…


「シックス・センス」「サイン」「ハプニング」などのヒット作を送り出してきたM.ナイト・シャマラン監督が挑む、“パワー・スペクタクル超大作”。
なめらかでキレのあるカンフー・アクションを織り交ぜたアクションシーンに、高度なCG特撮技術が融合した映像は、迫力と美しさを兼ね備えていて見応え十分!

4つの国々でバランスを保っていた世界の中で、1つの国が突出して他を制圧しても、それによって人類全体の調和が乱れ、征服された側はもちろん実は征服する側も、本当の幸せを得ることはない。
それはまるで、「世界の保安官」を自任して戦争を仕掛けても、決して成功することのないアメリカに対する皮肉のよう。
いつも、自然に対する畏敬の念や、人と自然のつながり、人と人とのつながりや調和をテーマにしてきたシャマラン監督の、正に集大成と言える。

万物の根源を成す「気」「水」「土」「火」の4つのエレメントをモチーフにし、東洋哲学的なテイストを漂わせた、ハリウッド大作でありながらもオリエンタル色の豊かな痛快娯楽活劇。
「ドラゴンボール」風「ドラゴンクエスト」式ロールプレイングゲーム的幻想小説とでも言うべき快作!


エアベンダー
2010年/アメリカ  監督・脚本・製作:M.ナイト・シャマラン
出演:ノア・リンガー、デヴ・パテル、ジャクソン・ラスボーン