面白き 事も無き世を 面白く
住みなすものは 心なりけり

「結婚しようよ」

2008年02月07日 | 映画
香取家の主人・卓(三宅裕司)は、不動産会社に勤める平凡なサラリーマン。
専業主婦の妻・幸子(真野響子)、大学生の長女・詩織(藤澤恵麻)、バンド活動に情熱をそそぐ次女・歌織(AYAKO)の一家4人で、卓の決めた
「晩ご飯は必ず全員揃って食べる」
というルールを守って暮らしてきた。
だが詩織は、想いを寄せる苦労人の青年・充(金井勇太)と会うため、歌織は波に乗り始めたバンド活動のため、揃わない日が増え始めた。
家族との時間が何よりも幸福なひと時だった卓は、すっかり意気消沈。
あろうことか、妻までもが卓から離れていくようなニュアンスで…

自分の夢ばかりを追いかけ、今は妻となった最愛の恋人を“守れなかった”過去を背負いこんだ卓。
家族の絆をしっかり守るために、頑なに「家族全員がそろった夕食」にこだわる。
「家族全員がそろった夕食」は、夢を諦めた卓にとって、ごく平凡なサラリーマンとして生きる決意をした代償だったのではないだろうか。
それを、長女と恋仲となった充に「形式主義だ!」と否定され、思わず拳をあげた彼は、今までの自分を全否定されたように感じたのだろう。
しかし時は過ぎ、子供達も独立し始めたとき、家族の絆はそんな“形式”に収まるものではないほどの大きな愛に育っていた。
“家族の団欒”を守ってきた卓のルールは、決して間違っていなかったのである。

全編に渡って流れる吉田拓郎のメロディが心地よい、昭和の香り漂うハートウォーミングなホームコメディの佳作。
嗚呼!それにしてもまたフォークギターを弾きたくなってくるっ♪


結婚しようよ
2008年/日本  監督:佐々部清
出演:三宅裕司、真野響子、藤澤恵麻、AYAKO、金井勇太、岩城滉一、モト冬樹、入江若葉、松方弘樹