Swertia tashiroiの2つの系統について Ⅰ
大和と琉球と大陸のはざまで~屋久島はどこにある?[9]
あけましておめでとうございます。年末から正月にかけ、沖縄県の伊平屋島に滞在しています。もう一週間以上も、ほとんど毎日“台風並みの暴風雨”といった天候が続いています。さすがに雪は降らないのですけれど、ここが沖縄?と疑うほどの寒さです。役場のご厚意で、村から8㎞ほど離れたバンガロー村の研修室を提供して頂き、そこを根城にヘツカリンドウの調査行を予定していたのですが、この天候ではいかんともしようがありません。ひたすらパソコンに向かいあっている年末年始です。
「あや子版」をとりあえず再開するつもりですが、前回も前々回も、スケジュールの予告を行ったのにもかかわらず、スケジュール通りに進んだ例がありません。ということで、今後はスケジュール予告を行わず、適当に、思い付いた順でアップしていきたいと考えています。
一応、年末に予告したとおり、これまでのヘツカリンドウの探索結果などを紹介していきます。今までの(「ネイチャークラブ」や「あや子版」に紹介した文章を組み合わせたり、同じ写真を重複して使用したりしています。将来のまとめに至る一過程ですので、ご了承ください。
Swertia tashiroiの和名としては、ヘツカリンドウ、リュウキュウアケボノソウ、オキナワセンブリなどがあり、その中で現在最も流布している名が、ヘツカリンドウというわけです。リンドウ科センブリ属のアケボノソウに近縁の植物であること、また、最初の発見地でもある大隅半島の辺塚周辺を分布北限(*1)とし、数多くの個体が見られる沖縄本島を分布南限(*2)とすることから、上記したどの名も適切であるとは言えるでしょう。
従って、屋久島産を他の集団と切り離して独立の分類群(種・亜種・変種のいずれか)とする場合は、ヤクシマヘツカリンドウ(あるいはヤクシマリュウキュウアケボノソウ、ヤクシマオキナワセンブリ)とするのが妥当ということになります。でも、別の地名が2つ並ぶというのも、何だかおかしい。そこで、花色の特徴をとって、アズキヘツカリンドウまたはアズキリンドウ(あるいはアズキリュウキュウアケボノソウ、アズキアケボノソウ、アズキオキナワセンブリ、アズキセンブリ)と呼ぼうかとも考えたのですが、どうも語呂が悪いような気がします。
極めて小さな花のリンドウの仲間だからヒメリンドウ、これに花色のアズキを加える。「アズキヒメリンドウ」では、どうでしょうか。小豆色にはこだわるのです、屋久島産の花色を的確に表現する語は、これを置いて有りません。
ところで、アズキヒメ=小豆姫といえば、「朝と夜のはざまで(開始当初は“朝と夜の邂逅”)」のスタートのところで紹介した、40歳下の新しい彼女候補(あくまで“候補”ですよ!)「あずき姫」は、どうなったのか?話が途中のまま、その後一回も触れることが無いまま、今に至っています。顛末は以下のとおり。
ちょうど携帯電話を入手したばかりで、それを使っての携帯メールの操作方法を知らない僕に、一から手順を教えて下さり、練習台になってくれました。フィリッピンや中国からも、彼女とだけは、携帯メールでやり取りを続けていたわけです。
ところが!数ヶ月後の一昨年(2009年)の春、ベトナムのハノイで、その携帯電話を盗まれてしまった。“あずき姫”に関する情報は、携帯の中に全てが入っているものですから、お手上げです。メールアドレスも住所も電話番号も、全部その中です(今は名前も忘れてしまった!)。向こうも僕の携帯メールのアドレスしか知らないわけですから、どうにも連絡の取りようがありません。いや、携帯電話は怖いですね。
バイト先(新宿駅構内の“小豆ショップ”、そこでいつも大好きな“あずき茶”を買っているうちに知り合ったのです、彼女がバイトを止めたのと申し合わせたように、しばらくして小豆茶の販売も中止されてしまった、がっかりです)もやめてしまっているし、専門学校(水道橋の美術学校)も卒業してしまっています。万事休す。まあ、本気で連絡をとりたいならば、バイト先なり学校なりで尋ねれば良いのでしょうけれど、そこまでしようとは思っていません。またいつかどこかで会えるでしょう。
ということで、「アズキヒメリンドウ」は、その“あずき姫”とは全く無関係なのです。この報文は「朝と夜のはざまで」でなく、「大和と琉球と大陸のはざまで」ですので、間違えない様に(笑)。
【1~8 アズキヒメリンドウ(1~2屋久島、3~8 伊平屋島)】
【9~16 ヘツカリンドウ(9~11奄美大島、12~16沖縄本島)】