フルートおじさんの八ヶ岳日記

美しい雑木林の四季、人々との交流、いびつなフルートの音

「森はいのち 森は心のふるさと」 C.W.ニコル講演会

2014-09-11 | アダージョの森

今日は昼から、小海町で開催される「C.W.ニコル氏講演会」に出かけた。

生憎の雨になったが、会場の小海総合センターに行ってみると、会場は満員の盛況だった。
ニコルさんの人気のほどがわかる。

イギリスウエールズ生まれのニコルさんは1940年生まれ。ことしで74歳、実際に合ってみると堂々とした体格だ。
講演は彼と日本とのかかわりから始まった。柔道・空手など格闘技が好きだったニコルさんは、若いころ東京の講道館に柔道を習いに来た。
そこから日本での生活が始まる。ある日、先輩に誘われて、長野県の黒姫山に登る。
その時、日本の自然の豊かさに感動したとのこと。
かれは、カナダやエチオピアで自然保護の仕事についていたこともあり、日本の自然がいかに豊かなのか、実感できたのだ。
実際、故郷のウエールズでは、森林面積が3%にまで減少しまっていた。産業や牧畜で樹木を伐採してきたという。

ところが数年後に黒姫山に行ってみると、営林局管轄の樹齢400年以上の原生林が皆伐されていたという。
それに怒ったニコルさんは、マスコミに手紙を書く。するとマスコミが大きく取り上げてくれたとのこと。
その当時は、白神山地、知床、屋久島の原生林保護の問題がようやくクローズアップされてきた時だった。

1986年「アファンの森」と名付けて、黒姫山で森の再生活動を始める。2002年には一般財団法人「アファンの森」(http://www.afan.or.jp/)となった。

2011年の東日本大震災に際して、「東日本大震災・震災復興プロジェクト」をスタートし、被災地の子供たちを「アファンの森」に受け入れるなど、被災地との連携を強めてきた。

美しいブナ林の再生に30年近く取り組んできているが、まだブナは実をならせるところまで育っていない。
森を再生するのはそれだけ時間がかかるが、しかし、それまで日の射さなかった暗い森にようやく光が入り、
林床には美しい花が咲き始めた。きれいな水が流れすべての生物が生き生きしている。フクロウが巣立ち、クマもいる。

現在、全国で鹿が増えているのが問題になっているが、1匹の鹿からは100人分の料理ができる。それを放置しているのは非常にもったいない。

「新緑のブナ林の下に立ち、日の光が射しこむ森をを見上げると、それはどんな大聖堂のステンドグラスよりも美しかった」との言葉は、実に印象的だった。
講演会に集まった多くの人たちも、感動して、ニコルさんの話に頷いていた。

2000年から「アダージョの森」作りを始めた私も、最近は、少しくたびれてきていたところだが、ニコルさんの話を聞いて、
改めて森づくりへの夢をかきたてられた。明日から、私もやろう!