功夫電影専科

功夫映画や海外のマーシャルアーツ映画などの感想を徒然と… (当blogはリンクフリーです)

『少女戦士'88』

2010-02-08 23:09:16 | 女ドラゴン映画
「少女戦士'88」
「ドラゴン・キッド/少女戦士'88」
原題:勇闖江湖
英題:Heroic Fight
製作:1987年

●またも林小樓(リン・シャオロウ)の主演作を紹介するが、今回は羅鋭レギュラーズとは組まず(キャストに常山や楊雄はいるが)、香港系のスタッフを多数導入した意欲作である。
特に大きいのが袁祥仁(ユエン・チョンヤン)と狄威(ディック・ウェイ)の存在だ。この2人が台湾映画に出ること事態は大きな出来事ではない。しかし、彼らを本作に出演させることによって、林小樓作品からマンネリ感を排除できた点は評価すべきだ。羅鋭作品も本作みたいに、新しい試みへチャレンジしていたらなぁ…(遠い目)。
 物語は、映画の特撮スタッフが黒社会の抗争に巻き込まれるというもので、台湾映画らしい無茶苦茶な内容の作品だ(笑)。特撮スタッフの林小樓は、あるとき偶然から少女誘拐事件を阻止したことで、黒社会のボス・李國修と知り合う。李國修は狄威を幹部に持ち、孫娘のことばかり考えている子煩悩な男だが、不幸にも息子夫婦を抗争で亡くしていた。心臓病を患っていたこともあって、彼は引退を決意するのだが、ギャングの金帝(『ドラゴンへの道』のデブ)は李國修を始末しようと動き出していた。
身の危険を感じた李國修は、後継ぎを任命する儀式で自身の死を偽装し、組織から完全に足抜けしようと袁祥仁に協力を依頼。だが、金帝によって劣等感を触発された狄威が裏切り、李國修が敵に捕まってしまう。なんとか孫娘は林小樓らの元に届けられたが、すぐさま狄威が追っ手を率いて現れた。脱出に成功した林小樓たち…しかし、李國修の遺産を狙う金帝一味を放ってはおけない!敵陣に1人で乗り込んだ林小樓は、『六神合体ゴッドマーズ』の主題歌(!)をバックにマフィアと戦い、最後の決戦へと挑む!
 とにかくツッコミどころ満載の作品だ。子供向け作品を装っているが、クライマックスに突入してからはマフィアが次々と虐殺されていくという壮絶な展開を見せていく。常山は車に乗っていたところを爆殺されるわ、狄威はロボットにボコられた挙句に熱湯へ叩き込まれるわと散々。これがザコになってくると更に悲惨で、針で刺し殺されたり蛇の海に落とされたり剣山に貫かれたり等々…これじゃどっちが悪人か解らないぞ?(爆
だが、ここまでやっておいて、事件の黒幕である金帝はそのまま放置されているのだ。実は、クライマックスの直前に狄威と金帝がいがみ合い、その金帝が常山と楊雄を呼ぶ場面があったので、ラストに何かひと悶着あるのかと私は思っていた。が、特に何も無いまま終わってガッカリ(もしかして脚本の段階で色々と削られちゃったのかも)。本作には面白そうな要素が色々と詰め込まれているけど、もうちょっと細部に気を遣って欲しかったものである。
 功夫アクションは、各所で『プロジェクトA』の影響が見えるものの、なかなかハードで面白い。
監督兼武術指導の趙中興は袁家班のOBなので、こういったシチュエーションに即したファイトを作るのは手馴れたものだ(ちなみに趙中興はガラスを運送してたおっさん役でカメオ出演してます)。林小樓は何度もマジ殴りされたりして頑張ってるし、狄威&袁祥仁も相変わらずキレキレの動きを見せている。ただし本作は子供向け作品なので、決着の仕方は全てギャグっぽく片付けられている。ロボットやギミックを持ち出さず、真っ向勝負でやってくれたら一番良かったのだが…う~ん。

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