功夫電影専科

功夫映画や海外のマーシャルアーツ映画などの感想を徒然と… (当blogはリンクフリーです)

『少林寺武者房』

2007-09-20 21:05:46 | カンフー映画:佳作
「少林寺武者房」
原題:少林與武當
英題:Shaolin and Wu Tang/Shaolin VS Wu Tang
製作:1984年

●劉家輝(リュウ・チャーフィー)がショウブラではない外部のプロダクションで製作した初監督作品である。とはいえ、共演者は王龍威や鄭少秋(アダム・チェン)に李海生などのショウブラ系列のスタッフでまとめられている。印象としては、ミニマムなショウブラ作品といった趣きだ。
 少林派(日本版では金剛派)の劉家輝と武當派の鄭少秋は、互いの親が流派違いで対立してばかりだが大の親友だった。しかし少林派と武當派の武術を研究していた清朝の王龍威は技を盗もうと画策。鄭少秋の父を茶会に招待したと見せかけて毒を盛り、鄭少秋の父は自ら鄭少秋の剣に貫かれて死んでしまう。
鄭少秋も投獄されるが、危機を救うべく劉家輝が潜入。彼と同室だった行きずりの女に鄭少秋を治療させて、見事脱出に成功した。劉家輝とその妹、鄭少秋と行きずりの女は逃走を続けるが、劉家輝の妹の勘違い気味の報告によって劉家輝と鄭少秋の間に亀裂が生じ始める。
 だが、王龍威軍団の襲撃によって劉家輝の妹が命を落としてしまう。そこに武當派が現れて父を殺した鄭少秋を連れて行くのだが、そこだけ見た劉家輝は武當派が自分の妹を殺したと勘違い。一路復讐のために少林寺へ行き、修行を重ねる。一方、武當派で尋問を受けた鄭少秋も更なる技に磨きをかける。
時は流れ、一流の武術家になった劉家輝は王龍威の親善試合へ出場すべく、李海生と戦いこれを打倒する。そして少林派と武當派それぞれの代表が相対するのだが、武當派の代表は鄭少秋だった…。
 正統派の功夫片を次々と打ち出した劉家良、変則的な作品で新たな香港映画を形作った劉家榮ら兄とは違い、この劉家輝の作品作りは至って平凡だ。ラストは駄々っ子の王龍威(笑)を説き伏せ、少林派と武當派が和解するというオチで終わるのだが、王龍威が生きたままだと死んでいった劉家輝の妹と鄭少秋の父が全然浮かばれない気がする。個人的には鄭少秋の話に聞く耳を持たない武當派もヤな感じだったし(理念は解るが、これだと利用されっぱなしで後味が悪い)、だいぶアラも目立った。
修行シーンは『少林寺三十六房』などの焼き増しで、中にはオリジナルそのまんまな修行も登場する。アクションは劉氏兄弟が担当したので文句なしだが、あまり劉家輝監督作としての特色が見い出せず、兄たちの作品へ「右へ倣え」としたようで印象は薄い。
ちなみに冒頭の劇中登場しない謎の男たちによる演舞は、"少林派から独立した武當派の成り立ち"を説明したもの。ここらへんもちょっと劉家良チックな演出でしたね。

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4 コメント

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毛羽立ち (す)
2007-09-29 22:31:15
こんにちはー
この映画はDVDで観たのですが、画面がケバケバしてみえました。デジタルリマスターはお金かかるらしいですが、せっかくDVDにするなら綺麗な画像がみたかったなぁ。もったいないです。

この映画の劉大師の友人役の人と、「武館激闘」の友人役の人の顔の区別がつかなくて、気になっています。
勧善懲悪で終わってくれたら個人的にスッキリなのですが、バンザーイで静止して終わってしまいました。彼の監督作でなくとも毎度こんな感じですよね。唐突に終わる。

この映画は劉大師の作品ですからそれほど思わなかったんですけど(彼はそんな人じゃないだろう。という気持ち)、時代物のカンフー映画をみていると、相手を陥れようとする人or死にかけの人がゴニョゴニョ耳打ち→そのまま信じてムカーッ→殺す!殺したる! のパターンばっかりな気がします。封神演技を読んだときもそんなんばっかりでしたし、中国では普通に受け入れられる心情なんでしょうか。。。?臆病な私は「それ、勘違いだったらどうすんの?」という懸念が毎度むくむく湧くのです。

馮安克はいつもこんな役(涙 (龍争こ門)
2007-09-30 23:38:33
すさんこんばんは!

>この映画はDVDで観たのですが、画面がケバケバしてみえました。
これは他のいろんな作品にも言える事なんですが、一般にはほとんど知られていないけどデジタルリマスター版を出してほしい!という作品は多くありますね。
個人的には日本発売された作品に絞ると『黄河大侠』『忍者VS阿羅漢』なども綺麗な画面で見たいです。
ここらへんの作品はホンコンレジェンドみたいなコアな海外レーベルから発売されるように祈るしかないのが現状ですね。最近は功夫映画の傑作『南拳北腿』シリーズも高画質で発売された事ですし…。

>この映画の劉大師の友人役の人と、「武館激闘」の友人役の人の顔の区別がつかなくて、気になっています。
本作の劉家輝の友人役はちょっとよく解りませんが、『武館』の友人役は麥徳羅だったと思います。麥徳羅の出演作は当ブログでも『神鳳苗翠花』を紹介しています。

>時代物のカンフー映画をみていると、相手を陥れようとする人or死にかけの人がゴニョゴニョ耳打ち→そのまま信じてムカーッ→殺す!殺したる! のパターンばっかりな気がします。
私もこの"早とちり"みたいな展開はあまり好きじゃありませんね。
例えば『燃えよデブゴン7』なんかも正にその典型で、放蕩息子の馮安克のせいでサモハンの弟は殺されるわ李海生の部下も鐘發らが死ぬわと死屍累々。
そもそもの原因は馮安克が李海生に「悪いのはサモハン」と言って自分の罪をなすりつけた事が発端となっていまして、さらに李海生の話は信じるのに弟子の話は聞かない關徳興など、この作品は素晴らしい功夫アクションとは対照的にかなりストーリーが陰惨なものとなっていました。
思えばジャッキー作品でも『酔拳』で王将をボコったジャッキーをパパが勘当するくだり(ジャッキーがあそこまで王将をタコ殴りにしたのは過剰だったが、そもそもの原因は王将にある)も「息子の話は聞こうとしないのに他人の話は信じるの?」と首をかしげた事もありました。
やはりここは国民性の違いみたいなところかと思います。
思い込んだら・・ (す)
2007-10-01 01:34:15
手がつけられないって感じでひきます。ドンびきです。
しかし観た事はあるんですけど記憶からすっかり消えている「燃えよデブゴン」は、タイトルのわりにはいたってマジメな映画だったんですね。そうかそうか。そうだったか。しかも李海生も出ているとは!私は彼を「三十六房」の時の双刀の戒律院和尚役(かっこよかったです)を見た後に「少林寺vs忍者」で見て、その眉毛の増えっぷりに仰天しました。メイクなんでしょうけど、濃さ・太さとも二倍くらいあって。
それにしても、さすがに沢山観てる人は詳しいから色々教えてもらえてうれしいですね。
東宝東和がよく使う手 (龍争こ門)
2007-10-02 23:50:39
すさんこんばんは!&大幅にお返事遅れてすみません…。

>「燃えよデブゴン」は、タイトルのわりにはいたってマジメな映画だったんですね。
一口にデブゴンと言っても10本近くシリーズがありまして、私も未だに完全制覇は遂げていません。もっとも、デブゴンシリーズは日本で勝手に名付けられたものなので、サモハンが出演しているということ以外は全く関連性がありません。
『霊幻道士』も同じように抱き合わせで入ってきたシリーズではない無関係な作品を続編としていますね。

李海生はプロダクションの垣根を越え、様々なスターとも共演経験があるスゴい人です。
私も『三十六房』での役が彼のベスト演技と思ってますが、『奇跡』の何度もリチャード・ンを殴りに行く彼も好きだったりします(笑

私としても答えられる質問には頑張って答えていきたいと思いますので、これからもよろしくお願いします!

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