功夫電影専科

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恐怖!ニコイチ映画怪進撃(4)『地獄のバトルボーダー/戦場に舞い降りた残虐軍団』

2017-02-20 19:26:10 | カンフー映画:駄作
「地獄のバトルボーダー/戦場に舞い降りた残虐軍団」
原題:Hitman the Cobra
製作:1986年(87年説あり)

●様々なタイプのアクション映画に目を付け、安上がりな方法で小銭を稼いできたIFD Films & artsとフィルマーク。彼らはニンジャ映画を主な稼ぎ口としており、それ以外のジャンルも万遍なく摘み食いしていました。
その足跡は今まで紹介してきた通りですが、出来ればもっと早く・安く作りたいというのが本音だったはず。そこで次に目を付けたのは、銃と衣装さえあればそれっぽい代物が作れるコマンド・アクションだったのです。
 ベトナム戦争の影響もあり、80年代は数多くの戦争映画が製作されました。東南アジアでは数えきれないほどのB級コマンド映画が量産され、中には『イースタン・コンドル』のような傑作も存在します。
しかし、IFDやフィルマークはニンジャ映画に執着し、コマンド・アクションは片手間にしか撮っていません。安いにこした事は無いはずなのに、どうして彼らはコマンド映画の開拓に本腰を入れなかったのでしょうか?
 このへんの事情は不明ですが、ニンジャ映画に比べて競合相手が多かったから敢えて避けた、或いは下手に主力のジャンルを増やすと手間暇が掛かると判断したのかもしれません(ちなみに本作の製作は黎幸麟(ジョセフ・ライ)率いるIFD)。
…まぁ、どちらにしても「とりあえず流行ものだから撮っとけ」という方針で製作されたのは間違いないでしょうね(爆

 本作は、第二次大戦下のフィリピンで日本軍と戦う抵抗勢力サイド(元作品)と、マイク・アボット率いる部隊とやりあうリチャード・ハリソンの物語(新撮シーン)が同時に進行します。
いちおうリチャードは抵抗勢力と通じていて、マイクの弟が日本軍に情報を流していたという設定が語られますが、両者の繋がりはそれくらい。元作品の主人公とリチャードは顔を合わせることすらありません。
 また、どうも元作品は戦中~戦後の混乱期を描いた作品のようで、いつの間にか敵が日本軍から悪辣な権力者へと変わっていきます。
恐らく元作品には終戦の様子なども描写されていたのでしょうが、本作は適当にカットしまくっているためストーリーは滅茶苦茶。知らないキャラクターが突然仲間になってたり、誰と戦っているのかさえ解らなくなってしまうのです(苦笑

 新撮シーンについても、リチャードを始めとしたキャスト陣は明らかにやる気が無く、緊張感のカケラも無い銃撃戦がひたすら展開されていました。
なお、アクション面はどちらのパートも大したことはなく、元作品の方は群衆シーンや派手な爆破しか見所がありません(ひょっとすると本国では大作扱いだったのかも)。
一方、新撮パートは香港の裏山でひたすら銃撃戦ごっこをしているだけで、ニンジャ映画のような格闘戦は当然ナシ。もっとも印象に残った場面といえば、上から撮ったカットでリチャードの頭頂部がとても薄かったことぐらいでしょうか(笑
 さて、そんなこんなで80年代は矢のごとく過ぎ去り、ニンジャもコマンドも時代の徒花として散っていきました。しかし、それでもフィルマークとIFDはニコイチ映画の量産を諦めず、更なるジャンルの物色に乗り出します。
果たして、香港映画の裏街道を走り抜けた男たちが最後に見た物とは…? 次回、地獄のようだったこの特集もいよいよクライマックスです。

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